魔導宝珠が無いために焼けついた演算だけでなく、いちいちリセットせねばならない。
その事に気が付いてからは移動行程はマシになった。意識のコントロールで演算をリセットするだけならば元より問題なかったのだ。恐れていたのはリセットすると、能力までリセットされかねないなどと言う心配があっただけなのだから。
このことで些細な魔導行使から探知に引っ掛かるようなことが無くなれば、能力行使そのものを控えることで追跡は困難になる。非魔導行軍を基本にして予定通り広島を目指したのだが、素直に門司を通れるとも思えないし、まともな将校であれば関門トンネル候補地も抑えるはずだ。ならばと私たちは大分に抜けてから豊後水道を通った。
「二人とも飛行術式は覚えたか? 明日は広島入りの前にこちらで練習をしておきたい」
「一応ばなんとか」
「練習を行うと同時に追手の目を引き付ける為ですか? 了解しました」
移動そのものは係留してあるボートを借用させてもらった。
魔導技術があるからと言って何時も使う必要などないし、第六世代クローンの力ならば無理に漁船を使う必要などないのだ。ポイントはどのボートが所有者がちゃんと管理しているか、どのボートが管理不足かを把握するだけである。通常時ならばともかく八代開戦以降、人材の穴は大きいので一度見失えば追うのは難しい。
それはそれとして道中でエリカとサキに魔導技術を覚えさせる事にした。
理由は簡単、もし私が幻獣であったり何処かのスパイならば他者に教授するはずがないからだ。
(……やはりエリカの反応はおかしいな。優秀な士官ではあったが、ここ最近は先の先まで理解していることがある。本来のエリカであればもう少し経験を積まねば無理だろうに)
二人は私に味方してくれると言ってくれているのはありがたい。
だがそれを頭から信じ込むのは馬鹿者のすることだ。意識コントロールまでされていないだけで、実はコピー人間であるというのは当然ありえる事態だからだ。
その上で魔導技術を教えている最中に、色々気が付くことがあった。
正確には一回毎の行動ではなく、連続性のある教練だからこそ『不連続性』に気が付いたというべきだろう。簡単に言うとライヒで私が記憶の連続がある時に近いという感じの反応だった。
(凍結している本来の意識が浮上しているかと思ったが、この様子だと誰かがコントロールしているな。……何が目的なのかは知らんがここは精々利用させてもらおうか)
怪しいと睨んでも即座に問い詰めるのは愚の骨頂だ。
まずは経過観察して相手が何者なのか、その意図は何なのかを測っておいた。相手がスパイであると判って居ればそれほど怖い事はない、ましてこちらをコントロールするではなく協力するつもりがあるならば特にそうだ。むしろその存在を利用するまでの事である。
そういった方法を私は友人から学んだことがあるのだ。
(対人戦におけるコツはどれだけ偽情報を相手に掴ませるか……か。全くその通りだよ)
二度も転生したので誰が教えてくれたのかは既によく覚えていない。
だがこういう時に役立つとは思わなかったので、実に良い事を教えてくれたと思う。今回に関しては今後の事を左右するのでとても大きな一手だった。
私の目的は一貫して政府に協力する事であり権力奪取など考えていない。そしてどれだけ役に立つかは別にして魔導技術を日本政府に供与する気があり、明らかに幻獣ではないと判るような証明を何処かでするつもりがあるという主張。これらをエリカを介して『聞かせておく』訳である。
(とっとと始末するなり、気が付いていると教えて退散させるのも手なんだがな。まあ役に立ってくれている内は様子を見るか)
とはいえ先ほど言った手段は一応のモノでしかない。
もし方向性をコントロールしないだけで、騙す気だったり利用するだけして最後は殺しにかかるのかもしれないのだ。だが現状では戦力が足りなさ過ぎるし、本物が介入されているだけの場合もある。役に立つ内は利用するとして、どんな事に利用する気なのか、どんな相手なのかを観察しておくのは有効である。
(しかし記憶の不連続性か。これを何とか証明できれば冤罪が何とかできそうなんだがな)
私が疑われた理由は、記憶を完全にコピーしているのに知識が証明できない事だ。
知識……それも魔導技術など有用なモノを何処かに蓄えておいて、任意に取り出すことができると証明可能なのが理想である。
その方法自体は魔導技術の結晶なのだとでっちあげるとして、ソレを第三者に信じてもらわねばならない。悪魔の証明以上に難しい気もするが、パソコンのハードディスクやらみたいな概念を元に術式が造れない物だろうかと思う。
いずれにせよそれらの証明には幻獣の感応力ではなく、確かな技術なのだと思わせるしかない。そのためにエリカやサキたちに魔導技術を教えていたのだ。
●
術式による制御を教えている過程で幾つか面白いことが判った。
覚え易いのは身にまとう防殻や魔導刃あるいは貫通術式などの強化系が中心に成る。簡単な光学系はともかく光線術式での攻撃は難易度が高く、飛行術式は難しい方なのだが……何故か飛べてしまうと安定度が異様に高いのだ。
そして不思議なことに此処に来るまでに覚えていたサキよりも、エリカの方が適正が高い。もちろん個人戦闘に使うコツなどは、どうしても格闘が得意なサキの方が上手いのだが。
「有用性を考えると飛行術式を改良して、リテゴルロケットあたりと併用した方が現実的かもしれんな。空を飛ぶには才能が要るが、別に科学技術と併用してならん理由はない」
「お伽話の魔法だと科学とは相性悪いような気がしますが、不思議な物ですね」
ライヒの時も別に技術とは相性が悪くなかった。
お伽話はお伽話というか、あくまでイメージの問題に過ぎないのだろう。そしてかつての世界では国ごとに飛行術式の補助は違ったものだ。この辺りの差は突き詰めておけば、魔導技術は確かな技術体系なのだと説明し易いかもしれない。
「今の九十六式も悪くはないのですが一発モノという不便さを覚えます。ここはぜひ、九十七式として実用化させたいですね」
「……長距離を飛ぶのも手段の一つだが、小刻みに動ける方が戦い易いからな」
リテゴルロケットの既製品は九十六式という。
つまりは試作品が九十五式で、新製品を造れば九十七式と言う訳か。ここにも存在Xの関与を感じて嫌な気分になった。けっして九十五式には関わるまいと『改めて』誓う。
そしてこの件で少しエリカをコントロールしている奴に個性が見えてきたような気がした。
(こいつはウォードレスでの戦闘に長けているな。それでいてエリカ以上の知識か……だいぶ見えてきた)
植え付けられた人格ではなく、外部干渉である場合だがある程度特定できた気がする。
エリカに近い経歴の持ち主で、操っていて違和感のない者。そして私を利用する気がある勢力で、当然ながら私とエリカの両方を知る人物である可能性が高くなった。
とはいえ尻尾が見えたからと言って追及などはしない。
前にも言ったかもしれないが、こういう時は経過観察で可能な限りの情報を集めておくべきなのだ。証拠一つ見つけて動くよりも、イザという時に列記して一気に決められる状況を作ってからの方が良いだろう。
(そういえば『サンダース』の話が出た時に、学校ではなく退役軍人の料理人が出て来たな。……まさかな)
学兵を提供している高校の中にサンダースという合衆国に縁のある学校がある。
エリカの黒森峰がライバル視している学校の一つなのだが、この名前にはもう一つ有名な対象が居る。合衆国の退役軍人で料理界で有名な男だ。野球のタイガースが勝てなくなった理由の一つに、料理屋からサンダースの人形を奪って捨てたという説があるくらいだった。
エリカならば即座に学校の話になるはずなのに料理人の名前を出すような相手。その事を脳裏に留め置きつつ、こうした感じで幾つもの違和感を集めていつか来る推理劇に役立てることにした。
「飛行術式を使って可能な限り高度を上げたら港まで引き返すぞ」
「確保しておいた船まで戻るのですね」
「判ったと」
山越え愛媛から香川に抜けようとして、失敗したと見せかけて魔導反応をあえて残す。
実際には滑落したわけではなく、高度を多少上げて後は滑空するだけだ。ライヒでフィヨルドを攻めた時を思い出すが、予め確保した船を使って瀬戸内海を移動する。
こうすることで瀬戸内に出るのか、小豆島を経由して関西に出るのか、それとも高知県に回って徳島へ向かったのかを特定できないようにしておく。遠距離の魔導探知など精度が高くない事など先刻承知済みだ。
(ここまで来れば芸州公の元に安全にタッチダウンを決めるのは難しくないな。学兵の保護者みたいな方と聞くし、逃げ込めば保護はしてくれるだろう。だから仕掛けて来るならばその手前になるか……)
道具も無しにかつてよりも滑らかに降下しつつ、『エリカ』の方に意識を馳せる。
追手の目を晦ませたとしても、こいつを操って現在位置を特定できる勢力には無意味だ。私に協力してくれる気が有るようだが、それでも芸州公のもとに逃げ込まれるのは困るはず。
ゆえに広島入りして暫くが山場になる。
そこで接触して来る勢力は、エリカを使っている奴か、それとも地元に近く梟雄の気があるとされる備州公になるだろう。そこで良い話が持ち込まれれば良いのだが。
●
広島は鎮守府のある呉や輝夜姫伝説のある竹原辺りまでが安芸の国と覚えておくと区分が楽だ。
実際には違うのだろうが、呉の海軍士官学校や鎮守府は芸州公の管轄である。芸州公は一門から文部大臣を輩出するなど、学兵の親玉というのが世間一般の見方になる。
だから呉の水兵や学兵に見つかるならばまだ判る。
しかし今こちらを捜索している白装束に赤い四肢の者たちは、どう見ても学兵には見えない。もちろん広島東洋カープのユニフォームではないのは明らかだ。
「宮島の巫女でしょうか? 神事の途中で見かけたとか」
「どうだろうな? 備州公の手かもしれん。だがまあ、そんな判り易い相手ではないだろうな」
広島入りした途端にコレである。
備州公に影響を与えた歴史人物と言えば、平清盛に毛利元就に宇喜多直家に足利義昭とろくでもないのが揃っているが……流石に都合が良過ぎた。
私が興味を覚えそうな連中を見繕って、『誰かさん』が派遣したと思っておいた方が確実あろう。
「稗田と申します。デグレチャフ竜師ですね? 壬生屋先生からお噂はかねがね伺っております」
「と言うと猿女氏ゆかりの者か? そういえば壬生屋の家族は広島に疎開したと言っていたな」
声をかけてきた巫女は太刀を携えていた。
それだけならば神事の一環と言えなくもないが、まだ梓弓の方がそれらしいだろう。壬生屋の遣いに見えるように装っているのか、あるいは本当に門弟に当たる者を利用しているのかもしれない。
長い黒髪に巫女装束、そして太刀を掃く姿はなるほど壬生屋の係累に見える。
しかしここまで都合に都合よく話が渡るとは思えまい、やはり話を造って関心を抱かせる相手なのだろう。特に四国では魔導技術を伝える相手を探していた。私が関心を抱く相手としては十分過ぎる程だ。
「私、三次の地にて高校教諭を務めさせていただいております。主に言い使わされて竜師をお迎えせよと」
「そうか……公にはお世話になる。くれぐれもデグレチャフが礼を言っていたとお伝えしてくれ」
三次で教師をしているとはまだ面倒くさい名乗りだ。
芸州公は一門の中から山岳師団を率いさせて周辺一帯を守らせているはずだ。そして文部大臣を一門の中から歴任させているので、一見芸州公の手に見える。しかし三次は既に備後のはずだ。
この名乗りは芸州公と備州公、どちらの手であるかを混乱させる為だろう。
実際にはそのどちらでもないと睨んでいる。これまでは私の手助けに専念していたが、いよいよ私に何かさせたい。そういう方向に誘導したくなったと見るべきか。そろそろ潮時かもしれない。
「稗田教諭。誠にすまないが。お世話になる前に旅の汚れを落としたい。よろしいかな?」
「……承知しました。直ちに手配をさせます」
やはり手順がおかしい。
普通ならば匿う事を優先させるはずだ。風呂などその後で幾らでも入れる。あるいは身の証を立てることを優先し、護州公の手が襲い掛かって来ても公然と守れるようにするだろう。
「時も惜しい二人とも。お前たちも一緒に風呂を頂きなさい。公にはその後でお目に掛かろう」
「えっ!? い、一緒に風呂ゆうて……」
「これまで散々寝起きを共にしていたでしょう。遠慮の方が不要よ」
サキの挙動の方が不審だが、私にはむしろエリカの姿がまとも過ぎに見える。
この女はポンコツ気味の所があり、急な話を振られると途端にパニックを起こすのだ。女同士とはいえ裸でスキンシップなど普段ならば湯沸かし器の様になっていたはずだ。
そしてもちろん、一緒に風呂に浸かるなど罠に決まっているだろう?
武装を外し、特殊な装備の類を外した所でショーダウンと行こうじゃないか。もちろん私は魔導を使うし、サキの方は格闘戦ができるしな!
「流石に公の手配だ。三人で広々と入れるな。……ところで」
「あ、ああ……」
「なんでしょう?」
汚れを落としつつ歓談と見せかけて配置を決定。
脱出し易い場所にもちろん私、兵が踏み込んできても二人を盾に逃げられる場所だ。そしてエリカを挟んでサキを置く。これで挟撃態勢、後ろを取らせておけば逃げることもままなるまい。もちろんサキがグルでも、この配置ならば逃げられる!
「幾島。お前は、いやお前たちは私に何をさせたいんだ?」
「「っ!?」」
息を呑む二人だが、意味合いは若干異なる。
一人はまさか……というものであり、もう一人はこのタイミングで声を掛けたことは罠だと自覚した表情だ。
そしてこいつが幾島佳苗であるという事にはある程度の自信があった。もちろん状況証拠以外に、幾つかの反応や知識・判断などの論証を積み重ねた上だ。
「ターニャお姉さま良くお分かりになりましたね?」
「匂いでな。そのお姉さまという言葉もそうだ。姉妹制で下を導く素養など芝村にはないだろう? どちらかといえばソレはエリカ達を揶揄する為に使っているんだろうし」
なんというか裸で冷然とした表情を浮かべるエリカというのは新鮮だ。
いつもはポンコツ気味だし、周囲を探る泥だらけの姿に慣れたのもあるが……。本来のエリカならばここまでの雰囲気をまとうのに時間が掛かるだろう。
「何時からお気づきに?」
「割りと最初の方だな。脱出の時にエリカが妙に有能だった。思えばお前が手引きしたんだろう? 芝村機関は動いていない、しかし、私が護州の手に落ちるのも困る……と」
「本当に最初のころからですね。泳がされていたのですか」
まあそこは部分的に本当だ。
魔導技術があると判ったころだし、テロリスト共の襲撃に便乗したとはいえ都合よく脱出できるとも思えない。そもそも脱出せずに、殊勝に待機して居れば罪一等を減じるというのが法なのだ。江戸時代のころから、災害や火災時に罪人を一時的に解き放ち、戻らせて恭順の意を探るのはよくやっていた。
「探偵ごっこをする気はない。細かい差異などはどうでも良いだろう。ここで重要なのは目的の方じゃないか?」
「確かに。ここで物別れになるのは惜しいですしね」
所作の違和感を積み上げて、おかしな言動を並べて暴き立てるのは簡単だ。
しかしそんなことに何の意味もない。ここはダイレクトに芝村機関が何をやっているかを尋ねた方が良いだろう。ぶっちゃけ私には目的などない。成果を上げて安全地帯でふんぞり返るのが究極的な目的とさえ言える。
その為にこそ、こいつがいくら怪しかろうと『デグレチャフは野心などなく信用できる』とずっと情報を与え続けてきたのだ。まあエリカごと始末した方が早いと思った事もあるがな。
「まず芝村機関には大きな目的があり、そのスタンスで派閥ができるくらいだと思ってください。私達は……」
「それは良い。ここで判断できないだろう? 目的とやらを聞かせてくれ」
穏健派ですとか、もっと有意義に使うつもりなんですと言われても困る。
そんな態度を判断するような情報はないし、そもそもそうだからといって最後まで態度を変えないとは限らないのだ。
「そうですね。計画名として竜、目指すべき目的として竜クラスというモノがあるのだと考えてください」
「竜計画? そして竜と呼べる何かを造る……と?」
「そうです。絢爛舞踏を越えた決戦存在、それを竜と我々は呼んでいます」
ゴージャスタンゴ……死を呼ぶ絢爛舞踏とは人類最高峰に足る武人の威明だ。
自分が操る兵器と同ランクの相手を累計で250は軽く倒さねばならない。それがどれほどの手際か判ろうものだ。その名を冠する勲章もあるが、その行動を持って人々に畏れられるのが絢爛舞踏である。
しかし、ソレを越える存在とはまったく大きく出たものだ。
「話を聞くと個体名ではあるまい? 第六世代は強力だが、第七世代が完成すれば到底及ばないと聞くぞ」
「はい、いいえお姉さま。等価交換する方法があるのです。少し問題もありますが」
「まあそうだろう。第五世代以前で生きた者が第六世代になるだけでも強いしな」
段々と見えてきた。芝村機関の目指す忌まわしい目的が!
ここでも奴か! 存在x! やはり私の人生を弄び、取るに足らぬくだらぬデータとして積み上げたのは奴か!!
怒りのあまりにライフルを撃ちたくなったが、此処にはないので仕方ない。それに女同士で裸をいつまでも眺めあってもちっとも面白くない。さっさと背景を語ってもらうとしよう。
「もちろん竜に至る個体だけではなく、そこに至るまでの者たちも兵として数えることはあります。教育課程や兵装なども重要ですしね」
「英雄を錬成し、英雄に寄る兵団を編成し、そして何をする気だ?」
「兵器であり商品として陳列する為です。自分たちで使う事が圧倒的に多いはずですが」
私は九十五式くらいだが、かつてライヒで戦った時にクソ袋の強大さには何度も邪魔された。
つまり私と特殊装備と言う組み合わせて試作し、クソ袋という更なる強化兵に至ったと言っても良い。その後に私はこの世界に投入され、第六世代の体に肉体を置換。そこに宿るはずだった魂は何処へ行ったか知らないが、私の魂があれば魔導技術を使用できる。
次にクソ袋が第七世代に置換されれば、手が付けられないほどの存在になるのは違いない。なんともクソったれな計画ではないか!
「記憶と技術までも継承するコピー人間に外付けの知識と魂。そしてそれらを十全に活かせる兵装。まったくそんな物の為にお前らは何人殺した?」
「この世界、いえ双子世界と呼ばれる全ての人間を。信じられないかもしれませんが、異世界というモノが存在するのです」
まさかここまで披露するとは思わなかったが……。
向こうも私がそういう知識を持っているとは思いもしなかったのだろう。暗黒大陸と地中空洞説を足したような物だと説明しながら、幻獣は第四世界の住人で、この世界は第五世界などと付け加えて来る。
話の中で第六は無数の小世界といっていたので、もしかしたらライヒもその世界の一つなのかもしれない。思えば大独逸仕様で妙に国土の構成がおかしかったからな。
「おおよその事は判った。前にも言ったかもしれんが、ライヒには記憶を封じたり継承を目指す理論も存在したからな。私自身がもしかしたら魔女の後継者なのかもしれんし。で、話は最初に戻る」
「何をさせたいか、ですね?」
「そうだ。いまさらここで悪い事なので許せませんとか言うなよ?」
計画に対する態度で派閥が分かれるとこいつは言っていた。
だが同じ芝村機関であり、計画を野放しにしている時点で同類と言っても良いだろう。その上で、何をさせたいかが重要だ。それに関わる事で私は私の自由を満喫させてもらわねばならないのだから。
「この世界の住人としては実験場にされているのが気に喰わないだけです。同じ計画を立証するならば、私たちが自分の手で、自分の世界を管理して何が悪いのでしょうか」
「利用されるのが気に喰わないのは判る。改めて言うぞ、何をさせたいんだ?」
「この世界を薪にくべても良いという、他の芝村が用意した候補を倒します」
「それで計画を自分たちの手で主導すると?」
「そう言い換えても構いません。独立というほど綺麗な物でもありませんしね」
よろしい。
そこまで聞けば十分だ。だから私は笑ってその要請にこたえる事にした。どうせかつてのライヒで、クソ袋と何度も戦った身ではないか。
全霊を尽くして今度こそ奴の後継者を討つとしよう。
『よろしい。ならば戦争だ』
ようやく話が進みました。
最初のころは厭らしい雰囲気に成って第三者に邪魔され、「オノレー!?」
となるガンパレみたいな空気だったのに……。
エリカがもう三人でも良いかな」とか思い始めるところでした。危ない危ない。
それはそれとして、ようやく竜計画について話すことが出来ました。
凄い英雄を作り上げて、そいつを投入したら絶対に勝てる状態になる。
そいつを保存しておいて、クローンボディがバージョンUPしたら体を変えたり
世界移動で行って戻って新しい体に置換するとか、そういう感じだと解釈しています。
まあ士翼号以上の超ロボットやら、聖銃やらのギミック組み込んだらそんな心配も要らない筈ですが。
とはいえ、これで状況がスッキリするので後は戦って勝つだけです。
次回から作戦を練ったり装備を整えて、まともにガンパレする話になります。