ターニャのガンパレード【完】   作:ノイラーテム

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戦闘団の錬成

 手近で勝てる戦場を探しながら、私にはやるべき事があった。

戦闘団の一般化、ドクトリンの完成、そして親玉対策の三つになるだろうか。

 

「戦闘団傾注! 西住千翼長には戦闘団を、西住百翼長には人型戦車中隊を委ねる。イザとなれば私が見てやるから今の内に覚えておけ!」

「はっ! 承知いたしました」

「はいっ! 頑張ります」

 私が居なければ成り立たない、熊本以外では成功しない。

そんな部隊のデータには何の意味もない。誰かが居なければ成り立たない、特定状況下でしか役立たない物など欠陥品だ。ゆえに理解して居れば、誰にでも実行可能でなければならない。

 

これが戦闘団概念の一般化であり、勝利を世界に配給する為の物だ。

部隊に動作不良などなく、スムーズに運営されなければならない。ある程度の才能や方向性は必要でも、唯一の特殊能力であってはいけないのだ。

 

「戦車中隊の管理は逸見百翼長に権限移譲。戦闘団の最優先目標はゴルゴーン群と定める。……西住百翼長、人型戦車で攪乱を頼む」

「はい、了解しました。戦闘機動を掛けながら突入します。ええと……準竜師?」

「任せると言った。今回は私が担当しているだけだ。気にするな」

 騎魂号の生体ジャミングでゴルゴーンを黙らせる。

それ自体に問題はないが、上司である私が乗っているのが気になるのだろう。だがこの状態で嫌だと言ったら私が間抜けでしかない。慣れておけと言った方が良いだろうか。

 

ともあれ口論するよりも、先に済ませた方が楽だろう。さっさと移動を始めた。

 

「騎魂号は二時から三時の方向に移動してください。露払いとバックアップは5014と私が。ベルゲ士魂号組(5012・5013)は抜けて来る敵に備えるだけで構いません。5015は今回待機です」

「了解した。ビクトリア、前に出るぞ」

「ん」

 私に遅れて兵藤たちの歩兵小隊(5014)と西住の軽装甲が続く。

ベルゲ士魂号だけで構築された5017小隊はライフル構えて後衛の守備。以前は私たち(5011)の後ろを追い掛けていた妹尾たちには新規の歩兵小隊(5015)を任せたので見学中である。

 

現在は人型戦車三個小隊弱に歩兵二個小隊を連れている。

これは過剰戦力だが訓練を兼ねているのと、将来の基幹要員を育てる為である。理想を言えば以前言ったように歩兵は大尉の様な腕利き二名程度で済ませ、人型戦車小隊の中に含んでしまう方が正しい。

 

しかし人員は一朝一夕には育成できない。

また、一度嵌めたら確実に勝てるという必殺戦術にはまだ遠く、どうやったら戦力が最大化するのか手探りの状態である。戦闘団の得意戦術としてドクトリン化するのはまだまだ先の事だろう。今はベルゲ配置にしている5012以降の部隊がまともになる日は何時の事か。

 

「準竜師。申し訳ありませんが、何匹か見逃してもらって構いませんか?」

「後ろを鍛えるのか? 判った。ヒトウバンを残しておこう。ビクトリア、ジャミング開始」

「ん」

 西住みほは偶にこんな感じでアドリブを入れて来る。

この辺りは教条主義の姉や逸見には無理な所だ。もし南高の連中に目を付けられなかったら、黒森峰の頭の固さを上手くフォローできたかもしれない。

 

ともあれ今回はタイトな機動スケジュールをしなくて済むので、変わりに軌道を変更した。きたかぜゾンビだけをジャイアントアサルトで落としつつ、ゴルゴーンの鼻先を掠めるように何度かジャンプを入れる。

 

「今回は空中騎兵が多めの様ですね。5012と5013の両小隊はペアで確実に一匹ずつ落としてください。タイミングをずらして射撃、片方が無駄になっても構いません」

「「はい!」」

(中々の指揮官ぶりだな。さて……では私はこの後、どうすべきなのか)

 ただ言われた事だけをやるのは容易い。

だがそれは一介の兵士ならばの話だ。士官であれば次の行動を見据えつつ、万が一のバックアップを考えるべきだろう。

 

考え方は二つ。

作戦の最大効率を求めて次の行動に最適な位置に向かう。あるいは作戦の失敗を見越してフォローし易い位置に移動しておく。本来であれば前者を採るべきだが、今回は西住姉妹に色々任せている。やるべきは後者であろう。

 

「ビクトリア、次のビル陰でL字ターン。念のために格闘用クローを展開」

「ん。じゃきーん」

 二時の方角である右斜め上から、三時である右方向に向かっていた。

ジャンプと装甲で徐々に上半身を傾けていたが、余分な動作を入れてL字に曲がることで体全体は本隊の居る六時方向に、上半身はゴルゴーンの居る方角に向ける。

 

これで本隊が迎撃に失敗した場合はフォローに向かう事ができる。

逆に成功した場合は、左後方にジャンプすることでゴルゴーンを視界に入れ直すことが可能だ。余分な機動もビル陰に入ることで相手の砲撃からは逃れられる。クローを展開したのは、万が一ビルを回って来る馬鹿が居た場合に備えてだ。

 

「私だけじゃなくて、準竜師もフォローに入ってくれる様です。みなさん、落ち着いて射撃を。迎撃開始、打方始め!!」

「当たれ!!」

「喰らえええ!!」

 四機のベルゲ士魂号が二機一組で射撃する『打方』を組んでいる。

これは一組目が交互に射撃した後で、もう一組が状況に合わせてやはり交互に射撃を始めるいわゆる艦砲射撃の疑似ファランクスだ。古い表現なので撃方ではなく打方というのが面白い。西住流で取り入れたのか、みほがアレンジで加えたのだろうか?

 

「空中騎兵、クリア。皆さん射撃停止です。打ち方止め!」

「当たれ当たれ……」

「も、もう良いってさ」

 ここまで見てようやく気が付いた。

私が八代で二人一組を当時の新城大尉に進言した時は、あくまで歩兵の火力で落とせるか怪しいからだ。みほはそれに対して、新米共が確実に当てられるかどうか、熱中して次の目標を忘れるかどうかに対応している。

 

我ながら恥ずかしい事だが、能力規格(いちにんまえ)に達した事を前提に計算し過ぎたようだ。

新米連中が未熟で頭に血が上り易いのを忘れていた。これも501魔導小隊以降、まともな連中ばかりを率いていた弊害だろう。その意味では、みほは連中の性格と能力を良く見ていると言えるだろう。

 

「良い指揮官ぶりじゃないか」

「そんな。準竜師やお姉ちゃん……西住千翼長あってのものです」

 みほの指揮はあくまで私がフォローし、姉が確実に全体をコントロールする前提のものだ。

だからこそ自身はベルゲ士魂号組を完全に掌握することができたし、空中騎兵もゴルゴーンの心配もせずにいられる。

 

あくまで限定状況であったが、それもまた私が約束したことだ。

このまま成長すれば普段から第二小隊を任せることができるし、私個人でナニカを抑えなければならない状況で、臨時に中隊を任せられるようになるだろう。

 

(特殊な才能に頼るわけでもなく、強力な部下に頼るわけでもない。このままなら一般化に対しては問題ないな。次はドクトリンの完成と……親玉対策か)

 戦闘団が出撃し、自らの長所を十全に活かせば勝てる。

相手の対策で被害を出すことなく、コレを撃滅する。そこまで可能な習熟に向けて、できる限りのペースで錬成せねばならない。

 

しかしソレとは別に、親玉対策の方は実に頭が痛かった。

何というか先ほどまでの言葉と矛盾するのだが、居るかどうかも分からない強大な相手に対して考慮しつつ、専用チームを立ち上げるためには特殊な才能を活かさねばならないからである。

 

 戦車隊からの重砲撃がゴルゴーンを殲滅していく。

黒森峰は士魂号L型四両とモコス四両に加えて専用の補給車両と整備小隊を持つ、恵まれた編成で練度も高い精鋭部隊だ。

 

男子校の中には最初から歩兵編成のみで駆逐戦車も与えられないこともある中、戦車二個小隊を有するのは実に恵まれた状況だと言えるだろう。ライバル校にここまで戦力を配分する当たり、芝村は戦争という物を良く判っている。まあだからこそ、みほも人命救助なんかせずに幻獣を倒せと目を付けられたのかもしれない。

 

「戦車隊に関しては完璧なんだがな。人型戦車はあとちょっと。歩兵に至っては微妙過ぎる」

「それを言わんでくださいよ。連中、新米にしては良くやってます」

「兵藤中尉の言う通りです。まあロクに動いてない僕が言う事でもないですが」

 兵藤と妹尾は兵の拡充によって揃って昇進した。

最初は新城少佐の元に戻そうかと思ったが、どこの部隊も先任が何名かは居るものだ。それに加えて龍騎兵が学兵しか補充できないこともあって、入れ替える形で正式に就任。昇進は小隊規模の学兵(ボーイスカウト)を任せる代償でもある。

 

冷静になって眺めると、兵は戦車に付いて戦うならまだなんとか、偵察にも捜索にも使えはしないが。まあ戦闘団として連れて行くには妥協点と言った所か。

 

問題は人型戦車のパイロットが三歩進んで二歩下がるということだ。

 

「意見具申。戦闘団長代理、ゴルゴーンの駆逐が間もなく完了します。そこで……」

(さて、このルーチンは運用の正解なのか。それとも惰性から来る失点の先送りなのか)

 まずは士魂号で空中騎兵を落とし、そのまま攪乱。

戦場が固定される頃に戦車隊の榴弾攻撃で敵主力を削るというルーチンは、今のところ上手く機能している。しかしコレは人型戦車だけだった頃の成功体験を元にしている。習熟し始めているが、それは逆に対策され易いという事でもある。

 

現に敵は数が少なかったミノタウルスを増やし、場合によってはゴルゴーンと併用して護衛に変えている。

 

今の流れは本当に正解なのだろうか?

榴弾で空中騎兵とゴブリンを倒し、騎魂号突撃仕様のミサイルで敵主力を一掃。戦車隊は敵後方に向けてレンジ調整して殲滅する方が良いのではないのか? あるいはその方法を今は温存し、それすらも陳腐化する頃には更に新しい戦術を磨くべきなのかもしれない。この間のアナウンサーと学者も、そんな会話をしていたような気がする。

 

(はっ? あの馬鹿! 何をしているんだ!!)

「ある程度であれば士魂号でも倒せます。むしろ戦車隊は……え?」

「なるほど。西住百翼長の言う通り……なん。だと?」

 私は西住姉妹の会話を無視して、咄嗟に騎魂号をジャンプさせた。

場所は想定していたゴルゴーンを射界に入れれる位置。当然ながら、その中でも戦車砲の影響を受けない場所だ。

 

何しろゴルゴーンの生き残りに向けて、一機の士魂号が突っ込んでいたのだ。

お前はベルゲ配置の筈だろうが!!

 

「今がチャンスです! 今こそ幻獣達を倒すんです!」

「壬生屋戦士! 何をしているんですか! 攻撃命令は変更されていません! 止まりなさい!」

「戦車隊、砲撃中止! エリカ! 敵増援阻止に位置調整しろ!」

 また勝手に突撃しただと!?

ゴルゴーンではなくあの馬鹿を撃ってやろうかという考えが一瞬だけ頭をよぎるが、人型戦車は高価だし、幸いにも他のベルゲ士魂号は動いていない。これで高揚して全員で突撃しようものならば、見せしめに処刑もありえた。

 

仮免組最古参の馬鹿を忘れていたというか、何人かが他の部隊に身受けされたので、パイロットが減っていたのを忘れていた。焦りを抑えて私はジャイアントアサルトを斉射、次のポイントに向けて再びジャンプした。

 

「繰り返します。壬生屋戦士、貴女にその判断を下す資格はありません。今のうちに停車を……」

「何を言ってるんですか! 今こうして幻獣を倒せているんです。一刻も早く殲滅しないと敵増援が来ます!」

「この馬鹿どもが!! 西住百翼長、減点! 壬生屋、お前は零点だ!!」

 馬鹿だ、馬鹿過ぎる。

先ほどまで九十点とは言わずとも、八十五はやってもよいと思っていたみほ(・・)は『良』から『可』に。壬生屋に至っては欠格の烙印を押さざるを得ない。私? もちろん赤点だ。

 

この馬鹿が居る事を想定するならば判断の余地が無い命令を与えておくべきだった。

急に隊を任せられたみほ(・・)は行動の明確さを欠いており、予め統一した訓練内容を明示できてない。私に関しては折りに触れて訓練しようなどとは思わず、最初から訓練としてその辺りを徹底させておくべきだったのだ。あえて言うならば、私の人員管理ミスというところか。

 

「まだです! 私はやられてません! 今回はちゃんと戦えています!」

「さっさと下がれ! 陣形を組むのに邪魔するのを止めろ! お前が居ると、一網打尽にできんだろうが!」

 本来はそうなるように、まほの方がお膳立てをするつもりだったのだろう。みほの提案を聞く余地があったのは、予めその辺りを想定していたからだろう。上手くいかなかった事を踏まえて、何処に統制射撃の位置を変更するかまで考えていたに違いない。

 

それに比べて我が身の不甲斐なさよ。

この馬鹿のお陰で、三歩進んで二歩下がるどころか、三歩も四歩も後退しているじゃないか!

 

「ハッキリというが、お前を引き取ろうという奴はもういないだろうよ」

「そんな……私は悪くありません!」

「私には見えるようだよ。盾持ちにして狙撃兵を守らせれば良いかと思っていたら、突撃されて剥き出しになる軽装甲。助けてくれと言う事すらできずに撃破。無事に脱出できれば良いがな」

 その後はなんとか引き下がらせ鉄拳制裁。

今までに溜めてきた点数はマイナスで、零点に逆戻りだと告げておいた。

 

「……そんなことはありません。そんな戦場だったら、私だって戦い方を変えます」

「そう思われても仕方ないことをお前はやった。どの隊長が見ても同じ判断を下すだろう」

 以前の私ならば迷いなく銃殺しようとし、むしろ西住姉妹に止められていただろう。

それなのに処分しようとしないとは、我ながら甘くなったものだ。いや……正確には処分するには惜しいと思ってしまうからだ。

 

人間を資産として見るならば、この馬鹿女は非常に優秀なのだ。

ただし才能だけ。直ぐに血が上るこの馬鹿が自らを制御できればの話である。

 

 壬生屋未央という女は判断に困る不良資産だった。

敵の親玉を倒すことを考えると、つい処分するのに気が引けてしまう。仮に能力をAからE、状況による補正で更なる発展が見込めるならプラスとしよう。

 

相性適正がB、操縦がC、白兵戦技能がAプラス、射撃がCというところだ。

才能だけなら非常に突出しており、制御できるよう手取り足取りするかと思った事も一応ある。

 

「せめて冷静に成れるか外部操作で回避機動だけでも制御出来たらな」

 車の免許取得のように複座の騎魂号に乗せてみたことがある。

私が制御して覚え込ませれば良いかと思ったのだが……。オートではなく感覚投入してフルダイブ操作すると、二人の人格を融合した第三人格に近い感じで操作することになるのだ。

 

ビクトリアと共に操るときは素直でフラットな反応である為、気軽に戦場で試してしまった。

あの時を思い出すと何故か高揚しまた出撃したくなり、逆に頭は冷えて二度と御免だと心に焼き付ける。実際に戦果を見れば異様であった。

 

「騎魂号に乗せるのは止めてくださいね」

「そうです。もう二度と一緒に乗ったら駄目ですからね」

「だめー」

「判っている。絶対にやらん。そう約束しただろう」

 どれだけ異様かというと、この有様である。

エリカはともかくみほ(・・)まで必死で止め、ビクトリアまで加わる始末だ。

 

それでいて戦果と外部から見たカメラ映像では物凄い数値を叩き出しているので、私が乗らせたがるとでも思われているのだろう。

 

(何というか、普段厳しい私が壬生屋には甘いしな。未練があると思われているのだろうか)

 別に肉体的同性愛に目覚めたわけでもない。

美丈夫だからと親衛隊を組織して悦に至りたいわけでもない。

 

単純に、そう、単純に能力的には惜しいのだ。

他の者にはできない暴力だからこそ、敵の親玉対策に取り置きしておきたいのだ。古代中国や銀河帝国のような人材コレクターならもかく、私は足を引っ張る馬鹿を部隊に入れておきたくはない。

 

『壬生屋戦士。試みにお前と組んでみるが指示には従え。出るべきところで出て、下がるべきところで下がれ』

『はい、了解しました委員長』

 思い返せばあの時の感覚は異常だった。

オートで移動させている時は問題なく……いや移動途中までは感覚投入しても何の問題もなかった。

 

だが敵の目の前でマニュアル操作しようと、感覚投入してフルダイブした瞬間に視界が激変した。

 

『……この一撃は”威”を封ず!』

 ジャンプして接敵した瞬間、一瞬でコントロールを奪われた。

ジャイアントアサルトでゾンビヘリを撃ち落とすのではなく、超硬度大太刀でゴルゴーンを両断。

 

いつもならば移動しながら射撃するのに、僅かに歩いて寄ってきたミノタウルスに蹴りを浴びせている。

 

『……”路”、”覇”を封ず!』

 ローキックで足をへし折り、態勢を崩したところへ大太刀を浴びせる。

私ならば三撃は掛かるのにあっけなくそれで沈黙。更に僅かな距離を歩き、ゾンビヘリを無視しながら新たなミノタウルスに体当たりを仕掛けていた。

 

「……この一撃は”荷”を封ず。……”歩”、”兵”、”闘”を封ず!』

 覆い被さりそうになるミノタウルスをいなし、そのままローキック。

更なる移動でナーガとの間に飛び込み、先にそちらを始末。振り向き様に連続斬りで二体目のミノタウルスを切り捨てた。

 

思い返せば身も凍るような薄氷の移動だが、同時にあれこそが『壬生屋の理想』なのではないかと思った。奴には空間把握ができず、加えて我慢できる自制心もない。つい突撃して射撃を喰らってしまうのだろう。

 

だが私と組めば、私の感覚を利用できる。壬生屋が持つ白兵戦の才能を私が利用できる。

まるで糞袋めいた圧倒的な才能。天に愛されていると思わしき絶対性と、そこまで至っていない未熟な感性。それを私というパーツが補えるのだ。

 

(とはいえ、指揮官としては失格なのだよな。第一、九十五式めいて気色が悪い)

 あの全能感を思い返せば、自分が高揚するのも判る。

同時に九十五式を思い出して遠ざけたい自分も居る。第一、指揮官が狂戦士のように突撃してどうなる?

 

……私と壬生屋ならば、考えなしの幻獣だけならば一軍くらいは粉砕できそうだと思ってしまった自分が恥ずかしい。

 

繰り返すが精神的にも肉体的にも同性愛に染まるつもりはない。

もし染まったら決して手を離さず、奴を利用する作戦を前提に立てるかもしれない。しかし私にはまるでそうしたいとは思えないのだ。

 

(うん、やはり私は正常だ。しかし親玉か。それを考えるならば壬生屋の使い道を考えないと)

 むしろ奴を前に出し、気の利くバランサーをマンツーマンで後ろに付ける。

いや、むしろ火力小隊に入れて、突撃仕様の露払いにするくらいでちょうど良いのだろうか?

 

どのみち私は電子戦仕様の方がまだ良いし、できれば私自身は関わりたくない。

そう思って、デスクに戻ると……芝村からの報告書と補充要請書が掛かれていた。

 

「なんだ……使える奴が負傷したから新しいのを寄こせだと? こちらが欲しいくらい……負傷ではなく、軽度の精神疾患(PTSD)?」

 南高を中心とした第二戦闘団にも人型戦車中隊がある。

リストを見ると性格的にも慎重派だったようだが、どうやら不運な一撃を喰らってしまったらしい。

 

それまでは軽装甲で走り回っていたのだが、あまり前に出たくなくなったようなのだ。本来であればそれで許される訳はないが、人型戦車はナイーブな乗り物である。そして南高の幾島は果敢な攻撃こそを得意としていた。

 

「なるほど。捨てるには惜しいと判断して、早めに入れ替えようとしたのか。とはいえ壬生屋を送るわけにもいかんが……いや、むしろ丁度良いのか?」

 滝川十翼長、適正はBプラス、操縦B、白兵戦C、射撃B。

壬生屋を前衛というか盾として使い、その後ろで援護させる。……やはり性格的に御し得ないか、もう一人必要そうに思える。それも性格的に強靭で前に出る必要性と、後ろから援護する必要性を感じられる奴?

 

むしろそこまで行くと、パイロットの才能を持つ指揮官の方が良さそうか?

火力小隊を任せ場合によっては戦車の支援なしで一翼を担わせる……悪くないような考えに思われた。

 

「よし。次にトカゲの方と合ったら腹を割って話してみるか。もし親玉に関する見識があれば……押し付けてしまえばいい」

 ようやく育ちつつあるパイロットを送り出すのは痛い。

だが馬鹿を制御してくれるならばありがたいし、押し付ける為の手土産ならば惜しくはあるまい。

 

精神的にもアレを躾けるのは御免こうむりたい。

何の口実で会いに行くか。できれば奴からの用事で軟化の妥協を引き出して交換したいものだ。




 という訳でそろそろ原作キャラがちらほら。

●ドクトリンって?
 戦術パターンは色々あれど、得意な方式を構築してまずそれに馴れる。
そこからアレを変え、コレを変えと理想的な戦い方に熟れて行く。
将棋で言えば『この指し手はアナグマが得意で、まず守ってから』とか
『手元に取った駒を残して状況に合わせて上手く使う』などと言った独自の運用法の事。

いつもで使えるわけでもないけど、上手く嵌ったら勝てる。
必殺の戦術なんかないけれど、ドクトリンに当て嵌めながら戦うと勝ち易い。
くらいのノリで理解していただけると幸いです。
勿論、相手が居る場合は読まれてしまうので良い事ばかりではない。
しかし能力を最大限に活かし、一気に攻めたり味方の指揮を挙げたりするのには便利。

●人物紹介
『壬生屋未央』階級は戦士(軍曹)
 黙って居れば大和撫子なのだが、むしろバーサーカー大和撫子。
お兄さんが幻獣に殺され、バラバラ死体で発見された為に激高している。
剣術家というか古神道の家系で能力はあるが、精神的にも技術的にも未熟で未熟。
そのために特攻同然に突撃し、戦友にも整備兵にも迷惑を掛けている。

なお転生とかその辺無視しても異様に強く、育てばミノタウルスを一撃で倒せる。
『すり足』『右斬り』『左斬り』『突き』などのコマンドがあり、絢爛舞踏も目指し易い。

『滝川陽平』階級は十翼長(曹長)
 能力は平凡だが精神的にフラットで、安定して戦えていた。
かつてはヒーロー願望もあったが、今ではPTSDで前線に出るのもつらい。
感受性が強く士魂号にも見込まれ易く、能力値はともかく理想的な戦い方が可能。
安易に前に突出しないので壊れず機体経験値も溜まり易く、実はかなり優秀。
『全力射撃』コマンドがあるので、『狙い』を覚えて使い分けると凄い便利。

●洗脳?
『壬生屋 x ターニャ』
 古神道ながら壬生屋の家は既に古の技を失っているが、ターニャが覚えている。
またターニャは『誰かと契約することで発動』というルールを知らない。
このため二人が組むと人間兵器であり決戦存在が爆誕し、幻獣は死ぬ。
第五世界の壬生屋未央は第六世界の結城小夜と同一存在であることを忘れてはいけない。

『ターニャ x 九十五式試作型リテゴルロケット』
 実はこの世界のリテゴルロケットは九十六式で、九十五は試作である。
もし精霊回路が使ってあれば、ターニャは自前の魔力で戦える様になる。
おそらくは世界秩序(ワールドオーダー)化するだろう。
「ここは帝国、ここもまた故郷の帝国。永遠に続く落日の都」
「帝国の誇りを守れ、我らが帝国に黄金の時代を!」

『ターニャ x サキ』
 ザラキになって皆殺しが始まる。卍解!

●5121
 原作の部隊。ルートは違うが、対幻獣王部隊として誕生する。

本部小隊:電子戦仕様・軽装甲・軽装甲
火力小隊:突撃仕様・軽装甲・重装甲
偵察小隊:軽装甲・軽装甲
予備機:数機

というのが理想的な組み合わせであると推測されているので、
戦術ドクトリンの完成も見込んで、組織されることになる。
第二軍団の独立部隊扱いなので、仮に第一軍団の隷下にあっても部隊番号は変わらない。

●第一戦闘団の編成(一個大隊前後)
 三個中隊に足りない数で構成されるが、整備兵や護衛の人数がどれほど重要か不明で
人員育成を兼ねていた為に過剰など配置され、実質的に三個中隊として扱われる。
歩兵小隊も中隊規模で参加しているが、腕利き数名と一~二個小隊が理想。

人型戦車中隊(八機 +@の予備機)
5011:ターニャ・みほ
5012・5013:ベルゲ士魂号として訓練中。(5121と一部入れ替わる?)

歩兵中隊
5014:兵藤。捜索小隊
5015:妹尾。訓練中
5016:本部小隊・整備兵小隊付き護衛群(憲兵も居て共生派対策している)

戦車中隊:(八両 +@の輸送車)
5017:まほ
5018:エリカ
5019:補給車両・整備車両・人型戦車用トレーラーのこと
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