男は豪快に剣を振るい、また男は杖もなしに強力無比な魔法を無詠唱で繰り出す。
その後ろで少年は初級の魔法と何故か熟達した支援、回復魔法によって二人のサポートを行う。
蹂躙、そんな言葉は生ぬるい表現であると断定しよう。
ジェクトは冒険者になってまだ一ヶ月も経っていない、ゴルベーザとベルは冒険者生活一日目である。
そんな三人のダンジョン探索は予想した通りに順調であった。
特にゴルベーザが魔法すら使わずにモンスターを蹴散らしていたの印象的であっただろうか。
簡単に上層を踏破した後、ベルの【テレポ】という魔法、洞窟から脱出できる効果の白魔法を当てにされて中層に突入した。
祖父にダンジョンについての知識をねだって、簡単ながらに教えてもらったこと。
まあ、中層は冒険者になってすぐに行く場所ではない、Lv9になるとそんなこともないのだろうかと引き続きベルはサポートを続ける。
そんなサポートの甲斐なく、簡単に中層も突破することになる。
マッピングなど知ったことかというゴリ押しと縦穴使用の攻略、これを見た冒険者は顔を顰めるようなものであろう。
事実としてベルはマトモに攻略しないんだなぁ、と天を仰いでいた。
この辺りからはベルがモンスターを倒さなければならない局面も出てきたが練り上げてきた白魔法による防護と覚えたてとはいえ目の前で見てきた黒魔法によって切り抜けられる。
その結果が【
一時間もかからない攻略に疲れを滲ませながらもその苦労に見合った美しい景色に心を弾ませる。
「ふぅっ、ちょっと休んでいいですか?」
「せっかくの十八階層だからな、満喫しようぜ」
「そうだな」
モンスターの生まれない階層だが、モンスターが出現しない訳ではない。
冒険者にとっての癒しの階層であると同時にモンスターの癒しの階層でもあるこの階層でも油断は禁物、ではあるがジェクトたちには関係ないようであった。
そんな十八階層の観光も程々にそこから更に潜ることになる。
それにはベルも賛成し、さすがにここからはゴルベーザも魔法を使っていくことになる。
黒竜を召喚してさらにサクサク攻略になったのは目を逸らしておこう。
【ロキ・ファミリア】の遠征で階層主が倒されているのは消化不良であったがそれでもサクサクと進んでいく。
階層を貫通して滝が流れる場所、彼らはどうしただろうか。
ベルは【レビテト】を覚えている、ゴルベーザはそれなしでも何故か浮ける。
「ベル、浮けるか?」
「レビテトなら覚えてますけど‥‥‥、まさか」
滝の流れる音と幻想的な風景をバックにジェクトの考えていることは何となくで察する。
ゴルベーザは何故かレビテトを覚えてなくても飛んでるし、最上級にまで上り詰めると魔道士は飛ぶのだろうか。
「本気か?」
「おう!これくらいならいけるだろ」
異次元すぎる、見た限りでは三階層分だろうか、己の身一つで飛び込もうとするとか頭おかしいとすら思える。
まあ、恐らくできてしまうのだろう。
呆れと驚きの同居、ベルの背中のバックパックはこれまでの道で半分ほどしか貯まっていない。
「【レビテト】」
「大丈夫か?」
「大丈夫です。難しいですけどね」
空中を歩くように浮かせることには成功する。
なんとかこの状態からある程度は自由に動けるようにはなっている。
無論、飛べなどはしない。
「‥‥‥見ていられんな」
「えっ、ちょ」
甲冑の硬い感触を感じる、下には遠くに見える地面がと黒い甲冑の足が見える。
「ゴルベーザさん!?」
「黙って掴まっていろ!」
珍しくゴルベーザが語気を強める。
それに面食らい、自分を思いやってくれていることなど思考せずとも辿り着く結論であった。
空気を切る音か衝突する音、ゴルベーザとベルの横をジェクトの巨体が見えた。
「まだ無理だったか?」
「そうだな。まだ早かったらしい」
ベルは何も話せないようで、ジェクトはふっと笑う。
どこぞの男でも思い出したのか、それにしては素直なこの白兎はジェクトにとっても息子のように思える存在だ。
何故だか守ってやりたくなる存在、ゴルベーザがそばに居るのもわかると笑ったのだ。
高い水しぶき、普通なら打ちつけるだけで死んでいるだろう。
しかし、ジェクトは普通からは完全に逸脱している。
『シン』を倒した究極召喚獣であり、水中の球技【ブリッツボール】のスター選手、水中戦は誰よりも得意とするところである。
「ジェクトさんは、大丈夫ですよね」
「当然だろう。この程度でジェクトは死ぬタマではない」
ベルは自分にレビテトをかけ直し、空中で歩けるようにする。
水に触れないように、ジェクトもゴルベーザもベルもダンジョンに対してここまで来れば無知も同然。
ジェクトがいるからまだ安心ではあるが水のエリアは越えたようなものだろうか。
「ジェクトさん!」
水の底からジェクトの姿が見える。
ジェクトが誇らしげに語っていたこと、それを疑っていたベルであったがジェクトソードを携えて泳いでいるジェクトを見て安心したと同時に語っていたことが本当だと確信できた。
「久々の水は気持ちいいなぁ!」
「ジェクトさん、レビテトはかけないでいいんですか?」
「大丈夫だ。もうちっとこれを楽しませてくれ」
そう言うとジェクトは再び水の中に消えていく。
「しばらく遊ばせてやろう」
ゴルベーザの方を見るとため息混じりに水面を眺めて言った。
取り敢えず陸地に移動すると水面を二人で暫く眺めることにした。
「どこまで降りるんですか?」
「お前の力が及ぶまでだ。もう限界なら戻るか?」
「んー、まだいけます」
まだまだ魔法は行使できる、ゴルベーザのもとで修行しているならば限界は感じ取れるようにはなっているはずだ。
そんな修行もしていたので分かるのだが、
まあ、ひとつのミスで死ぬのには変わりないが【ブリンク】や【リフレク】で対策を取っている。
ちなみに【スロウ】や【ミニマム】などの魔法は問題なくモンスターに効くみたいである。
三十分かそれくらいだろうか、ジェクトは水面から陸地に上がってくるのが見えた。
「満足したか?」
「満足はしちゃいねぇがまた来ればいいしな。先進むか?」
ジェクトはベルを見て先に進むかを聞く。
自分に聞くのかとベルは動揺するが、ゴルベーザにもじっと見つめられているためゆっくりを息を吐く。
何年も一緒にいるとはいえゴルベーザから見つめられるのには慣れない。
「先に進みたいです」
ベルは余力があるからとジェクトの言葉に答える。
「よし、じゃあ行くか」
ちゃんとついてこいよ、とジェクトはベルの頭を撫でると先に進んでいく。
遅れるなよ、とゴルベーザも後を追いベルも足早に二人の後を追うことにする。
異常で簡略的な三人の行軍。
ベル君の支援性能はオラリオでも破格の性能である。
味方の支援から敵の妨害までこなせる、アンデッドに対して無類の強さを誇るベル君。
正直今のレベルでも格上に勝てるんじゃないかというベル君。
モンスター相手にはストップ撒いておけばいいのではないかと思ってしまうベル君。
ダンまち世界にFFキャラ放り込む妄想って楽しいなぁ!
FF3のルーネス達だったりCCFF7の英雄セフィロスだったり、アストレアレコードに放り込みてぇなぁ。
ジェネシスとアンジールとなによりザックスも好きだぞ!
新羅兵時代のクラウド可愛い。