中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について   作:re:753

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前回のあらすじ 知るバカ!! 俺はやりたいようにやんだよ!! やったよ!(変態クソチルドレン)どうして修羅場が起きるんですが、ドウシテ……。

うーむ、アスカとレイの言い合い延々と書いてられる気がする。もうこれ百合でいいよね!(錯乱)。つまりホモQED!


ショッピングで修羅場になりつつ使徒捕獲に乗り出した件

「バカシンジとショッピングとかさぁ」

「嫌なら帰れよ、アスカ」

「は? あんたに言われたくないわ七光」

「……喧嘩するなら帰るぞ」

 

 なんでこんな場所にいるんだろうと、一応保護者の体で付いてきてくれた加持さんの顔を見る。

 諦めろ、そう言っていた。

 ハァとため息をついていがみ合う、二人に頭を抱える。

 あれ(アスカ引っ越し)から四日、まぁいがみ合うとは言えそれなりに生活ルーティンが出来てきた俺は、たまの休みなので爆睡をしようとしていた。

 なんで毎日レイとアスカに挟まれて眠らなきゃならんのです???? もうね、レイは慣れたのよ、うん、アスカはね、何故か布団に入ってきてね? スタイルいいじゃろ? いいにおいするじゃろ? ……三回抜いてたのが五回を更新してるよ畜生。

 欧米の価値観、というかアスカの距離は近いしこいつ薄着だから、チラチラ胸が見えるんだよ。

 中学生にしては大きい果実が……いや、レイも割と大きいんだがな。

 

「シンジくん、両手に花とは羨ましい限りだ」

「両手に食虫植物の間違いじゃないんですかね」

 

 きれいなバラどころかお互いを食い合う猛獣の方がまだ合ってるわ。

 加持さんのからかいを回避しつつ、俺は水着コーナーを見る。

 この世界では一年中夏なので、デパートとかに水着コーナーは年がら年中だ。というか水着ファッションというのもこの世界では普遍的なものだ。

 まぁ、レイの水着とか他の男に見られるのは嫌だから、そういえばあんま海水浴とかは行ってなかったな……。

 

「シンジ、こういうのどうかな?」

「……なんで俺に聞くんだ」

 

 紫のワンピースタイプの水着を持ってきたレイに頭を抱える。

 まぁ、似合うだろうけどさぁ、男じゃなくて普通同性のアスカに聞かない??

 

「ダサイのよ、こういうので」

「中学生にしちゃ派手じゃないか? アスカ」

「加持さん遅れてるぅ。こういうのが今の流行なのよ!」

 

 ビキニタイプの赤白ストライプの水着を持ってきたアスカに、加持さんは顔がひきつっていた。

 アスカならこういうの持ってくると思ってたが確かに派手だな。絶対に似合うと思うけど。

 アスカは俺を見ると、目を細める。

 

「ははぁん? もしかして着てる私を想像したの? エッチねえ」

「ん? 普通に似合うと思うからな」

 

 からかってくるアスカだが真正面から褒めてやると、顔を赤くして返事に窮する。ハッハッハ、お前さんが褒められ慣れてないのはここ数日の付き合いとTV版情報で予習済みよ。

 いでぇっ!! と足を見るとレイが思いっきり踏みつけていた。

 

「あぁいうのが好きなら僕もあぁする!!」

「はっ、七光の貧相な体で似合うとでも?」

「データ見たけど僕とそんなに変わらないじゃないか!!」

「プライバシーって言葉知ってんの七光ィ!!」

「加持さん、あいつらほっといて飯食いに行きましょう」

「キミ、朝もものすごい食ったって話だったよな?」

 

 それはそれ、これはこれだ。

 たまには外食がしたくなるのだ。レイの味は大好きだが、ジャンキーなものも食いたくなる。

 ただ食いすぎると財布の中身が無くなるからな、実家にいた時は親に土下座したなぁ。そういえば電話してないが元気だろうか、色々ありすぎて連絡してなかったわ。

 言い合う二人をとりあえず止めて、アスカとレイは最初に持ってきた水着を購入した……まぁ、結局のところ無駄になるんだが。今度近場のプールにでも誘ってあげよう。

 てかミサトさんもアスカがすっごく修学旅行楽しみにしてんだから言えばいいのになぁ。

 

「女の買い物にしちゃ少ないな。てっきりシンジくんの両手が塞がると思ってたよ」

「アスカもファッション好きってわけじゃないし、レイもあんま服買わないんで……」

 

 ほぼ手ぶらである二人を見る。

 まぁ、小物類はいくつか買ったが、服は水着くらいだ。

 漫画やアニメじゃ……いやここ、アニメの世界だったわ。

 俺たちは屋上のフードコートに向かう。屋上遊園地も併設されているので、子供連れの人も多い。

 運良く空いているテーブル席に座るとレイたちはランチセットとジュース、加持さんはビールを頼んで早々とテーブルに就いていた。

 

「じゃあここにあるランチ全部」

「ファッ!?」

 

 店員に驚かれたが、いやどうせ量少ないんだからこのくらい普通だろと思う。

 こういうとこは量が少ないくせに金額が高いのがネックだが、朝からここまで歩きっぱなしで腹減ったんだよ。おうあくしろよ。

 店員が引きつった笑みで「て、テーブルにお持ちします」と言ったので、俺はジュースだけ受け取って席に戻る。ちょうど加持さんたちは明日の修学旅行について話し合っていた。

 

「へえ、沖縄か」

「そうなんですよ! 私楽しみ!!」

「京都に行ってみたかったな、僕は」

「家でゴロゴロしちゃダメですかね」

 

 はぁ? と言われるが、元来俺は引きこもり体質なのだ。

 休日とかずっとレイとゴロゴロしてたし、外で遊ぶと言っても山! 森! 田舎!! の三重苦なので遊び場所は少ない。

 いや川とかあるじゃんとか言うなよ。割と危ないからね、地元で遊ばないのはそこが危ないって皆知ってるからで……誰に言ってんだ俺。

 

「せーっかく遊べるのよ? 遊ばなきゃ損だわ! それにスクーバダイビングもあるのよ!」

「水の中見るだけだろ、何が楽しいんだか」

「スクーバか、久しくやってないがシンジくん、やってみると意外と楽しいぞ?」

 

 はぁ、と生返事してジュースを飲む。

 加持さんってホントアクティブだよなぁ、スクーバしかり、畑仕事然り、あとドライブもかな?

 俺には無理だな。

 

「シンジ、サボって二人で家にいる?」

「いいゾ~それ!」

「ダメよ!! バカシンジ! あんた生活してわかったけど、平時はほんっと! ダメ人間ね! 私がみっちり見てあげるから行くのよ!」

「ダメじゃないよ、シンジは」

「お、おまたせしました~」

 

 アスカとレイが言い争っているとトレイを持ってきてくれた店員さんが、顔を引きつらせていた。

 まぁ、言い争ってる二人はほっといて食べよ。

 

「いっただきま~す!」

「……その体のどこに入ってんだこれ」

 

 胃の中だよ、と食べながら加持さんに思念を飛ばす、まぁ届いてないんですがね。

 モグモグと食べ進んでいると、言い争いに疲れたのかアスカが加持さんに話題をふる。

 

「ねえ、加持さんは修学旅行どこ――――」

「バカ、アスカそれを聞くのか!?」

 

 すっかり忘れていた原作の会話を直前で思い出した俺は、アスカの言葉を遮る。

 アスカは怪訝そうな表情をするが、加持さんは苦笑しながら答える。

 

「大丈夫だよ、シンジくん。俺たちのときはんなもんなかったなぁ」

「なんで?」

「……セカンドインパクトだよ」

 

 俺の一言で、アスカが顔を青くする。

 ミサトさんもそうだが、今の三十代には辛い時代だったのは言うまでもない。

 人口の半数が死に絶え、日本も首都に新型爆弾が落とされたという混乱期だったのだ。

 修学旅行どころか、学校すら行けていたか怪しい……まぁ、加持さんのその頃の話は知っている分、俺はあんまり触れたくはなかった。

 

「ご、ごめんなさい」

「いいんだよアスカ。平和になったって証拠でいい……暗い話しちまって悪かったな」

「ホント、口が軽いんだよ、アスカは」

「……何よ、私が悪いっての!?」

「アスカ、レイ、ストップ」

 

 食事を口に運びながら、ヒートアップしそうになる二人に待ったをかける。

 アスカとレイは不服そうに顔をそむけてしまった。ホント、何回口喧嘩すりゃ気が済むんだコイツラは。

 ホント、何回口喧嘩すりゃ気が済むんだコイツラは。

 

「女の扱いがわかってきたねえ、シンジくん」

「ミサトさんにチクって説教、いっときます?」

 

 それだけは勘弁してくれと加持さんが両手を合わせる。

 この間絡み酒されたのが堪えたらしい、まぁ、ミサトさんも加持さんも意地はらずにくっつけばいいのにと思ってしまうが……情勢が許さないんだよなぁ。

 そうしてデパートをまた少し散策した後、仕事があると言われて解散した俺達はウチに戻り、夕食のときアスカが叫んだ。

 

「修学旅行なしぃ!?」

「そっ、シンジくんもレイちゃんもよー」

「やったぜ!」

 

 ガッツポーズをするが、知っていたので申し訳なくなる。

 トウジも向こうで遊ぼうと言ってくれたんだがなぁ……メガネ? やつは沖縄の米軍基地に行きたいとかほざいてたから通常運転でいいじゃろて。

 アスカがぶーたれるが……んー。

 

「ミサトさん、俺がいるからアスカとレイ、あと綾波も行かせられませんか?」

「ダメ。また前のような使徒が来たら対応しきれないわよ」

 

 あー、と俺はダメ元で頼んだ提案を速やかに忘れる。

 確かにこの後の使徒を知らないミサトさんたちは警戒するだろう。

 ホント、サキエルとかあの触手魚って厄介さでは最下位だったんやなって。

 

「零号機は未だ修理中、動けるのは初号機と弐号機なんだから、そのパイロットを行かせられないわ」

「だったらもうちょい早く言ってよ……水着」

「今度プール行こうぜ、皆でさ」

「プールなんて嫌よ! 子供っぽい!」

 

 そういうやつが一番子供なんだがなぁ。

 お茶をすすりながら、レイが漬けてくれた漬物をかじる……うん、大根いい感じだな。

 今度加持さんに言って、畑の野菜もらおうかな?

 

「あと……シンジくんはちょーっち勉強しなきゃねえ」

 

 ビクゥッ!! と俺の肩が跳ね上がる。

 い、いや、嫌じゃ!! 勉強しとうない!!

 

「べ、勉強なんて社会出たら忘れるし……」

「あ か て ん」

「…………お姉さん許して!!!」

 

 土下座を敢行するが、背後から鬼が見えるミサトさんは青筋を立てていた。

 

「百歩譲って宿題はエヴァに乗ってるからいいとしましょう。授業中の居眠りはなぁに?」

「す、睡眠は大事ってそれ一番言われてるから」

「……シンジくん? あなたには皆が助けられてるから皆が志願してくれたわ」

「な、何を?」

「勉強会。喜んで? リツコが主催してくれたのよ」

 

 アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!(魂の叫び)

 絶対スパルタやんけ!! あとそんな時間ないやろ!? あと俺だけじゃないはず!!

 

「レ、レイもだろ!?」

「ごめん、シンジ。僕成績落ちたけど赤点は取ってないんだ」

「赤点って取るの? まぁ国語が面倒くさいだけよね」

「畜生!! 勉強できるからって畜生!!」

 

 エプロン姿のレイは申し訳なさそうに言うが、アスカは出来ないとか嘘でしょみたいな雰囲気で言いやがって、勉強とかわかるかこんちくしょう。

 ミサトさんが笑顔で俺に言う。

 

「戦いが終わった後、勉強できませんでしたとか言えないわよ」

「……」

 

 戦いが終わった、あと、か。

 考えたくないことを言われて、俺は沈黙する。

 使徒との戦いが終わったら、ゼーレが動く。

 戦自による強襲、9機の量産型エヴァとの戦闘、そしてゲンドウによる補完計画。

 全て食い止めて……食い止めたら、俺は死ぬ、エヴァ全機を道連れにしてこの世から消え去るさ。

 だから、勉強なんて……いや純粋にやりたくないだけなんだけどさ。

 

「し、シンジくん? そんなに嫌だった?」

「嫌です(断固たる決意)」

 

 ミサトさんが冷や汗かいているから正直に言う。

 いかんいかん危ない危ない、思考が後ろ向きになってた。

 とりあえずはまだ時間はあるから、どうやって死ぬかは追々決めよう。エヴァは自爆スイッチあるからまとめれば吹っ飛ぶやろ。

 

「シンジ、シチューできたよ?」

「おっほー!!」

「な、鍋そのままって」

 

 鍋ごときたシチューに俺はよだれを垂らす。

 うーん、シチューはご飯にぶっかけて粉チーズが最高だが最初はそのまま食いたいゾ!

 

「いっただきまーす!」

 

 とりあえず後ろ向きは終わり! 明日は明日の風が吹くさーって!

 

 

 

○○○

 

 

 

「ゆ、ゆるし、て、許してクレメンス」

「シンジくん? 私達の貴重な時間使ってるんだから、ホラホラ」

 

 翌日、シンジはNERV本部の一室で大量のテキストを泣きながら解いていた。

 その姿を見るのは赤木リツコ、NERV一の天才。

 そしてオペレーターの伊吹マヤと日向マコトだった。

 マコトはメガネを直すと指摘する。

 

「数式を覚えれば簡単だよ」

「覚えられないやつの気持ちなんてわからないでしょうねえ!! 畜生、数式なんぞこの世に生み出したやつが憎い! なんだよ因数分解って勝手に分解すんなよ、自然のままにしておけよ……」

「シンジくんって時々とんでもない事言いだしますよね」

「時々じゃなくて常時じゃないか?」

 

 うるへー!! と叫びながらもシンジは必死に解く。

 シンジの頭の出来はそれほど悪くないのだが、いかんせん中学二年で死ぬから遊びまくったると割と幼少期は出歩いていたが、悲しいかな、前世でインドア派だった彼は次第に家にいることを選ぶようになった。

 ちなみにレイは、シンジが他人と関わるのを嫌ったため家にいる事自体は歓迎していた。

 やがてシンジの頭が熱暴走しかけたとき、司令室に残っていたオペレーターの青葉シゲルが駆け込んできた。

 

「すいません、赤木博士! マヤもマコトも至急来てくれ!」

「何?」

「先程、浅間山地震研究所より報告があり、気になる影が見つかったとのことです!」

「今すぐ行きましょう! すぐ行こう!! さあ行こう!!」

 

 シンジが立ち上がり、リツコたちに言う。

 だがリツコは内線で電話をかけて、ニッコリとシンジに向かって微笑む。

 

「えぇ、急用が出来たの。代わりに人員を寄越して頂戴」

「……あ、あのう、赤木さん? 緊急事態じゃ」

「シンジくん、あなたの本分は何?」

 

 内線の受話器を戻したリツコはシンジに質問する。

 シンジは叫ぶ。

 

「エヴァパイロットで! ご飯腹いっぱい食うこと!!」

「勉強よ、交代要員を呼んだからこちらで分析結果が出るまで続行しなさい」

 

 マァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! と叫ぶシンジにマヤはクスリと笑う。

 マコトやシゲルは頬を掻きながら苦笑する。

 そのまま交代要員が来たので、リツコたちは情報分析室に向かう。

 既に到着していた冬月は、リツコたちを見るとため息をつく。

 

「家庭教師の真似事をするほど暇かね?」

「パイロットの教育もこちらの仕事だと思いますが?」

 

 嫌味に正論で返したリツコだったが、冬月は興味なさそうにため息をつくと、床にとある写真を映し出す。

 真っ赤な何かと黒い影。

 

「これではよくわからんな」

「……マグマの中に影、ですか」

 

 マグマの影なんてものはよくあることだ、だがそれが推定数十メートル規模のものなら無視はできない。

 

「現地には誰が?」

「葛城一尉が向かって――――連絡です!」

 

 マコトは部屋の通信を受話器ではなく、スピーカーに切り替える。

 

『副司令、こちら葛城ミサト一尉であります』

「状況を報告したまえ」

『研究所の観測機で深度1400の地点で取れた写真を後ほど送ります。青葉くん、守秘回線に切り替えて』

「守秘回線で!? ……いや、それだけ急を要するということか。それで結果は?」

 

 ミサトの真剣な言葉に、リツコは仮説を立て数秒後にはそれが当たっていたことを知ることになる。

 

『副司令、至急碇司令にA-17を要請してください』

「A-17……まさか」

『そのまさかです。これは使徒の幼体です』

 

 その言葉を受け、リツコが内線を飛ばしてNERV本部のプールで遊んでいた綾波、アスカ、レイ、そして完全に熱暴走でポンコツになっているシンジが呼び出される。

 なおシンジは本気で知恵熱が出ているため、頭に氷嚢を乗せていた。

 集められた四人は、情報室で先程守秘回線にて送られてきた写真を見る。

 そこにはくっきりと人間の胎児によく似たナニカが映っていた。

 

「使徒?」

「ミサトは幼体と言ってたけど正しくは完成体になってない蛹のような状態よ。つまり、捕獲出来る」

「……マグマの熱の中で成長中って、今のうちに殺したほうが良いでしょ」

 

 氷嚢でいくらか正気に戻ったシンジは提案する。

 この後どうなるかがわかっている彼にとって、原作通りの展開ではアスカの安全を保証できない。

 

「シンジくんの懸念もわかるわ、でも捕獲できれば使徒のことを理解できるかもしれない。敵を知り己を知れば百戦殆うからずってね」

「やぶ蛇を突くなってありがたい言葉もありますけどね」

「何? シンジ怖いの? だったら今回は弐号機単独でやるわ、良いでしょ?」

「初号機で行く、万が一があったら」

「今回は弐号機よ、シンジくんは現場待機」

「私は?」

 

 リツコの言葉にアスカはガッツポーズを取る。

 シンジは不服そうにするが、ここで言ってもしょうがないのでいざとなればそのまま突っ込むと意気込んでいた。

 綾波の質問にリツコは答える。

 

「零号機は修復が終わったとは言え、未調整部分が多い上に特殊装備は規格外なのよ。だから本部にて待機」

 

 綾波はその言葉に、寂しさを覚えて隣に立っていたシンジの手を握る。

 レイがむっとするが、自分への命令がないためリツコに質問する。

 

「あ、あの僕は」

「レイちゃんもお留守番よ。現地オペレーターは伊吹マヤ、日向マコトの両名になるわ」

「ざーんねん、温泉入れないわね、七光ぃ」

「いちいち煽るのは止めろよ」

 

 だが、レイも心配なのかいつもみたいに言い争いはしない。

 レイにとってアスカはシンジに纏わり付くハエであった。だがただのハエではない、自分に食って掛かるやつなんていなかったレイにとって、アスカの行動は新鮮であり、ある種の心地よさを感じていた。

 それはアスカも同じであったがお互いに何も言わない、敵だと思っているやつなんて心配しない。

 そんな子供らしい感性のぶつかり合いに、気づいていたリツコは笑う。

 そしてリツコは綾波レイの行動に驚いていた。

 シンジの手を握る行為は興味深かった。まるで人間らしい感情が芽生えたかのように……そんな姿を誇らしく思う自分に、リツコは驚いた。

 

(……バカね、そんな資格、ないのに)

 

 ダミープラグを作っている自分を思い、リツコは自嘲する。

 そんな資格は自分にはない、そう思いつつも最近の綾波レイの成長を好ましく思っている自分を、リツコは否定しきれなかった。

 

「作戦は早さが求められます。既に弐号機は特殊装備Dに換装が済んでいます。レイちゃん以外の三人はプラグスーツに着替えた後、格納庫に集合してください」

 

 はいと返事したシンジ、アスカ、綾波は走っていく。

 ポツンと取り残されたレイは、一抹の寂しさを感じた。

 ……シンジが守ってくれるのは嬉しい、だけど一緒に戦いたいという気持ちはあった。

 あんなに気持ち悪いと思っていたLCLが懐かしい。

 最後にエヴァに乗ったのはユニゾンアタック作戦の前日、それ以後は一度もなかった。

 もはや、初号機パイロットは三上シンジ、そうNERVの職員は思っていた。

 

「……エヴァがあればな」

 

 そうつぶやいたレイは、歩いて司令室に向かった。

 

 

 

○○○

 

 

 

「A-17、資産の凍結も含まれている特例」

「えぇ、NERVの命令でしたから」

「止めなかったのは何故?」

 

 加持はとある女性とロープウェイに乗っていた。

 NERVの監視網から抜け出し、密会しているのは危険な恋のためではない。彼女はとある日本政府の関係者だった。

 責めるような口調に、加持は心外だと感情を乗せて話す。

 

「理由がありません」

 

 そう理由がない。

 使徒の捕獲、それができれば最高だ。

 特に使徒に備わっているとある機関の情報はどの国も、日本でも狙っていた。

 さらには今回は完成前の個体、精製方法さえわかれば人類は無限のエネルギーを手に入れたも当然だったからだ。

 

「失敗は許されないのよ」

「……彼がいます」

 

 その言葉に女性はため息をつく。

 

「三上シンジ……」

「そう、今の所現れている全ての使徒と戦い、その全てを殲滅している人類の希望ですよ」

 

 加持はこころにもないセリフを言う。

 希望? 彼はただの子供なのにな、そう言えたら加持がどれだけ楽か、考えないことはなかった。

 女性はため息をつく。

 

「彼経由で情報を」

「無駄ですよ、彼の周りには常に諜報部が張り付いている……もしも妙な動きをすれば即座に射殺されますよ」

 

 ふぅと女性が重ねてため息をつく。

 加持は心の中でシンジに懺悔する。自分の行いは恥ずべきものだが、真実のためだと無理やり納得させる……心のなかで燻っている感情に、加持は目を背けた。

 

「なんとしても情報を」

「えぇ、こっちもそれが仕事ですから」

 

 その一言で、女性は黙り込む。

 加持は窓の外を見ながら二機の飛行機が飛んでいくのが見えた。

 赤と紫の外装が見えて、加持はせめてと無事に終わるように祈った。

 

 

 




ちなみに因数分解は確か中学三年からだった気がするけど、あのネタぶち込みたくてやったゾ。元ネタのゲームは今でも遊ぶくらいには好き。
正直、ダイジェストにしてバルディエル戦まで時間飛ばしたい(ダメ作者)
原作でも唐突に出た加持と話す女性だけど、確実に日本政府の連絡要員だよね。

9月23日追記、メガトンコインしたので9月24日の12時投稿します。読者さん許して! まぁ、一日くらい投稿しなくても……バレへんか

ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?

  • いいゾ~これ(両方ともIKEA)
  • (ifストーリーだけ)INしてください?
  • (その後の話だけ)はい、よういスタート
  • どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)

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