中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について   作:re:753

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前回のあらすじ、主人公と義理(予定)の母親と野獣の咆哮を上げた模様

ホントすいませんでした、また休んでしまって。
割と精神が追い詰められてて「あっ、もうええやろ」とへし折れてたけど仕事中に「なんのためにかいてんねん! 主人公ひどい目に合わせて、逆境乗り越えてまた叩き落とすためやろ!」と脳内カーリーに説得されました。
イヤほんとスランプって怖いね、指が動かねえ。


飯食って今後のこと考えたら加持さんにちょっと話した件

『初号機パイロットは直接尋問を拒否したそうだな、葛城三佐』

「今現在、彼のメンタルは不安定であるため、代理人として来ております」

 

 ミサトは暗い部屋で、足元だけがライトアップされた状態で委員会の尋問を受けていた。

 先の使徒戦、それから帰ってきたシンジの口から出た使徒が人にコンタクトを試みたと思われる事例、到底無視は出来なかった。

 だが証拠がないのだ。

 

『パイロットの証言しかないのだぞ? エヴァ内部のレコーダーは作動しておらず、あの空間の出来事はわからないままだ』

『報告を信じれば、使徒が人にコンタクトを取る事ができるという証左にもなる……』

「返答はできかねます」

 

 使徒内部での出来事はわからずじまいだ。

 シンジの証言を信じるなら、使徒と会話し、いつもどおりの気合で空間を破壊して飛び出してきた。

 NERVとしての見解は、まぁそうだろうというしか無い。

 シンクロ率99.9%、ほぼエヴァと同一となったシンジとこれまでの活躍ではやりかねないというのが、技術部責任者の見解であった。

 

『だが今回の事件は使徒がエヴァを取り込もうとした。そして初号機パイロットはそれを知っていたかのように取り込まれた』

「……彼を疑っている?」

『君の質問を許可した覚えはないぞ』

 

 委員会の言葉に、ミサトは歯噛みする。

 知っていたかのように、たしかに取り込まれる前のシンジの行動は不可解だった。

 空中の目標を撃つのはわかる、だが足元に広がったディラックの海、これに簡単に捕まったのはなぜだ?

 以前のミサトならシンジくんなら使徒の内部から出てくるでしょ、と半ば丸投げのように考えていただろうが、今回は違う。

 知っていたと言えばエヴァに乗り込む前、初めて初号機を見たときもシンジはまるで知っていたかのように驚いていなかった。

 ヤシマ作戦もそうだ、強引に乗り込んでシンジは何をした? 狙撃だ、ただ事前の説明も何もしていない。にも関わらず、シンジは知っていたかのように動き、使徒を撃ち抜いた。

 

(……まるでどうしてそうなるかを知っていたかのように)

 

 一つ疑念が生じれば、どうして? なぜ? と疑問がわきあがってくる。

 直近で加持リョウジがスパイだと知ってしまったせいだろうかとミサトは思ったが、シンジと向き合おうとするミサトは一歩前に踏み出る。

 

(話してみる、か)

『こちらとしても現初号機パイロットの働きは高く評価している。だが今回の件が払拭されるまで戦闘には参加させることは許可しない』

『追って、処分が決まるまで現初号機パイロットはシンクロテスト等も禁止する』

「……はい」

 

 ミサトはこればっかりはしょうがないか、と心の中でため息をつく。

 現場と上層部の意識の違いは明白だ。

 ただゲンドウ、彼の今回の指揮はシンジを信頼しているようにミサトには見えた。

 光明はある、そうミサトは錯覚していた。

 

 

 

○○○

 

 

 

「はぐ! もぐ!! もぎゅもぎゅ!! バクバクバクバク!!」

「し、シンジくんもういいじゃないか?」

「おかわり」

 

 加持さんに止められるが、俺の胃袋はまだいけると言っている、だからよぉ(ご飯食うのを)止まるんじゃねえぞ……。

 と希望の花が咲きそうなことを思いながら、レイが作ってくれている料理を食べる。

 使徒の中からダイナミックエントリーィ!! した俺だが、軽い検査と質問が終わると心配そうに待っててくれたレイ、アスカ、綾波、加持さんと一緒にミサトさんちへ帰り、ご飯を食べていた。

 ミサトさんと赤木さん? 残業やら事後処理なんかで死んだ目してたゾ。

 

「そ、その……やっぱ私」

「ここにいろ」

「ッ……、は、はい」

 

 居心地悪そうなアスカが立ち上がろうとしたので、手を引っ張って座らせる、逃さんお前だけは。

 というかあの使徒のせいで、近くにアスカがいないと怖い。

 忘れかけていた旧劇の記憶が一気に蘇ったよね。

 ……肉食ってるとちらつくが、吐き気を飲み込んでかぶりつく。

 

「にしても、シンジくん、本当に大丈夫なのか?」

「メンタルカウンセラーしてくれたんで、使徒が」

「「「「えぇ……(困惑)」」」」

 

 事実だからしょうがない、まぁ相手は俺のメンタルを破壊して成り代わるつもりだったらしいが、残念だったな。俺の精神なんざとっくの昔にぶっ壊れてんだよ。むしろトラウマ刺激されたせいで、タカキも頑張ってるんだし、俺も頑張らなきゃと奮起出来たから、アイツ戦犯だよなぁ割と。

 自覚しちゃえばあとは飲み込むだけだ。

 罪悪感、まぁうん、わかってはいたけどさ、あそこまで俺思い悩んでたんだなと原作シンジくんにすら責め立てられた事実にびっくりする。

 ただ詰られたほうが精神的に回復できた。

 あそこでも言ったけど、結局俺のやってることって原作をなぞってるだけだからな。ズルいことしてるって思いはいつもあった。

 

「まぁ、もう気にしませんよ。気にしたってしょうがないんだから」

「……正直、畑から飛び出したときはもうだめだと思ってたよ」

 

 苦笑する加持さんに笑いながら、俺はラーメンを飲んでいく。

 気にしない、いや気にしたってしょうがないし、責任取って全部終わったあとに死ぬ! うん! 結局こうなるのな!

 まぁ、償いはするべきだろう。

 この世界のNERVは原作と違って和気藹々というかちゃんと大人やってくれてるしさ。

 さて、次の使徒のことを考える。

 バルディエル、トウジかアスカのどちらかが乗ることになる。

 これに関しては、新劇場版ではないことを祈るしか無い。

 申し訳ないが、トウジかアスカなら戦力的にアスカが残ってくれた方がなんとかなるし、そもそもTV版、劇場版含めてどうしてパイロットがあぁなったかというとダミープラグのせいだしな。

 ……てか確か量産機もダミープラグ仕様だったから、ダミープラグってこう人間の原始的な部分が濃く出るのかもな、仕留めた敵を捌いて食らうってさぁ。いや、量産機のダミープラグ元は人間じゃ、いやヒトではあるのか???

 さて思考がずれたが、トウジでも最悪アスカでも、ATフィールドでエントリープラグを抉り取ればええんや! 新劇場版仕様だとエントリープラグにも付いてるけど、外装だけ吹き飛ばしてあとは赤木さんに丸投げしよう。流石に精神汚染まではどうにもならん。

 まぁ、次の使徒は楽だな、対処さえ間違えなければだけど。

 

「三上くん、お肉、あげる」

「わーい! すっごーい! 君はお肉が嫌いなフレンズなんだね! じゃあ野菜を、ぶちこんでやるぜ!!」

「シンジ、ソレ食べないとおかわりあげないよ」

 

 綾波がステーキをこちらに渡すので、かわりに野菜を押しつ……げっふんげふん、トレードしようとしてジト目のレイに咎められる。

 だが綾波は野菜を受け取ると、勝ち誇ったような笑みを見せる。

 

「三上くんからもらったのよ」

「……お前っ!!」

「レイ、おすわり」

 

 強制的にレイの手を引っ張って頭を撫でる。

 綾波の勝ち誇った笑みとか見ることになるとはなぁ……てか異世界の綾波さん中に入ってませんよね??

 

「シンジくん、やるねえ」

「ミサトさんとヨリ戻したんだからこれ以上のヤッてるでしょ。あとミサトさんそっちにいただろうし」

 

 ブーッ!!!! と加持さんがビールを噴き出す。

 あっ、やっぱヤッてたんだと俺はその反応を楽しむ。

 加持さんはテーブルふきで、床に拭きこぼしたビールを拭きながら慌てる。

 

「な、なんで知ってんの!?」

「禁則事項です」

 

 ふと前に読んだライトノベルのセリフを言う。

 

「は、はははここまで似てると怖いくらいだな」

「似てる?」

「あぁ、君の父親によくね」

「それはない」

 

 即座に否定する。

 というか一時期、マジで息子なのか疑問に思ったくらいには似てないしな、あの親父。

 唯一似てるのは大食いってことくらいやろ、頭の出来も似てないし、どっちかっていうと母親の内面受け継いじゃってるしなぁ俺。

 

「いやいや、馬鹿にできないさ」

「……加持さん、ミサトとヨリ戻したんだ」

 

 oh……と俺と加持さんがアスカのほうを向く。

 アスカが少し俯いていた、やっべこの時期まだ知らなかったっけというか、うかつすぎたかと自分の浅慮さを呪うが、アスカは顔を上げて笑顔を見せる。

 

「おめでとっ、結婚式には呼んでよね」

「気が早いし、結婚するとは……」

「だって二人共私達に何もせずに一緒にいたんでしょ?」

 

 アッ、やばいと俺は冷や汗を垂らす。

 加持さんは顔を青くしてるが事実だから何も言えない。

 ニッコリと笑うアスカの体から何かオーラが見える。

 

「い、いや、それは……いや言い訳はしない。俺たちはお前たちから逃げてたよ、謝っても済まないのはわかる」

「んっ、じゃあ加持さん――――歯ぁ食いしばって」

 

 パァン!! と加持さんの頬に特大の紅葉ができる、うっへ痛そう、つっても俺痛覚ほぼ死んでるけどさ。

 叩かれた加持さんは痛みに堪えながら、笑う。

 アスカはそんな加持さんに言う。

 

「私はこれでチャラよ」

「それはどーも」

「ただ足手まといとファーストも残ってるけど」

「「えっ?」」

 

 俺と加持さんの声が重なる。

 いつの間にかレイが立ち上がっており、綾波も手首のスナップを利かせて素振りのように手を振りかぶっていた。

 俺と加持さんの視線が重なる。

 

「シンジくん……助けてくれ」

「嫌です……」

「知ってた」

 

 次の瞬間、連続して二回の叩く音が聞こえて、加持さんがリビングにわざとらしく転がる。

 俺は両手で合掌して叫ぶ。

 

「加持どん! 笑ったことを許せ! 合掌ばい!」

「イテテテテ、まぁ君たちにしてしまったことが許されることじゃないのは確かだな」

 

 両頬を摩りながら、加持さんは気付けなのかビールを飲み干す。

 そして真剣な表情で俺たちを見る。

 

「悪かった、もう逃げない。君たちと向き合うよ」

 

 覚悟を決めたように加持さんは俺たちを見据える。

 ……向き合う、か……俺も覚悟決めるべきかな。

 そう思った俺は、残った料理を全て平らげると立ち上がる。

 

「加持さん、話したいことあるんですけど」

「……ドライブでも行こうか」

「シンジ!」

 

 レイの咎めるような言葉を、俺は片手で制して笑う。

 逃げるのは終わりにしよう、今の加持さんなら全部話しても大丈夫だろう。

 

「綾波、今日は泊まってけよ。アスカ、ちゃんと帰ってくるからここにいろよ? じゃ行ってくる」

 

 

 

 

○○○

 

 

 

 

「で? 話って?」

「セカンドインパクト、その真実」

 

 車内で緊張が走った。

 加持は後ろをちらっと見ながら、ボタンを押す。

 盗聴防止用の撹乱電波発生装置である。

 

「……君はどこまで知ってる?」

「ゼーレ、人類補完計画、この世界がどうなるかも知ってますよ。特務機関NERV特殊監査部所属同時に、日本政府内務省調査部所属、加持リョウジ……あとゼーレも付け足しときます?」

 

 ガチャリと加持は拳銃をシンジの頭に突きつける。

 シンジは無表情に前だけを見ていた。

 

「父親譲りかい?」

「ウチの父親サラリーマンなんですが」

 

 シンジは父親の前職を知らない、そこだけは加持は信じるが銃は頭に当てたまま夜道を走る。

 

「消されるぞ」

「死ぬのは怖くないですよ。むしろ頭ぶち抜かれて死ぬ方が救いでしょ」

「……未来人、か何かか?」

「似たようなもん……もうアダムはゲンドウに渡したんですよね?」

 

 加持は引き金を引く。

 シンジは微動だにしなかった。

 拳銃は硝煙を上げること無く、カチっと音がしただけで弾は出なかった。

 そもそも装弾はしていないからだ。

 加持は苦笑すると、拳銃を放り投げる。

 

「俺の目的も知ってるか?」

「……えぇ、弟さんの贖罪、でしたよね」

「……なんでもお見通しってわけか、参ったなこりゃ」

 

 加持はハンドルを握りしめる。

 どこまでも知っているのだろうと、加持は思う。

 シンジという人物がわからなくなる、父親と同じで人畜無害な顔をしてその実は霧のように掴めない……加持はそんな考えを振り切る。

 どんな人物だろうが、俺は受け止める、加持は決意を持ち続ける。

 

「話したほうがいいです?」

「……あとでテープレコーダーを渡すから、それに録音してくれ。流石にこの状態じゃな」

 

 加持はスイッチを押して、撹乱電波を解除する。

 これ以上は強制的に止めさせられる、加持は直感していた。

 実際そのとおりであと十秒ほど話していたら、車のタイヤは狙撃されていただろう。

 

「仕事熱心ですね」

「世界を守るためだ」

「清々しいほどの嘘で草」

 

 シンジが大爆笑する。

 加持も釣られて笑う。

 しばらく笑い続けたシンジは、真剣な表情で言う。

 

「米で実験中の四号機、やばいことになります。加持さん、どうにか出来ませんか?」

「無理だな、というか碇司令ですら止められんだろう」

 

 場合によっては加持ならば介入できただろうが、理由がない。

 それを聞いたシンジはため息をついて、座席に深く座る。

 

「何が起きる?」

「銀河にねがいをって知ってます?」

 

 加持はポカンとした顔をして、直後に何が起きるのか理解してハンドルを叩く。

 

「マジかよ」

「マジです、だからどうにか工作してほしかった」

「ますます無理だな。四号機には新型内蔵式のテストベッド、大きな不具合が見つかってない限りは米NERVの威信に関わってくる……悪いな」

「ダメ元で言っただけです」

 

 シンジの顔が暗くなる。

 その顔を見たくなくて、加持はシンジの頭を撫でる。

 

「背負い込むな、シンジくん。君のせいじゃない」

「……知ってるのに、俺は何もしなかった」

「エヴァに乗ったじゃないか、そして君は大勢の人を救ってる」

「けど!! 溢れた命だってある!!」

 

 シンジはシートベルトを握りしめる。

 大勢の人を救った、これは事実だ、だが少数の死者は出ている、これも事実だった。

 

「俺は知ってた!! なのに救えなかった!! 英雄だ! ヒーローだって言われた!! 何が英雄だ、全部救えないのに!!」

「……」

 

 かける言葉がなかった。

 シンジにしかわからないことなんだろうと加持は納得した。

 まだ十四歳の子供に押し付けるものじゃないと改めて加持は思ったのだ。

 だが全てを救う、そんな青臭い感情に加持は共感した。

 

「戦うことしか出来ない。エヴァに乗ればなんだってできる気がする。けどエヴァから降りたら俺は、何も出来ないただの子供なんだよ!」

「……全てを救おうとするのは傲慢そのものだよ、シンジくん」

 

 加持は敢えてシンジのことを否定した。

 シンジの動きが止まる。

 

「確かに君がエヴァに乗ればなんとかなるだろうさ、実際そうしてきたし、そうできるだろうな。だからと言って全部を救うなんて無理だよ、神様だってな」

 

 その言葉にシンジはピクリと肩を震わせた。

 加持は続ける。

 

「結局、自分を赦せるのは自分だけだ。そして妥協していく、それが大人だ……最も、俺を含めてNERVの連中は自分を赦せないやつばっかだけどな」

 

 自虐をこめて加持は笑う。

 結局、大人というのは妥協できて、自分も他人も赦せる人物ではないのかと思う。だが加持も含めて、現NERVのメンバーはセカンドインパクトを体験した。

 その過程で多くのものを失った。自分のせい、他人のせいで赦せなくなってしまった者の集まりなのだ。いくら大人になろう、子どもたちの力になろうと思っても、根本からして自分を赦せない奴らが、子供を赦してやることなんて出来ない。

 だからこそ足掻くのだ。

 

「シンジくん、俺は君の苦悩はわかってやれない。だけど君は俺とは違う、まだ何も失っていない。だから……自分を赦してやってくれ」

 

 シンジは顔を上げる。

 そして加持に微笑んで応える。

 

「無理ですよ。俺は自分を赦せない、皆を変えてしまった俺は責任をとるんです」

「……なぜだ、なぜそこまで自分を赦せないんだ」

「イレギュラーだから、俺はこの場所にいちゃいけないから」

 

 決心は硬かった。

 加持は一瞬目を閉じる、が不敵に笑う。

 

「じゃあ俺たちが赦せるようにする。葛城も、リッちゃんも皆巻き込んで、君を止める」

「……」

 

 ポカンとした顔をしたシンジに、加持は笑う。

 

「君を死なせない」

「……ハハッ、期待せずに待ってます」

 

 だが加持の決意は打ち砕かれる。

 運命というのはどうにもならないからこその運命なのだ。

 

 

 

○○○

 

 

 

「もう大丈夫です、明日には退院出来ますよ」

「ほんまか!? 先生!!」

「えぇ、設備が整ったおかげで回復が早くなりました」

 

 病院の一角、鈴原トウジは満面の笑みを見せた医者につられて笑った。

 妹のサクラの容態が快方して退院することになったのだった。

 ちなみにシンジが嘆願した、最新の医療設備のおかげというのはトウジは知らない。

 

「えろう苦労かけました!」

「今どき珍しいくらい、妹思いだったね。君のこと看護師の間では好感度高いんだよ?」

「ほんまでっか!?」

「あぁ! ただ手出したら犯罪だから止めようね!」

 

 はははは!! と笑い合うトウジは、そのままの足で妹の病室へ向かう。

 個室ではないが、病人は優先的に他都市に移送されているため、ほぼ個室のように使っている012号室に入るとトウジは笑う。

 

「サクラ! 今日はええ話持ってきたで!」

「ほんま!? 兄ちゃん? あっ、シンジさんが来るとか?」

「……ちゃうけど」

「えー、なぁなぁ兄ちゃん、いつになったらウチぃシンジさんと会えるん?」

 

 トウジの機嫌が急降下していく。

 怪我した原因であるシンジに、なぜか妹はなついて、いや憧れていた。

 守ってもらったという意識が強いのかわからないが、サクラにとってはシンジは救いのヒーローなのだ。

 だが兄として面白くない気持ちと友達が評価された気持ちが混ざり込んで複雑なのだ。

 

「なーなー兄ちゃん!」

「だぁらっしゃい! いつか会わせたるけど、今日はちゃうねん、退院決まったで」

 

 トウジが満面の笑みを見せるが、サクラは眉をへの字に曲げる。

 

「……ウチ、ここから退院しとうない」

「なんでや!?」

「だって、友達は皆疎開したんやろ?」

 

 寂しそうに言うサクラに、トウジは何も言えなかった。

 小学生は特に使徒襲来からここまでの騒動で、ほぼ疎開してしまった。

 病室に飾られている色紙には『また遊ぼうね』『教室で待ってる』という言葉が書かれていたが、現実は違う。誰も待っていない教室で、妹は授業を受けるのだ。

 そう考えたトウジは胸が苦しくなる。

 

「兄ちゃんごめん! ウチぃ少し弱気になってたわ!」

「阿呆! お前はまだガキなんや、ワガママの一つや百くらい言っとき!」

「ガキって、兄ちゃんもガキじゃん」

「下に毛が生えたら大人じゃ!」

 

 サクラがゲラゲラと笑う。

 あぁ良かったとトウジは思う。

 そしてふとシンジに対して考える。

 ここ最近、学校に来ていなかった。

 それをやっかむ奴らをトウジはぶん殴っていたが、あの戦いの恐怖しらずにお前らは何を抜かしとんじゃ!! と怒っていた、昔の自分にブーメランが突き刺さっていたが。

 大丈夫、か? と思う。祝勝会のときも元気だったが、トウジはシンジが落ち込んでいる姿を何度も見ている。

 だからトウジはシンジの友達であろうと思ったのだ。

 アイツがなんて言われてるかよーわかってる、だけどアイツにはこういうバカやれるやつも必要やろとトウジは思う。

 ……だからこそ、トウジはこの間綾波に言われたことを思い出して、サクラに言う。

 

「なぁ、サクラ? シンジと会いたいんよな?」

「うん!! シンジさんと会えるん?」

「……なら退院したら、料理しよか」

「なんで?」

「シンジを励ますって、同じクラスメートが誘ってきてな? 皆で食事会しようって話や」

 

 サクラがぱぁっと顔を明るくする。

 綾波が、あの無表情無感情の綾波が顔を赤らめて言ってきた時は、トウジも含めて聞いていたケンスケが顎を床に落とすくらい開けた。

 だがそんな綾波が動いたからこそ、トウジも参加する気になったのだ。

 サクラにも丁度いい気晴らしになるとトウジは思う。

 

「味噌汁毎日作る言うたら喜んでくれるかな!?」

「サクラ、それだけはやめとけ、前にも言うたがアイツにはもう将来誓い合ったレベルのぎょうさん恐ろしい幼馴染がおってな?」

「でも彼女さんじゃないんやろ? ウチがシンジさんの彼女になるわ!」

 

 喜ぶからとケンスケの情報をそのまま伝えたのが悪かったかとトウジは頭を抱える。

 えへへーと笑うサクラはポンと手を叩くと、トウジに言う。

 

「兄ちゃん! アイスとか今日のうちに食べとかんと!」

「あぁ、せやな……なんやサイダーの棒アイスやんけ」

「ボリボリくん美味しいやろ!!」

 

 どっかで聞いたことあるような名前のアイスを袋から出すと、トウジとサクラは食べる。

 はむはむと食べ終わり、二人して木の棒を見て苦笑する。

 

「なんや、兄ちゃん笑って」

「サクラこそ気持ち悪いで? ……わかった、兄ちゃんと一緒に結果言おっか」

 

 笑いあった兄妹はジャンと口で効果音言いながら同時に言う。

 

「「はずれや!! アッハッハッハ!!」」

 

 




なおこのあとシンジ、普通に家帰っていがみ合っていたレイとアスカを諌めて、綾波含めた四人で寝た模様。なお修羅場はシンジがブチギレて諌めた模様。
いつぞやの感想で言われたけど加持さんにとって、元上司の息子だから色眼鏡でみちゃうんごなぁ、悲しいね、バナー○。
あと感想返信してなくて申し訳ナス!! 明日の分書き上げたらやるンゴなぁ。

ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?

  • いいゾ~これ(両方ともIKEA)
  • (ifストーリーだけ)INしてください?
  • (その後の話だけ)はい、よういスタート
  • どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)
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