今回は短めです。
蒼士が小野遥との対談をしている時に、ほのか、雫、エイミィは達也を背後から魔法で攻撃をしたかもしれない犯人の跡をつけていた。
「何処まで行くんだろうね、そろそろ学校の監視システムの外に出るよ」
エイミィの言葉にほのかも雫も頷いていた。だんだんと人が少ない通りになっていくのを雫は気付いていた。
「ちょっとだけ不安かも」
暗い表情を浮かべるほのか。
「実は私も」
「えっ、エイミィも!?」
「完全に不安がないってわけじゃないけど、私たち三人なら大丈夫」
エイミィも雫も不安はあったが三人ならできると信じて尾行していく。
美少女三人が男性を尾行しているのはある意味で目立つので一般人に視線を向けられていたが、その視線の中に彼女ら三人のこと知る人が二人ほどいるのに三人は気付けていなかった。
「あっ、気づかれた!?」
路地に入ると犯人と思われる男性が走り、三人を振りきろうとしていた。突然の行動に反応が遅れた三人は路地を曲がった先で見失ってしまう。
「逃げられちゃったかな?」
エイミィの言葉に思わず落ち込んでしまいそうになるが、雫があることに気づいていた。
「奥の曲がり角から音が聞こえた」
三人は雫が聞こえたという奥の曲がり角に行くと驚くべき光景を目にしてしまった。
「か、
「鴉羽さん、どうして此処に?」
数人のヘルメットを被ったライダースーツの不審者が倒れており、その中心にはほのかと雫の知り合いがいたのだ。さらに数人の不審者と交戦している状況のようだ。
「あ、気付いちゃったかい? 久しぶりだね、ほのかちゃん、雫ちゃん」
鴉羽と呼ばれた女性は、笑顔で浮かべて、銀灰色の長髪に男物の黒スーツ、スーツの上から袖を通さず引っかけた羽織をしており、手には太刀を持っていた。
「君たちを待ち伏せて襲おうとしていたみたいだから、自分が倒しておいたよ。でもまだいるから下がっていてね」
安心させるように三人に笑顔を向けていた鴉羽に対して、ゾクッと背中から悪寒を感じてしまっていた三人。太刀から滴る血が地面に垂れていき、鴉羽の足元に倒れている不審者からは血が流れている、この光景に顔を青ざめさせていた三人。
「ね、ねぇ、ほのかも雫も知っている人なの?」
エイミィが震えた声で述べたのを無言の頷きで返すほのか、雫。
「そ、蒼士さんの護衛の方で」
「私たちとも仲良くしてくれた人」
護衛ということは荒事に慣れていることになるが、実際に目の前で惨事を見てしまうと、顔を背けて見ないようにしてしまう。
「無理して見ない方がいいよ、君らはそこにいなさい」
背を向けている鴉羽は背後にいる三人の行動が分かっているみたいに話をしていた。さらに数人の不審者に歩いていく鴉羽。
三人のことはボスである蒼士に頼まれているので守り抜くのは当たり前であったが、実際に不審者たちと対峙してがっかりしている鴉羽。
「(軍人崩れとかいるのかと思っていたけど、ド素人だからがっかりだよ)」
内心で愚痴りながら太刀に付着していた血を払いながら一歩に力を入れた鴉羽は目にも止まらぬ速さで終わらせていた。
「えっ」
ほのか、雫、エイミィの三人の誰が声を出したのか分からないが一瞬の出来事で驚き以外の声を出せなかったのだ。
鴉羽が一歩踏み出した瞬間に彼女が視界から消え去り、不審者たちの背後に立っていると思えば、太刀を鞘に納めると不審者たちが血を流しながら倒れたのだ。
「い、今のなに」
雫が目の前で起きたことに言葉を述べたが、ほのかもエイミィも応えられなかった。自分たちも分からないんだから。
「おや、まだ意識がある者がいるとは、根性あるね」
三人に向かって歩いていた鴉羽は身体中から血を流しながらも片手を動かして、指に付いている指輪を使おうとしていた。
「アンティナイトだっけ? キャスト・ジャミングっていうのが使えるんだよね」
アンティナイトを使ったキャスト・ジャミングを鴉羽に放ち、波のような波動がくるが鴉羽は涼しい顔をして言ってみせた。
魔法師の魔法を妨害して発動を困難にさせるキャスト・ジャミングは魔法師にとって天敵であったのだ。
「自分魔法師じゃないんだ」
地面に倒れている不審者に対して容赦のない一撃を喰らわせる。ヘルメット越しに踏みつけて脳震盪で気絶させた。本当は踏み砕いてもいいかな、と思っていだが、蒼士に頼まれた三人がいる中で不愉快な思いをさせないように考慮したのだ。
不審者全員を倒して三人に近寄る鴉羽は瞳に恐怖を宿している三人を見て、ため息を吐きそうになっていた。
「で、そこのお嬢さんは誰だい?」
鴉羽にだけ集中していたせいか、背後から来ていた人物に気付いていなかったほのか、雫、エイミィ。
「貴女は何者ですか、当校の生徒から離れなさい」
手にCADを持ちながら魔法を起動状態で待機している深雪がいたのだ。明らかに警戒しており、深雪の周りだけ空気が違っていたのだ。誰から見ても太刀を持った人物なんて警戒するに決まっていた。
そんな彼女を見て、常に目を細めていた鴉羽の目が開いて、面白い、と内心で思わせていた。雑魚の不審者たちの相手をして欲求不満だった鴉羽にとっては最高の強者が来てくれたことに感謝していた。
「み。深雪、彼女は鴉羽さんっていって、蒼士くんの護衛の方なの!」
ほのかが深雪に近づいて必死な様子で説明していた。
「鴉羽さんも深雪は一高の生徒で私たちの友達で、蒼士さんの友達でもあるの」
雫は鴉羽に近づいて説明していた。二人の間の空気を察したのか、珍しく焦っている雫。
「鴉羽さんが私たちを助けてくれたんだよ」
持ち前の性格で明るいエイミィが深雪に笑顔で話していた。
三人のおかげで二人の間にあった嫌な空気も無くなり、深雪はCADを服に仕舞い、鴉羽も太刀に手を掛けようとしていたのを辞めていた。
「そっか、それはごめんね、自分は鴉羽。ボスの梓條蒼士の護衛をしているんだ」
「先ほどは失礼しました。些か警戒を強くしすぎました。蒼士くんには大変お世話になっております」
お互いに自己紹介をして和解した鴉羽と深雪。鴉羽の視線が一瞬だけ強くなったのを感じていた深雪であったがあえて口にしなかった。
「ボスのお願いで自分が動いていなかったら今頃襲われていたよ、三人とも」
鴉羽はほのか、雫、エイミィを軽く叱っていた。深雪も危ないことには手を出さないで、と注意をする。
「蒼士さんやっぱり分かってたんだ」
ほのかの言葉に雫とエイミィは顔を伏せて落ち込んでいた。蒼士と会った時に注意されたことを聞いていれば、こんなことにはならなかったのだから。
「とりあえず反省したところで、君らは帰りなさい、ここは大人に任せて」
笑顔で三人を見ていた鴉羽は述べた。いつまでもこの場にいるのはいけないと。
「ですが、鴉羽さんにお任せしてもよろしいので?」
「大丈夫だよ、それよりも君たち学生がこんな血生臭い現場にいる方が問題だからね」
鴉羽の背後に広がる空間は女子高校生にとっては辛すぎる環境であり、鴉羽は誰一人も殺してはいないが出血で死ぬかもしれないから、早めに彼女らには居なくなって欲しかったのだ。
深雪がほのかと雫とエイミィを連れていくようにその場から離れさせて行った。三人とも鴉羽にお礼を言ってから頭を下げて帰っていく。深雪が会釈しているのに軽く手を振っている鴉羽であった。
彼女らを見送ると携帯端末を出して電話を掛ける鴉羽。
・
・
・
「あ、松、鴉羽だけど」
「はいーはぁいー、松がちゃんと手配しておきましたんで、カメラなどリアルタイムの偽データは完璧ですよー!」
「手際がいいね」
「ボスじゃなくて、そうたんから連絡を頂いていたので、それとご褒美に松も混ぜろですよー!」
「自分だけじゃ、持たないかもしれないから誘うつもりだったんだけどね」
「ならいいですよん、で、本題なんですが」
「なんだい?」
「No.1が鴉羽たんにお怒りです、視線だけで人を殺せそうでしたよー」
「ボスに頼られたのが自分だったのが悔しかったのかな、可愛らしい嫉妬だね」
「嫉妬ですよー」
「じゃあ急いで帰るよ、No.1と戦えるなんて、想像するだけで怖くて、怖くて、ゾクゾクする!!」
「(戦闘狂ですぅー)」
鴉羽は移動しながらボスの蒼士に報告をして、急いで帰ると玄関前に尋常じゃない殺気を放ち、仁王立ちしている人物と欲求不満であったのを晴らすように壮絶な戦闘を繰り広げた。
『セキレイ』
・鴉羽
・松
・No.1
No.1の存在は分かる人には分かります。後々登場させます。
次の更新は明日です。