七草家の交渉を終えて次の日には克人から直接口頭でブランシュの件についての了承を頂き、協力体制を敷くことになった。
この件に関して直接指揮を取ろうかと思っていた蒼士であったが会社の部下たちから「学業に集中しなさい!」と社長でありながら怒られてしまい、指揮権を譲ることに。
急速に拡大し、成長したHSA社には味方もいれば、裏で敵対している組織もいるのでお金の経済的な制裁だけでなく、武力での面でも実力をつけなければいけないのでブランシュの件には積極的であった。
HSA社の中には民間軍事会社もあり、そちらの部下に蒼士直々に頼むと即答で了承をもらっていた。
だから部下たちに全部投げることになったが心配はしていなかった蒼士。元々知っている面々でもあるし、信用も信頼もしているので実力は折り紙付きだと確信しているのだ。
そんなこんなで蒼士は風紀委員の初仕事をするために本部に達也と一緒に移動していたがそんな二人に話しかけてくる人物がいた。
「やっほー、蒼士くん、達也くん、クラブ決めた? 決めてなかったら一緒に回らない?」
明るい声色で二人に話してきたのはエリカであった。一人でいるエリカはなんか珍しく感じる二人であり、そういえば美月は美術部、レオは山岳部に決めていたな、と二人は同じ考えをしていた。
「実は風紀委員の仕事でその見回りをしなきゃいけなくてな」
達也が説明しているのに頷いている蒼士。そっか、と残念そうに背を向けて去ろうとしていたが蒼士が止める。
「各部を回るわけだし、委員会の仕事をしながら一緒に回ってあげなよ、達也」
「いいの!?」
去ろうと背を向けていたのに蒼士の言葉を聞いて明るい笑顔を向けて振り返っていたエリカ。
「俺か? 蒼士はどうなんだ?」
「先約があってな、複数のクラブの見学に来てくれって言われていてな」
あぁ、と達也もエリカも納得していた。休み時間に一年生の教室に先輩たちが何人か訪れて、蒼士に話をしていたのだ。そのことを知っている二人は自然と納得していたのだ。
「だから達也よろしくな」
自分も一緒に回ってみたかったが残念と思いながら達也にお願いする蒼士。
「一度、風紀のミーティングがあるからその後でなら」
「うんうん、全然いいよ! 三十分後に教室の前で待ち合わせねー!」
それだけ言うと嬉しそうに背を向けて歩いていくエリカ。
「嬉しそうだな、エリカ」
「そうだな」
「達也と一緒だからでしょう?」
「そんなわけないだろう、単に一人で回るよりかは寂しくないからだろ」
「このままエリカが達也のことを好きになって達也もエリカのことを––」
「蒼士、いい加減にしないと蹴るぞ」
「すいません、冗談です」
達也の本気度にもよるが本気で蹴ったら骨は余裕で折れる威力を持つ。
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風紀委員会本部に着くと先輩たちが既に集まっており、蒼士と達也が最後だったようだ。入室した瞬間にやはり制服の一部分を見て、二科生だと分かると二人を見ていた目の色が変わっていた。一部の先輩たちは昨日摩利から聞いているのでそういうことにはならなかった。
摩利が全員いるのを確認して席に座らせると会議を始めた。
毎年バカ騒ぎの一週間がやってきたことを告げた。クラブ活動による新入部員勧誘期間。いわば合戦だと。
こんなことになっているのも毎年ある全国九つの魔法科高校による九校間で行われる『全国魔法科高校親善魔法競技大会』略して『
九校戦の結果は学校全体の評価に反映されるので、活躍した生徒とそのクラブは学校側から優遇されるという理由で有力な新人の獲得が最重要課題になるために暴動騒動が起こるという。
そしてなによりも勧誘期間中はデモンストレーション用にCADの携行許可が出ているため厄介であると。素手での殴り合いならまだしも魔法を使用する事件も毎年起こっているようなので注意することを摩利は説明した。
一通り説明が終わると新人の蒼士と達也の自己紹介を摩利がしてくれたが、二人とも1ーEで二科生ということで実力なしと見て、完全に舐めきった先輩たちもいたが摩利の一言で黙った。
「コイツらは服部に勝てる実力を持ってる、私や真由美や十文字が証人だが、文句あるか?」
舐めきっていた先輩たちも摩利の発言に驚愕していた。服部の実力を知っている者だったようで見下すこともなくなり、言葉はないが頭を下げて謝ってもくれていた。
摩利が改めて気合いを入れさせて出動させた。
先輩たちを見送りながら摩利から改めて細かな説明を受けた。風紀委員の腕章、連絡方法、騒動の報告方法、無理せず仲間を呼ぶことなどの説明をしたところで二人も出動してもらった。
部屋を出てから達也と別れて行動することになった蒼士は端末でメモをしたクラブの見学に行くことに。
巡回がメインなので簡単に見学しようと蒼士は動き出した。
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校舎から外に出るとお祭り騒ぎになっており、一年生とみるや容赦なく勧誘の手が伸びていた。あちらこちらで勧誘合戦が起きている。その中を蒼士は進んでいた。
腕に付いている風紀委員の腕章に視線がいくと自動的に二科生であることが知られてしまい、やや蔑むような視線が送られてくるがそんなことは一切気にしない蒼士。
目的のクラブに着くとさっそく部長らしき人や部員の人たちに囲まれて見学させられていく。二科生であることを馬鹿にしてくる人たちもいるが蒼士の実力を見ると一変していた。
運動関係のクラブなら、見本を見せてくれた後に体験できる時には異常な身体能力で先輩たちを物ともせず相手取り、勝っていくところを見せつけた。先輩たちでもできないような動きをしたりして場を盛り上げ、周りで見ていた同じ一年や運動部の人たちから賞賛を貰ったりしていた。
だが、そんなことをやれば反感を買うことにもなるのだが、見本を見せてくれた先輩にさらに動きが良くなるようにコツを教えたり、デモンストレーションをしているはずなのに蒼士が周りで見学している一年生を参加させて簡単な試合を始めたりして部員でもないのに盛り上げていったのだ。
「先輩、右足を怪我したことありますか? 一回怪我したせいか右足の動きが躊躇しているのか動きが悪いですよ」
今日初めて会った人のことを何故か知っているように喋る蒼士。彼が声を掛けた先輩は一年前に右足を骨折していたのだ。そのことを見抜いた蒼士は右足の動きが悪いことに気づいて意識して治させようと注意したのだ。
「実際にやってみると楽しいもんだろう」
同じ一年生には同じ動きをしながら楽しさを共有させる。見ているだけもいいかもしれないけど、運動系のクラブはやっぱり体を動かしてこそ楽しいもんだろう、と蒼士は思っていた。
そんなことをしていたおかげでそのクラブに非常に感謝もされ、入部する人たちも出てきて、一科生の先輩たちに頭を下げられることになる蒼士。
勿論、そのクラブに勧誘されるが風紀委員が忙しいので、と理由をつけて断っていた。ほかのクラブもこの理由で断るようになる。
「役に立てて良かったです、では自分は巡回に戻ります」
このような行為をほかの運動部や文化部でも行い、一年での知名度もさることながら二年生、三年生での知名度も上げていった。だが、蒼士はある噂で有名であったからそれに拍車をかけるように顔が広まった。生徒会長の七草真由美と付き合っている、という噂で。
「このロボットは足への負担が大きいですね、HSA社のこの部品とこのメーカーのメモリで足回りと動作が跳ね上がるはずですよ」
チラッと覗いたPC画面のデータで反応が悪い箇所を特定したり、機能向上の方法を教えたり、とお節介もしたりしている蒼士であったが、やはり根に持つ人たちもいるのだ。
腕輪型のCADを操作して魔法を起動させようとした瞬間に蒼士は相手の片手を掴んで、近くでこう言っていた。
「ここで風紀委員として貴方を捕まえてもいいんですが、一年生や部員の人たちが見ているんですよ? 貴方一人のせいでガラが悪いクラブだと思われ、貴方のせいで新入部員が入って来なくなったら「お前のせいだ」と虐めにあうかもしれませんよ、だから魔法の使用はオススメしません」
これだけ言うと相手の顔を見て笑顔で離れていくのであった。そんなことを言われたら魔法なんて使えるわけもなく、言葉だけで制止してみせる蒼士。蒼士に言われた先輩は手の震えと足の震えでその場で動けずにいた。
それでも魔法を行おうとしてくる常識がない人には蒼士の魔法で相手の足に見えない糸を絡めさせ、スリップしたようにその場で転ばす罰を与えている。四、五回も何が起こっているか理解できずに転び続けさせるのであった。
蒼士の見えない糸の魔法名を鈴音に聞かれていたが、まだ完成していないので名前がなく、完成すれば両手で糸が使用でき本数も増やせるようになり、千の技を使えようになりたいという意味を込めて『
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それから何箇所も回りながら見学と巡回もして風紀委員の先輩たちの助けに入ったりしながら仕事をちゃんとこなしていった。
連絡が入り、危険魔法使用者の捕縛の手伝いに動くために走って移動していたが建物の反対側なので魔法を使用して建物の屋根に飛び乗ってショートカットをしていた蒼士。
高いところから周りを見渡すと校庭の隅から隅が見えていたが蒼士の視界に凄まじい速さで移動している人物たちがいた。
一人は風紀委員長の摩利であったが摩利の前方の二人は見たことがなかったが蒼士の固有魔法の『掌握』で摩利や真由美の記憶にあった人物だと思い出す。卒業したSSボード・バイアスロン部のOGの人たちだと把握できた。
一人は
もう一人は
記憶を呼び起こして把握した蒼士であったが、卒業生の二人が一体何しに来たんだろう、と気になり動こうとしたが二人が抱えている人物を見て一瞬だけ固まってしまった蒼士。
「というか、何でほのかと雫は先輩たちに抱えられているんだ?」
蒼士は捕縛の手伝いに行く場所を見るとほかの風紀委員の人たちが協力していたので摩利の加勢に行こうとしたが、自分がいる建物の真下あたりでぐったりとしている生徒たちがいたのでそちらに行くことにした。摩利の実力なら大丈夫だろうとの判断で。
屋根から魔法で降りて衝撃を受け流して着地した蒼士は具合が悪そうなグループ近くに顔見知りの女の子がいたので声を掛けた。
「エイミィ、何があったんだ?」
「あっ、蒼士くん、私にも分からないんだ」
声を掛けられたのが蒼士だと分かるとエイミィと呼ばれた女の子は近寄ってきて話をした。
彼女は
「どれどれ見てみましょうか」
蒼士は体調が悪そうな
それと具合が悪い子に少しだけ触って、固有魔法を使っていた。
「サイオン波酔いだと思うぞ、全員が強いサイオン波を浴びた傾向があるし、あと話を聞く限りだとこの症状になる前も同じものを感じたらしいから」
「ほんと!? でも私は何も感じなかったし、何も起きてないよ」
「エイミィはそのサイオン波の範囲には入ってなかったんじゃないのかな、それか強いサイオン波に耐性があるのかな」
蒼士が言葉を聞いて納得してくれたエイミィ。先輩たちや他の周りの人たちにも怪我などした人はいなかったのでホッとするエイミィであった。
「とりあえず保健医の
「うん、ちょっと待っててね」
狩猟部の面々以外は今のところ具合が悪い人はでていないがこれからも出るかもしれないからすぐに対応が出来る自信がある蒼士が残り、エイミィに先生を呼びに行って貰った。
乗り物酔いと同じ症状だと分かっていた蒼士は具合が悪そうな先輩たちのために気流操作の魔法で風の流れを操って新鮮な風を送ってあげていた。
「狩猟部のみんなどうしたの!? 大丈夫!?」
「蒼士さん、ここで何をやっているんですか?」
「ほのか、蒼士さんって風紀委員に入ったんだからその仕事だよ」
上級生っぽい人とほのかと雫が心配そうに近寄ってきていた。
蒼士は狩猟部の人たちに起こったことを説明しながら魔法を起動していた。ほのかと雫からも女子SSボード・バイアスロン部に入部したのを知らされ、部長の
「えっと、梓條くんでいいのかな? 私はだいぶ楽になったから本当にありがとうね」
魔法の使用を続けている蒼士に狩猟部の先輩が話しかけてきた。体調が悪くて座っていた先輩だったが新鮮な風に当たり、空気を吸っていたら楽になったようだ。
「良かったです、安宿先生が来るまでまだ座っていた方がいいですよ」
「そうね、お言葉に甘えさせてもらうわ」
風紀委員の腕章を見て、次に二科生であることを知った先輩であったが特に何もなく蒼士に頭を下げて座っていく。
「こうして見ると君ってカッコいいね」
バイアスロン部の部長の亜実が蒼士を品定めするような視線で見てきていた。他のバイアスロン部の部員も同調して同じようにしている。
「ぶ、五十嵐部長、蒼士さんが困ってますよ」
ほのかが慌てた様子で言っているが別に蒼士は困ってはいなかった。魔法を常時使用しているが特に苦でもなく、女の子に囲まれるのは大歓迎であった。
「そういう部長さんも可愛いですよ」
お返しとばかりに笑顔で亜実を褒めた。噂で容姿が整っていてカッコいい一年生が入学したと聞いていて確かめてみたら本当だったのをさっき会って知ったが、そんな蒼士が笑顔を添えて言葉を述べたせいで亜実は頬を赤らめて、他のバイアスロン部員も影響を受けた。
「ちょっと蒼士さん、部長を口説かないで下さい!」
「ほのかの言う通り、只でさえ蒼士さんってモテるんだから!」
ほのかと雫に腕を引っ張られて説教される蒼士。二人揃ってこれ以上蒼士の周りに女の人を増やしたくない方針なのだ。
「ごめんって、悪かったってば」
二人の勢いに負けて謝る蒼士であった。そんな蒼士の行動とは裏腹に。
「ねぇねぇ、連絡先教えてよ、私のも教えるからさぁ」
部長の亜実が蒼士に携帯端末を向けて近寄っているのだ。部長に続けといわんばかりにバイアスロン部員も同じようにしていた。
「ねぇ、私たちにも教えてくれない?」
追加とばかりに狩猟部員も端末を構えていた。
「じゃあ、全員交換しましょうか」
相手からの好意は受け入れる蒼士は連絡先を交換しようとする。
「「蒼士さんっ!!」」
ほのかと雫が揃って蒼士の脛を蹴っていたが逆に自身の足を痛そうにしていた。蒼士自身は鍛えていたので痛くはなかったので二人の心配をする。
「脛はかなり鍛えているから痛かったろう?」
蒼士の言葉に、知りません!と言って視線を逸らすほのかと雫であった。
「安宿先生、早く早く!ってどういう状況?」
安宿先生を連れてきたエイミィであったが何名かはもう立って動けるようになっていたり、バイアスロン部も来ていて、状況を掴めていなかった。
状況が分かっていた蒼士が説明して保健医として専門的な知識を持つ安宿先生にも診てもらい、蒼士の言った通りの症状であったので休ませていれば治ることを知って、再度ホッとするエイミィであった。
そのまま狩猟部の面々は休むことになり、エイミィはバイアスロン部のほのかと雫と自己紹介をして、エイミィの持ち前のコミュ
場が収まると蒼士は狩猟部、バイアスロン、安宿先生にも一声掛けて風紀委員の仕事に戻ることに。
そして蒼士はとある人物たちを見かけたので会ってみることした。
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学校の正門付近でバイアスロン部OGの颯季と涼歌がいまだに歩き回っていた。
「あの二人は入部したと思うか、涼歌」
男勝りな口調で隣を歩く涼歌に聞いていた颯季。
「そうね、私が抱えていた小柄な女の子は興味ありそうだったけど」
長い髪を整えながら応える涼歌。
後輩弄りもでき、摩利の成長も見れて、十分に楽しんだ二人は帰路に着こうとしていた。
「先輩方、少しだけお話し出来ませんか?」
「「っ!?」」
背後から急に声を掛けられて驚く二人であったが、それよりも足音一つ立てずに魔法の使用も感じさせずに背後に現れたことの方に驚いたのだ。
「何かな、先輩たちに話したいことがあるなら何でもいいぞ」
「えぇ、貴方のような素敵な殿方ならいくらでもいいわよ」
驚きはしたがすぐに切り替える二人。
「自分は今年入学した一年の梓條蒼士と言います。先輩方をスカウトしたくて」
自分たちが在学中に見たことがなかった美男子だから一年ではないかとなんとなくだが分かっていた二人だった。
二人も自己紹介をしてさらなる疑問を問いただすことにスカウトとは一体どういう意味なんだと。
「自分こういう会社を持っていましてね、先輩たちには大学を卒業したら是非とも我が社に入って頂きたくて」
自分が社長であることがバレるが名刺を二人に渡した蒼士。その名刺を見て、はぁ!と驚愕する颯季と涼歌。
「お前社長かよ!?」
「社長の名前や存在は公表されていませんでしたが、まさか梓條くんが」
誰でも高校生が社長しているなんて知ったら驚くものだろう。
「えぇ、萬谷先輩と風祭先輩には光るものが見えましたからスカウトさせて頂きました。このあと時間があればお食事でもしながらお話しませんか?」
後輩からの食事の誘い、後輩と言っても社会的に地位が高い後輩だが。
仲が良いのでお互いのこの後の予定は知っていたので顔を見合わせて食事の誘いに乗ることにした。
「特に予定はないからいいぞ」
「私も颯季と一緒で予定はないのでいいですよ」
二人が食事の誘いに乗ってくれたことに感謝して頭を下げた蒼士。次に端末を出して二人にあるお店の情報を送った。
「自分も学校が終わり次第、向かいますので先にお店に行っていて下さい、場所は送りましたので」
颯季と涼歌も二人して端末に送られてきたお店の場所を見て驚いていた。
「この店って結構いい料亭じゃなかったか?」
「えぇ、最近出てきたばかりだけどお金を持っている上流階級の人の行きつけになりつつあるって聞いたことがあるわ」
蒼士の会社の傘下にある料亭を用意したのだ。思いのほか有名であった。
「今日は二人のためにこのあと貸切にしておきます、それと高級店なのでドレスや綺麗な服を二人にプレゼントいたします、このお店の近くにあるウチの傘下のレディースアパレルショップで購入して下さい。もちろん、料金はこちらが持ちますので好きなモノを買って下さい」
えっ!?と固まってしまった二人。何から何までやってくれる蒼士の対応に思考が追いついていなかった。
お店を貸し切りにする、服装を整えるのにお金は蒼士が払う、なんでもありかよ!?と逆に焦る颯季に涼歌。
「––すまん「あ、それから我が社で育成した使用人がお世話をしますので、では、自分は風紀委員の仕事を終わらせてきますので」お、おい」
「あーあー」
蒼士の完璧な対応に付け入る隙を失ってしまった颯季は言葉を述べられなかった。そんな颯季を見て残念と思う涼歌。
そして自分たちから離れていく蒼士を止めることができなかったので見送りつつ正門に待機している車と使用人の人たちに向かう颯季と涼歌であった。
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日も傾きクラブ活動も勧誘も終わり始めたので風紀委員の仕事も終わることになったので報告をするために本部に行くと先輩たちから感謝されることになった。
昨年に比べて逮捕率も少なく、それぞれのクラブから蒼士と風紀委員に向けて感謝の言葉が述べられたのだ。蒼士は一人だけ名指しだったが。
労いとばかりに先輩たちから肩や背中を叩かれて、感謝の言葉を述べられた蒼士。
そして蒼士は達也がいないことに気付き聞いてみると剣道部と剣術部の揉め事を止めようとして実力行使に走った剣術部の面々を無傷で制圧したということを聞いた。
「(達也なら余裕だろうな)」
先輩たちは達也の実力に驚愕していたが、一人蒼士は当然の結果だと分かりきっていた。
その達也は克人、摩利、真由美のそれぞれ部活連、風紀委員、生徒会の責任者に報告をしているので本部に居なかったのだ。
約束があるので蒼士は先に帰ることにした。先輩たちに挨拶してから別れ、正門を出るときに深雪やエリカたち達也を除いたいつものメンバーを見つけて用事があるから先に帰ることを告げて帰っていく蒼士。
深雪やエリカは蒼士に聞きたいことがあったが、用事があるならしょうがないと残念そうな表情で達也のことを待つことに。
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蒼士の手配で颯季と涼歌は動きやすかった服装から社交的な服装になっていた。ただ蒼士と食事をするだけなので堅苦しい服装ではなく、二人の容姿に合う服装になっている。
勿論、これからの交友も兼ねてのプレゼントということで支払いは全て蒼士持ちである。
蒼士も服装を制服から着替えており、二人と一緒に歩いていても違和感が出ない服装になっていた。
颯季と涼歌も最初の蒼士の話や対応には流石に動揺していたが、今は二人とも自分のペースに戻っていた。大人の余裕がある感じにも伺える。
「自分は未成年ですが、颯季さんと涼歌さんもお酒を頼んでもいいですよ」
「おっ、いいね、あたしは飲むけど、涼歌もどうだい?」
「ふふっ、いいわね、私も頂こうかしら」
心に余裕ができ自分のペースを握れるようになった颯季と涼歌は蒼士のことを名前呼びにして、自分たちの名前を呼ぶことを許可していた。先輩というのもプライベートだし、学校も一緒になったわけではないので呼ぶことを嫌ったのだ。
「蒼士くんは話の仕方が上手いな、食事の席なのに全然不愉快に感じないぞ」
「えぇ、それにとても興味がそそられるわね、そして食事も美味しいですね」
二人ともまだ大学生であるが蒼士の会社に興味津々であり、話を聞きながらもお酒を飲む手を止めることはなかった。
楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまい、夜も遅い時間になったのでこれからで終わることになり、二人を送る手配をしようとする蒼士であった。
「おい、まだあたしは話し足りないぞ」
「そうね、まだ帰るには早いわよ」
お酒の酔いが回り始めたのか、二人して蒼士の両腕に抱きついて絡めてくる。両手に美人を侍らせる蒼士はしょうがなく二人が満足するまで付き合うことにする。
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「本当に蒼士くんは高校一年か、まさかあたしら二人がな」
「本当、女性の扱いが上手すぎるわ、でも気持ちよかったわ」
「あはは、それは何よりでした」
案の定、颯季と涼歌の二人の美女と一緒にベットインしてしまった蒼士であった。お持ち帰りするつもりはなかったが相手から求められたら応えるのが男というものを体現した蒼士。
両サイドにスタイル抜群の美女に抱きつかれ、キスマークを残されていく蒼士。
「蒼士くんはウチの兄たちやそこらの男とは違うって分かったよ、だからまだデキるだろう?」
汗で顔に付いていた髪を払いながら彼の下半身の一部を
「もう一回お願いね、蒼士くん?」
蒼士の下半身に跨ると自身の体を見せつけるように動く涼歌。
美人のお姉さんに求めれたら応えなきゃ男が廃るというもの。
蒼士は深夜の戦いに挑むのであった。
最後にはっちゃけちゃいました!
次の更新は明日です。