親バカの親父、ダンジョンに導かれる   作:衛鈴若葉

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なんとか書きました。



ロキ・ファミリア

焦りは禁物、二人に任せていれば万事解決となるのは想像に難くない。

少し考えれば分かることではあるのだが、二人とも既に溶解液には気づいているだろう。

不慣れなレビテトを使うより救助や支援をやった方が良い。

そう判断して崩壊している野営地(キャンプ)の中を走り回る。

 

「【ホーリー】!」

 

【まほうぜんたいか】の効果によって、光の矢が降り注ぐ。

【ミニマム】によって小さくなった芋虫は簡単に灰に還る。

しかし【ホーリー】を乱発してはすぐにMPが底を尽きる。

そんなことは少し考えれば分かることであり、手持ちの【エーテル】は少ない。

ゴルベーザの無尽蔵とも言える魔力は憧れるがまだまだ未熟なベルでは遠くに見える焼け野原にはできない。

芋虫を吹き飛ばしては倒しているジェクトと空中から魔法によっての援護や一撃で芋虫を消し飛ばしているゴルベーザ。

分かっていた、分かっていたのだがあの二人の非常識さには乾いた笑いが出る。

芋虫の姿はもうほとんど見えない。

天井にいたものも地上にいるものもはたまた壁にいるものも、殲滅されたようだ。

 

「‥‥‥凄いなぁ」

 

ふぅ、と息をつく。

感想を零すとゴルベーザの姿を探す。

飛んでいる彼の姿は簡単に目視できる、恐らく彼はジェクトと合流するだろうと予想した。

ベルはほぼほぼ後方支援のみをやっていたがあの二人は前線で戦っていたのだ。

そりゃ、助けた側としては接触するだろう。

そこらに散らばる野営地の残骸を避けて進み、ジェクトやゴルベーザのいる場所に急ぐ。

ゴルベーザとジェクトの姿が見えると耳の長い緑髪のエルフの人と山吹色の髪のエルフ、そして金髪の子供、多分小人族(パルゥム)が話しているのがみてとれる。

 

「ゴルベーザさん!ジェクトさん!」

 

「ん、来たか」

 

「無事だったな」

 

「はい。そちらの方々は?」

 

今のベルはオラリオについて詳しいとは口が裂けても言えない。

最強の派閥が【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】であることくらいしか知らない。

幹部の二つ名や身体的な特徴も知らないのだ。

ジェクトに聞いてもよく知らないと返ってくる。

酒場にはまだ行ったことがないそうだ。

 

「ああ、僕達は‥‥‥」

 

金髪の小人族(パルゥム)の人が説明をしてくれる。

自分たちは【ロキ・ファミリア】で今は遠征中であること。

自分は団長のフィン・ディムナ、二つ名は【勇者(ブレイバー)】であると。

その場にいた人には自己紹介をしてもらう。

九魔姫(ナインヘル)】のリヴェリア・リヨス・アールヴにリヴェリアの弟子という【千の妖精(サウザンドエルフ)】のレフィーヤ・ウィリディス。

自分たちの自己紹介も終える。

ジェクトとゴルベーザは既に終えていたみたいで後はベルが残るだけであった。

簡単に済ませようと名前だけで終わらせることにする。

 

周りの残り少ない芋虫は幹部たちの活躍で一掃されていくのが見える。

アマゾネスの双子に狼人、そして金髪のヒューマン。

支援職の僕では勝てないだろうなぁ、となんだか他人事のように思った。

 

「この危機を脱せたのは君たちのおかげだ。改めて感謝する」

 

「気にすんな。俺たちが勝手にやったことだ」

 

「そうとはいかないんだ。礼はしなくちゃ【ロキ・ファミリア】の名が廃るし、僕も納得がいかない」

 

「それに、私たちのことも知りたい。というのが本音か?」

 

「見事に見抜かれてるね、その通りだ」

 

フィンは苦笑してゴルベーザの言葉を返す。

ガレス以上、それどころか都市最強(オッタル)にも引けを取らないジェクトと無詠唱で魔法を軽々と扱うゴルベーザ。

そんな二人とともにいるベル。

そんな3人組が人の興味を引かないなんて想像ができないことだ。

深層にいる時点でこの三人が只者ではないことの証明にもなっている。

 

「こんな状況だ。相応の礼はするから、同行してもらえないかな?」

 

「同行?」

 

帰るのか、それともさらに潜るのか、フィンの出した提案にベルは首を傾げる。

 

「ああ。君たちがいてくれるならありがたいし三人じゃ何かと不便じゃないかなと思ってね」

 

普通ならば魅力的、といえる提案であろう。

【ロキ・ファミリア】とともに行動できるなんて幸運の極みといっても過言ではないと思う。

 

「せっかくだが、断る」

 

断ったのはゴルベーザだ。

腕を組んで、まったく変わらない声でフィンの誘いを蹴った。

 

「そう、か。無理を言ってすまなかったね」

 

フィンは残念そうに目を瞑り、三人を見送ることになる。

 

「帰ります?」

 

「そうするか?」

 

「ん、帰んのか?」

 

下層に向かうにしても少し休もうと森の中に入った時である。

ベルが喋ったのは帰りたいという旨だ。

ダンジョンに入ってからどれくらい経ったかは分からないが結構経っていることは分かる。

 

「さすがに地上が恋しくなってきまして‥‥‥」

 

「そういうことか」

 

「よし、なら頼むわ」

 

「了解です」

 

ビシッと敬礼をしてベルは【テレポ】を唱える。

三人を囲む魔法陣が出現し、光が溢れると三人の姿は消え去る。

次に気づいたのはバベル前の【中央広場(セントラルパーク)】であった。

 

「おお、こりゃ便利だな!」

 

ジェクトはこれまでのダンジョン探索での面倒なところを一つ潰せたことに感動したのだろう。

わしゃわしゃとベルの髪を乱していく。

 

「ちょっ、ジェクトさん!」

 

「いや、助かった。ありがとうな、ベル」

 

ポン、と頭に手を置かれて怒るに怒れなくなったベルはむぅ、と頬をふくらませる。

その顔を面白がったのかジェクトはベルをさらにからかってベルに怒られた。

 

「二人とも。そろそろギルドに向かうぞ」

 

「ですね!ジェクトさん、行きましょう!」

 

「ん?分かったから引っ張んなって」

 

ゴルベーザの言葉に助かったとばかりにジェクトを引っ張るベル。

それを甘んじて受けるジェクトは不満そうな顔をしながらも引っ張らせていった。

 

その先のギルドではまた一波乱起きることになる。

三人の持ち込んだ魔石やドロップアイテムが高額で多すぎる、という内容であった。

ギルド内でゴルベーザとジェクトがLv9だと知っているのはごくひと握りの人間のみ。

Lv1のベルを深層まで連れ回したのかとエイナに説教され、ベルもまたホイホイついて行くなと説教をくらう。

その日のうちに換金は不可能であったが後日にまとめて貰えると説明を受けてその日は素直に帰る。

それと、翌日からは少しは自重してくれと厳重注意を受け、三人は肩を落としてギルドから出てくる。

 

「‥‥‥ごめんな、二人とも」

 

「明日から気をつけましょうか」

 

「‥‥‥そうだな」

 

同時にため息をつくと三人は本拠地(ホーム)へと帰る。

着く頃にはもう既に日は落ちており、エイナから聞かされた話では既に一日が過ぎている、とのことであった。

また説教をくらうかもしれないのかと思うと気が重いが開けなければ始まらないと胃を決してベルが扉を開ける。

 

「‥‥‥ただいま帰りましたぁー」

 

「あ、三人とも。おかえり!」

 

ベッドに突っ伏していたように見えたヘスティアは三人の存在に気づくと元気いっぱいの様子でおかえりと言い放つ。

げっそりとした感じは隠せないもので、心配させていたと分かる。

 

「遅くなりました」

 

「君たちが無事なら万事オッケーだよ!疲れてるだろう?座った座った!」

 

ヘスティアがベッドから飛び退いて座る場所をくれる。

買い直したソファだけでは三人が座れるスペースはない。

ゴルベーザは鎧を脱いでソファに座り、ジェクトもまたソファに座る。

そして成り行きでベルがベッドに座ることになる。

 

「さて、寝っ転がってね」

 

そしてはたまた成り行きでステイタスを更新することになった。

寝転がるベルの背中にヘスティアが乗り、露出した背中に神の血(イコル)を垂らす。

 

 

 

 

 

 

 

 




ジェクトソードは溶けません。
ゴルベーザさんの魔法の威力はベル君よりかなり高いです。
でもホーリーの威力は黒魔法と遜色ありません。
黒魔法は修行すれば使えるようになるのでゴルベーザさんと同じ高みに行ける日もあるかもしれませんね。
シャントット先生並は厳しいですけど。
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