親バカの親父、ダンジョンに導かれる   作:衛鈴若葉

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繋がり

なんやかんやで。

澄み切った青空の向こうの太陽は全てを平等に照らしている。

頭がショートした少年を担いでいる二人もだ。

あらぬ噂は立つだろうがそこもそれ。

なんやかんやである。

なので場面は【ロキ・ファミリア】の本拠である【黄昏の館】の中のひと部屋。

普段リヴェリアさんが教室に使っている、そんな部屋に移る。

 

「さて…」

 

「えっ……と?」

 

「どうしようか」

 

今もガッタガタに震えている僕とそれを見る女性3人。

何故か一人増えているのは途中でリヴェリアが問答無用で捕まえたからである。

【レフィーヤ・ウィリディス】という山吹色の髪をした少女だ。

【千の妖精】なんてとんでもない二つ名を持っている。

意外に冷静に状況は俯瞰できているのだが。

ライトニングさんとリヴェリアさんはLv6、レフィーヤさんはLv3。

そんな人達にLv1の僕が何かを教えるなんて、と。

そう思うとガッタガタに震えるのも仕方ないように思える。

ちなみにレフィーヤさんは状況が理解できていないようで頭の上に疑問符を浮かべている。

なんかほんと僕なんかのために時間取らせてごめんなさい。

 

「頑張ります」

 

腹を括った。

相手のホームグラウンドに入った時点で逃げられやしないのだ。

そもそも自分の吐いた唾を飲み込むような真似はかっこよくないし。

 

「何からやりましょうか!!」

 

開き直るように、これまでのことをかき消すように。

声を張り上げて黒板の前に立つ。

ちゃっかりゴルベーザさんから貰った魔導書的なやつは持ってきているので万全ではあるのだ。

なので教卓に置いてある。

 

「……本当に僕で大丈夫なんですか?」

 

「問題はない」

 

「では、ゴルベーザさんの受け売りですが始めましょう」

 

「何が始まるんです!?」

 

「楽しいお勉強の時間です!」

 

レフィーヤさんがなんか状況を分かっていないようだが僕も余裕がない。

 

「歴史については後々にゴルベーザさんから詳しいことを教わってください。では……」

 

頭の中で魔法について組み上げていく。

歴史については僕も詳しくはない。

深く踏み込まなくとも魔法は使えるので問題はないだろう。

ならば先ずやるべきは、まあ単純だ。

 

「冒険者の魔法と同じようにこちらも分類分けができます。主に援護や回復ができるのが【白魔法】で妨害や攻撃が【黒魔法】。あとは契約を結んだ幻獣を召喚できる【召喚魔法】や時間や空間に関する【時空魔法】ですね。【時空魔法】は細かく言えば【白魔法】や【黒魔法】に含まれますが難易度の点で別物として扱っています」

 

「なるほど…。こちらとは定義が違うのだな」

 

「はい。コチラでは【幻獣】を召喚するのが【召喚魔法】と完全に定義付けられています。それと【呪詛】が存在しません。敵の技をラーニングして使える【青魔法】という概念も知識としては知っていますが私もゴルベーザさんもこれに関しては使えませんね」

 

まずは定義の説明から始めることにする。

定義として大枠にあるのが【白魔法】と【黒魔法】で幻獣に認められて契約することによって使える【召喚魔法】だ。

冒険者側の定義としてはとりあえずなんか召喚するのであれば【召喚魔法】に分類分けされる。

魔法が個人特有のものであることが多いので情報を表に出そうとせず、効果や制約のみを把握している場合が多い。

つまりは部類分けがあまりされていない、ということだ。

しかし【魔法】と【呪詛】は明確に定義分けされている。

【呪詛】とは術者に明確で重いデメリットを課す変わりに防御や治療に特殊な魔道具が必要となる魔法である。

故に敬遠されるものではあるが使い方によっては強力な武器にもなる。

これを用いた武器もあり、暗殺者に愛用されているとかいないとか。

 

つまりは、だ。

オラリオの魔法使いを【魔導士】としてゴルベーザさんや僕を【魔道士】呼ぶことにする。

魔導士の使う魔法は効果の種別はあるが大枠としては【魔法】と【呪詛】があって【魔道士】の使う魔法には【黒魔法】と【白魔法】に【召喚魔法】があるということだ。

 

「……と、僕の解釈ですが合ってますか?」

 

「ああ。良くも悪くもこちらの…【魔導士】の魔法は唯一性が強くてな。定義付けが上手くいかん」

 

「唯一性が強いのはいいことですがそこが問題点ですね。【魔道士】の魔法は唯一性は皆無ですがその分汎用性がよく、覚えやすい。【白魔法】には即時回復の効果を持つ魔法と持続回復の効果を持つ魔法があります」

 

「誰でも覚えられるのか?」

 

「才能と努力に左右されますが、初級魔法程度なら頑張れば覚えられるかと」

 

「なるほど…」

 

「お二人ならば【白魔法】と【黒魔法】を極めるのも夢では無いと思います。更に時空魔法まで覚えられるかも。僕の所感ですがお二人は賢者タイプだ」

 

はっきりと、所感を述べる。

【九魔姫】と【千の妖精】の2つ名を持つ二人だ。

レフィーヤさんも途中から聞き入ってくれている。

魔力から見ても二人が本気で学べば僕なんかすぐに追い越していくだろう。

 

「リヴェリア様はともかく私もですか!?」

 

「ええ。もちろんです。気性の問題はあるかもしれませんが、お二人とも素晴らしい能力をお持ちです」

 

「ああ。だからここに連れてきた」

 

「真面目に取り組んでくれるならゴルベーザさんは歓迎してくれます。教材の作成をお願いしますね」

 

「いいのか!?」

 

「もちろん。では、ここまでで質問はありませんか?」

 

「【魔道士】と【魔導士】の違いについてなんだが…」

 

「いいですよ。僕の知る限りならば」

 

「感謝する。先程賢者と出ていたがもしかしてこれも定義が違うのか?」

 

「はい。【魔道士】と【魔導士】についてはもう世界が違うと思った方がいいでしょう」

 

「そう、か。こちらでは大した定義はないがそちらではどうなんだ?」

 

【魔導士】において強い者だったりハイエルフだったりが呼ばれたりする賢者という言葉だがどこまで到達すればそう呼ばれるかに関してはリヴェリアさんでもよくわかっていないらしい。

【オラリオ最強の魔導士】とまで行けば呼ばれそうではあるが古に【賢者の石】なるものを作って不老不死になろうとした人がいると聞いたことがある。

その人もまた賢者と呼ばれていたような気もする。

なのでなんやかんや偉いとという定義なのだろう。

 

「ではリヴェリアさんはどう思いますか?」

 

なので現地人のリヴェリアさんの認識を問うてみる。

僕は幼い頃からゴルベーザさんやお義母さんに染められてたりするので信用していない。

 

「……白魔法と黒魔法を極めた者、か?」

 

「正解、と言えるでしょう。魔導士にも【賢者】と呼ばれた人がいます」

 

【召喚魔法】を除く全ての魔法が扱える人としてゴルベーザさんの口から出てきたのは【テラ】という老人だった。

ゴルベーザさんは【黒魔法】のプロフェッショナルで、それ以外は使えない。

あの人とは長い間一緒にいると思っているが、それでも【賢者】という通称はその老人だけだったのだ。

 

「【黒魔法】の最上位魔法は【メテオ】という魔法です。【白魔法】の最上位魔法はありません。これらを【テラ】はほぼ全て扱えました。その上、知識量も膨大だったそうです。これ以上は知りませんが素晴らしい人だったのでしょう」

 

「…【メテオ】の難易度は?」

 

「普通の人が使えば死にます。単純に消費がとんでもないが故ですね」

 

【幻獣】に育てられた少女が【幻獣界】で修行し、世界を救うために大冒険をしてやっと使える。

難易度はとんでもなく、遥か高いところにあると言っていいだろう。

かの【賢者】でさえ、無理してこれを使って死んだのだ。

 

「ゴルベーザ殿は使えるのか?」

 

「使いこなせます」

 

「えっと…クラネルさん?は使えるんですか?」

 

「僕の得意分野は【白魔法】なので使えません。いずれは使えるようになってみせます。あとさん付けはいらないですよレフィーヤさん」

 

「ではベルと呼ばせてもらいます」

 

「私もベルと呼ばせてもらおう」

 

「ありがとうございます」

 

少し遅い自己紹介、と言えるのだろうか。

呼び名が決定して次の段階に進んでいく。

……とはいえ特に何も思い浮かばない。

 

「リヴェリアさん。事前知識としてはこれで終わりですので…こちらをどうぞ」

 

「…ん?いいのか」

 

リヴェリアさんの机に僕の魔道書を置く。

世界で唯一の、僕のために、ゴルベーザさんが作ってくれたものではあるがリヴェリアさんであれば読んだ方が早い。

 

「もちろん返してもらいます。あなたの場合はこの方が早いでしょう?それに新たな知見も生まれそうです」

 

「感謝する!必ず綺麗な状態で返すぞ!!!」

 

「あ、そうだ。これもどうぞ」

 

「羊皮紙か?…は?」

 

「僕のステイタスです。参考までにどうぞ」

 

「何考えてるんですか!?」

 

「…ステイタスは容易く見せるものじゃないぞベル」

 

「らしいですね。ですがあなたなら問題ないでしょう?」

 

特に何も無いかもしれないし、何かあるかもしれない。

特に僕の魔法がバレようと、スキルがバレようとどうでもいいというのは過分にある。

どうせ本を渡した時点で手札を全て晒したに等しいのだ。

 

「もう差し上げたので。返却は受け付けません。また来るのでその時にそれは返してくださいね。中身は覚えてますけど思い出の品なので。では……」

 

よし帰ろうそうしよう。

何がやりたいんだと思われるかもしれないが、なんとなくである。

この世の中は大概何となくで進んでいると思う。

なので僕もなんとなくだ。

【ロキ・ファミリア】のホームグラウンドに連れ込まれて気がおかしくなっているのかもしれない。

よし全部気にしないことにしよう。

扉を開けて【テレポ】で帰って…あ、なんかノブが回ってる。

 

「へぶっ!」

 

すごくいたい。

 

「ん?誰かいるのかい?」

 

 

 

 




なんかストレス発散に書き殴りました。
ブレっブレな気がしますがお許しください。
ここだと普通にレフィーヤさんと仲良くなりそうですねぇ!
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