ガンダムビギニングダイバーズ   作:カシュー

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Re:RISEを最終話まで通しで見た勢いで書きました。
処女作です。拙い文章かもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。


スタートとリスタート

コントロールレバーを動かしながら、目の前に広がる仮想のフィールドを駆け回る。無機質なアラートと同時に周りに無数のビームが降り注ぐ。

 

「くっ……!!」

 

背後には巨大な4枚羽を持つ機体が姿を見せている。

クシャトリヤ…大量のファンネルを駆使して戦う機体である。

 

「距離を取るだけで勝てる相手ではないよな…一気に攻めるか!!」

 

俺が搭乗する機体はガンダムエクシア。7本の剣で戦う近接格闘用モビルスーツ。リーチは相手の方がある分こちらが不利だが、一気に接近すればなんとかなるだろうか…

機体に貯蔵されているGN粒子を一気に放出し、最高速度で接近する。相手は予想外だったのかファンネルのビームはあらぬ方向に発射された。

 

「これなら‼︎」

 

GNソードを展開し、巨大なバインダーユニットを切り裂く。対するクシャトリヤも反撃の胸部メガ粒子砲を発射するが、エクシアのその機動性でなんとか避ける。即座にショートソードとロングソードをクシャトリヤに胸部の発射口に突き刺し、さらにGNソードでコクピットを破壊する。

クシャトリヤは動きを止め、直後に『WINNER Takumi』の文字が表示される。

 

 

【ガンプラバトルネクサスオンライン】、通称【GBN】。ガンプラを読み込んで仮想空間で実際に乗り込んでいるかのように操作し、戦わせることが出来る、まさに夢のオンラインゲーム。

俺、『アオヤマ・タクミ』はそれに心を奪われ、夢中になってプレイしていた。

 

フリーバトルが終わってロビーに戻るとさっきの映像がモニターに表示されていた。

こうやって客観的に見るとまだ自分の操作には粗があるように思えてしまう。いや、実際には粗だらけだ。俺にもっと操作技術があればもっと早く決着がついていただろう。俺はまだまだ弱い。

 

「どっかのフォースに参加した方がもっと強くなれるのかな……?」

 

俺はフォース、所謂チームに所属をしていないソロダイバーだ。何か特別な理由があるわけではなく、ただ最初はソロでランクをあげて行こうと考えていたからだ。

 

「なあ、あれって……」

「ああ、【レイア】のガンダムF91キリアだよ……久々に見たけど、やっぱりカッケェな‼︎」

 

周りのダイバー達のザワつきを聞いて彼らの視線の先に目を向ける。どうやらさっきのバトルの映像は終わっており、純白のMS、【ガンダムF91キリア】が戦っている映像に切り替わっていた。。数か月前の映像だ。

レイアはここ一年で特に戦績を伸ばしていたフォースに所属していたダイバーで、フォース脱退後は、トップ10入りしている他のフォースにも勧誘されたという噂もある。

俺もその映像に釘付けになっており、映像が終わった頃には、もう午後8時を過ぎていた。

 

「やばいな、早く帰らないと閉め出される‼︎」

 

俺は急いでログアウトし、現実のGBN用ゴーグルを外す。いくつかの筐体が設置されたいる部屋から出ると、この模型店の店長が声をかけてきた。

 

「随分と熱中してたみたいだね!お母さん達が心配しないうちに帰らないとダメだよ?」

 

その手には俺のバトル映像が流れているスマホが握られていた。

 

「はい!すぐに帰ります‼︎」

 

笑顔でそう返すと俺は走って店を出ようとした。しかし、

 

「あら、その制服、うちの生徒じゃない」

 

店の出入り口で一人の女性と出会った。

 

「えっと、ホウジョウ先輩……これは、違うんです……」

 

【ホウジョウ・レイ】先輩、同じ高校の先輩で、生徒会に所属しており、少々真面目な性格から無愛想だと周りの人にはあまり慕われていないものの、学校一と噂されるその美貌から男子生徒からは高嶺の花として人気がある。そういう俺も彼女に憧れている。

なんとかごまかそうとするが、制服のままこの時間までGBNで遊んでいたことをうまくいかない。

 

「制服のままで外に出ていいのは8時までって校則がうちの学校にあるのを忘れたわけじゃないでしょうね?」

「いやいや、忘れてたわけじゃないんですけどね‥‥‥とっとりあえず、反省文なら明日書きますから‼︎」

 

俺は先輩を振り切ってとりあえず逃げた。

 

「あっ‼︎ちょっと待ちなさい‼︎」

 

なんとか先輩から逃げて、門限時間までに家につくことができたが、母さんには結構怒られてしまった。

 

 

 

翌日、学校でいつも通りの授業を終え、GBNにログインしようと学校を出ようとしたとき、同じクラスの女子に呼び止められる。クラス委員の【シノミヤ・カナ】だ。

 

「アオヤマ君、先生が至急職員室まで来るようにって…何かしたの?」

「あぁ、ありがとう。別に大した用事じゃないと思うけど」

 

多分昨日のことだろう。

軽くため息をついて職員室に向かった。

 

 

 

「確かに、この高校の校則は厳しいとは先生も思う。だがな、校則である以上は守るべきだとも思う。一応、反省文は原稿用紙一枚以上かけたらそのあと先生がなんとかするから、今度からは守れよ?」

 

そんな先生の説教が終わって、職員室を出るとホウジョウ先輩が職員室の前を通るところだった。

 

「アオヤマ君、お説教が終わったところかしら」

「ええ、そうっすね……そういえば、俺の名前知ってたんですね」

「あのお店の店長に聞いたのよ」

 

あの店長、顧客の個人情報はちゃんと保護しろよ‼︎

 

「そういうあなたこそ、私の名前は知っていたのね」

「えっ……まぁ、学校一の美人って噂になってる先輩なら名前ぐらい知ってますよ」

「あら、嬉しいこと言ってくれるのね」

 

……そういえば……

 

「先輩って昨日あの店にきてましたけど、何の用だったんですか?」

 

それを聞いて先輩は少しバツが悪そうな反応を見せる。

 

「……えーっと…あれは……」

 

先輩は少し黙り込んでしまう。

 

「……絶対笑わない……?」

 

先輩が小さい声で確認をとってくる。

 

「いや、笑わないと思いますけど…」

「……誰にも言わない……?」

「知られるとやばいことしてたんですか⁉︎」

 

先輩は顔を何度も横に振って否定する。そしてまた少し経った後、ゆっくり口を開いた。

 

「実は……私、ガンプラが趣味で……」

「まぁ、そんなところだとは思ってましたけど」

「それじゃあ、なんでわざわざ言わせたのかしら?」

 

先輩が俺をにらむ。

なんというか、話してみたらそれほど堅い感じがしないような、先輩の意外な一面を見たような気がする。

 

「わざわざ隠すことでもない気がしますけどね、俺もGBNにログインしてますし」

「いやいや、それは男子だからよ。女子がガンプラって色々言われかねないのよ……変な噂も立つし、『オタサーの姫』なんてあだ名もつけられるし、周りの女子からのあたりもひどくなるし……」

 

やけに具体的な被害妄想がどんどん出てくる。先輩の顔もひどいことになっている。

 

「いやもういいですよ‼︎誰にも言いませんから‼︎」

 

先輩をなんとか慰めた後、別の話にすり替えることにした。

 

「あっ、そういえば先輩はGBNはやってないんですか?良かったらこの後、俺と一緒にやりませんか?」

「やっていたけれど……私、あまり上手くないわよ?」

「大丈夫ですよ。上手くなくてもみんなでやる事が楽しいんですから」

 

先輩は少し考える仕草を取り、小さく独り言を言ってから承諾した。

 

「それじゃあやりましょうか」

「はい、筐体は昨日の店にあるんで、今から行きましょう!!」

 

少し楽しみになって急いで店に向かおうとする俺を先輩は引き止めた。

 

「その前に、反省文ね?」

 

その声はどこのなく圧を感じるものだった。

 

 

 

反省文が書き終わると、既に5時をすぎており、直ぐに模型店に向かった。

先輩は律儀に反省文を書き終わるのを待っていてくれたあたり、やはり無愛想には感じず、むしろ優しい人なのだと再確認した。

 

「俺、タクミって名前でログインするので、見つけたら話しかけてください」

「うん、わかった」

 

そう言って先輩は筐体に座り、慣れた手つきでログインを始める。

俺も待たせる訳には行かないため、急いでログインする。

 

 

 

いつものロビー、時間が時間だからかダイバーも少なくなってきていたが、正直誰が先輩なのか分からない。

そんな中、誰かに肩を叩かれる感覚を覚える。振り返ると長い銀髪の女性が立っていた。

彼女のことは知っている。この人は……昨日の映像で戦っていたソロダイバーのレイアだ。

 

「もしかして……先輩……なんですか…?」

「ええ、かっこいいでしょう?このドレス」

 

レイア…先輩は見せびらかすようにドレスを見せる。そんなことを言っているが未だ俺は混乱している。

 

「先輩ってあのレイアなんですか.....?!」

「あのってどのレイアかは分からないけど、私がレイアよ?」

「….トップソロランカーのどこが上手くないんですか……!!」

「まぁ、それは置いといて.....どうするの?どんなミッションにするの?」

 

しれっと話題をそらされたが、せっかくあのレイアと戦えるのならやはり……

 

「フリーバトルにしませんか?」

 

先輩と俺にどれほどの実力差があるのか、1番わかりやすいのは実際に戦うことだろう。

 

「ええ、もちろんいいわよ」

 

 

 

なんというか、いつものフリーバトルとは感じるプレッシャーが全く違う。やはり相手が先輩だからだろうか…

額からは汗が流れ、少し落ち着かない。

目の前にカタパルトが映る。左のモニターはカウントダウンを始めており、残り5秒を切っていた。

大きく深呼吸をして、大きく声を出す。

 

「タクミ…ガンダムエクシア、いきます!!」

 

カタパルトから、エクシアが発射され、その先の荒野が一面に広がる。そしてその先にいるのは、純白のガンダムF91キリアだ。

何度もログで見てきた機体。それが目の前にいる。

丁寧な塗装と細いスジ彫り、やはりかなり高い完成度だ。

だが、その機体が普通のF91と武装が変わらないのなら、対策はある程度できる。ヴェスバーと質量を持った残像。その2つを対処できるなら何とか勝つことが出来る。

牽制としてビームライフルを撃って接近する。キリアはなんともないように避け、ビームを撃ち返してくる。

間合いが近づいて俺はGNソードを展開し斬り付けようとする。しかし、F91キリアはそれを避けてエクシアの胴体に蹴りを入れる。

 

「なんであれを避けられるんだよ!!」

 

さらに追い討ちのヴェスバーを発射するが、俺はGN粒子の噴出で旋回して避ける。

 

『上手く避けたわね、タクミ君。でも、まだ動きが堅いんじゃないのかしら?』

 

通信から先輩の声が聞こえたあと、エクシアの左腕を掴まれ、ビームサーベルで切断される。このままGNソードで斬ろうとしたが、即座に避けられる。F91キリアはエクシアの射撃を避けながら岩を盾に隠れる。機動性が高いため、捕捉することすら難しい。

 

「一体どこに行った…?」

 

そう呟いた瞬間。GNビームライフルがF91キリアに撃ち抜かれる。

撃たれた方向にGNショートソードを投げるが、既にそこにはF91キリアの姿はない。

その直後さらに、右足をビームサーベルで切断され、エクシアのバランスがさらに悪くなる。

 

「リミッター解除無しでこの機動性かよ?!」

 

攻撃の手段も減らされ、最早勝つことは不可能とさえ思ってしまう。

 

「これが…トップソロランカーの実力……」

 

しかし、一矢報いることが出来ればもしくは…

F91キリアがビームサーベルを片手に接近してくる。俺はGNロングソードで迎え撃つが、綺麗に避けられ背後に回られる。そのまま背中を蹴られ、地面に叩きつけられる。追撃に対抗するために180度回転し、F91キリアを迎え撃つ。高速で接近したF91キリアはビームサーベルでエクシアを突き刺す…

 

「っ……!!まだだァ!!」

 

ことは出来なかった。エクシアが赤く光り、通常の数倍の速度で回避する。

 

『TRANS-AM…でも、その完成度じゃ…』

 

その通り。このエクシアのクオリティではTRANS-AMは起動しても数秒で過負荷で爆発する。だから、たった1秒だけ起動すればいい。その1秒で回避して反撃が出来ればそれでいいのだ。

エクシアはビームサーベルを引き抜き、反撃に転じる。しかし、俺の視線の端にF91キリアの姿があった。

 

「なっ?!」

 

目の前にいたはずのF91キリアは既に姿がなく、その代わりに何体ものF91キリアが画面に映る。だがそれは、さっきまでのF91キリアの姿とは違う。装甲が展開し、その隙間から赤く光るサイコフレームが露出している。F91キリアの真の姿、【ディバインモード】だ。ユニコーンガンダムのフルサイコフレームとNT-Dが搭載されており、F91のリミッター解除とユニコーンのNT-Dを合わせることで更に性能が向上するのだ。

 

「これが…F91キリアの質量を持った残像…?!」

 

レーダーは誤認のしすぎで使い物にならない。

全方向から何発もヴェスバーを撃たれ、エクシアの全身が破壊されていく。

エクシアが爆発を起こし、『WINNER Leia』が表示される。

 

 

 

「まさか、ディバインモードまで使うことになるとはね。少し侮っていたみたいね。でも、とても楽しかった……」

 

ロビーに戻り、先輩は微笑みながらフリーバトルの余韻に浸っていた。

 

「……先輩って、ワールドランキングでどれぐらいまで行ったんですか?」

「それほど細かくは覚えていないけれど、去年にトップ50ぐらいには行ったかしら」

 

単純に考えても先輩よりも強いダイバーが50人もいるということか……

 

「そろそろ、ログアウトしましょうか。楽しかったわよ、あなたとのフリーバトル」

「…先輩、次は絶対に勝ちますね」

 

それを聞いて先輩は挑発するような顔で微笑んだ。

 

「そう、楽しみにしてるわね」

 

そう答えて、先輩のアバターが消える。その後、俺もログアウトする。

 

 

 

VRゴーグルを外し時計を見ると6時半になる頃だった。別に校則違反でも門限ギリギリという訳では無いが先輩とは解散する雰囲気となっていた。

 

「アオヤマ君、明日もログインする予定はあるの?」

「多分すると思いますよ」

「そう…これ、私の連絡先…」

 

先輩はSNSのIDが書かれたメモを俺に渡した。

 

「それじゃあまた明日、学校でね?」

 

手を軽く振りながら先輩は帰っていく。

俺はそのまま模型店でガンプラを探す。

 

「店長〜!!なんかいいガンプラない?」

「随分と抽象的な質問だねぇ?!」

 

俺はもっと強くなる。そのために、このエクシアもより強いガンプラに改造しなくては……

 

 

 

この出会いはなんてことの無い出会いだ。でも、もしかしたら自分の運命を変えるものなのかもしれないと、心のどこかでそう思っていた。




基本的に週一ぐらいの感覚で投稿していく予定です。
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