クラッシュ・バンディクー&エキドナ・デビル   作:いろはにぼうし

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 生まれて初めてやったテレビゲーム、クラッシュ・バンディクーシリーズ。
 ミスしたとき、画面が暗転してクラッシュが一回転して倒れる描写が子供心に印象に残っております。
 あの画面を何度見たことか…。

 そんな思い出深いゲーム、「クラッシュ・バンディクー」の二次創作小説。
 なかなか厳しいチャレンジかも知れませんが、頑張って行きます。


 しかしコルテックスの話し方はこれでいいんだろうか…。


「エキドナ・デビル誕生」

  ガラスを突き破る音がする。

 同時に「オッ!?」という驚いたような声と、ヒュ~ン、と何かが落ちるような音。

 

 直後に、「おのれ! 逃げられたか!?」という悔しそうな男の声。

 

 ぐぬぬぬ、と頭を抱える男。人間離れした黄色の体色に巨大な頭。額には大きく「N」の文字。世界に認められなかった天才科学者、「ネオ・ペリウィンクル・コルテックス」は失敗した実験動物が逃げだした窓を睨みつけた。

 

「…まぁ、いい。奴は確かに凶暴でセンスもあったが、ボルテックスの影響で計り知れぬウスラトンカチになってしまったからな。放っておいてもどこかで野たれ死ぬじゃろ」

 

 そういってコルテックスは研究室に向かって歩を進める。もうこの動物しかいない島を占領して長い。最初は捕獲した動物たちの夜鳴きがやかましく、ぬいぐるみを抱いて眠れぬ夜を過ごしたものだが、最近はすっかり慣れてしまって快眠している。

 

 逆に言えば、コルテックスはそれだけ長い期間を使ってもまだ、自分の納得できる傑作、完全無欠な改造アニマルに率いられた「コルテックス・コマンダー」を開発できずにいた。

 

「いやいや。全く身を結んでおらんわけではないわい。ボルテックスは完成間近、さらにワシの素晴らしい頭脳を使って作り上げた改造アニマルたち…『リパー・ルー』に『コアラコング』、そして『ピンストライプ』‥。問題は奴らは我が強すぎてワシの命令を100%忠実に実行しないと言う点だが‥」

 

 あーでもない、こーでもないとコルテックスは頭を悩ませる。

 兵力だけなら人造研究員やロボットで補填できる。

 戦士は改造アニマルを使えばいい。絶対に成功する訳ではないから、不安が残るが‥。

 

 だが世界を征服するためには、もっとコルテックスに従順で、アタマがよく、強い戦士が必要だ。

 それこそ、他の改造アニマルを引っ張って行けるような、強い戦士が。

 

 コルテックス自身が前線にいきなり立つのはリスクが高すぎる。

 助手である「ニトラス・ブリオ」は賢いがどこか小心な所がある。研究者としては優秀だが、指揮官としては不安が残る。

 もう1人の参謀は賢く優秀だが、彼の専門はロボット工学だ。それに、いざというときのために用意しろと命じられた「セカンドプラン」の準備にかかっているため、ここにはしばらく来られない。

「やはり強力なリーダー格が必要か…。あのバンディクートの小娘でも上手くいくかどうか…」

 先程逃がしたバンディクート…「クラッシュ」、などと呼ばれていただろうか。

 奴と共にいた女のバンディクート。アレは賢そうだし、期待が持てる。

 

 けれども、けれどもだ。

 コルテックスは考える。

 

 念の為、もう一体ほどアニマルを作っておいた方が良いのではないだろうか。

 密かに温めていた構想がある。

 それは、合成アニマルだ。

 全く異なる二匹の生物を掛け合わせて、それぞれの生物の利点を持った強力な戦士を創る。

 理論上最も強く効果が期待できるのは「ディンゴ」+「クロコダイル」の組み合わせだが‥。残念なことに、クロコダイルの捕獲が難航していることと、合体装置がまだ完全ではないことを考えると、もう少しデータを取ってからにしたい。だからそれ以外の生き物を使って…。

 

 試験的に、一体ほど作ってみよう。

 そうだ、実験とは積み重ねだ。

 いつか最強の生物を作るために、データを集める意味でも・・。

 

 

 コルテックスはある生き物の入った檻に目をやった。

 

 「タスマニアデビル」

 

 檻には、そう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究所にバチバチと電流がほとばしる。

 

 目の前には光を放つアニマル合体装置。

 二匹の生物を入れた装置がガタガタと揺れ、合体が進行していく。

 

 それを愉快そうに見つめるコルテックスの隣では、アタマにボルトの突き刺さった助手、「ニトラス・ブリオ」が狂ったように笑いながら声をあげる。

 

「こ、コルテックス博士! 合体装置もボルテックス同様完全ではありません・・う、うまくいくかどうか・・イヒ、ウェヒヒヒヒヒ!!」

「黙っておれ! 上手くいくかどうかを知るための実験でもあるのだ。何も問題あるまい!」

 それに、とコルテックスは不敵に笑う。

「奴のベースはあのタスマニアデビル!この島で最も凶暴な生き物じゃ。成功すれば優秀な戦士になるだろうよ・・・フハハハハ!」

 コルテックスが高笑いする。それから間もなくして、装置から「チン!」と音がして光が収まって行く。

「おお! どうやら出来上がったようだぞ!」

「そんな電子レンジじゃないんですから」

「やかましい! さっさと装置を開けろ!!」

 言われてブリオが装置のレバーを引いた。

 ブシュウ、と音がして装置が解放されていく。

 

「さぁ生まれいでよ!! タスマニアデビルの攻撃力とハリモグラの防御力を併せ持った戦士、『エキドナ・デビル』よ!!」

 

 そこから、1つの兵器が姿を現した。

 

 黒い体毛に覆われた小柄な身体。鋭い牙と爪。背中にはびっしりと赤い棘が生えている。

 銀色の首輪を首にはめ、青色の瞳は鋭く周りを見回している。状況がわかっていないようだ。

「おお、すばらしい! 実験は成功だ!」

 コルテックスはエキドナに近づいて行く。

「ワシがわかるか? お前の主人だ。コルテックスだ」

「コル…テックス…」

 エキドナはゆっくりとコルテックスをねめつける。

「そうだとも、ワシはネオ・コルテックス博士。世界一の大天才にしてお前のご主人様だ。ワシの世界征服の野望を果たすため、お前にも協力してもらうぞ」

「世界・・征服だと・・?」

「そうじゃ、お前はその為に生まれ」

 

 

「くだらねぇな」

 ふぅ、という息を1つついてエキドナはコルテックスを呆れたように馬鹿にした。

 

「な、なんじゃと!?」

「くだらねぇと言ったんだ、コルテックス。世界征服だと? 俺様に縋り付くだけの小物に何ができる?」

「貴様、誰に向かって口をきいておるか、わかっておるのか!?」

「わかっているとも、コルテックス博士。だがお前こそわかっているか?」

 

 ニヤァ、とエキドナは牙をむき出しにして笑った。

 

「俺様は腹が減っている。目の前の新鮮なお肉を前にして我慢できるほど、俺様が気が長くはないぞ」

 瞬間、エキドナは爪を立ててコルテックスに襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

「ふん。つけあがるなよ、ケダモノめが!!」

 次の瞬間、エキドナの首輪から強力な電流が放たれた。

「ぐ、グルガアアアアッ!?」

 そのあまりの激痛に、エキドナはその場に倒れ込んだ。

 体全体がしびれて言う事を聞かない。体中にみなぎっていた活力が衰え、立ち上がる事もままならない。

 弱った体で、それでもエキドナはコルテックスを睨みつけるのをやめない。

 

「貴様ァ・・!俺様に何をしたァ!?」

「念のために保険をかけておくことを忘れないのが真に優秀な科学者と言うもんだぞ、エキドナ。お前は遺伝子レベルで優秀なワシの最高傑作じゃ。いままではピンストライプの奴が最高傑作だったがな。いやはや、自分の才能が恐ろしい」

「そんなくだらねぇ自慢話なんざ聞いてねぇんだよ!」

「おっとすまんな。これが見えるかね?」

 

 コルテックスがエキドナに見えるように正方形の箱のような物をちらつかせた。何やら出力を示すメーターのようなものが取り付けられ、その下には赤いボタンが付いている。

 

「ボルテックスを使って洗脳しても良かったんだが…。この間のフクロネズミのようなことになっても困るのでな。別のアプローチを仕掛けてみたのだ。このメーターがお前の首輪に流す電流の出力を示しておる。今は「70%」だ。ここでこの赤いボタンを押すと…?」

 

 そう言ってコルテックスは赤いボタンをポチッ、と押した。

 瞬間、エキドナの身体に先程と同じ電流が流される。

「ギャアアアアッ!?」

「フハハハハ、どうだ、ワシに逆らうことがいかに愚かか解ったかね?ん?」

 コルテックスがもう一度ボタンを押すと電流は止まった。

 エキドナは息を荒げながら、身体をぴくぴくと痙攣させる。

「テ・・メェ・・」

「どうした、ずいぶんとお疲れのようじゃないか。100%の電気マッサージでも試してみるかね? 死ぬかもしれんがな。さぁ、早速働いてもらうとするか…。そうだな…まずはお前の力を試させてもらおうかな」

 するとそれまで黙って事態を見ていたブリオが口を開いた。

「そ、それではコルテックス様!例のフクロネズミを始末させると言うのは、イェヒヒヒ、如何でしょうか?」

「む。例のバンディクートか。捨て置いても問題ないとは思うが‥、まぁ力を試すにはちょうどいい相手かもしれんな。よし、エキドナよ。まずはワシの所から逃げ出した失敗作‥『クラッシュバンディクー』を始末してこい。言う事を聞かなければどうなるか分かっただろう?ああ、それと。逃げ出そうなどと考えるなよ? その首輪はリモコンを破壊せん限りは簡単には壊れんし、発信機の役割も兼ねておるからお前がどこにいるかは丸わかりじゃ。しっかり励むことをお勧めするぞ」

「ちく、しょうがぁ…」

 

 エキドナは恨み言を最後に、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最高にぶっとんだ、後にヒーローと呼ばれることになる『クラッシュ・バンディクー』。

 そしてここに現れた、本来なら存在しなかったはずの戦士、『エキドナ・デビル』。

 

 

 二人の出会いは、世界の命運を大きく変えていくことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のうクラッシュ。お前さん、タウナを助けたいのじゃろう?」

「ウウ!」

「だったらこんな所でのんびりリンゴを食べ取る暇なんぞないと思うがのう…?」

「ブルブル!」

「なに? リンゴを全部食べてからじゃないと動きたくない? …ほんとにこやつで大丈夫かのう…」

 

 

・・・・かも知れない。

 

 

 

 




 エキドナ・デビルの見た目はなんというか。
 「チクチクしたゾロ○-ク」です。
 ただ、元の生物が小さいので身長はクラッシュより少し高い程度です。
 ディンゴダイルやクランチと比べるとだいぶ小さい。


 読んでいただき、ありがとうございました。
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