中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について   作:re:753

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前回のあらすじ、二人に勝てるわけ無いだろ!!!


すまんな、夜勤明けで書いてたら寝落ちしてました。
明日もこのくらいの時間に上げると思うので許して、毎日更新も感想返信も続けるから感想114514!! と前回の感想数に少し凹んだけど、感覚麻痺してるだけで投稿しただけで50件近くくるって凄いことなんじゃと思い直しました(白目)


ツイスターゲームやったけど上手く行かなくて一緒に生活してる二人が修羅場な件

「「なんでコイツと一緒に暮らすんだよ()!?」」

「ユニゾンのためよ、アスカ、レイちゃん。シンジくん美少女二人と一緒だから獣になっちゃだめよ?」

「申し訳ないが男が全員獣になると思うのはNG」

 

 いがみ合う二人にため息を吐きながら、俺はベッド2つと寝袋が用意された部屋を見る。

 ユニゾンアタックのために、共同生活を行う。原作で知ってたが、レイをどうするかと考えていた俺は、三人での共同生活提案に驚いていた。

 ……が、あの二人の仲の悪さ見るとどうにもならんかもしれん。

 

「MAGIに使徒の動きを計算してもらったところ、あいつらは二身一体、片方を倒しても意味はないのよ。だからエヴァ二機での完璧な二点同時攻撃が必須。三人を呼んだのは全員が初号機と弐号機パイロットだから……はっきり言ってしまえば、保険よ」

「だからって……七光なんか必要ない!! 私とシンジで十分よ!」

「そっちこそ必要ないだろ? あんなに自信満々だったのに一発KO、なぁにがエリートパイロットだよ」

「何よ!!」

「なんだよ!!」

「……クゥーン」

 

 ミサトさんとともに頭を抱える。

 まぁ、予想はしてたがここまでレイとソリが合わないとは思ってなかったゾ……。

 二人がバチバチと火花散らしながら睨み合っていると、加持さんが入ってきた。

 

「よっ、仲良さそうじゃないか」

「「どこが!?」」

「そこら辺の息のぴったり具合かな」

 

 加持さんに食って掛かる二人の肩を押さえつつ、俺は加持さんに質問する。

 

「で、どうやってリズムを覚えるんですか?」

「ツイスターゲームって知ってるかい?」

「あー、一時期流行ったアレ」

 

 そっ、アレと加持さんが言うと、ミサトさんが扉の一つを開ける。

 すると広い一室に赤いタッチパネル付きのマットが置かれていた……ご丁寧に三人分ある。

 

「アレでリズムを体に叩き込んで、使徒を殲滅する、簡単だろ?」

「簡単ってあーた……あの二人見てそれ言えます?」

 

 と後ろでにらみ合い、取っ組み合いを始めたアスカとレイに頭を抱える。

 加持さんも肩を脱力しながら、呆れてみているのだから酷さはわかるだろう。

 

「ま、まぁ三人のうち二人の息が合えばいいんだ、シンジくん、とりあえず一回やってみよう」

「「フン!!」」

「……はぁい、よういスタート」

 

 ところがここでとある問題が発生する。

 やり方はシンプルだ、イヤホンを通して聞こえる音楽に合わせて発光するタッチパネルを触れればいいだけ、なのだが……俺にはまーったくそこら辺のセンスがなかったのだ。

 

「へぶぅっ!?」

「うわっ、ちょっとしっかりしなさいよ!!」

「シンジ、無理しなくていいよ?」

 

 どうしてもタイミングがズレる、手と足がもつれて倒れる、そもそも発光するタッチパネルが覚えられないと……ここに来て、俺自身の能力の低さが浮き彫りになったのだった。

 元々、頭も良くないし、戦闘だってほぼ勘と原作知識に基づいて動いてるだけで、ノリと気合がなければ……こんなもんなのかもしれない。

 

「……まっさか英雄にもこんな弱点があったとはな」

「むしろ三人で正解だったかもね」

 

 そんな大人組の会話を聞きながら、俺はいがみ合いながらも、アスカの動きに食らいつくレイを見る。

 さすが秀才と言うべきか、リズムをほぼ覚えたアスカの動きは速い。

 レイはそんなアスカに必死に食らいついていた。元々、チェロみたいな楽器を弾いていたのだからそらリズム感覚あるっていうね。

 

「どんくさいのよ!! 七光!」

「速すぎるんだよ!! もっと合わせて! シンジが出来ないだろ!?」

 

 うぐぅっ!! とレイの一言に精神にひびが入る。

 結局この日は俺はひたすらに動きだけを覚えるだけとなったが、二人はドンドン速度を上げて競い合うようになっていた。

 ……ホント、才能あるっていいよなぁ。

 そして夜、初日ということもあってか、ミサトさんから部屋のスピーカーから音楽が流れるけど今日はここまでと言われる。

 暫く生活するということで一通りの調理器具があるので、レイがご飯を作ってくれるとのことだが、疲れてるから出前取ろうと言ったら――――。

 

「自分の食べる量わかってる? あと僕がいるのに、僕の料理食べたくないの?」

 

 ダァン!! とまな板に包丁を叩きつけたので、アスカも顔を青くして何も言わなくなった。

 夕食が出来るまで、出来る限り動きとタイミングを覚えようと振り付けと部屋に流れる音楽に集中していると、アスカが振り付けカードを取っ払って、こちらをジト目で見てきた。

 

「こんな単純なのも出来ないの?」

「……だから努力してるんだよ」

 

 アスカの手から振り付けカードを取ろうと手をのばすが、アスカはそれを後ろに放り投げると顔を近づけてきた。

 

「……ガッカリよ、あんたもう少し出来ると思ってた」

「んだと?」

 

 カチンと来て、アスカを睨むが、アスカはフフンと笑うと胸を張る。

 ……レオタードみたいな体のライン出るんだから勘弁してくれ。アスカもレイもスタイル良くて割と目のやり場に困るんだよ。

 

「やっぱり私が一番なのよ。今回のは油断しただけ」

「あぁ、そうだな」

 

 実際、立場が違えばアスカは十分対応できただろう。

 まさか真っ二つになった上、体の内側から爆破されたら2つに分離して攻撃してくると想像できたらそれはもう某機動戦士のNがつくタイプだけだ。

 だがアスカは、あっさりと認めた俺が気に入らないのかふくれっ面で叫ぶ。

 

「何よ!? 余裕ぶってんのあんた!」

「アスカならやれると信じてるだけだよ。実際、俺はあそこまでの操縦テクニックはない」

 

 余裕ではない、シンクロ率が50%を超えたが、アスカに比べるとエヴァの動きがぎこちないのだ。

 それに数年間、操縦訓練してきたアスカの状況判断能力は転校して2週間の訓練内で嫌と言うほどわかっている。

 本当に原作で何故活躍できなかったのか不思議だったが、どいつもこいつも単独撃破に向かなかっただけ、あるいは単一で強すぎる個体ばかりだったからだろう。

 もしも最初からアスカがここに入れば……まぁ、ifを言ってもしょうがないな。

 

「それを余裕ぶってるっていうのよ!! 英雄って言われて調子乗ってるんじゃない!」

「……ただがむしゃらにやってるのが英雄なら、今頃世界はもっと良くなってるよ」

 

 そう、がむしゃらにやっていて世界がどうにかなってればもっと良くなってるはずだ。

 ミサトさんは父親を、赤木さんは母親を、加持さんは弟を、ゲンドウは妻を失った。

 誰もががむしゃらに生きてきたのに、その結果が誰も彼もが心に傷を負ってしまった。言いたいことは沢山ある、だが実際に仕事ぶりを見ると、俺は最初に言った言葉を思い返すことがある。

 大人がやれ……あの時は正しいと思った、だが本当に正しかったのかわからなくなってきた。

 整備員の人たち、一般職員の人たちも十分頑張ってくれてるのはわかる。

 だがエヴァを動かせるのは限られた子どもたち、羞恥心が無いわけじゃないと気づき始めたのはつい最近だ。

 

「バカシンジらしくないじゃない。もっと自信を持ちなさいよ」

「俺らしいって……」

 

 俺らしい……自分らしさってなんだ?

 自分なんてどうでもいいやつが、世界含めた全てがどうでも良くて、たった一つを守るためについでに守っている。

 英雄なんかじゃない、ただ守りたいものを守った結果、みんなを救っているのだ。

 いや、皆じゃない。ラミエル戦やガギエル戦、もっと言えばサキエル戦でも救おうと思えば救えたものはあった、それを全部切り捨てたのは紛れもなく俺だ。

 何が英雄だ、道化師(ピエロ)と言われたほうが幾分か納得できる。

 

「出来たよ……シンジ、どうしたの?」

「んっ? なんでもないぞ?」

 

 先程まで考えていたことを打ち消して、ニッコリと笑顔をレイに向ける。

 一日中動いていたので腹ペコだ……おっ、唐揚げやんけ!

 

「な、何よこの量」

「えっ? これシンジ用だよ? 僕たちはこっち」

 

 山盛りの唐揚げを前に俺はレイたちの言葉は耳に入らない。

 ダラダラとよだれを垂れるのを我慢し、ミサトさんが持ってきてくれた俺専用の炊飯器からごはんをよそう。

 

「いっただきま~す!」

「え、えぇ……?」

 

 アスカがなんかドン引きしてるが、うめえうめえとモリモリ食べていく。

 うん、おいC!

 三十分ほどで三合のごはんと唐揚げとサラダを平らげてけぷっとゲップが出る。

 

「……良く食べられるわね。あっ、シャワー先に入るわよ、バカシンジ覗かないでよ」

「お前の方こそ俺のときに覗くなよ?」

 

 馬鹿言うんじゃないわよ!! と怒鳴られて、アスカは着替えを持ってシャワーに向かう。

 カチャカチャとレイが皿洗いしてるので、手持ち無沙汰だった俺は台所に向かってレイに声をかける。

 

「手伝うよ」

「あぁ、じゃあシンジは拭いて?」

 

 そう言われたので洗って立ててる皿を拭いていく。

 無言で数分経つと、レイは一度手を止めてポツリという。

 

「……アイツ嫌いだよ、僕」

「だが、最悪アスカとレイがユニゾンするかもしれんな」

 

 そう俺が言うと、レイが驚くように目を見開く。

 

「し、シンジ!?」

「いや、正直俺が努力してアスカに追いつくよりも、レイとアスカが切磋琢磨してる姿見るとどうもな」

 

 タオルを置いて頬を掻く。

 実際、ボタンの位置を覚えられるだろうがリズム感だけはどうあがいても間に合わないだろう。

 ……まぁ、レイだとシンクロ率の問題があるがこれを解決する方法は正直一つだけある。

 俺とレイが一緒に乗って、操縦をレイにやってもらうのだ。

 ダブルエントリーではないが、初号機、弐号機ともに俺がレイ、アスカと一緒に乗るとシンクロ率に変動が起きることは確認している。ちなみに実験結果に赤木さんが「シンジくん、解剖していい?」とマジ顔で言われたのは今でもトラウマである。

 

「でも、僕……一度失敗してるんだよ!?」

「誰でも失敗するわ、あんな状況」

 

 というか戦闘結果後から見たら、TV版+新劇の組み合わせだったからな。

 あの状況で狙撃成功してたら、ゴルゴなサーティンばりの命中精度持ってることになるからな。

 

「……シンジがやれって言うならやるよ」

「まぁ、そうならんように作戦まで頑張るよ」

 

 皿を全て拭き終わり、レイの頭を撫でる。

 ……正直、乗らせたくはない。乗らせたくはないが悔しいことに今回ばかりはレイにやってもらうしかないかもしれない。

 心が痛む、乗らせたくないと言いながら結局俺は……。

 そんな悔しさを見せないように、レイの頭をなで続ける。

 

 

 その光景をじっと見るアスカの姿に気づくことは、終ぞなかった。

 

 

 

○○○

 

 

 

 

「「ッ!!」」

 

 ほぼ同時に、アスカとレイの動きが止まる。

 結果は百点、動きも全て完璧だった。

 それを見ていたミサトと加持は拍手をする。

 

「二人共お疲れ様! いよいよ明後日ね」

「いやー、シンジくんも頑張ってるけどこの動きにはついていけないわな」

 

 一人黙々と音楽に合わせてタッチパネルを押すシンジの姿は初日から比べたら格段に良くなっていた。

 だが、アスカとレイというお互いに「コイツだけには負けたくない」という負けん気と才能には遠く及んでいなかった。

 随分と暗くなったシンジの顔を見て、加持は頭を掻きながら歩いていく。

 

「うわっ!?」

 

 汗で滑った手で転びかけたシンジの体を加持が支える。

 

「頑張るのはいいがぶっ倒れるぞ?」

「……まだ、やりますから」

「ココまでだ。君、聞いたけどご飯も抜きにして頑張ってるらしいじゃないか」

 

 肩で息するシンジは加持の言葉に答えず、リスタートしようと装置に手を伸ばそうとするが、加持がその手を取る。

 シンジの瞳が加持を見る、暗い何も映してない目だった。

 

「気分転換しないか? 散歩でも行こう」

「……そういう気分じゃ」

「まぁシンジくんそう言わずに! 男二人で行ってきなさい!」

 

 ちょ、ちょっと!? と焦る声を出すシンジの背を押して、加持とともに外に押し出したミサトは部屋をロックしてため息をつく。

 

「……重症ね、アレ」

「最近ご飯も五杯しか食べないし、心配してたんです」

「十分食っとるちゅーの」

 

 ここ二日ほどでシンジの様子がおかしい、というのはレイからミサトに報告があったが、じつは部屋を監視していたミサトも知っていた。

 明らかに無理をしていたのだ。

 それもそのはずだ、レイとアスカが眠った後、寝たふりをしたシンジが一人黙々とやっているのをミサトは見ていた。明らかなオーバーワーク、だが止めるに止められなかった自分をミサトは責める。

 

「加持ならなんとかしてくれるわ、口だけは達者だから」

「いいなぁ、バカシンジ。加持さんと二人っきりなんて」

「……ホントね」

 

 ドロリと濁った目を一瞬見せたレイに、ミサトは内心、男でもだめなんかーい!! と泣きながらツッコむ。

 そんな様子を一ミリも外に出さない大人ミサトは、二人に作戦を伝える。

 

「二日後、9月11日に使徒再活動と同時に、国連軍による陽動で作戦区域へ誘導。エヴァ二機を射出し、音楽とともに攻撃開始、そのときアンビリカルケーブルは脱着して、全力稼働するから内部電源は持って一分ちょい……質問は?」

「はいはーい! あの腑抜けた英雄さんはどうするんですぅ?」

 

 わざとらしく言うアスカに、レイの奥歯が鳴る。

 ヒェッとミサトは思うが、冷や汗だけで乗り切る。

 

「初号機、つまりレイちゃんと一緒に乗るわ」

「は?」

 

 アスカから怒気が強まる。

 こっちもかぁあああああああ!!! とミサトは冷や汗を増やす。

 

「弐号機のシンクロ率は問題ないけど、初号機はレイちゃん単独じゃシンクロ率が低すぎる、二人合わせてようやく66.6%になるの」

「だったらコイツじゃなくて、シンジでいいじゃない」

「……羨ましいの?」

 

 ッ!! とミサトに抗議していたアスカの言葉が途切れる。

 レイは勝ち誇った笑みで、アスカを見る。

 

「羨ましいんだ」

「違うッ!!」

「違わないよ、視線に気づかないと思ってたの?」

「二人共やめな――――」

「「ミサト(さん)は黙ってて!!」」

 

 語気が強くなる二人に、ミサトが仲裁に入るが、息ピッタリの怒号でミサトの言葉が立ち消えてしまう。

 部屋の内部の空気がよどみ、監視していた諜報部も修羅場だと現場にいる上司に十字を切っていた。

 

「大体、キミってずっとシンジ見てるよね。バカにしてるけどシンジばっかに声かけてさ」

「あんたこそ、鬱陶しいのよ、アイツの後ろにずっと付ききりで! 初日に寝袋に潜り込もうとしてたの知ってんだからね!!」

「ふぅーん、わざとらしく寝言言ってたからもしかしたらと思ったら起きてたんだ」

 

 あざ笑うレイに、アスカの怒りのボルテージがドンドン上がっていく。

 図星だったからだ。

 羨ましい、違う!! そうじゃない!! あいつ(シンジ)は私の憎むべき相手だ! なのにあいつは私を見ない、見たとしてもコイツ(七光)を見る!!

 私はずっと見てるのに、気に入らない!! 気に入らない!!!! 気に入らない(ズルい)!!!!

 アイツとなら凄いことが出来るのに、シンジの動きが遅い? ならこちらで合わせればいいのに、コイツがムキになって、いつの間にかコイツが私のユニゾン相手になった。

 七光のくせに! 本来のエヴァパイロットはコイツのはずなのに!! シンジに戦わせて、なのにシンジが心配するのはいつもコイツだ!!

 

「男女7歳にして同衾せずって言葉知らないの?」

「僕とシンジはいつも一緒に寝てるよ?」

 

 どう羨ましいでしょ? と言いたげなレイの表情に、アスカはブチギレ――――はしなかった。

 そうか、そこまで言うのか。

 シンジの手前手加減をしてたが、もう知らない。

 先に仕掛けてきたのはコイツだ。

 

「へえ、それで? 私とバカシンジは戦場でベストパートナーだったわ」

「……たった一回のシンクロで――――」

「あんた、ヤシマ作戦のときシンジ来るまで泣いてたらしいじゃない。あーあー、いやね、男に頼るやつって、私は頼られたわよ?」

 

 今度はレイの図星をつかれた。

 羨ましい、羨ましい!!!!!

 僕は料理とかで頼られるけど、外ではシンジに頼り切っていた。エヴァだってそうだ、シンジとのシンクロができるから一緒に乗ることを許可されただけだ。

 オペレーターだったから、弐号機内のボイスレコーダーを聞くことが出来たが、羨ましかった。

 お互いを信じあって、補っていた。

 ズルい、ズルい! ズルい!! ズルい!!! そこは僕の席だ! シンジの全ては僕のものだ!!!

 なのにコイツは、僕が出来なかったことを出会って初日でやった。

 悔しい、僕が何年も努力してようやく掴んだ信頼をコイツは出会って数時間でやってのけたのだ。

 レイの独占欲と嫉妬が爆発する。

 

「シンジは僕を守ってくれるって言ってくれた!」

「いい加減気づきなさいよ、七光。そのせいでシンジがどれだけ苦しんでると思ってんの?」

 

 アスカの冷ややかな一言に、レイの熱された思考が冷水をぶっかけられたように冷めていく。

 ……シンジが、苦しんでる?

 

「あんたバカァ? アイツは十分やってるわよ、だけどあのバカはあんたを守ろうとすっごい無理をしてる……夜中抜け出して一人で訓練してるのがいい証拠よ」

「そ、それは」

「だから七光で、あんたはオペレーターなのよ。わかんないなら、完全にエヴァ降りて私とシンジに任せなさい。まぁ、使徒倒すついでに守ってあげるわ」

「その七光ってのを止めろよ!! 僕は僕だ!!」

「碇司令の娘で、エヴァに乗らない臆病者、それがあんたの現在評価よ、七光」

「アスカ! それ以上は止めなさい!」

 

 絶対零度の視線で、レイを見るアスカに、ミサトは流石にこれ以上はとストップをかける。

 アスカも言いたいことを言い切ったのか、シャワールームへとスタスタと歩いていく。

 その場に残されたのはミサトと俯いて震えるレイ。

 

「レイちゃん……気にしなくていいわ、あなたは今回の作戦の要なんだから」

「……」

 

 ミサトがフォローするが、レイにはミサトの言葉は届いていなかった。

 ただ憎しみの目で、アスカが消えたシャワールームを睨みつける。

 

 視点が変わり加持とシンジはジオフロント内を散歩していた。

 ジオフロント内は一種の地下世界である。地底湖があれば、森林地帯もある、NERV本部さえなければ地底の秘境と言える場所であった。

 そこを僅かな光源でシンジと加持は歩いていく。

 

「どこまで行くんですか?」

「そろそろだ……あったあった」

 

 ライトを付けていた加持は、その場にしゃがみこむとシンジにソレを見せた。

 

「俺の作ったスイカだ……食うか?」

「いら――――」

 

 ぐぅーと腹が鳴ったシンジを、加持は笑いながら散水用の蛇口を捻ってスイカを洗う。

 洗い流すとシンジに手渡す。

 

「さぁどうぞ……なーんて冗談だ、向こうで皆で」

 

 ガブリと加持が言い切る前に、スイカにかじりついたシンジは皮ごとスイカを食べ始める。

 ガリィ、バキィ、ジャリジャリと野性味溢れる姿に加持は驚愕で言葉を失っていた。

 数分ほどでまるまる一つあったスイカは、シンジの腹の中に消え去る。

 

「ごっそさん」

「……君の前世は恐竜か?」

「普通に人間だったと思いますよ?」

 

 思い出した前世を信じるなら、と心のなかで付け足すと加持は噴き出す。

 どうやら冗談だと思われたらしく、加持は笑いながら畑にしゃがみ込む。

 

「面白い子だな。ここは俺の趣味でやってる畑でな、誰に食ってもらうわけではなかったが、第一号がシンジくんとはな」

「……」

 

 知ってるとシンジは心の中で思う。

 そして不貞腐れている自分に呆れ果てるが、心が限界に来ていた。

 知っているという罪悪感、助けられなかった罪悪感、結局はレイにエヴァに乗ってもらうという罪悪感でシンジの精神は追い込まれていた。

 それを見透かすように、加持は優しい瞳で畑を撫でる

 

「何かを作る、何かを育てるってのはいいぞ……もっとも第3新東京市を守るっていうでっかいことやってる君に言えるほど偉くはないけどな」

「いや、十分凄いです」

 

 シンジはそうつぶやく。

 農業ってのは簡単なことではないのは確かで、加持はあちこち飛び回っている。

 それでもあれだけうまいスイカを作れたというのは、愛があるんだろうとシンジは思う。

 

「……君がそんなに追い込まれてるワケは知らないさ。レイちゃんがエヴァに乗る……ってだけじゃないだろう?」

「……」

「若いねえ、俺にもそういう時期があったよ。感情がめちゃめちゃになって、当たり散らしたくて、でも出来ない時が」

 

 そういう加持にシンジは質問した。

 

「どう、したんですか?」

「ん?」

「加持さんはその時どうしたんですか?」

 

 このとき、シンジは加持がエヴァンゲリオンという作品のキャラだと忘れ、頼りたい大人として子供の立場で質問した。

 加持は月の光が照らす天井を見上げる。

 

「俺は時間が解決してくれたよ。……いや嘘ついたな、逃げ出したよ、逃げて逃げて逃げ続けて、この歳まで生きてしまった」

「……」

 

 加持の表情を、シンジは敢えて見なかった。

 見てはいけないと思い、見なかった。

 

「だけどな、シンジくん。大人ってのは諦めやすい生き物なんだよ、アレがダメでも生きてるからいい、できてるからいいってな。それを子どもたちに押し付けてるだけって気づきながらもな」

「……俺は」

「諦めたくない、だろ? だけど君のソレは背負い込み過ぎだよ」

 

 加持が立ち上がり、シンジの瞳を見る。

 今まで見たことがないような真剣な表情に、シンジは息を呑んだ。

 

「君がどうしてそこまで背負ってるのかわからないし、敢えては聞かない。けどそのままだと君はそれを背負ったまま死ぬぞ?」

「……別に、いいですよ」

 

 フッとシンジの瞳から感情が消える。

 加持の前だからか、それとも疲れ切ったシンジが甘えたのかわからないが、ハイライトが消えていつもの……いいや、本来のシンジが現れた。

 

「死んでもいい、どうせ死ぬんだから俺はこの体を使い潰します。そうしなきゃ守れないんだから」

「君は……」

「加持さん、俺はさ、レイ以外なんてどうなろうとどうでもいいんですよ。レイが望むから生きてる、ただそれだけなんですよ」

 

 何も感じさせない言葉に、加持の表情が強ばる。

 ここまでか、ここまで絶望していたのかと加持は膝を突きそうになる。

 だが惚れた女のように、加持は足に力を込めて子供に向き合う。

 

「だから、俺は――――」

「それでも君は大勢を助けた、これは紛れもない事実だ」

 

 シンジの瞳が揺れる。

 加持は感じていた、何も感じさせない言葉の奥で怯えているシンジの姿を。

 ただこの子は絶望していただけなのだ、救えない自分に。

 だからこそ、加持は褒めた。

 

「君がエヴァに乗らなければ大勢が死んでいたし、君が行動したから大人が立ち上がって、みんなが君を助けようとしている……まぁそればかりではないけどな」

 

 このシンクロアタックの結果で、碇レイをメインパイロットに押し上げようとする大人二人組を思い出して、少し怒りを覚えるが……どの面下げて言ってるのだと自嘲する。

 そんな大層な大人ではないのだ、加持リョウジという人間は。

 付き合うのが怖くてヘラヘラして上辺だけの存在でいようとする。

 シンジも、ただ重なっただけだ、自分が救えなかった弟に。

 だけども、そうだとしても今いる大人(加持リョウジ)は、心の奥底で泣き叫んでいる子供(三上シンジ)を助けようとしていた、それは事実だった。

 

「だから、だから頼っていいんだ周りを。一人で戦って、倒れちまうぞ? 本当に。もっと頼れ、レイちゃんやアスカを」

「……」

 

 シンジの揺れていた瞳がピタリと止まり、悲しそうに眉をひそめるとシンジは言った。

 

「それじゃダメなんですよ、加持さん。アイツラは、守らなきゃいけない」

 

 無感情だった瞳に意思が灯る。

 力強い意思で、加持は唖然とする。

 絶望していたはずだ、なのに、なのになんでそんな瞳が出来る?

 君は……君は一体――――。

 

「君は、一体なんなんだ?」

「……ロスト・チルドレン、エヴァンゲリオン初号機パイロット、三上シンジ」

 

 それだけ言うと、シンジは天井を見上げる。

 そして誰に言うのでもなくつぶやく。

 

「そして、この世界のイレギュラーですよ」

 

 ニコリとまるで消えてしまうかのように微笑む。

 沈黙が、その場を支配した。

 

 

 




生活続けながら、漫画版みたいにアスカが裸と思わせて服着せてからかったり、レイとアスカがいがみ合いながらもこいつやるじゃんと認め合うシーンだったり、寝てるシンジにレイちゃんがあばれんなよ、あばれんなよ! と言いながら柔らかスマホ押し当てるシーンとか申し訳ないが全てカットだ。
シンジが闇噴き出したけど、ほんへ後半のアスカみたいにレイに追い抜かれたのが少し苛ついてた模様。そしてそんな自分に気づいて自己嫌悪してて精神的に来てる。
さぁて次回どうすっかなぁ(白目)

ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?

  • いいゾ~これ(両方ともIKEA)
  • (ifストーリーだけ)INしてください?
  • (その後の話だけ)はい、よういスタート
  • どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)
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