中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について   作:re:753

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前回のあらすじ、死にたいンゴ!! でも皆から勇気もらってあぁ生きる希望が……アッ(スタッカート)

とりあえずなんでシンジが三号機の侵食の件言わなかったのかというと、説明のしようがないし、加持に行ったらどうにかしそうだけど早期にNERVに狙われて死ぬかもしれないと怯えたから。あと心のどこかに自分ならどうにかできるんじゃと驕ってた部分があったから、まぁ自業自得って言えるネ!

そして投稿遅くなってごめんなさいね、昨日7千字書いたからすぐ終わるやろ! ガハハハ勝ったなと仮眠取ったらガッツリネてました、許して。


侵食されてなんとか被害でないようにしてたけどちょっと限界な件

「行かせるなーっ!! まだ市民の避難は完了してないぞ!!」

 

 国連軍が進撃するエヴァ三号機に対して射撃を加えていた。

 だが三号機はATフィールドを張ること無く、半壊している特殊装甲拘束具でVTOLからの機関砲を弾いていた。

 指揮官は、エヴァの大まかなスペックを聞いていたがここまでとは思っていなかった。

 

「一万六千発の機関砲がまるで効いていないとは」

「日本政府並び総理からの許可おりました! 武器の無制限使用の許可です!」

「了解した。A01から04、誘導弾の使用を許可する!」

 

 現場指揮官が、オペレーターからの情報により誘導兵器等を解禁する。

 目標である三号機は松代を縦断、政府関係者が完全に退避するまで機関砲で攻撃して誘導するしかなかったのだが、三号機は都市部を避けて通るように、山間部に入っていった。

 にも関わらず誘導弾等の火器が厳禁されたのは、政府の逃げ腰によるものだった。

 指揮官から命令を受けたYAGR-3Bがロケット弾のロックを外す。

 

「了解、各機全弾発射!!」

 

 主翼下に装備されている四基のロケットポッドからロケット弾が放たれる。

 十機以上のVTOLから放たれたそれは、通常兵器相手ではオーバーキルのようなものだったがエヴァには通用しない。

 光り輝くATフィールドが全てを阻み、三号機に当たる直前で爆発する。

 

「厄介な!」

「誘導弾全弾、ATフィールドにより着弾せず!」

 

 現場指揮官が舌打ちするが、予想はしていたことだ。

 彼は第三使徒戦にも参加していたため、使徒のデタラメさというのは身にしみている。

 そしてエヴァンゲリオンという機体のデタラメさもだ。

 味方なら心強いが、敵に回ればこれほどなのかと畏怖する。さらに言えば、暴走時、装甲が半壊しているのにも関わらず仕留めきれないその頑丈さには舌を巻いた。

 

「次だ! 戦車大隊、射撃用意!」

 

 76式戦車、90式戦車、レオパルト主力戦車の混合部隊に伝令を送る。

 伝令を受け取った戦車大隊はすぐさまに目標を足に設定する。

 

「怖いか? 坊主」

「初戦闘がNERVの決戦兵器ですからね……浅見さんはヤツと一緒に戦ったんですよね?」

「紫の奴だったがな……間違ってもエントリープラグ周辺には当てるなよ?」

「わかってますよ、足止めと救出が任務ですからね」

 

 とある戦車での会話だった。

 国連軍が日本政府に要求されたのは三号機の足止め、そしてNERVからはパイロットの救出だった。

 子供が乗っている、その言葉に引き金を躊躇う者もいたが、ここで躊躇えば避難が終わっていない市民が危険に晒される。

 三号機、推定使徒はまだ攻撃行動に出ていないが、攻撃し始めたら都市などあっという間に滅ぼされるだろう。

 だから現場指揮官は内心の躊躇いを押し殺し、号令を言う。

 

「撃ち方始め!!」

「攻撃開始!!」

 

 正確な射撃が三号機の足元に着弾するが、ATフィールドに阻まれる。

 だが数十発の砲弾の雨に移動速度が低下していた。

 

「移動速度の低下を確認しました!!」

「ようし! このまま攻撃を続けろ!!」

 

 現場指揮官は喜びの声を上げる。

 勝てなくてもいい、紫のアイツさえ来てくれれば勝てる! そう、思っていた。

 だがそのパイロットを攻撃し続けていることを、現場指揮官は終ぞ知ることはなかった。

 

 

『目標は野辺山方面を南下中、現在国連軍の攻撃により移動速度が低下』

『いい、三人とも今回の使徒戦は救出が先決よ。使徒撃破は二次目標に設定します』

「当たり前じゃない!」

「……三上くん」

 

 航空機で輸送される三機のエヴァ内で、アスカ、綾波、レイはブリーフィングを受けていた。

 シンジの乗るエヴァ三号機が暴走、もしくは使徒に乗っ取られたとのミサトの報告を受けて、すぐさま空輸による迎撃戦を行うことになった。

 レイは通信に映る、ミサトの顔を睨みつける。

 

「安全だって言ったじゃないかッ!」

『……申し開きもないわ、こちらのミスよ』

 

 ミサトは松代の仮説指揮所からレイに頭を下げる。

 リツコは、確認作業を一から見直し、LCLの交換が済んでいなかった重大インシデントに気づくと担当者を殴り倒し、米NERV、米国に猛抗議を行っていた。

 

「役立たず、責めるのはあとよ、今はアイツを助けることだけを考えるの」

「ッ……わかってるよ!」

 

 アスカはレイを嗜めるが、内心はレイ以上にブチギレていた。

 国籍としてはアメリカだったアスカは、日本に帰化しようと決意していた。

 四号機に引き続き、三号機も失いかねないミスをするなど、ましてや好きな男が使徒に乗っ取られ、攻撃されているという事実に腸が煮え繰り返る思いをしていた。

 

「三上くんからの通信は?」

『なんとか試みてるけど繋がらないわ』

『バイタルデータは確認されてるから生きてはいるわ……ごめんなさい、大人の尻拭いをさせてしまって』

「謝罪ならシンジにしなさい、ミサト……帰ったらアイツの好きなもんいっぱい食べさせてあげるのよ」

 

 アスカの言葉に、ミサト含めたオペレーターたちが苦笑する。

 そう、いっぱい食べさせよう、吐かない程度には。

 その時目標地点まで着いたと輸送機のパイロットから通信が入った。

 

『目標地点に到着! お嬢ちゃんたち、俺達のヒーローを頼んだぞ!』

「言われなくたって!!」

『投下五秒前、四、三、二……投下ッ!』

 

 輸送機の固定ロックが外れ、エヴァ三機が宙を舞う。

 アスカと綾波は万が一に備えて、初号機をつかめるような位置取りをする。

 レイは歯を食いしばりながら、近づく地上を見て叫ぶ。

 

「ATフィールド展開ッ!」

 

 パラシュート代わりのATフィールドを展開しながら、エヴァ三機が地上に降り立つ。

 すぐさまに用意されていた電源車両がアンビリカルケーブルを繋ぎ、内部電源から外部電源に切り替わったことを確認した三人は用意された武器をそれぞれ持つ。

 初号機と零号機はパレットライフル、弐号機はアクティブソードと呼称された大型の刀を装備する。

 

「ま、またジャパニーズソードって」

『蔵前所長からの贈り物よ。アスカ、三号機の損傷は気にしなくていいわ、シンジくんの救出だけを考えて』

「わかってるわ、ミサト。いい、役立たずにファースト。オフェンスが私、援護にファースト、役立たずは牽制して頂戴!」

「僕だって訓練はしてきた!」

「あんたバカァ? 実際に動かしたのはヤシマ作戦以来のド素人なんかが役に立つわけ無いでしょ、よけいなことしないで、牽制射撃に集中しなさい」

 

 レイは抗議しようとするが、悔しがりながら唇を噛む。

 そのとおりであるし、今回はシンジの命がかかっているのだ。でしゃばってどうにかなるほど、レイは強くはないことは自分が一番良く知っていた。

 

『アスカ、現場判断はあなたに一任するわ、構いませんね? 碇司令』

『あぁ、弐号機パイロット……頼んだぞ』

「は、はい!!」

 

 頼られ、自分の力を認めてくれたことにアスカは歓喜するが、すぐさま前を向く。

 山の向こうでは爆炎が上がり、国連軍が決死の覚悟で三号機に砲撃を続けていた。

 

「移動速度は低下しているんだな!?」

「ですが目標に着弾せず……NERVからの通信です!」

 

 オペレーターが現場指揮官に通信を回す。

 

『NERV戦術作戦部作戦局第一課所属、葛城ミサト三佐です』

「こちらは国連軍第二方面軍、立花秀政二佐だ……エヴァンゲリオンが来たんだな?」

『三機とも後方に配置しています、状況は?』

「見てのとおりだ」

 

 現場指揮官、立花は自嘲するように笑いながら、百発以上の砲弾を受けてもなお健在の三号機に感嘆する。

 

「さすがは決戦兵器だな」

『申し訳ありません、こちらの不始末を、後ほど正式に謝罪いたします』

 

 詫びるように言うミサトに、立花は眉を顰めるが、謝罪を受け取り返答する。

 

「わかった。だがヤツの動きは不気味だ、これだけ攻撃されているのにも関わらず反撃をしないとは」

『おそらくは内部のパイロットが抗っていると推測されます』

「……なるほど、ガッツがある子だな」

『……足止めありがとうございました。以後は射撃を中止してください。エヴァ三機でパイロットを保護、後に共同戦線で目標を撃滅します』

 

 現場指揮官は頷いて、オペレーターに言う。

 

「射撃中止! 全部隊後退させろ!」

「了解、全部隊射撃中止、繰り返す射撃中止! 以後は指示があるまで後退し待機せよ!」

 

 戦車部隊からの砲撃が止まり、後退を始める。

 それをモニターしていたミサトは号令をかける。

 

『エヴァンゲリオン全機! 前進! 目標はエントリープラグの回収よ!』

「「「了解!」」」

 

 紫、赤、青の機体が跳躍し、山を越えて着地する。

 国連軍は紫のエヴァンゲリオンの姿を見るとおぉ!! と歓声をあげる。

 

「ファースト! 援護射撃をお願い!!」

「了解!」

 

 零号機の射撃と合わせて弐号機が動く。

 三号機はATフィールドを展開するのみで、近付く弐号機に何もしない。

 

「ごめん、シンジ!!」

 

 アスカは腰だめに刀を振るう。

 まずは腕を斬り落とす。事前のブリーフィングで、シンジに痛覚がないことは把握している。

 だから腕を斬り飛ばして、行動できないようにする。

 アスカはそのまま刀を振り上げる。

 ATフィールドがアクティブソードを押し止めるが、切れ味に特化させた刀身は徐々にATフィールドを侵食し、右腕を捉えた。

 

「こんのぉおおおおおお!!!」

 

 アスカが吠え、拘束具ごと三号機の右腕を切り落とした。

 鮮血が噴き出し、宙を舞った右腕が住宅に落下し粉砕する。

 余裕ね! とアスカは唇を舐める。

 振り上げた刀身を返して、次に左腕を斬り落とすべく振り下ろそうとした瞬間、シンジの絶叫がアスカの耳に届いた。

 

『あぐあああああああああああああああああ!!!!』

「えっ?」

 

 振り下ろそうとした刀身から力が抜け、見当違いな方向に振り下ろされた。

 なんで、シンジの悲鳴、が? アスカの思考が真っ白になり反応が遅れた。

 

「弐号機の人!!」

「えっ?」

 

 瞬間、弐号機が浮き上がる。

 腹部を蹴り飛ばされたとアスカがわかった瞬間、膝を曲げて飛び上がった三号機が空中で回し蹴りを弐号機の頭部に直撃させる。

 

「あぐぁっ!?」

『アスカ!!』

 

 ミサトの悲鳴が上がるが、地面に突き刺さるように落下した弐号機は痙攣したまま起き上がらない。

 おそらくは脳震盪を起こしているのだとミサトは、判断し指示を出す。

 

『エントリープラグ緊急射出!』

『了解!!』

 

 このままでは嬲り殺しにされると判断したミサトは、弐号機からアスカを脱出させた。

 射出されたエントリープラグは、森の中へと落下し、回収班がすぐさま回収する。

 

『弐号機パイロット確保、ですが意識がないとのことです!』

『レイちゃん、零号機を援護して、あなた達二人でなんとかするのよ』

 

 ミサトは、アスカの身を案じるが、まだ状況は終わっていないとモニターを見ながら指示を出す。

 レイはあっという間に起こったことに、対応しきれていなかった。

 シンジが叫んで、アスカが戸惑い蹴り飛ばされた。どういうことなんだ、と。

 

「碇さん、しっかりして!」

「……あ、あぁ、ごめん!」

 

 綾波の言葉にレイは正気を取り戻す。

 パレットライフルを構えて、射撃トリガーに指をかける。

 

「一斉に射撃するわ!」

「わかった」

 

 綾波の言葉に、レイは従い、横たわった弐号機を蹴り飛ばした三号機に照準を合わせる。

 マーカーが重なり、綾波が声を出す。

 

「射撃開始!」

 

 パレットライフルの弾丸が放たれる。

 209mmの劣化ウラン弾がATフィールドに阻まれず、露出した三号機の体に着弾し、通信にシンジの叫び声が乗る。

 

『あぁあああああああああああっ!!!』

「シンジ!?」

『どういうことなの、シンジくんの痛覚はほぼ死んでるはず』

『おそらくは使徒が痛覚を復活させたのよ』

 

 困惑する現場と指揮に割って入ったのは、怒り心頭という具合に鋭い視線を保っているリツコだった。

 

『どういうことよ!』

『おそらくシンジくんに同化、あるいは侵食している使徒は彼の体内に入り込んでいるわ……その結果、彼の痛覚が復活したと考えるべきね』

「じゃあ、このまま攻撃したらシンジが!!」

「どうにかできないんですか!?」

 

 綾波が叫び、オペレーターたちが必死に三号機へのアクセスを試みるが全て遮断される。

 日向はモニターを叩きつけながら、絞り出すように言葉を発する。

 

『くそっ!! なんだってこういうときに使えないんだよ!!』

「どうしたら、どうしたら……」

「ッ、碇さん!!」

 

 困惑するレイがパレットライフルを下げると、三号機が待ってましたと言わんばかりに膝を曲げる。

 それに気づいた綾波は、とっさに初号機を突き飛ばした。

 跳び上がる三号機を零号機はロックオンし、綾波はトリガーに指がかかる。

 だがこの間の食事会での、シンジの笑顔が脳裏を過り躊躇ってしまった。

 

「あぐっ!?」

「綾波っ!!!」

「来ないで!! 後退、するのよ」

 

 押し倒される形で、零号機の上に三号機が伸し掛かる。

 初号機が駆けつけようとするが、綾波はそれを制する。

 零号機の首は三号機の左手が掴んでおり、万力のような力で締め上げる。

 綾波はシンクロにより、絞まる首を押さえながら悶える。

 

『レイッ! シンクロ率を下げろ、早く!』

『了解っ!』

 

 ゲンドウの焦るような声に、マヤが反応しシンクロ率を徐々に下げていく。

 綾波は首にかかる力が弱くなっていくのを感じるが、抵抗できずにいた。

 シンジの叫び声が耳に残っている。万が一、シンジが痛みに耐えきれなかったらと思うとうまく反撃が出来ないのだ。

 零号機の首がいよいよ折れるというところで、三号機の体に砲弾が直撃した。

 国連軍が形勢が不利だと判断し、援護射撃を行ったのだ。

 

『今だ、青いの!!』

「ッ! ごめん、三上くん!」

 

 背中に直撃した砲弾にシンジの悲鳴が上がるが、レイは緩んだ左手の拘束を跳ね除けると三号機を投げ飛ばす。

 素早く体勢を立て直した零号機内で、綾波は激しく咳き込む。

 

「葛城さん、どうしたらいいの!?」

『……初号機は三号機を押さえつけて、零号機はプログナイフで強制的にエントリープラグを排出させて!』

「わかった、綾波、行くよ!」

「わかったわ」

 

 零号機はプログナイフを装備し、初号機はパレットライフルを投げ捨て体勢を低くする。

 三号機はようやく迎え撃つ気になったのか、その場に静止して二機の様子を伺う。

 先に動いたのは初号機だった。

 

「う、うわぁあああああああああああ!!!」

 

 叫びながら三号機へ突っ込む初号機。

 だがATフィールドがそれを阻み、勢いが殺される。

 頭からぶつかり、一瞬意識が飛びそうになったレイだったが、シンジを助けるために気合を入れる。

 

「シンジィイイイイイイイイイイイイ!!!!」

 

 ATフィールドに両手をかざして中和する。

 ATフィールドを縦に斬り裂いた初号機はそのまま両肩を押さえつけると三号機を押し倒す。

 

「今だっ!!」

 

 レイの声に、綾波は覚悟を決める。

 なるべく手早く、そして痛みがないようにと三号機の後ろに回り込み、エントリープラグの周りにへばりついている青い粘膜状のナニカにプログナイフを突き立てようとした瞬間、三号機の両肩のウェポンラックが弾け跳び、腕のような物が生えていた。

 

『そんなっ!?』

『まさか、エヴァの構造すら変えるなんて』

 

 ミサトとリツコが絶望の声を上げる。

 ウェポンラックが弾け飛んだことで、両肩を押さえつけていた初号機が吹き飛ばされた。

 綾波はあっけにとられたが、プログナイフを突き立てようと振り下ろすが、生えてきた腕にプログナイフを弾かれ、そのまま首をまた絞められる。

 

「キャ、ァッ……ッ」

 

 再び首を絞められた綾波は苦しそうにもがく。

 国連軍も砲撃をするが学習されたのかATフィールドに全弾弾かれてしまう。

 そのとき、三号機の元の左腕が零号機の右腕を掴む。

 すると左腕から何かが溶け出し、零号機の右腕に入り込んでいく。

 

『零号機、右腕に使徒侵入! 神経節が侵されて行きます! 頚椎付近も侵食が!』

『いかん! このままでは零号機も乗っ取られるぞ!』

『右腕部を強制切断、急げ!!』

『ですが碇司令! 神経接続を解除しないとパイロットが!』

『その前にパイロットが危険に晒される。右腕部切断後、エントリープラグを強制射出!』

 

 マヤははいと小さく応えると、緊急用の爆薬を爆破し、零号機本体と右腕部を強制的に脱着させる。

 凄まじい痛みが綾波を襲うが、続いて、エントリープラグが強制射出される。

 三号機はいきなり爆発した零号機に驚いたのか、すぐさまに首などから手を離し大きく後ろへと後退する。

 三号機は崩れ落ちた零号機を一瞥すると、振り向きへたり込んでいた初号機を見下ろす。

 

「……僕、だけ?」

『そうよ、レイちゃん……あなたしかいないの』

 

 レイはビクリと肩を震わせる。

 自分しかいない、そのプレッシャーにレイは恐怖心を覚えた。

 

「……逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……逃げちゃダメだ!!」

 

 なけなしの勇気を振り絞って、レイは立ち上がる。

 だがそれを嘲笑うかのように三号機は膝を曲げて跳躍し、初号機を蹴り飛ばす。

 

「ぐぅっ!?」

 

 ATフィールドは中和され、三号機のボディプレスを受けた初号機は背後の山肌へと叩きつけられる。

 国連軍は援護しようとするが、位置関係のせいで誤射の危険性があり射撃を躊躇ってしまう。

 三号機はそのまま肩に生えた手で、初号機の両腕を押さえると元あった左腕で首を締め上げる。

 絞めている首に青いシミのような物が、徐々に広がっていく。

 

『装甲部頚椎付近に侵食部位発生!』

『侵食タイプ、ここまで厄介だとは』

『レイちゃん!! 国連軍の援護は!?』

『誤射の危険性を考慮して、射撃を中止しています!!』

『ッ!! やむを得ないわ、国連軍に要請! 多少の誤射は気にせず射撃を!』

 

 ミサトがオペレーターに伝えると、国連軍はすぐさまに砲撃を開始する。

 だが先程の不意打ちの一撃を学習したのか、背面にATフィールドが浮き出て射撃を全て受け止めていた。

 

『侵食が第8100層まで確認! このままではパイロットの生命維持が!!』

『レイ、跳ね除けるんだ』

「無理、だよ、父さ、ん……がひゅっ……」

 

 ゲンドウはモニターに映る初号機を見ながら静かにいう。

 だがその手は震えており、動揺していることがわかる。

 レイはなんとか返答するが、徐々に薄くなっていく意識を感じながら三号機に向かって手をのばす。

 

「シン、ジ……や、め、て……」

 

 ピタリと三号機の動きが止まる。

 左腕の力が抜け、三号機が吠えて初号機を押さえ込んでいた肩の腕を掴む。

 

『なぁっ!?』

 

 突然の行動にミサト含めた発令所にいる者たちが驚愕の声を上げる。

 まるで自分と戦うように、もみくちゃになる三号機を見て、リツコは叫ぶ。

 

『シンジくん!!』

『う、うぁああああああああああああああああっっっ!!!!!』

 

 通信にシンジの叫び声が響く。

 元の三号機の左腕で右肩から生える手を掴むと力を込める。

 ブチブチブチと肉の裂ける音を立てながら、生えていた腕を自ら引き千切っていく。

 あまりの光景に、マヤは目を背け、他オペレーターたちは息を呑んでいた。

 

『あああああああああああああああっっ!!!』

 

 そして引きちぎった手を地面に叩きつけて、シンジは叫ぶ。

 そのままヨロヨロと後ろに下がり、両膝をつく。

 

「シンジ……」

 

 自分を守ってくれたシンジに、レイは泣きそうになる。

 ミサトはまだシンジの意識が残っていると判断し、通信で呼びかける。

 

『シンジくん! 動かないで!! 今レイちゃんがあなたを助けるわ!』

『こ、れ無理ゾ……あと、レイ、近づく、な』

 

 三号機内部でシンジは、使徒に侵された自身の体を見て返答する。

 レイを殺したくない、その一心で無理やり機体の制御を奪い取ったのだが肩から生えている腕はシンジの意思ではコントロールしきれない。

 近づけば反撃行動に出てしまう、それがわかってしまうのだ。

 

『ミ、サトさん、ごめ、んなさい』

『謝らなくていいの!! あなたの責任じゃない!!』

 

 ミサトは叫びながら涙を流す。

 こちらの責任で危険に晒してしまった、その申し訳無さで胸がいっぱいになる。

 リツコは、キーボードを叩きながらなんとか三号機へのアクセスを試みるも、如何せん使徒に侵食されている部位が多すぎてなかなか入り込めない。

 

『……ATフィールドさえ、切れれば、砲撃で、死ねるの、にね』

『諦めるんじゃない!! 諦めないでくれシンジくん!』

『そうだ! なんとかするだから!!』

 

 オペレーターたちも必死に励ますがシンジは、苦笑しながら言う。

 

『無、リ、だよ。体のさ、中に、使徒が入り、こんで、る。今もさ、オサエ、こんでる、ケド、頭の、ナカデ、響くんだ。殺せ、殺せって」

 

 ググッと三号機が顔を上げ、左肩の腕を初号機に伸ばすが、シンジは気合で左手でそれをつかみ押さえ込む。

 使徒に侵された脳のせいでシンジの意識がボーッとし始める。

 三号機の目が徐々に赤くなっていくが、シンジは気力を振り絞り通信を送る。

 

『確か、エヴァに自爆装置、あった、よな? 赤木さん、なんとか起動すルかラ、手順ヲ教えテ』

『止めて!! どうにかする!! どうにかしてあげるから諦めないで頂戴!!』

 

 リツコは錯乱状態にも等しい精神状態だった。

 自分のミスで大切な者を失うその苦痛に耐えきれずに、キーボードに拳を叩きつける。

 

『生きることを諦めないで!! シンジくん!!』

『……マダオ、聞こえてるか? 初号、機に搭載シテン、だろ? ダミープラグ』

『……なぜ、それを』

 

 ゲンドウはモニターを見つめながら、驚愕した声を出す。

 ダミープラグの搭載を知っているのはリツコやミサト、オペレーター陣などのみパイロットには詳細どころか搭載の件は話していない。

 得体のしれない感触がゲンドウを襲うが、それを押し殺して現状を考える。

 レイでは勝てない……そう考えたゲンドウはオペレーターに通告する。

 

『パイロットと初号機のシンクロを全面カットだ』

『待ってください、碇司令! ダミーはまだ試作段階です、どのような行動に出るか予想が付きません!』

 

 ゲンドウの言葉を、リツコが止める。

 だがそれを制したのは他でもない、シンジだった。

 

『いいん、だ。使徒殲滅が、仕事、ダロ?』

『…………あぁ、そのとおりだ』

『碇司令!!』

 

 リツコの叫び声が響くが、ゲンドウはモニターをまっすぐ見たまま、動じない。

 まるで全てを見届ける、そう言っているかのような行動にオペレーターたちは唇を噛み締めながら、ダミープラグの起動準備に入る。

 

『レイ、今から行うことは全て私の責任だ……恨め』

「父さん、どういうことだよ!?」

 

 成り行きを見守っていたレイは、懺悔をするようなゲンドウの言葉に困惑する。

 嫌な予感がして初号機を動かそうとした瞬間に、エントリープラグ内が真っ暗になりシート後方の巨大なディスクドライブがカリカリと音を立てる。

 だがすぐにそれが停止し、レイはさらに困惑する。

 一方発令所ではErrorという赤文字がモニターに表示される。

 

『ダメです!! 初号機、ダミーを拒絶します!』

『なんだと!?』

 

 冬月が驚愕の声を出す。

 

『もう一度だ』

『は、はい!!』

 

 ゲンドウの声で、もう一度最初からダミープラグの起動が始まる。

 だが起動する前にErrorの表示が出て、エヴァがダミーを拒絶してしまう。

 リツコはまるで嫌がるように、身動ぎする初号機を見て通信に乗せずに呟く。

 

「嫌がっているの? エヴァが……」

「……」

 

 ミサトは何も出来ない自分を恨めしく思う。

 状況を見守っていたシンジは、ダミープラグを拒否する初号機を見て絶望する。

 おそらくは自分のせいだ、ダミープラグを使えばどうなるか知っている俺が乗っていたから拒否シているんだ。

 レイを傷つけないために。

 

『なんでだ、オカアサン!! 俺を殺せよ!! それを拒否するんじゃない!!』

『シンジくん!?』

 

 オカアサンという言葉に、リツコとゲンドウ、冬月がビクリと肩を震わせる。

 だが理解できないミサト含めた人たちは、突然の言葉に困惑する。

 

『殺せよ!! 殺してくれ!! 苦しいんだよ! 辛いんだよ!!』

「シンジ……」

 

 レイは、暗闇の中シンジの慟哭に心を痛める。

 発令所では三度目のダミーの起動に入るが、それも拒否される。

 シンジはそれを見て、感情のまま動かない初号機に飛びかかって、マウントポジションを取った。

 

『シンジくん!?』

『殺さないなら、俺が殺してやる!!!』

 

 ガン!! ガン!! と初号機の装甲を殴りつける。

 

『どうした!! 殺しちまうぞ!! 本当に殺すぞ!! なぁ!! オカアサン!! レイを俺が殺しちまうぞ!!』

 

 初号機を殴りつけながら、シンジは泣きじゃくる。

 こうしたくはない、それにレイの心に深い傷を残すことになるのはわかっているが、ダミープラグが使えない今では、初号機自身に決着を付けてもらうしか無い。

 使徒に必死に対抗しながら、シンジは叫ぶ。

 

『やだよ!! 殺したくないんだよ!! でも俺が俺である内に早く、早く!!』

「シンジ、止めて、お願い」

 

 レイもひび割れていくエントリープラグを見て、恐怖していた。

 守ってくれる存在に殺されかけている、レイは体を小さく縮こませて怯えていた。

 

『オカアサン!!! 頼むから』

「お願い、シンジ!!」

 

 ドクンと初号機の中が鼓動する。

 発令所にいたゲンドウは、嫌な予感がして椅子から立ち上がり叫んだ。

 

『止めろッ!! レイッッ!!!!』

 

 だが遅かった。

 絞り出すようにシンジは初号機に告げた。

 

『ヒトのまま、殺してくれ』

 

 初号機が吠えた。

 

 

 




バルディエル「おっ、人間いんじゃーん! なんやこいつ神経の一部死んどるやんけ! じゃけんここに侵入しましょうねえ!! おっすお願いしまーす」
って感じで使徒に腹筋ボコボコにパンチ食らって、痛覚が強制復活させれました。地味に、爆発抑え込んだときも全身焼かれるような痛み食らって少し気絶した模様。
あと使徒に抗ってるのはシンジ自身の気合だけです。ちなみに抵抗すると全身に激痛走るけどレイを傷つけるよりは痛くないのでセーフ。
じゃっ、皆次回はアレを流しながら見てクレメンス……

ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?

  • いいゾ~これ(両方ともIKEA)
  • (ifストーリーだけ)INしてください?
  • (その後の話だけ)はい、よういスタート
  • どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)
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