中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について 作:re:753
祝、日刊ランキングから陥落、やったぜ。
これで胃痛から開放される。好き放題にやりすぎたけどしょうがないよね!!
と思ったら再び浮上してたことに気づいて( ゚д゚)となった模様。
あとお気に入りが1万超えてるのは草……すいません、自分失踪いいっすか?(吐き気)
使徒襲来の報が来たのは、零号機のテスト中、原作通りだった。
いつもどおりエヴァに乗り込み、俺はミサトさんたちと話し合って……怒気を顕にして叫んだ。
「認められない!?」
『あぁ、そうだエヴァによる直接攻撃をいつものように行う……不服かね』
ゲンドウの声に俺は操縦桿を叩く。
青く輝く巨大な八面体の使徒、みんな大好きラミエルさん相手に俺はミサトさんたちにこう伝えた。
――――どう攻撃するかわからない、だから偵察しませんか、と。
原作で国連軍が出なかったのは不可解だったが、考えれば当たり前なのだ。
単純に被害が多すぎて、軍の再編が間に合っていないのだ。
早期警戒機などは出してくれるが、無用な犠牲をさけるため偵察のみ、映像を送ってくれるだけでもありがたい。
二度の使徒来襲により、厳密に言えば一度目の襲来で戦車大隊壊滅、誘導兵器群も効果なし、オマケに虎の子のN2地雷すら使ってしまったのだ。面目丸つぶれと言ってもいい。そしてそこまでしてやった対象は損傷軽微、現場も上層部もふざけんなと言いたくはなるだろう。
対してNERVは、第3新東京市やエヴァに被害は出してるものの、NERV自身の人的被害がゼロという結果だ。
国連軍のお偉方がどう思うかなんて、火を見るより明らかだろうし、内外からの批判もある。
さらに、人形っぽい使徒、魚っぽい使徒から正体不明の八面体の物体とか相手にできるかぁ!! というのが本音だろう。
そしてなんだかんだNERVは結果を出してきてしまった。
プライドとか派閥争いとか抜きに、NERVに丸投げしたほうが安上がり、そう思われているのだろうと俺は思う。確か、アスカが来たあとの使徒戦でそこら辺描写されていたような、そうでないような?
だからってここで頭下げて、「力貸してください」なーんて言えるわけがない。
……人類滅ぶ寸前だって理解してないのかなぁと俺は頭痛をする頭を抑える。
プライドとか抜きにして、
だが、何もせずこのまま出ていったら原作通り初号機は大破させられ、俺も怪我を負う。
そうしないために、武装を持ったバルーン等で様子見しませんかという提案だったのだが、ゲンドウに却下された。
「万が一、最初の相手みたいにビームでも撃ってきたら」
『ATフィールドがある。葛城一尉、出撃準備を行いたまえ』
『司令、私からも偵察を具申します。今までの敵とは明らかに違いすぎます。彼の言う通り出方を見ても――――』
『出撃と言った、現場の指揮は君に任せているが、出撃に有無を言える立場かね、葛城一尉』
グッダグダぁ!! 敵の荷電粒子砲がやべえんだよ!!!! と叫ぶわけには行かない。
クソがぁ!! 今の所原作知識役に立ったことねえぞ!! いやあるかもしれないが、戦闘は基本行き当たりばったりでもうめちゃくちゃや。
ミサトさんは一瞬考え、ゲンドウに意見具申を行う。
『ッ……ならば遮蔽物の多い場所にエヴァを展開します』
『好きにしたまえ。あとパイロット、怖気づいたのならエヴァから降りろ、貴様の代わりはいる』
『父さんっ! そんな言い方ッ!』
「レイ、いいんだ……出撃準備、お願いします」
コレ以上の問答は無理だと判断し、ミサトさんに出撃準備をお願いする。
『ごめんなさい、シンジくん』
「謝罪はいいんで、何があっても地上につくと同時にリフトオフお願いします。嫌な予感がビンビンですよ」
まぁ、地上出る前から狙われて、出た瞬間狙い撃たれるからな。
最終安全装置が外れないとエヴァ動けないし、こうなったら撃たれるのを避けてやる。
「というかそのまま勢いで、飛び出すような感じにしてくれません? 飛び上がって膝突きながらスーパーヒー――――」
『発進!!』
「知ってた!! 最近わざとやってんだろぉおおおおおおお!!」
後々考えれば、俺も、NERVも使徒を舐めていたのだろう。
なまじ前回イレギュラーがなければ楽勝だったという事実が、俺も、ミサトさんたちの頭の中に余裕という慢心を生んでいた。
そう、原作通りになる、そんなワケ無いと思い知ったのに、俺はこの世界をまだ舐めていたらしい。
『目標に高エネルギー反応!』
『シンジ!! ミサトさん、今のうちに最終安全装置を』
『ダメよッ、今はずしたらバランスを崩してそれこそ大損害よ』
「タイミングは頼んだっ!!」
いざとなればユイさんがいる、そんな甘えが俺の頭の中にはあった。
そして、その報いを受けることとなる。
『周円部を加速っ! 収束も確認!』
『まさか……加粒子砲っ!? だめよ!! シンジくん!! ATフィールドを全開にして!!』
「言われなくてももう張ってるっ!!」
機体前面に集中して硬めたATフィールド、これなら多少は――――。
そう考えていたものを嘲笑うかのように、容易くATフィールドが突破され、俺の、いやエヴァの胸部に高熱と激痛が襲う。
俺はただ叫び声を上げるしかなかった。
〇〇○
『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!』
絶叫が管制室に響き渡る。
オペレーターたちが絶句していたが、ミサトは素早く指示を出し正気に戻す。
「防護アーマーを展開! 同時にエヴァを回収して!!」
目の前に強固な防壁が迫り上がり、粒子砲からエヴァを守る。
だが警告音が鳴り響き、全てのステータスがレッドゾーンに突入していた。
ミサトの指示通りエヴァを回収するために、スイッチを押したオペレーターの一人、日向が焦りを隠そうともせず状況を報告する。
「ダメです!! カタパルト融解っ!! 作動不能っ!」
「最終安全装置はっ!」
「そちらもダメです! 緊急時の爆破装置も作動しません! エヴァ初号機、行動不能!」
「パイロットのバイタル微弱! LCL内温度も急上昇してます、このままじゃシンジくんがっ」
「泣き言いわないでっ! シンジくん、動けるっ!? エヴァを動かすのよっ!!」
「防護アーマー多重展開っ!! 出来る限りでいい時間を稼いで!!」
ミサトのセリフで、追加の防壁が次々とせり上がる。
原作よりも後方に、それも念の為と用意していた防壁密集地だったため出来たことだった。
使徒の粒子砲がか細くなり、防壁は健在だったが、事態は予断を許さないのは変わっていない。
作戦本部はパニック状態というのがふさわしいだろう。
リツコがいつもの冷静さを投げ捨てて、シンジに呼びかけるが目から光を失った初号機が動くこともなく、先程もまでうるさかった絶叫も、今は荒く息を吐いているのみだった。
レイは顔を覆い、嗚咽をあげていた。
誰もが正常な思考をしていなかった。
その様子を静かに見るのはゲンドウ、ただ一人のみ。
「やむを得ないわ。パイロットの保護を――――」
「それは許可できん。パイロットはそのまま。シンクロ率を最低値まで下げて対応しろ」
「碇っ! このままではパイロットが死ぬぞっ!?」
「構わん、先程も言ったが換えはまだある。パイロットの保護を後回しにし、機体の回収だけを優先しろ」
ゲンドウの言葉に、冬月他NERV全職員が絶句する。
パイロットの保護を後回し、つまり死んでもいいと言い放ったのだ、中学生に。
ミサトは上司ということを忘れて、ゲンドウに叫ぶ。
「碇司令っ! あなたは子供が死んでもいいとおっしゃるのですかっ! 何も知らずに戦ってくれた子を!」
「……葛城一尉、発進点呼をしたのは君だ。その時点で私と同罪だよ」
「あっ……ちがっ、私はっ」
胸にかかる十字のアクセサリーを握りしめる。
違う? 違わない、シンジならどうにかすると思っていた。ミサトも、他オペレーター含めた全員が、その結果がコレだ。
全員唇を噛み締めていた。この場にいる誰も、ゲンドウを批判する資格はない。
『気に、すんな、ミサ、トさ、ん。俺が、ドジ、っただけだ』
「シンジくん!?」
弱々しい声でシンジの声が響く。
心音微弱、脳波は乱れに乱れていた。この状態で意識がある事自体が奇跡に等しい。
だが生きている、その希望がオペレーターたちに火を点けた。
「ボケッとするな!! 日向、どうにか爆破装置は動かせないか!?」
「やってるが回路が融解しててどうにもならないんだよっ!」
「……ミサト、迎撃装置を使いましょう。多少、エヴァに損害が出るけど、この際許容範囲内だわ」
「やむを得ない、か。司令、よろしい――――」
使徒用に作成していた迎撃システムを、エヴァに向けることになるとはとミサトは歯噛みをする。
だが許可を取る前に使徒をモニターしていたマヤが、焦るように叫ぶ。
「目標に再び高エネルギー反応!!」
「シンジくんっ!! 動いてっ!!」
無理だとわかっていてもミサトには叫ぶしかなかった。
極大の光線が防壁に当たると一枚、また一枚と融解する。
防壁を作成した工作班は絶句していた。第三使徒のビームすら耐えきれると自負していたソレがなんの抵抗もできずに溶けていく。まさに絶望の状況だった。
「エントリープラグ強制射出ッ! 絶対に生かすのよ!!」
『ダメだっ!!』
力強い否定の言葉にその場に居た全員が息を呑む。
『このまま、俺が中にいな、きゃ、初号、機が蒸発、しちまう……だよ、な? ゲンドウ、さん」
「そのとおりだ、パイロット……とにかく耐えろ」
表情一つ変えること無く、冷酷に突き放すゲンドウの言葉に、シンジは悪態をつこうと口を開いた。
本部に送られてくる映像では防壁の最後の一枚が融解していくところであった。
『く、たばれ、マダ……うぐあぁあああああッッ――――――』
「ミサトっ! このままじゃパイロットが、シンジくんが保たない!」
原作、いや新劇場版と呼ばれる作品の第二射よりも高火力になっていた粒子砲が初号機に直撃する。
絶叫が途中で途切れるが、パイロットのバイタルサインが同時に消える。
つまるところ、シンクロによる痛みとLCL内の高熱で心停止したということだ。
リツコの絶叫に、ミサトは最終手段に出る。
「作戦要項をすべて破棄! 爆砕ボルトに点火して!! 早くっ!」
最終手段であった。その区画を支えている固定ロックを爆破し、区画ごと地下に落とすという行為。
幸いにして、そこにはシェルターはなかったが、そこに住んでいる、もしくは働いている者たちには影響が出るだろう。
だが四の五の言っている暇はない。
ロックが爆破され、エヴァの体が地に沈む。
それと同時に使徒の攻撃が途絶えるが、ミサトは使徒を無視して指示を飛ばす。
「救護班待機っ!」
「LCLの冷却を最優先!」
リツコが命令を付け足すが、最悪の報告がマヤの口から放たれる。
「パイロットの心音がありません!」
「生命維持機能を最大にして心臓マッサージ!!」
LCL内で、シンジのスーツを通して心臓マッサージが行われるが……心音は戻らない。
リツコは拳で机を叩いて叫ぶ。
「もう一度!!」
「は、はい!!」
二回、三回と心臓マッサージが続くがシンジのステータスが変わることはない。
もう駄目かという雰囲気が漂い始めたとき、泣いていたレイが叫ぶ。
「起きてよ、起きてよぉ!!! シンジィッ!! 僕を一人にしないで!!!」
五回目の心臓マッサージとともに、無線を通じてシンジの耳にレイの言葉が届く。
ドクリとシンジの心臓が動く。
ステータスがブラックからレッドに戻り、オペレーターたちが息を吐き、気を引き締める。
「初号機回収完了」
「了解、LCL強制排出。救護班は排出終了後、処置を急いでください」
「使徒の様子は!」
「現在第3新東京市上空を浮遊……いえ、目標停止しました! 本部直上! この真上に居ます!」
ジオフロント直上で静止した使徒は、地面に最も近い部分をドリル状に変化させて地面に突き刺した。
見た目は硬いガラスのようだったが、液体のような柔軟性で体の形を変えていく。地面に突き刺さったドリルは、そのまま地下を目指して掘り進められていた。
「目標の形状が変化! 地面を掘削中!」
「直接攻撃する気ね……流石にここまで届くほど加粒子砲を連射出来ないと」
ミサトはひとまず安心する。
最悪の想定では粒子砲を連射されて、ジオフロントを直接攻撃されるとまで思っていたのだ。
特殊装甲を備えた第3新東京市の地面が削られていたが、ミサトにとってはこの程度は驚愕に値しない。
「本部到達までの予測時間をMAGIに計算させて」
「今、やってるわ」
リツコの言葉にミサトは不敵に笑う。
「さぁて、休んでる暇はないわ。国連軍に通達、無人攻撃機での攻撃要請。こちらも迎撃システムを起動して……あとエヴァのダミーバルーンを使って、目標の習性を調査します。よろしいですね、碇司令」
「構わん、使徒殲滅にはどのような手段をも講じたまえ」
ミサトは拳を握りしめる。
だがここでは出さない、大人とはそういうものだ、と自分に言い聞かせる。
司令官席ごと移動していくゲンドウをミサトは睨みつけ、モニターへと向き直る。
ふと、オペレーター席にレイの姿がないことに気づく。おそらく、シンジの元に駆けつけたのだろう。
リツコが肩をすくめるが、ミサトはアイコンタクトで「放っておきなさい」と言う。
「では、使徒調査攻撃を開始します。……目標を破壊するつもりでやるわよ」
「「「「了解ッ!!」」」」
力強く頷くオペレーターたちを見て笑うミサトは、一瞬だけシンジへの謝罪を想う。
○○○
「お願いします」
リツコがいたのは戦略自衛隊つくば技術研究本部、そこで極秘に開発されていた大出力陽電子自走砲を譲渡するように交渉していた。
あの後、目標に向けて攻撃したが見事に全弾迎撃、並びに撃破され、ダミーバルーンですら武器を構えた瞬間に蒸発させられるという結果に終わった。
エヴァによる近接戦闘など不可能、ならば長距離狙撃しか無いという結果になったのだが……敵ATフィールドが強力すぎる上に、位相パターンを常時変えているせいで、たとえ初号機と零号機を同時運用して一機が中和、もう一機が狙撃をしようにも即座に粒子砲を撃たれるのは目に見えていた。
だからこそミサトが一発逆転を目指した『ヤシマ作戦』が発動したわけだが、問題は山積みであった。
そもそも敵ATフィールドを貫く威力を出すためには日本中の電力を一極集中しなければならない。これはNERVの超法規的措置でなんとかなる……が、問題はその一極集中された電力を受け止める砲身であった。
NERVでもエヴァ専用の陽電子砲を開発中であったが大容量の電力供給には耐えきれない。
そこでミサトが目をつけたのが、戦自研で極秘に開発されていた試作自走陽電子砲。
こんなもんなんのために使うんだというツッコミが出るが、これならば一発なら耐えきれるとMAGIも判断した。
そのためNERVの権限で強制接収する……そのつもりだったが、リツコが反対し、自分の足で戦自研に向かったというのが冒頭までの話であった。
担当者は困惑する。あの赤木リツコ博士が頭を下げていたのだ。
強制徴収すればいいものを、リツコは真正面から戦自研に乗り込み、土下座行脚を行っていた。
「お願いしますと言ってもですね、これは……いや、NERVさんなら強制的に接収したらいいじゃないですかねえ」
戦自は給料泥棒だ、と言われたことがある。NERVではないが、国連軍との会議の場でだ。
言ってしまえば担当者の八つ当たりだったが、リツコは顔を上げて首を振る。
「……そうしてしまえば、戦自研はNERVに協力しない、そうでなくて?」
ピクリと担当者の眉が動く。
表向きには情報提供はするだろうが、元々NERVとは折り合いが悪いのが戦自研だ。
エヴァンゲリオンという正体不明の機動兵器を保有するNERVに負けるな、というのがスローガンだった。
だからこそ、もしも強制接収でもされようなものならその後は断固として協力しない、そう決めていた。
だが、リツコはそこに付け入ること無く、頭を下げる。
「お願いします」
「……何故そこまで頭を下げるのです」
担当者は困惑を隠しきれずに、疑問を口にしていた。
するとリツコは顔を上げて、担当者を見つめる。
「私達は十四歳の子供に全てを託しています。そして大きな失敗をしました」
「……エヴァのパイロットは子供だと聞いていたが、事実だったのか」
「えぇ、情けなくなるでしょう? 少し前の私はそう思っていなかった」
遠い目をしながら
慈しみ、我が子を抱える母親のような、そんな雰囲気がリツコにはあった。
「だからこそ、あの子が十全に戦えるようにしたいんです。これからも、あの子は戦うでしょう。そこに障害があれば、またあんなことが起きる」
「……大人の、意地ですか?」
担当者は笑う。
それは卑下するものではない。むしろ称えるような笑みだった。
「えぇ、大人になりきれない大人ですがね」
「……これを使えば、その子を助けられると?」
「……えぇ、きっと役に立ちます」
担当者は目を閉じる。
馬鹿げたことだと上層部は笑うだろう。だが担当者はそうではない。
研究職であるが人を守ることを誇りにする軍人であった。
セカンドインパクト後、苦労した少年時代を振り返る……あのとき助けてくれなかった大人たち、だが今の自分は誰だ? ただの縄張り争いで子供に負担をかけるのか? 違うだろう。
何の為に自衛隊の門を叩いたのか。自分と同じ思いをする子供を一人でも減らすためじゃなかったのか。
(あぁ、こういうのを俺は待っていたんだ)
命令違反、懲罰処分を食らうだろう。
だが、あの時出来なかった手助けが出来るなら……担当者の心は決まった。
「詳しい話をお聞かせ願いますかな? 赤木リツコ博士」
「……よろしいので?」
「いざとなれば強制徴収という形にしてください。この歳で職を失うのは辛い」
「いざとなればNERVに」
「それもいいですな……では手短に、時間は少ないのでしょう?」
そうして二人の大人が子供のために奮起した。
そして、別の場所でも子供のために踏ん張る大人がいた。
「生きているのが不思議ですな。LCL内で釜茹でにされ、数十秒間に及ぶ心臓の停止、胸部には大痣。今日中の作戦行動は……いや、そもそも目を覚ますかどうか」
「そう、ですか……」
ギリギリの調整の中、ミサトはシンジが入院した病院で説明を受けていた。
シンクロによる脳の酷使、高温のLCLに晒されて全身火傷をした状態。とてもじゃないが動ける身体ではなかった。
全身に管を繋がれ、呼吸器マスクを付けているシンジの姿に、ミサトは拳を握り締める。
全て、自分の責任だ。
だから、ここでは止まれない。
「先生、シンジくんを、人類の希望を……宜しくお願いします」
ミサトは立ち上がり、深々と頭を下げる。
医師は、ミサトの行動に目の中に闘志を宿す。
彼女の戦場が外なら、
「あぁ、任せたまえ。外は頼んだぞ」
「はい」
ミサトは診察室から出ると、外のソファで顔を覆っているレイを見る。
痛々しいとすら思える姿だが、四の五の言っている場合ではない。
「レイちゃん、シンジくんが動けない今、初号機を動かせるあなたしか頼れないの」
「……」
「レイちゃん、聞いて。零号機は調整不足、初号機はなんとか動かそうと整備班が命を賭して整備してるわ」
「……どうだって、いいですよ」
レイは暗い瞳でミサトを見据える。
何も映していないかのような漆黒の瞳、だがミサトは目を逸らさずに、レイの両肩を掴み、顔を見据える。
「どうでもよくないわ。あなたしかいないのよ。他の誰にも代わることは出来ないわ」
「どうでもいいって――――ッ!?」
パァンと乾いた音が聞こえた。
レイの頬に、ミサトが平手打ちをしたのだ。
呆然と叩かれた頬を手で触りながら、レイはミサトを見据える。ミサトは怒りに満ちた目で、レイを見ていた。
「甘ったれるのもいい加減になさい。あなたが動かないとみんな死ぬのよ」
「どうでもいい。僕は何も悲しまないっ!! こんな場所どうなったって」
「シンジくんが守った街が壊されるのよっ! レイちゃん!!」
ハッとレイの瞳に光が戻る。
シンジが、守った街? とつぶやいたレイにミサトは畳み掛ける。
「こんなことを言うのは卑怯かもしれない、いいえ卑怯ね。でも、あなたが動かなければあの使徒がNERV本部を襲って街が、世界が終わるの」
「世界が、終わる?」
「そう、あなたも、シンジくんも死ぬ。もう二度と彼と触れ合えないし、笑いあえないの」
「……シン、ジと会えない?」
ガチガチガチと歯を鳴らしながら震えるレイに、ミサトは声をかける。
「それを食い止められるのは、あなただけなの」
「僕が……?」
「私達を許さなくたっていい、この街を守ろうとしなくてもいい、けど……自分の好きな男の子くらい、自分で守りなさい。女だって、見てるだけじゃないでしょう?」
どの口が言うんだとミサトは自虐する。
利用していることに心が痛む。だが結局レイが乗らなければどうにもならないのだ。
だからこそ、ミサトは泥をかぶる。
「作戦は追って伝えるわ……それまでは、彼に付いていてあげて」
ミサトは立ち上がり、時計を見る。
時間はあまりにもない。だが無理は元々、レイの様子を見ること無くミサトは立ち去る。
ミサトがいなくなったあと、レイはシンジだけを見ていた。
レイの考えはミサトに言ったとおりだ。
こんな街がどうなろうと、誰が死のうとレイには関係ない、シンジさえ生きていてくれればそれでいいのだ。
その、シンジが死ぬ……そう考えただけでレイの体は震えが止まらなかった。
そしてそれが自分なら止められる。
選択肢は、なかった。
「……逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……」
奇しくも、レイは原作のシンジのような言葉を呟いていた。
あのときのやり直しのように、レイは顔を上げる。
「僕、やるよ。シンジのために、乗る」
闘志を宿した瞳でシンジを見るレイ。
その時、シンジの指が一瞬だけ動いたことにレイは気づかなかった。
ヤシマ作戦開始まで、あと七時間。
ラミエル「狙い撃つぜ!! ……ファッ!? 防がれてなんかいっぱい出てきたンゴ……しょうがないにゃあ(チャージ)。よし、ぶちこんでやるぜ!!(最高火力)」
と第二射はヤシマ作戦のときレベルにぶち込まれた模様、そら心臓くらい止まるよ。
NERVなっさけねえな!! と感想多かったから、ヨシ、うちのNERV見せてやるぜ! と大暴走した結果がこれだよ!!
ウチのシンジくんに感化されてるやつ多すぎるのと、リツコさんがデレッデレなのはクソガキ要素が意外と心地よくて、実はレイ、ミサトさん抜くと訓練に付き合ってるからシンジくんと触れ合う機会が多かった模様。そら情くらい湧くよ。
あと心停止程度で死なすほど優しくないから安心しろって、物語の主人公なんて無茶振りさせてなんぼだってソレ一番言われてるから……不死鳥は三回死んで灰から蘇るからね、しょうがないね。
個人的にむかーし某怪獣王VS機械の龍を見たときに、子供が隊員に飴玉渡すシーンあったじゃろ? あれからぼかぁ大好きになったからかっこいい軍人出してみた。批判114514!! あっ、やっぱ止めて壊れる、作者壊るる。
ほんへ完結後、ifストーリーやその後の話とか見たい?
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いいゾ~これ(両方ともIKEA)
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(ifストーリーだけ)INしてください?
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(その後の話だけ)はい、よういスタート
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どうしてやる必要あるんですか?(現場猫)