中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について 作:re:753
一日休んだと思ったか馬鹿め! 結局コレ書くのに深夜三時までかかったわ!!(展開ガバ)。睡眠ガバには気をつけようね!(一敗)
とりあえず一日休んだけどストックなんてないから連日更新はいやーキツイっす。
あとランキングから名前消えたぜやったぜ(精神回復)まぁ、もう浮上せんじゃろ、ようし! もっとに好きに書くぞ!
「oh……」
「見んなつってんでしょ!!」
プラグスーツに着替えた俺はあまりの惨状に目を覆う。
でっぷりと
まぁネタばらしすると耐熱装備仕様のプラグスーツを着込んだアスカと潜水服のような防熱アーマーに身を包んだ弐号機がいるんだが、アニメ通りこれ女子にはキッツイだろ。
「今から代わるか?」
「冗談いわないでよ!!」
「可愛い」
「「えっ!?」」
綾波の一言に俺と赤木さんが仰天する。
可愛い? あの綾波レイがそう感じたのか!? あまりの衝撃に固まっているとアスカが食って掛かる。
「ファースト、あんなのがいいの!?」
「……可愛く、ないかしら?」
うっ、とアスカが言葉につまる。
プライド抜きにすると同意する部分あったのかもしれなん。見た目○イマックスやし、ガラスから見える弐号機もいいアクセントになってると思う……まぁ、俺が言えば、あんたバカァ!? のお決まりなセリフ言われるだろうが。
そういえばアニメ版でもそうだったが、頭には何も被せないのか?
「そういえば頭は保護しないんですか?」
「インターフェース・ヘッドセットとの同期が取れなくて……やむ無しなのよ。でも安心しなさい、アスカ、エントリープラグも局地戦を想定したものにしてるから温度は上昇してもそれほど暑くはないわ」
「こんな格好で人前に出るとか乙女の恥よ!! シンジが行って!!」
……まぁ、一応アスカ込みなら弐号機に乗れるんだよなぁ。
問題は単独でどこまでシンクロできるかだが――――いや待て、今までスルーしてたがなんで乗り込める? エヴァには固有パターンがあって、O9システムとかいう低確率のそれ起動すんの? と言わんばかりのシステム搭載、オマケにコアは各パイロットの母親が使われてる。
……ただのモブがそうホイホイシンクロできるほど簡単なものじゃないのに、なんでだ?
湧き上がった疑問が俺を支配しかけるが、頭を振って追い出す。
まぁ、代われるなら代わってやりたいのは事実だし、やるか。
「いいぞ、とりあえずぶっつけ本番でシンクロやってみっか」
「ッ!! 少しは躊躇しなさいよ!!」
バシーン!! とまた叩かれる。
しまった、アスカのプライド傷つけたかと思うが、手を出したアスカはひどくびっくりしたような顔でこっちを見ていた。
あっ? どうしたんだ?
「ご、ごめ――――」
「あたしが出ます」
右手を上げた綾波だったが、何か言おうとしたアスカがその手を掴み、下げさせる。
「ファースト、あんたには私の弐号機に触れてほしくないの、悪いけど!!」
原作通りの展開となり、アスカは乗り込むことを承諾した。
弐号機はD型装備、初号機はB型装備なのでクレーンゲームの景品のごとく吊り下げ空輸をされることとなる。
なんというかこの空輸の仕方は、某機械の龍を思い出すな。空中でパージしてブースターで突貫するシーンがかっこよくてなぁ。まぁブースターもないから、切り離されたら自由落下するしか無いんだがな。
『輸送方法までかっこ悪いとかなによこれ!!』
「まぁ、その図体じゃ前みたいにジョイントして空輸は不可能だからなあ」
『クレーンゲームの景品じゃないのよ!? 全く!』
ぶつくさと文句を言うアスカをなだめつつ、数十分ほどの飛行を楽しむと山が見えてきた。
通信が入る。
『初号機、切り離し用意!』
「えっ」
『切り離し!!』
フッと感じる一瞬の浮遊感、のちに落下し凄まじい速度で俺は地上へと落下する。
先に言っとけよ!! と思いつつATフィールドを展開しスーパーヒーロー着地(膝つかないバージョン)を行う。ジーンと両足にカンディル衝撃を耐えつつ、上空を見る。
ゆっくりと速度を落としつつ旋回して降りてくる航空機を見る。
まぁ、落下なんぞさせたらどうなるかわかったもんじゃないしな……ただアレVTOLみたいにホバリング出来るタイプじゃないんだがどーすんだろ。そう思ってるとミサトさんから通信が入る。
『シンジくん、申し訳ないけど降下高度ギリギリから降りてくる弐号機を受け止めてほしいの』
「下手したらD型装備壊れますよ?」
『安心して、地面スレスレで切り離せるよう森を伐採したから』
自然保護団体が聞いたらブチギレそうだぁと思いながら、俺は指定された場所まで移動する。
ポッカリと空いた穴のように開けた場所で、ゆっくり旋回しながらこちらに向かってくる航空機を見る。
操縦士の腕がいいことを祈るぜ。
『シンジ、私の合図でATフィールド展開、3、2、1よ』
「チャー、シュー、メーンじゃだめ?」
『ソッチのほうが暴食バカにはいいか』
おいゴラァ!! とアスカに言うが降下タイミングのため、通信が一旦切れる。
チャンスは一度切り、原作じゃどう降りたのか知らんがったく空輸も考えておいてくれよ。
航空機の機首が下がり、こっちに突っ込んでくる。
あとはアスカのタイミング次第だが……唾を飲み込み、集中する。
『行くわよ!! チャー!』
「シュー!」
『「メーン!!」』
切り離された弐号機を受け止めながら、ATフィールドで衝撃を打ち消そうとするが、あまり強力だと弐号機を弾き飛ばしかねない。打ち消しきれなかった衝撃を足で踏ん張って受け止める。
「ぐっ、お、重い」
『はぁ!? 女に向かってなんていうのよ!!』
「エヴァの重みだ!! というか叫ぶな!! お前みたいに操縦上手くねえんだ、よっ!!」
衝撃を受け止めきったので、弐号機をゆっくりと降ろす。
多分アニメだとポヨンみたいなSE使われそうなゆるきゃら弐号機が大地に立った。
……うん、某猫型ロボットみたくもあるな。
『シンジ、変なこと考えてないでしょうね』
「おっ、そうだな」
通信で見えるアスカの顔から目をそらす。
そこで一旦エヴァの電源が切れるが、付近に用意されていた電源車からアンビリカルケーブルを接続され、再起動した俺達はミサトさんたちが待機している火口付近へと進んでいく。
D型装備の歩き方が面白いが、絶妙な操縦テクニックでやってるのがよくわかる。
言ってしまえばエヴァの操縦は自転車と同じだ、体が感覚を覚えるまでは難しいが覚えてしまえばあとはなんとかなる。だがD型装備は動きにくい上に、重量もある、相当エヴァの操縦を熟知していないと無理なのだ。
さすがのアスカも余裕がないのか、無言で歩き続ける。
侵入予定の火口付近に到着するとふぅーっと息を吐くアスカの声が聞こえる。
「おつかれ」
『ここからよ』
『えぇ、そうね。作戦を伝えるわ、今回は使徒の捕獲、ただし無理だと判断すれば即座に殲滅に移行するわ……あとシンジくん、くれぐれも! 本当にくれぐれもだけどマグマにダイブするとかしないでね!!』
「そんな命知らずいんの?」
『あんたの今までの戦い思い出しなさい!! このアンポンタン!!』
絶叫するミサトさんからの声に耳をふさぐ。
冗談のつもりだったのにな。てか原作シンジくん凄いよな、アスカがヤバイと思ったからマグマダイブ敢行するとか、俺は精々ビームの中走るくらいだわ。
弐号機の周りに人が集まり、最終点検と吊り下げ用のクレーン車との接続を確認していく。
俺は手持ち無沙汰となり、空を見上げると三つの光点が見えた。
おそらくは国連軍の爆撃機なんだろうなぁ。
『シンジ、見える? あれ、何かしら?』
『国連軍が空中待機してるのよ』
『あぁ、手伝い?』
そんなアスカにオペレーターのマヤさんが冷たく答える。
『後始末、私達が失敗した後のね』
『どういうことよ!!』
「大方、前回の使徒みたいに遅延させるのが目的なんだろ。ただ今回のはマグマとかいう極限環境で育ってるやつだし、どこまで効くのか知らんけど」
よくもまぁ、こんな「失敗したらわかってるよな? ん? わかってるよな?」みたいな脅しやるわ。
『そんな命令誰が出すのよ!!』
『碇司令よ』
多分A-17発令のため、飲んだ条件だろうがよーやるわ。
ATフィールド展開できるエヴァは生き残るだろうが、地上要員は全滅するぞ。オマケに作戦指揮官、技術部のトップまるごと焼き払うとか正気じゃねえわ、あのマダオ。
そんなことを考えていると、何かが車両で運び込まれる ……なんだ、あのデッカイ槍は。
『ミサト、何アレ?』
『まーた蔵前所長が送ってきた武器よ。トライデント……極地戦闘用の槍らしいけど、情報部、情報流してんじゃないでしょうね』
ミサトさんのため息が聞こえる。
蔵前……戦自研の所長らしいがよくもまぁ、次から次へと武装送ってくるもんだ。ただ今回のはドンピシャ過ぎて情報漏えい疑うけど、無理もねえわ。
『ただ使えるものは使います、アスカ、右腕に耐熱バンドで固定するから万が一のときは突きなさい』
『はぁーい!』
右腕に槍、左足にプログナイフと原作よりも重装備だが……アイツには勝てるかどうか。
『エヴァ弐号機、点検終了!』
『ではレーザーにて溶岩を融解させた後、作戦を開始します!』
そのミサトさんの一言で、俺はアスカに通信を送る。
「いざとなれば飛び込むからな」
『……要らないわよ!!』
そう怒鳴るアスカは、通信を切ってしまう。
頼むぞ、オカアサン、娘を守ってやってくれ。
○○○
『進路確保!』
『弐号機、発進位置です!』
『了解、アスカ、気をつけてね』
無言で頷くアスカは腹が立っていた。
どうしてシンジは私に任せようとしないの!! どうして弐号機に乗り込もうとするの!! 私のほうが操縦技術も操縦時間も上なのにどうしてアイツは付いてくるの!!
憎い!! 本当に
イライラする、アイツにとって私は碇レイと同じ守る対象なのだ。
違う! 私はアイツとは違う! 守られるだけの存在じゃない! アイツと対等の関係のはずだ。
なのに、あいつは対等に見てくれない、まるで子供を見る大人のように見てくるのが嫌!!
『……発進!』
ミサトの言葉に、クレーンから降下していく弐号機。
それを心配そうに覗き込む初号機が見えて、アスカの感情が高ぶる。
なんで!! なんで!!! なんで!!!!!
イラつきで何も言わずに溶岩に入っていく弐号機。
LCL内の温度が温まってくるが耐えきれないほどではない。
しかしエントリープラグ内の視界はゼロに等しい。アスカは無線で呼びかける。
「CTモニターに切り替えます」
視界が辛うじて降下していく様子が分かる程度だ。
各部は問題なし、武装を固定している耐熱バンドも今のところは大丈夫だが、間に合せの固定バンドだ、どこまで持つかわかったものではない。
オペレーターの無線が入る。
『900、950、1000、1020、安全深度オーバー』
目標は1300だが、目標地点まで降下しても目標は見つからない。
あそこまで大きいのであれば見つからないはずがないが、思った以上に対流が速いというリツコの無線が聞こえる。
『再計算、急いで。作戦続行。再度沈降、よろしく』
『えぇっ!?』
ミサトの命令にオペレーターが怪訝な声を上げるが、アスカはぺろりと唇を舐める。
覚悟はしていたことだ、そう簡単に終われば苦労はしない。
たった二戦しかしてないアスカだったが、使徒の厄介さは身に染みていた。
限界深度の1480まで行くと各部位にもかなりの圧力がかかる。
ギギギッという嫌な音の後に、何かがひしゃげる音がして警告音とオペレーターの切羽詰まった声が聞こえる。
『第二循環パイプに亀裂発生』
『アスカ……ッ』
「黙っててバカシンジ!!」
初号機との通信をカットする。
心配するな! と憤慨するが、不安な気持ちが一瞬和らいだのを感じて、アスカはさらに苛ついた。
ミサトの通信が入る。
『アスカ、大丈夫?』
「ミサト、あのバカが飛び込まないように見張っててね。シャワー浴びたいって気持ち以外は大丈夫よ」
『終わったら温泉に行きましょう。もう少しだけ頑張って』
温泉! と喜んだのもつかの間、固定してたプログナイフのバンドが圧力に耐えきれずに破損し、プログナイフが機体から離れていく。
『プログナイフ消失!』
『トライデントのバンドは!?』
『槍が大型だったため、三箇所巻いていたのが功を奏しました。なんとか耐えられます』
右腕に固定されていた穂先が三叉の槍、トライデントは失われることはないとわかるとアスカはホッと一息つく。
機体各部、接続されたパイプからメキメキと鳴ってはいけない音が鳴り響くため、流石のアスカも冷や汗を隠しきれない。
機体の装甲が圧壊すれば死ぬ、吊り下げている接続が切れても死ぬ。
それがわかっているため、オペレーターは咎めるように叫ぶ。
「葛城さん! これ以上は! 今度は人が乗っているんですよ!!」
先に潜った観測機が圧潰した地点をとっくに過ぎ去り、パイロットの身を案じた発言だったが、ミサトは表情を変えずに言う。
「この作戦の責任者は私です。続けてください」
オペレーターはそんな冷たい言い方! と言おうとして止めた。
服を引きちぎらんとばかりに握りしめているミサトの姿があったからだ。
ミサトだって、こんな場所に虎の子のエヴァと『家族』を送り込みたくはない。
しかし作戦指揮官として甘えは見せられない、そんな業務と私情の間に揺れ動いていたミサトの姿を指摘する者はいなかった。
『深度1780,目標予測修正地点です』
アスカはその言葉で周囲をよく見て、下から見えてくる巨大な黒い影を視認した。
「目標発見!」
『目標を映像で確認!』
『捕獲準備よ、アスカ。対流に流されてるから、これを逃したらチャンスはないわ』
アプローチは一回だけ、機体各部位も限界であったし、これを逃せば強制回収されるだろう。
そう考えたアスカは慎重に目標との相対速度を合わせながら、軸線に乗ろうとする。
目標接触まで三十メートルのところで、相対速度と軸線が重なる。
『相対速度2.2……電磁柵展開!』
目標が両手に持っていた電磁柵に入ったのを確認し、展開する。
衝撃で弐号機が傾くが電磁柵にすっぽりと入った使徒を確認するとシンジを除く全員が息を吐く。
『はぁ~、アスカよくやったわ。浮上準備』
「どうよ、バカシンジ! やったわ!!」
『……』
無言のシンジにアスカは寂しい気持ちになる。
シンジなら褒めてくれると思ったのに……そんな気持ちが浮かび上がって、アスカはそれを打ち消すように叫ぶ。
「な、何よ!! なんか言ったらどうなの!!」
『……アスカ、油断するなよ。トライデントをいつでも使えるようにしとけ』
その一言にアスカ含めた全員が怪訝な表情をする。
まるで戦闘準備をしろと言わんばかりのシンジの言葉に疑問を持ったのだ。
『シンジくん? 不安なのはわかるけど捕獲出来たんだし、不要な言葉は――――』
『相手は使徒だぞ? ビーム出す、触手は叩きつける、粒子砲ぶっ放す、泳いで食らいつく、挙げ句は分裂だ……何が起こってもおかしくはない』
その言葉に緊張が解けたミサトたちは再度気持ちを引き締め直す。
そうだ、自分たちが相手をしてるのは人知を超えた存在、使徒、捕獲できたからと安心できる相手ではないと思い直したのだった。
それに面白くないのがアスカだった。
「何よ!! 専門家ぶって!! 少しは褒めてくれてもいいじゃない!!」
『戻ってきたら幾らでも褒めてやる、だから油断すんな!!』
「何よ!! こんなときに七光にだったら褒めるんでしょあんたは!!」
『レイは関係ないだろ!?』
「うっさいこのバカッ!! 人の気持ちも知らないで!! 私が――――」
『目標に変化ありッ!!』
その言葉に言い争っていたアスカは言葉を止める。
目の前の卵型の影がドンドン変化していくのだ。
それは情報が送られてくる指揮車両でも確認できた。
使徒の形状が変化し、人の胎児から触手のようなものが生えたナニカへと変貌する。
『羽化を始めたの!? 早すぎるわ!』
『作戦中止、電磁柵を放棄して!!』
驚愕するリツコを無視して、パイロットと機体の安全を確保するためミサトは間髪を容れずに作戦中止をアスカに伝える。
アスカも、危険だと判断しすぐさま電磁柵から手を離す。
ゆっくりと沈降していく電磁柵からは巨大な手の指のような触手が何本も見え、そのうちの一本は弐号機を捕まえようと伸ばしていた。
電磁柵を保持したままなら掴まっていただろうが、電磁柵の切り離しと巻き上げのおかげで使徒の触手は弐号機を捕らえることはなかった。
『俺が行く!!』
『バカ言わないで!! 初号機はB型装備なのよ! それに耐熱処置をしてないエヴァじゃ保たないわ!』
「ハン! そこで華麗なアスカ様の戦いぶりを見てなさい!!」
右腕のバンドの接合部分で小規模の爆破が起き、固定していたバンドから三叉の槍が開放される。
『アスカ、無理はしなくていいわ。とりあえず使徒を近づかせないで』
「ミサト!! 私の実力が……チィッ!!」
ミサトの言葉に反論しようとしたアスカは、思考を戦闘だけに集中させる。
古代の海洋生物のような姿の使徒は、このマグマという極限環境で自由に泳いでいた。
凄まじい速度であったが、対応できないほどではない。突っ込んでくるのと同時にアスカはトライデントを前に突き出した。
槍の穂先が使徒に当たるが、火花が散るだけで有効打にはならない。
「バラスト放出ッ!!」
腰部にマウントされていた重しを強制脱着させる。
浮力を得た弐号機の機体が浮き上がり、なんとか使徒の突進を回避するがアスカは叫ぶ。
「硬すぎるわよ!!」
『この極限状態で活動できる生物よ、その皮膚は強固なのは予想できるわ』
リツコの冷静な言葉に言いたいことがあったが、アスカはとりあえず使徒の動きを注視する。
しかし、視界不良の中捉えることは難しく弐号機の視界から使徒が消える。
どうする? どうしたらいい? 訓練ですら想定していなかった環境での戦いはアスカの精神を確実に削っていた。
槍の直接攻撃は効かない、相手の方が速度がある、ATフィールドは……ATフィールド?
「……そうか、ATフィールド」
『アスカ?』
あのときとは違う、隣にはシンジがいない。
想像通りの使い方が出来るなら、この状況を打破できる可能性がある。
だが訓練では防御フィールドとしてしかATフィールドは使用ができなかった。
訓練?
じゃあ私に出来ないのか? 違う、私は――――
「そう、私はエリートパイロット! 惣流・アスカ・ラングレーよ!!」
『アスカッ……もう何も言わない!! 頑張れ!! アスカ!! 弐号機!』
シンジの言葉に、アスカは歓喜した。
私を信じてくれた、私に任せてくれた、
瞬間的にシンクロ率が上昇し、弐号機の頭部拘束が展開され四つ目が光り輝く。
『使徒急速接近!!』
オペレーターの声に、アスカは操縦桿を握りしめる。
思い出せ、あのときやったことを、海の上で使徒を止めたとき私はどうした?
操縦技術? シンクロ率? いいや違う、必要なのは!!
「根性ォオオオオオオオオオオッ!!!」
突っ込んでくる使徒に向けて左腕を突き出す。
ATフィールドが展開される。いつものアスカのATフィールドならたやすく突破されただろうが、高いシンクロ率と負けたくない気持ち、そして
ギギギギッ!! とATフィールドと使徒が接触し音を立てる。
質量と速度、単純明快な質量兵器と化した使徒だったが数秒ほどATフィールドに頭を擦り付けるものの、次第に勢いが弱くなり、静止する。
ATフィールドを解除し、アスカは槍を力いっぱい引くとそのまま突き出す。
突き出す槍の穂先に意識を集中させる。
穿け、穿け、穿け穿け穿け穿け!!!!
「いっけえええええええええええええっ!!!」
ATフィールドをトライデントに纏わせるように展開する。
形状を変化させ、先を尖らせ、使徒の体に刺突させると先程弾かれたトライデントが使徒の体に突き刺さる。
『凄いっ!』
『まさかATフィールドの形状を変化させて、武器の威力を上げるなんて!?』
ギィイイイイイイイイイイイイ!!! と甲高い声で叫ぶ使徒の体にトライデントの穂先を深く食い込ませる。
皮膚の表面がどれだけ固くても、皮膚内部は幾分か柔らかい。
火花と使徒の血が流れ出し、使徒は痛みと体内部に流れ込むマグマに苦悶の声を上げて口を開けた。
トライデントを引き戻して、アスカは一瞬息を吸い、そして息を吐くのと同時に再びATフィールドを纏わせた槍を口元に突き出す。
「こんちくしょぉおおおおおおおおおお!!」
口内部にトライデントが突き刺さる。
口を開けてもマグマを意にも介さない使徒だったが、自身を切り裂く武器と体内部に流れ込むマグマの力には為すすべがない。
使徒特有の自己修復もあるが、再生しようとするもマグマによって傷口が焼かれて再生が思ったように上手く行かない使徒であった。
いくらこの極限環境で動けるとは言え、怪我をしても大丈夫というわけではない。
そしてそれを見逃すほど、アスカという少女は優しくもなければ甘くもない。
「ずぉりゃあああああああっっ!!!!」
両手で槍を保持すると、そのまま槍の穂先に纏わせるような形状だったATフィールドの形を、斧のような形へと変貌させて振り下ろすように力を込める。
超硬質の皮膚のせいで中々進まないが、徐々に亀裂が入っていく。
使徒が弐号機の体に手をのばすが一歩遅かった。
「な、め、ん、じゃ、ないわよぉおおおおおおお!!!」
渾身の力を込めた弐号機の攻撃が使徒の体を輪切りにした。
苦悶の声をあげようとした使徒だったが、体内部にあったコアが直接マグマに焼かれる。
ATフィールドもあるが流石にコアはそこまで耐久力があるわけではなく、ものの数秒で融解していく。
コイツだけは……と最後の力を振り絞る使徒は掴んでいる弐号機の右腕と左足に力を込める。
だがアスカは冷たく言い放つ。
「死ぬなら一人で死になさいよ。装甲、パージ」
D型装備はエヴァよりも一回り大きく出来ている。
何がいいたいかと言うと、緊急時は両腕、両足は着脱することが可能なのだ。
掴んでいる右腕と左足が切り離されて、使徒の体が徐々に黒ずんでいき消えていく。
次の瞬間、使徒の体が光り爆発する。
『自爆!?』
「きゃああああああああああっ!!??」
ミサトの言葉に反応する暇もなく、爆発の衝撃で上へと押し上げられる弐号機に乗るアスカは悲鳴を上げる。
視点を地上に移ろう。
使徒の爆発を観測した指揮車両内でリツコが叫ぶ。
「いけない、このままだと爆発の衝撃で押し上げられたマグマが噴火のように降り注ぐわよ!?」
「総員退避ッ!!!」
『作戦指揮官殿、馬鹿言わないでくれ、弐号機の引き上げがあるんだ、俺は動けねえよ!!」
ミサトの一言で地上要員が一斉に退避するが、弐号機を吊り下げているクレーン車の作業員だけは拒否する。
「死ぬわよ!」
『構わねえ! あのとき初号機パイロットに救ってもらった命だ!! ここで使わないでいつ使うんだよ!!』
ミサトの声にそう返答した彼は、ラミエル戦でも作業をしていた者だった。
あの粒子砲の中、恐怖に屈しそうになった彼は必死に走るシンジを見ていた。
大人が、屈しちゃいけねえ!! と彼が信条にしたのはこのときからだ。だから彼は見捨てない、自分が死のうが引き上げだけはやり遂げるのだ。
「……ッ」
『早く行ってくれよ!! 作戦指揮官殿!!』
「後退、してください!」
悔しさを滲ませた声でそう命令したミサトに、オペレーターは何も言わずに後退指示をドライバーに伝える。
次の瞬間、火口から凄まじい量のマグマが噴き出し辺りに飛び散る。
ちょうどダマのように大きな塊のマグマがクレーン車へと降っていく。
『ッ!!』
作業員はゆっくりと降ってくるマグマを見ながら自身の死を覚悟した。
だが彼の死は今日ではないらしい。
「うぉおおおおおおおおおおおおっ!!」
初号機が飛び上がりATフィールドを張りながら、マグマを受け止めた。
全身にマグマを浴びた初号機から蒸気が発生する。
『し、シンジくん!!』
「こなくそぉおおおおお!! やってやりゃあああああああああ!!」
ヤケクソ気味にATフィールドを張りながら、クレーン車を守る。
だが守る範囲とマグマの量では圧倒的にマグマの量が上であった。
マグマを受け止める初号機の各装甲が溶ける。シンクロしているシンジは全身を焼かれるような痛みが走っているはずだが、それを無視するように動くシンジは無我夢中だった。
このままじゃ後方に下がった指揮車両もどうなるかわからねえ!! でも守りきれない!! あっ、そうだ(唐突)とシンジの頭の中に旧劇にて、ATフィールドを掴み振り回す弐号機の姿が思い起こされた。
やれるか? やるんだよ!!! とATフィールドを張りながら手で掴む。
すると勢いよく振り回しマグマを弾き飛ばす。
『科学なんてクソよクソ』
『リツコしっかりして!!』
もはやアスカとシンジのATフィールドの使い方に、自身の科学力がアヘ顔ダブルピースをしているリツコはフラフラと眩む頭を抱えながら嘆く。
ミサトもあんのバカまたやりおったとエヴァの修繕費を考えて憂鬱となる。
「弐号機急浮上! 400、300、200……来ます!!」
『もういやぁああああああああ!!』
爆発の衝撃で急浮上……いいや、吹き飛ばされた弐号機が天高く飛び上がる。
クレーン部分に負荷がかかり、クレーン車が横転しかける。
指揮車両内に緊張が走る。
「縁の下の、力持ちぃいいいいい!!!」
そこを強引に初号機が横転しようとする側の反対側を持って、無理やり体勢を立て直す。
作業員はそんなシンジを信じて、目一杯ケーブルを引き戻す。
火花が散りながらケーブルを巻き戻すクレーン、そして弐号機は振り子のように振られ中のアスカはもう叫ぶしかなかった。
徐々に動きが弱くなり、完全にケーブルが巻き戻ると弐号機の動きが止まる。
沈黙が場を支配する。
「……作戦、終了」
『「はふぅうう」』
その場にいた全員が息を吐く。
シンジはアスカに通信を入れる。
「アスカ、よくやったな!」
まさかの原作とは違う勝ち方に興奮しているシンジだったが、アスカは無線で返信する。
『当然でしょ、これがエリートパイロットよ!』
「あぁ!! すげえよ!! アスカ凄い!!」
初号機の中ではしゃぐシンジだったが、無線のため顔が見えないからこそわからなかった。
シンジの言葉に嬉しそうに表情を蕩けさせているアスカ、ちなみに指揮車両ではバッチリと映っており、オペレーターたちは困ったように肩を竦める。
ミサトはため息を吐いてつぶやいた。
「あぁもう、レイちゃんが怖いわ」
ちなみに今回登場させたトライデントって、まーったく気づいてなかったがエヴァのゲームオリジナル兵器で出るのねと書いてから気づいたゾ。
暫くATフィールド攻撃は使わないと言ったな、ありゃ嘘だ。アスカのテンションが高い+シンジに褒められるとこのくらい出来るのがウチの弐号機です。ぶっちゃけATフィールド纏わせただけでこんなに強くなるわけ無いだろいい加減にしろ!! という人もいるかもしれない。うるせぇ!! 旧劇のクソつよATフィールドアタックみたらできそうな気がしたんだよ!!
ちなみにシンジはこの後、独断でエヴァをマグマ降り注ぐ中ツッコませたので罰として修学旅行終わるまでNERV職員交代制で全科目の勉強をやらされた模様。
ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?
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いいゾ~これ(両方ともIKEA)
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(ifストーリーだけ)INしてください?
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(その後の話だけ)はい、よういスタート
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どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)