親バカの親父、ダンジョンに導かれる   作:衛鈴若葉

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ベル君はどちらかと言うと魔道士になります。
オラリオとFFで区別するためにオラリオ側は【魔導師】とFFは【魔道士】と表記することにします。


みんなのダンジョン探索

ふんふーん、とベルの楽しげな鼻歌が地下室に響く。

ジェクトはソファに寝転がり、ゴルベーザは背中を壁に預けている。

そしてステイタスの写しとにらめっこしているのがヘスティアだ。

手に二枚の羊皮紙が握られていて、それぞれゴルベーザのものとベルのものである。

ジェクトに関しては普通のレベル1として扱われ、ギルドによって秘匿されている状態にある。

当然、というかなんというかウラノスと面会することになって秘匿することに決まったのだが今はそのことはいいだろう。

今はゴルベーザとベルの話である、その二人のステイタスだがベルはまだマシである。

マシではあるだけで異常ではないわけではないがそれ以上にゴルベーザがジェクトと同じくらいに異常だ。

まあ、ショックを抑えるためにベルを後に紹介するとしよう。

 

セオドール

 

Lv 9

 

「力」 I 0

 

「耐久」 I 0

 

「器用」 I 0

 

「敏捷」 I 0

 

「魔力」 I 0

 

魔法

 

【黒魔法】自由詠唱。継承可能。

 

【黒竜召喚】 黒竜を召喚可能。

 

スキル

 

闇の魔道士(ゴルベーザ)】過去の償いのために生きること。魔法の威力、消費精神力の減少。

 

【月の民】魔法を得意とする月に住む種族。精神力の自動回復、魔力のアビリティ強化。

 

ゴルベーザは偽名、なのであろうがずっと名乗ってきたものなのだろう。

名乗った時に少しの違和感はあったものの嘘だとは分からなかった。

見た目とは裏腹に魔道師のようだ、スキルも魔法特化である。

何よりもジェクトと同じLv9ということである。

 

ヘスティアは目を細めて眉間を揉む。

気休めにベルのステイタス用紙に目を移し、ふぅと軽いため息をつく。

 

ベル・クラネル

 

Lv 1

 

「力」 I 0

 

「耐久」 I 0

 

「器用」 I 0

 

「敏捷」 I 0

 

「魔力」 I 0

 

魔法

 

【白魔法】 自由詠唱。継承可能。

 

【黒魔法】 自由詠唱。継承可能。

 

スキル

 

【まほうぜんたいか】 魔法の対象を範囲か単体か選べるようになる。

 

【魔道憧憬】早熟する。憧れの丈ほど効果上昇。他からの干渉を阻害。

 

これはこれで異常ではある。

【白魔法】や【黒魔法】について聞いてみたところ別世界の魔法であり、学べば才能の差はあるが誰でも使えるものらしい。

ベルに見せる前にゴルベーザとジェクトに見せ、これをベルに見せていいかと聞いた。

ちょうど台所で今日の夕飯を作っていてくれたので都合がよかった。

【魔道憧憬】は危ないというのがゴルベーザの見解。

ベルはヘスティアの第一印象通り、嘘をつきづらく素直な性格で突き詰められたら簡単に吐くかもしれない。

ということでベルには【魔道憧憬】は見せないことにしたが他のものは見せた方がいい。

特に【まほうぜんたいか】であろう、これを知らなければ魔法を扱う時に不都合がある。

 

なのでベルに教えるのは言われた通りにすることにした。

【魔道憧憬】の欄は消すことにするが若干残ってしまう。

まあ、気にしないことにした。

 

ベルは魔法の発現に喜んでいたがそれより喜んだのは【まほうぜんたい】であった。

今まで【黒魔法】も【白魔法】も単体にしか使えなかったのだという、そりゃあ喜ぶのも当然だと無邪気に喜ぶベルを見てホンワカな気分になる。

 

「そういやよ、ベルに杖はやらねぇのか?」

 

ジェクトの何気ない一言、それにヘスティアは納得する。

魔道士といえば杖、杖は魔法の威力上昇に、魔力の制御装置にもなるものである、というのがこの世界の杖である。

 

「杖?」

 

その発言にベルは首を傾げる。

数多ある英雄譚に確かに魔法使いは登場したし杖をつかっていた覚えもある。

しかし、ゴルベーザは杖を使っていなかったし、ゴルベーザの語る異界の魔道士も杖を使っていない者が多かった。

なによりゴルベーザがベルに影響が強かった、故に杖を使うという想像に至らなかったのだ。

 

「‥‥‥ああ、確かにそうだな」

 

「ゴルベーザ君は持っていないのかい?魔道士なんだろ?」

 

ヘスティアの問いにゴルベーザは否定する。

杖など必要なかったのだ、あるとすれば剣くらいなものだがそれをベルが扱うのは難しいのは過去が証明している。

 

そもそもベルが欲しいのかという問いに発展し、ベルの答えは欲しいが急務じゃなければ必要は無い、というものだった。

必要かどうかは明日決めることにしてベルの作った夕飯をヘスティアは催促する。

その後、寝る場所を決めるので少し一悶着があったがすぐに片付いたのでそんなに語ることは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝のことである、三人はヘスティアがバイトに出かけるのを見送った後にギルドに出発する。

要件は言わずもがな、ベルとゴルベーザの冒険者登録のためだ。

 

「よう、エイナちゃん!」

 

「あ、ジェクトさん。それに君は昨日の、ということは」

 

「おう。このボウズとそこの、ゴルベーザはウチに入った。登録がしたくて来たんだが」

 

「ああ、承りますよ」

 

エイナと呼ばれたハーフエルフの受付嬢はにこやかに対応する。

ゴルベーザを見た時に一瞬顔を顰めたのは気の所為だろう。

まず差し出された紙には自身の個人情報を書き込むらしい。

ほとんどが任意で、必須なのは所属ファミリアとレベルくらいのものであった。

ベルの出身は名前のない山奥の村だし、ゴルベーザは月である、ベルはともかくゴルベーザが書けるはずもない。

なのでほとんどが未記入のまま提出することになるのだが、問題なく受理される、はずであった。

 

エイナの手がベルの記入した紙を見てその後にゴルベーザのものを読んだ瞬間に止まる。

それは少し前にジェクトのものを見た時と同じであった。

その時は叫び声をあげてしまったが今回は少し前にあったせいか逆に冷静になってしまう。

 

「‥‥‥ゴルベーザ氏、これは」

 

「虚偽は書いていない」

 

鎧の男、ゴルベーザはそう言う。

嘘を言っていないというのは何故か確信できてしまうがそこで止まるわけには行かない。

レベルの欄に堂々と書かれている9の文字、それはジェクトと同等の意味を示し、それに過去のオラリオ最強とも同等であることを意味している。

ジェクトの件はウラノスの確認で嘘ではないことが決定され、エイナとウラノス、それに【ヘスティア・ファミリア】の間で秘匿することに決定された。

今回もかぁ、と黒衣の骸骨のような人物を思い浮かべて頭を痛める。

 

「受理させていただきます。ようこそ、オラリオへ」

 

「ありがたい」

 

「ありがとうございます!」

 

「空いている時間はありますか?もし良かったらダンジョンの講習をしたいのですが‥‥‥」

 

すぐにとはいきませんが、と付け加えるエイナ。

講習、と聞いてゴルベーザとベルは顔を見合わせる。

この二人は至極当然にそれを受けるだろう、ならば問題は別のところにある。

 

「いつになる?」

 

「それは、」

 

空いてる時間を見つけてやるものになるため、エイナの仕事が少ない時間帯にやることになる。

今は朝、仕事が多いか少ないかでいえば少ない方だろう。

 

「いまからでも出来ますか?」

 

「今からは、少し難しいかな」

 

登録の報告もあるし、今回の場合はさらに手順が増える。

先延ばしにしていいものではないため一旦受付を離れなければならないだろう。

 

「なら、空いてる時間にお願いしたいです」

 

「うむ、その方がいいな」

 

「承知しました」

 

これからどこに行くの、という問いにはダンジョンにと二人は答える。

止めようかと思ったがレベル9が二人もいるのだ、ベルの安全は確約されているといっていいだろう。

そう思ってジェクトとゴルベーザ、そしてベルをエイナは見送り、痛む胃を労ることにする。

 

 




ベル君はまだ未熟ですが一応白魔法は全て覚えています。威力は低いですが【ホーリー】も使えます。
黒魔法はほとんど使えませんが、これから覚えていきますね。
魔法の基準はFF4です。
なのでスキルに【まほうぜんたいか】を入れました。
ゴルベーザは確かに強力な魔道士ですがシャントット博士には劣るんですよねぇ、あの人がオラリオに来たらどうなるんやろ。
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