「――以上が、演習の日程詳細になります。ここまでで質問等ある方はいらっしゃいますか?」
週末、十三番隊隊舎の一室。
二番隊・十三番隊合同演習準備会議と大きく書かれた黒板を背に、司会の十三番隊第三席虎徹清音がコの字になった長机を見渡す。
各隊長以下、二十名強の席官たちから発問は出てこなかった。
「……では、次の項目の――」
その端の席で清一郎は、資料の通りに説明を行う彼女の声をぼうっと聞き流していた。
十三番隊の担当者と内容を詰めて細かいところまで自分で作ったのだ。諳んじられるくらいには資料の中身は把握している。
「(何だか場違いだなあ……)」
他の隊の席官と仕事で顔を合わせることはあっても、ここまでの人数となるとそう機会も多くない。
ましてこれだけ人数が集まっていると、最近は事務室に籠もりきりの清一郎からすればこの上なく居心地が悪かった。
「(まあ、しばらく現場出てない、ってのはごもっともだけど)」
最初は、仕事を理由に丁重に断ろうとした。
しばらく外での任務に関わってないので億劫なのもあったし、雑然とした事務室の整理もしておきたかった。
だが、普段はっきり物を言う砕蜂が「急ぎでないなら後に回せ」、「たまには身体を動かせ」とどこかぼやけた表現をして譲らず、小さな押し問答の末に業務命令という形でしぶしぶ出席することになったのだ。
「――では、全体の説明は以上となります」
ふと現実に意識を戻すと、会議もそろそろ終盤というところだった。
司会の清音が席に戻るのを見計らって、白髪の男性――十三番隊隊長浮竹十四郎が口を開いた。
「資料の通り今回の演習地点は流魂街からかなり外れている。周辺の住民が迷い込むことはおそらくないだろうが、万が一のこともある」
普段の任務の少人数ならいざ知らず、今回は百名以上の人数と荷駄を引き連れて流魂街を通り抜けて演習場所へ向かう。
物珍しさゆえに“こっそり覗いてみよう”、と後をつけて来ないとは限らない。
「そこで、実戦演習を終えた班から交代で周辺警戒に当たるようシフトを組んだ。これも演習の一環として行うから、各班の班長は再度スケジュールを確認しておいてくれ」
浮竹が示したページも、しっかり内容を覚えている。
負担が偏らないように交代で哨戒するよう十三番隊の担当と話し合った部分だ。
もともと演習に参加する予定ではなかったので、清一郎の名前はもちろん載ってない。
実戦演習の時だけはどこかの班に組み込んでもらい、哨戒演習は遠慮させてもらって本部の隅の方で持ってきた事務仕事を片付けるつもりだ。
と、
「浮竹隊長、少しいいか?」
「砕蜂隊長?」
砕蜂が浮竹に声をかけた。
互いに普段呼び捨てで名前を呼んでいるが正式な会議でそれぞれの部下もいる手前、敬称をつけている。
「我々隊長二名は本部で指揮を執るわけだが、今回の演習では両隊の隊士たちを混成した部隊ということで指揮系統の混乱が予想され、スケジュールの進行に些か不安が残る」
「ふむ、たしかにそうだな…」
「そこで我が隊の演習における装備調達等を担当した、私の部下の事務部長篠木清一郎を本部運営の人員に加えたいと思っている」
「ええっ…!?」
思わず立ち上がりそうになる身体を抑えながら顔を上げる。
まずい。このまま本部で運営に掛かりきりになるくらいなら、真面目に演習に取り組んでいるほうがマシだ。
「お言葉ですが――」
「なるほど…いや、すごくいい案だ!
うちの担当がこの資料を作るのに二番隊の事務部長のおかげですごく助かったって聞いてるし、今回の演習のことは細かいことまで熟知しているだろう。
もし手伝ってもらえるならこれ以上心強いことはないよ!」
「ちょっ…」
うんうん、と一人納得して微笑む浮竹は、ぜひお願いしたい、と砕蜂の提案を受け入れた。
「篠木、いいな?」
「う……」
――連れて行く以上、お前にもきっちり仕事はさせるぞ。
細められた砕蜂の目は、はっきりそう言っていた。
「り、了解しました…」
――はじめからこの役目を負わせるつもりだったのか。
砕蜂にまんまと嵌められた清一郎は、引きつった顔でただそう答えるしかできなかった。
キャラそれぞれの口調も呼称もムズカシイネ
こいつこんな喋り方してたっけ?って分からなくなる
あとどのくらいの文量が適正なんだろうか…
いろいろ詰め込んじゃうくせがあるからムズカシイヨ