親バカの親父、ダンジョンに導かれる   作:衛鈴若葉

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はたまたダンジョン回、まだであるのだよ。


ベル君の本領発揮

深層、それは現在のオラリオが切り開いたダンジョンの奥深く。

最高派閥しか辿り着けないとされるこの場所にて男が三人、モンスターを蹴散らして突き進んでいた。

ジェクトとゴルベーザとベル、この三人は己の持ち味を活かして戦い抜く、ベルの場合は生き抜くの方が正しいだろう。

深層は中層とも下層とも大違い、モンスターの発生頻度に広さ、そして強さも。

まあ、【ミニマム】などの弱体変身魔法にかかれば結構簡単に倒せてしまうのだがそれはご愛嬌というものだろう。

 

「っ、切れた」

 

魔道士であるしLv1のベルにとって、深層のモンスターの攻撃はよけられるものではない。

故に【ブリンク】による強制回避に身を任せ、【ミニマム】による戦力の低下、【ホーリー】や低級黒魔法で足止めをする。

そんな戦い方になってしまっているのは誰も責めはしないだろう。

それにジェクトやゴルベーザによって退けられる方がベルが倒すよりも多い。

ゴルベーザとジェクトは攻撃されるより前に潰しているのがベルとの力の差を感じさせる。

 

「【ブリンク】」

 

そんなことを愚痴っている暇などない。

休む暇のない戦闘はベルから思考を確実に削っていた。

【ブリンク】が切れたら使う、【ミニマム】が相手にかかってなければ何度でも使う、近づかれたら【ホーリー】で近づかせない。

疲労が溜まれば【ケアル】系統の回復魔法で回復、【ホーリー】は使うことがほとんどないためにMPはまだ残ってはいるが結構苦しくなってくる。

 

「ふぅ、はぁっ」

 

戦闘終了、それと同時にベルは【まほうぜんたいか】を利用せずに【ケアル】を詠唱する。

それによって少しの緑色の光がベルを包み、ベルの呼吸は穏やかなものに変わる。

 

「まだ、」

 

続けたかった言葉はやれるかいけるか、それとも他のことか。

もう少しで五十階層、モンスターの出現しない十八階層と同じ安心してキャンプを立てられる場所。

続きを言いかけて歩きだそうとするとベルの腕が持ち上げられる。

雑に担ぎ上げられた時の感触はゴルベーザのものとは全く違う、何とか上を見るとジェクトの顔が見えた。

 

「無茶すんじゃねぇっての」

 

「少し休んでいろ」

 

左側からゴルベーザの声が聞こえる。

心配させてしまった、そんなことを思うが目を閉じようとする。

下手に回復魔法を使ってしまったためか、疲れが滲んできたのか瞼が重くなってくる。

 

「寝たか」

 

ジェクトに左肩に担がれてたすぐ後、ベルの口から寝息が聞こえ瞼も閉じられていた。

それを見てゴルベーザは柔らかい口調でベルを見て言う。

 

 

「そうだなぁ、可愛いやつだ」

 

起こさないようにと小声でジェクトは話す。

その言葉にそうだな、とゴルベーザは返した。

 

「ゴルベーザさんよ、この世界から元の世界に帰れるのか?」

 

「分からん。外に帰る方法がないのは確かだ」

 

「ならダンジョンの底ってわけか」

 

「そうなる。急ぐものでもないがな」

 

元の世界に帰る、そんな目的を二人は持っているがそんなに重要とはしていない。

それよりベルやヘスティアを気にしている二人はそんなにダンジョン攻略を気にしていない。

そんな二人はモンスターをものともせず、簡単に五十階層に辿り着く。

ジェクトはベルを抱えていても変わらずに一蹴し、ゴルベーザは片腕で薙ぎ払うように魔法を放つ。

ただそれだけ、ベルが小細工をしてやっと倒せる者を容易く倒して見せている。

 

「これはこれで、いい景色だな」

 

ダンジョン五十階層、その景色はこれまでのものとは異質であった。

大荒野(モイトラ)】と呼ばれるその場所は灰色の大樹林に亀裂のように走る川。

こんな景色は見たことがないとジェクトは興奮する。

ゴルベーザも言葉には表さないし表情も読めないが興奮してはいるのだろう。

 

「‥‥‥ん」

 

「ベル、起きたか!こっからの景色見てみろよ、おい!」

 

「んぅ?取り敢えず下ろしてくれません?」

 

「あ、すまん」

 

ふぁー、とベルは起きたばかり特有の息をつく。

 

「おー、これはこれで凄い景色ですね」

 

そしてベルは【大荒野】を見渡して笑顔で言い放つ。

無邪気に、純粋に言うこの発言は遠くに見える極彩色の粒に目を顰める。

 

「そういえば階層主いませんでしたよね」

 

「恐らくどこかの派閥が遠征をしているのだろうな」

 

極彩色の粒、ベルから見えるそれはどんどんと広くなっている。

埋め尽くされているような、そんな感じだ。

 

「なんかおかしいか?」

 

「何となく、ですけどね。行ってみます?」

 

「見捨てはられんな」

 

「行きましょう!」

 

「そうだな!」

 

ベルは触媒にはならないがゴルベーザによって書かれた本を取り出す。

その中には黒魔法と白魔法についてがびっしりと書き込まれているもので、ベルはその中から黒魔法のページを開く。

まあいくその段階では関係の無いものでいつも通りに範囲を指定して【ヘイスト】をジェクトとゴルベーザ、自身に行使する。

 

「芋虫っ!?」

 

「多すぎるな」

 

「やるぞっ!」

 

芋虫の絨毯、壁紙、天井、大きな芋虫型のモンスターがそのように形容できるような多さで辺りを覆っている。

ジェクトは我先にと飛び出し、ゴルベーザは飛び、ベルは襲撃にあっているらしいキャンプに飛び込む。

 

本が開いた状態でベルの傍を飛んでいる。

そのページには【トード】や【ポーキー】の魔法が載っている。

違う派閥だろうと目の前で苦しんでいるならば助けない理由はない、としてジェクトもゴルベーザもベルも行動している。

ベルは回復魔法の中で最高の能力をもつ【ケアルガ】を【まほうぜんたいか】によって広げられるだけ広げて行使する。

 

「んぅ、休んだから回復してるハズ!」

 

混乱するキャンプ、それはジェクト達の乱入によってさらに混乱することになるが女性の声が聞こえると気を引き締めたようにして見える。

 

「【ライブラ】」

 

使った相手の名前と戦闘能力が分かる白魔法、を行使する。

ベルの、ゴルベーザの知識にないそのモンスター、祖父の知識が古いだけかもしれないが知っておくのは何よりのこと。

話を聞かなくてもいい、接触しなくてもいいというのが何よりの理由である。

 

巨蟲(ヴィルガ)】というのがそのモンスターの名前。

特徴は身体の中に酸を溜め込み、吐き出したり倒されると爆発する。

武器破壊される恐れのあるモンスターである、というのがベルの頭の中に流れ込んでくる。

 

ベルは瞬時にメモ帳を取り出してその中にそれらを明記する。

 

「よしっ、じゃあ【トード】!」

 

メモ帳を閉じて懐にしまったベルは急いで本を掴み取り、その中から黒魔法【トード】の欄を読み、何とか【まほうぜんたいか】を行使して魔法を発動させる。

完璧には覚えていないために変身するモンスターはまだまばらである。

そうすると次は【ポーキー】それにその次は【ミニマム】を次々に行使していく。

小さくなったものがベルの前には殆ど、まばらに豚と蛙がいる。

 

「駄目だな。覚えないと」

 

爆発するならば蛙に、豚に変身させればいい。

そんな簡単な考えであるが有効ではあると思われる。

 

「二人に、ゴルベーザさんだけでも、やっぱり二人に教えよう。【レビテト】」

 

自由に飛んで魔法を行使しているゴルベーザの方にフヨフヨとぎこちなく飛んでいく。

 

 




次回には接触させる予定です。
逃げる形で【テレポ】使わせるのも良いかもしれませんねぇ。
ディシディアにFF3でルーネスが出なかったのに深い悲しみがあります。
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