親バカの親父、ダンジョンに導かれる   作:衛鈴若葉

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支援職と書いて魔法職と読む。


支援職の戦い方

鎧に身を包むことはなく、杖も持つことはない。

あるのは腰に差した支給品のナイフとバックパックのみ。

纏っている衣類にはなんの付加効果もない。

ただの私服であるから、正気を疑われる。

ナイフは戦闘に使わず、解体にのみ使う。

口からは詠唱が出るがそれは【超短文詠唱】と呼ばれるものなのだろう。

否だ。

口から出るのは魔法の名前のみである。

頭の中でイメージを築き、それを元に魔法陣が形成される。

その過程は熟練する度に速度が上がり、ついには魔法陣すら形成されなくなる。

さすがに召喚魔法や規模の大きい魔法は形成されることはあるが、その程度なので問題はない。

そもそも基本の派生系だけでも絶大な威力が約束されているので使う機会が無いと言った方が正しいだろうか。

 

僕はゴルベーザさんの最強魔法である【メテオ】を見たことがないし実際に【黒竜】を召喚しての戦いは、何かモンスターが可哀想になった。

ジェクトさんの本気もゴルベーザさんの本気も正直計り知れないし、僕では登り詰められる気がしない。

レベル9で収まっているだけマシ、と言えると思う。

 

ゴルベーザさんは剣を使っていたのを見たことがある。

ジェクトさんは言わずもがな肉体派だ。

ならば僕も徒手で戦わなければならない時が来るのだろうかと少し考えてみた。

 

ゴルベーザさんの語った最悪で最凶の魔道士。

彼女に至るのならばどれだけの時が必要かなんて分からない。

ゴルベーザさんは天賦の才と黒魔法を専門にするからこその実力。

ジェクトさんは努力で【ブリッツボール】を極め、その上で世界を救うために【ガード】となった。

ジェクト様は天才だ、その言葉は照れ隠しなのだろうが事実でもあるのだと思う。

 

ゴブリン程度ならば素手でも殺せる。

仮にも最高クラスの魔道士に育ててもらった身、修行の時に身体の動かし方も分かっている。

一番初めに剣を握った時には振ることさえできなかったが今も修行中である。

まだ実戦に使えるレベルではないので持ってきたのは精神回復特効薬(マジックポーション)のみとなっている。

回復薬(ポーション)はコスパが悪すぎるので却下だ。

 

「うん、いける」

 

魔石を取り除くとモンスターは灰となる。

たとえ絶命したとしても体の内に魔石があれば身体は灰とならない。

これを利用すればモンスターを食べてダンジョンに滞在できるのではと一瞬思ったがそれは淡い夢であった。

 

犬の頭に二足で立つのは【コボルト】というモンスターだ。

第二層から出現し、その強さはゴブリン以上ではある。

しかしながらダンジョンに出現する2体目のモンスターということでこのモンスターにも苦戦はしなかった。

群れに襲われれば普通ならば苦戦、または死ぬこともあるだろうがそれも問題はなかった。

危ない時には魔法も使う。

魔法は別に縛っていない、むしろ【魔力】のアビリティが育つのでMPが尽きない程度に使っていきたい。

一体の時には必要なく、頭を砕いてやれば簡単に絶命した。

モンスターに対しても人に対しても、ゴルベーザさんやジェクトさんの教えはタメになる。

 

「‥‥‥よし、次」

 

感覚を限界まで研ぎ澄ます。

常に【プロテス】を張っているとはいえ、この警戒を怠れば死ぬ可能性は十二分にあるのだ。

例えば【怪物の宴(モンスターパーティ)】や【異常事態(イレギュラー)】である。

【リフレク】や【シェル】は物理が主体のモンスターにはほとんど意味をなさない。

物理攻撃を完全に防げないと、レベル2の攻撃はまず耐えられないだろう。

コボルトやゴブリンの攻撃ならばほぼ無効であったが、手加減されたジェクトの一撃で死にかけた。

腕が持っていかれ、足が潰れかけた。

形を保っているだけでもありがたいことだと身に染みたのである。

 

もう五階層に入る。

エイナさんからはステイタスを見てもらって許可を貰った。

二人に守ってもらったとはいえ、五十階層に至ったことも加味されて五階層までならとなんとか許可をもらった。

トカゲ型の【ダンジョン・リザード】やカエル型の【フロッグ・シューター】も、倒すことはできた。

五階層からはモンスターの出現頻度が上がる。

これまではゴブリンが一匹、コボルトが一匹、その程度であったがこの階層からは簡単に群れを作って襲ってくる。

 

「【サンダラ】!」

 

基本魔法を覚えれば、派生を覚えるのは意外に簡単なことだ。

ゴルベーザさんに教わって十年、コツはもう知っている。

群れを殺すのに雷は非常に効果的だ。

眩い光と落ちる雷の音。

特徴的なその音は確実に一匹を灰にし、周りのモンスターの目を引く。

頭を砕き、連続してモンスターを殺す。

突き出された拳はそのためにある。

 

「よし」

 

そう呟いて僕は魔石を拾い集める。

ドロップアイテムも拾い集める。

五階層に至った直後の最初の戦闘は快勝であったとガッツポーズをしたくなった。

したくなったのだが、なんだか階層に違和感を感じる。

 

「‥‥‥【ヘイスト】」

 

そして【プロテス】を自分にかけ直す。

魔力を使う存在として、魔石の魔力を感じられないのは恥だ。

特にこの世界では最強と思えるゴルベーザさんの弟子である僕が感じられない、なんてことはあってはいけない。

何か来た、何が来る。

この階層にいてはいけない強大な存在がそこにいる。

そんなことが分かった。

時間の進みが格段に早くなった足を動かして向かうことにする。

 

「見たことあるなぁ」

 

ジェクトさんやゴルベーザさんに幾度となく倒されたのを見たモンスターがそこにいる。

牛頭の怪物、鍛え上げられた体。

丸太のような腕から繰り出される一撃は僕の体を潰すだろう。

 

「【ブリンク】」

 

【ミノタウロス】は鼻息を荒くさせて僕の方を見ている。

品定めのような視線であった。

 

『ヴモォォォォッッ!!』

 

「ッッ!?」

 

目の前のミノタウロスはジェクトさんやゴルベーザさんに勝るくらいの化け物ではない。

咆哮によって動きを止められることはなく、興奮した牛の突進など避けるには容易い。

攻撃の予知も簡単で、避けられる。

 

「【トード】」

 

ミノタウロスの下に魔法陣が出現する。

魔法陣が出現したならば発動は瞬きするよりも早い。

ポフッ、そんな戦闘に似合わない緑色の煙がミノタウロスを包む。

 

『ゲコっ』

 

「勝った」

 

カエルの鳴き声が聞こえて、勝利を確信する。

【トード】以外の魔法を使うことができず、能力も激減するためだ。

【耐異常】を獲得している上級冒険者に効くかは分からないが切り札になってくれるだろう。

 

 

 




上級冒険者にまで効くとなればヌルゲーが過ぎるのでどうしたら良いだろうか。
モンスターには効くでいいと思う、けど階層主には効かないということで。
【スロウ】は効くということにしよう。
FF4や10、13でも効くか効かないかはあるけどだいたい効くからいいよね。
能力下降系は効くということにしよう。

ライトニングさんは既にオラリオにいます。
今のところはファミリアをヘスティア・ファミリア以外出してないのでこれから出します。
ゴルベーザさんは過去にオラリオ以外にいた。
ジェクトさんは現在にオラリオに来た。
ならばライトニングさんはいつ、どこに来たのでしょう?
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