中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について 作:re:753
ガバ知識なんで肩の力抜いて、アイスティー等飲みながら読んでください。
知らぬ間に人に影響を与えていたというのは、案外気づきにくいものだ。
他人の心なんてわかるはずもないし、俺はそういう人の感情というのには鈍感であった。
この世界に生まれて十四年、一部の事柄を除いてただの一般人として生きてきたと自負する俺は…………なぜか世界の命運をどうにかしなければいけない立場に立っていた。
「選んでよ、シンジ。僕か、世界か……どっちを取るの?」
巨大なロボット……いいやエヴァの手に握られた俺に、幼馴染は通告する。
どうしてこうなったと内心頭を抱える。
死の恐怖は――――割となかった、この数ヶ月の間、死にそうな目にいくらでもあってきた。
というかなんで死んでないのか、割と疑問符しか浮かばない。
「選んでよ」
機械的な音声かと聞き間違えるほどの平坦な声。
次はないと言わんばかりに、体にかかる圧力が徐々に強まっていく。
どうすればいいのだろうか、選択肢はあれども結末は死ぬしかないというのは。
…………どうしようもないというのであれば、正直に伝えるべきなのかもしれない。
「…………俺は――――」
そうして言葉を紡ぐ俺は、どうしてこうなったのかと今までのことを思い返していく。
俺こと三上シンジがこの世界で、彼女と出会った頃に遡る。
○○○
――――どうして夏しかないの???
そう質問した俺に、両親は困ったような表情を見せて、ただ微笑むだけだった。
俺は俗に言う前世の記憶を持った転生者である。
そう気づいたのは一週間前、40℃近い高熱を出して病院に搬送されたときである。
ただ思い出せたのは自分には前世があること、そしてとあるアニメの記憶とほんの少しの知識、それだけだった。
チート能力や何か特別な力があるわけじゃないのは残念だった。
念の為の検査などして、ようやく家に帰ってきたとき、この世界でそういえば冬がないことに気づいた。
記憶が正しければここは日本だ、そして日本には四季があるはずだ、そんな真っ当な質問をしたはずなのに両親は答えてくれなかった。
だが、答えられるはずもなかったと知るのはそう遠い未来の話ではなかった。
たまたまテレビを見ていたときに、その文字が出てきた瞬間、俺は食べていたアイスをボトリと落として、テレビの画面に食いついた。
『セカンドインパクトの謎! 解き明かされる真実』
セカンドインパクト、この言葉を知らないアニメオタクが居たとしたら、モグリかニュービーというしか無い。
新世紀エヴァンゲリオン、俺が唯一前世から持ち込めたアニメの一つであり、前世での放送後のアニメ作品全般に影響を与えたと言っても過言ではない名作であり怪作だ。
作品の紹介は省くが、俺はこの事実に絶望した。
アニメ作品の世界に来たら喜ぶだろうって? 最終的にLCLという水みたいなもんに分解されるか、よくてニアサードインパクトの余波食らって死ぬのかどっちかしか選べない世界だと言ったら羨ましいか? ん?
とりあえずモブには厳しい世界観であるとだけ言っておく。
当然、この事実を知った俺はあまりのショックに気絶し、またもや病院に担ぎ込まれることとなるのは余談である。
最終的な結論は……どうにでもなーれという、現実逃避にも似た諦めだった。
こういうとき原作ブレイクすればいいと言うが、下手に動けばゼーレに消されるだろうし、そもそも物語のメインキャラクターたちと出会う手段がない上、そのメインキャラクターの過半数に話してもどうしようもないという詰みっぷりがヤバイ。
大人が大人してないのがエヴァンゲリオンという物語だ、行きなさいシンジくんは絶対に許さねえからな。
それにただのモブがどうしろというのだ、というのが本音である。頭がいいわけではない、ただ先のことを知ってるだけの一般人だ。
ちょうど原作主人公、碇シンジと同い年なのは確認したが、残念ながら俺は第3新東京市には住んでいない上に、片田舎の海がない場所にいた。
父親と母親に頼って、第3新東京市に行こうなんて言えない。行ったところで、今の両親が死ぬ可能性しかないのに行けなんて言えない。平凡な方だが、俺を愛してくれてることは感じられるし、記憶を取り戻すまでのことも覚えてる。
怖くないと言ったら嘘になる。正確な日時もわからず、溶けるか、変な化け物になるか……つっても後者はよくわからないので正確な情報ではない。ニアサードインパクト前後の設定は知らんのだ。
そうしてうんうんと唸りながら考えていたとき、転校生が来たという話を聞いた。
こんな片田舎に転校生とは珍しいなと思ったが、クラスが違うのであまり関わり合いはなかった、そうあの日まではなかったのだ。
ある日のことだ、たまたま通りがかったところで見かけない女の子が複数の女子に殴る蹴る暴言という感じで虐められていた。
見ないふりをしようと通り過ぎようとして……なぜか俺はいじめていた連中にドロップキックを食らわしていた。
何故そうしたか、理由は2つある。
1つはどうせ中学生二年までしか生きられないのだから、胸張って生きようと開き直っていたから。
2つ目はその女の子が俺の好みのどストレート、黒髪ロングの美少女だったからだ。
そんな俗な理由で、囲んでいた五人と大乱闘、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ……とは行かず、逆に囲まれてボコボコにされた。女子とはいえ、五人に勝てるわけないだろ! 馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!!
とズタボロにされ、鬱憤が晴れたのかいじめてた女子たちはボロボロになった俺を見下しつつ、立ち去った。割りと骨とか折れてるんじゃないかと思うほどやられ、結局虐められてた女の子の肩を借りて起き上がった。
「……ごめんね、僕のせいで」
「気にすんな……見ない顔だけど、転校生ってお前のこと?」
黒髪ロングの女の子は目をパチクリしたあと、控えめに頷いた、クソ可愛い。
ボクっ娘とかお前、アニメかよ、アニメの世界だったわ。
女の子はうつむいたまま何も喋らなかったが、悲しそうに表情を歪ませていた……無理もない、友達も居ない場所でいきなりの虐めだ。
大方、この子の美少女さにクラスの男子がちやほやして、気に入らなかった奴らがちょっかいを出したんだろう、小学生じゃよくあるいじめだ、大人でもよくあるけど。
「……助けてくれてありがとう。でももう止めた方がいいよ、僕は――」
「名前は?」
女の子は再度、目をパチクリした後、何度か口を開けて小さい声で名前を言った。
「
「レイ……ははっ」
名前を聞いて笑った。
レイ、この名前はエヴァンゲリオンの世界では重要な名前の一つだ。
ちなみに俺の名前はシンジ、あの碇シンジと同じ名前である。
レイとシンジ、偶然の一致だろうが、まるでアニメのプロローグみたいだと俺は純粋に思った。
「レイ、俺と友達になろうぜ!」
「えっ?」
「そしてまたあいつらが来たら守ってやる!」
痛みを堪えながら、俺はレイに笑顔を見せる。
邪な気持ちはたしかにあった。ここで味方をしてればこんな美少女と青春を送れるんじゃないかって言う欲望。
そしてエヴァンゲリオンの世界で、名前だけだがシンジとレイという主人公、ヒロインになったような錯覚。
多分、これも現実逃避の一環だったんだろうと思う時がある。
ともかく俺は、その日からレイを構いまくった。
今まで仲良くしてた奴らやレイを面白く思わない連中に、嫌がらせをされたり、冷やかされたり、時には暴力に晒されたが、それでも俺はレイの傍にいた。
始めの頃は泣きそうな顔でこちらを拒絶することもあったレイだったが、次第に心を開き始め、笑顔を見せてくれることが多くなった。
そして名字が碇だと知り、ますます偶然の一致だと舞い上がった……舞い上がったのだが、ここで想像力を働かせていれば、後々あんな目に合う事はなかったのかもしれない。
この世界で名字が「碇」、名前が「レイ」、偶然の一致としちゃ出来すぎていた。
が、そんなことを考える頭が俺にあるわけがなく、純粋にレイとの生活を楽しんでいた。
レイと出会って数年、中学上がって二年になった頃にはレイは片時も俺から離れることなく過ごすようになっていた。
ますますキレイになっていくレイだったが、不思議と虐めは無くなっていた。
首を傾げるが、イジメがなくなるのはいいことだろう。……だが昔虐めていた奴らが、レイを見ると肩を震わせるのは何故なんだろうか?
まぁ、どうでもいいのでそっこーで記憶の隅に押しやり、残り数ヶ月の人生を楽しもうと、そう思っていたとき、レイに大事な話があると言われた。
もしかして告白か? とウッキウキで待ち合わせ場所に行った俺は、激しく後悔をし、また気絶することとなる。
「シンジ……お願い、僕と一緒に第3新東京市に来て!!」
「…………アッ、ふーん(気絶)」
TSシンジくんとか気付けるかぼけえええええええええええええええええええええ!!!!
新劇場版見ながら、久々に色々見てたら女装シンジくんが可愛すぎて気づいたら書いてました。
何番煎じかわからないけどゆるーくやるのでどうぞよろしくお願いします。
ちなみに主人公が原作主人公のTSに気づけなかったのは、こんな偶然あるわけないやろと、原作主人公に繋がる要素全て無視してたからです。
ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?
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いいゾ~これ(両方ともIKEA)
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(ifストーリーだけ)INしてください?
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(その後の話だけ)はい、よういスタート
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どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)