ガンダムビギニングダイバーズ   作:カシュー

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VSスナイパー

「たっくん、今日はどんなミッションにしようか」

 

放課後、いつもの模型店に向かう中、シノミヤが話しかけてくる。

 

「あんまり、たっくんって呼んでほしくないんだけど……」

「じゃあ、師匠って呼ぶね?」

「やっぱり、たっくんでいいわ……」

 

シノミヤがGBNを始めて、一週間が経った。その間、俺はシノミヤにほぼつきっきりでガンプラの操作を教えることとなり、そのおかげで、元から高かった彼女の操縦技術はさらに向上し、俺やカズミに肩を並べるほどになった。

 

「今日はカズくんも来るのかな?」

「あぁ、今日は何もすることがないから行くって言ってたよ」

 

カズミも度々、俺たちとミッションをすることが多くシノミヤとも仲良くなっていた。

 

「カズくんのガンプラも結構すごかったよね、あれを一人で作ってるんだもんね」

「あいつは小学一年の頃からガンプラを作ってるって言ってたな。そりゃあ改造の腕もあるってもんだよな」

「継続は力なりってことだね。始めたばかりじゃ相手にならないな」

「そんなこともないと思うけど……とりあえず、今日は適当にミッションを選ぶか」

「そういえば、先輩はGBNをしないのかな」

「きっと今日もログインしてないだろうな」

 

先輩は対戦ミッションをした日以来、GBNにログインしていない。SNSで話をすることはあるのだが、誘いは用事があるからと断られる。

 

「あのダイバーと何かあったのか……?」

 

いろいろ推察するが答えがわからない以上は考えても意味はないだろう。

 

「そうだ、ちょっと腕試ししてみない?」

 

 

 

 

「なるほど、確かに腕試しにはちょうどいいかもしれないな」

「でしょ!!前から気になってたの」

 

シノが提案したのは大型アップデートで実装された、百人のダイバーの中で最後の一人になるまで戦うバトルロイヤルミッションだった。

 

「チームとかはないが、数をある程度減らすまでは協力するのもありだしな」

 

カズはすでにログインしており、一戦終わらせてきたらしい。

 

「決まったら早く行こうよ!!」

 

シノは走って会場に向かおうとする。

 

「すごい生き生きしてるな」

「本当にGBNが好きなんだろうな」

 

俺とカズは急かすシノについていった。

 

「あっ、そういえば二人に言いたいことがあったんだけどど忘れしちゃった」

「いやなんの報告だよ」

 

カズはあきれながらシノをツッコんだ。

 

 

 

 

バトルロイヤル用のフィールドは広大で、山岳地帯に市街地、海も存在し、それぞれのガンプラの得意な地帯で戦うことが出来るのだ。

 

「先ずは山岳地帯はあまり人はいないみたいだし、そこに向かおう」

「「了解」」

 

ミッションが始まると、カズが指揮を執る。カズのガンプラはジェイラインのスタンダードアーマー。前のライトアーマーに比べると機動性が落ちたが、その分防御力が向上し、うまくバランスがバランスがとれたガンプラになっている。

 

「すごいね……始まってすぐなのに、もう撃墜されてる人がいる」

 

一方、シノのガンプラはバックパックのシルエットユニットが変わり、フォースシルエットから更に機動性を特化させた物になっている。

 

「市街地は結構な激戦区って話だからな。最初は隠れて漁夫の利を狙おう」

「にしたって、減り方が異常に早い気がするけど……」

 

カズの言うとおり、相手のガンプラがいつも以上に早く撃墜されていく。

 

「高ランクのダイバーがいるのかもな、警戒しておこう」

 

その後、何機かは隠れている俺たちに気がついて攻撃してきたが、三人で連携してそれらを撃退した。

 

「何かあっけないね、もっと難しいものだと思ってた」

「これからだろ、結局残るのは強いダイバーだ。気を抜くなよ」

「うん、そうだね。油断はしちゃいけないね」

 

シノミヤがそう言って気を引き締めたとき、フリーダムが接近してくる。

 

「噂をすれば、来たよ!!」

「さっきの陣形で行こう!!」

「了解」

 

俺たちは散らばって、フリーダムを包囲しようとするが、あらぬ方向からフリーダムはビームで撃ち抜かれる。

 

「なに今の!?」

「もう一機こっちを狙ってるやつがいるのか」

「近くにはいないってことは狙撃か。とりあえず岩場に隠れるぞ」

 

散らばったまま各自で潜伏するが、敵の位置が全くわからない。

 

「タクミ、その武器の射程距離は?」

「射程がないわけじゃないが、撃ち合いには自信がないぞ」

「隙を作るだけでいい。その間に俺とシノで敵を討つ」

「うん、このラピッドインパルスの速さならなんとかするよ。私たちに任せて」

「は!?ちょっと待てって!!」

 

シノのインパルスとカズのジェイラインが前に先行する。俺は、仕方なく二人が見えるようにブレードブラスターを構える。二人が攻撃を受けた時に、敵の位置を特定しやすくするためだ。

 

「さっきの狙撃から時間が経ってるから移動してるかもな……シノ、危ない!!」

 

カズが、シノをタックルするように退かす。その瞬間、敵の狙撃のビームがジェイラインの足を撃ち抜く。

 

「敵は北西、市街地の方にいる。狙え、タクミ!!」

「見えた!!」

 

俺は北西に見えたガンプラの影に向かってブレードブラスターを発射する。直撃はせず、そこにあった岩を破壊する程度しか出来なかったが、敵機の逃げた方向はわかった。

 

「そのまま、市街地の方に向かった。カズ、いけるか?」

「なんとか動ける。タクミは別方向から向かえ。俺たちとお前で挟み撃ちにするんだ」

「わかった」

 

カズは起用に片足を破壊されたジェイラインで器用に移動する。逃げた狙撃手を追って市街地に入ると、派手な戦闘の跡が残っていた。これなら、敵機も隠れやすいだろう。

 

「まぁ、狙撃ポイントになりそうなところが潰されてるのはありがたいけど……」

 

そんなことをつぶやいていると、右斜め前も方角で大きな爆発が起こる。

 

「タッ君、狙撃手を見つけたよ!!緑色のガンダムだよ!!両肩に壁みたいなのを担いでる」

「デュナメスか……わかった!!すぐに向かうから、深追いはするなよ」

 

そう伝えると俺は、爆発が起きた場所に向かう。ただ、敵機に悟られないように距離をとっておく。俺がいることを知られた以上はある程度警戒されているだろうが、意識させるに越したことはないだろう。

市街地の離れにある高台に上り、カズたちの戦闘を見張る。デュナメスはカズたちの相手をしながら、やはりあたりを気にしているようだ。

ジェイラインががビームサーベルを抜き、デュナメスに斬りかかる。デュナメスはそれを避け、追撃に来たラピッドインパルスからGNフルシールドで身を守る。更にそのままGNハンドガンで反撃までしている。

 

「何でこれをしのげるんだよ。背中にも目がついてんのか!!」

 

カズは悪態をつきながら後ろに下がって距離をとる。

 

「あの反応速度なら、TRANS-AMで狙撃も避けられるだろうな」

「ならどうするの?簡単に隙なんて作れないし…」

「だから、一回ブレードブラスターを撃って、こっちに注目させる。それなら隙を作ることが出来るだろ?」

「そうだな。もし、TRANS-AMを使われてもお前のエクシアでどうにかできるしな」

「決まったなら早速行くぞ」

 

俺は、デュナメスの足下を狙ってブレードブラスターを発射する。デュナメスはGN粒子を放出し、回避する。その間に俺はTRANS-AMを起動して別の位置からの狙撃を狙う。

 

「TRANS-AM!!カズ、シノ、今だ!!」

 

デュナメスにジェイラインとインパルスが挟み撃ちの形で襲いかかる。それに対してデュナメスは赤く光り、その攻撃を回避する。

 

「タクミ、TRANS-AMだ!!」

「あぁ、わかってるよ……予想通りだ」

 

俺はブレードブラスターを発射する。その先にいるのはジェイラインの背後に回っていたデュナメス。そのまま、右肩のフルシールドとハンドガンを破壊した。

 

「先週の俺の動きから動きを呼んだが、想像以上にドンピシャだな」

 

一週間前の敗北で、俺も少しは学習したということなのだろう。

 

「よし、体制が崩れた!!」

「背後に回ったら同時に行くぞ、シノ!!」

 

カズはデュナメスの正面から攻撃を仕掛ける。しかし、デュナメスは膝蹴りでジェイラインの隙をつくり、インパルスには左手に持っていたハンドガンで迎撃する。更に、デュナメスの右膝部装甲が開き、中のGNミサイルがジェイラインに直撃する。

 

「なっ!?しまった!!」

「カズ君!!」

 

カズのジェイラインは腹部のコクピットが破壊されており、爆発と共に消失する。

 

「シノ、一回下がれ。状況を立て直す」

「わっ…わかった」

 

一度、シノのインパルスと共にビルの影に隠れてデュナメスを観察する。デュナメスはハンドガンとビームサーベルで他のガンプラを迎撃している。

 

「さっきの攻撃は何だったの?」

「デュナメスの膝と腰アーマーにはGNミサイルが内蔵されてるんだ。HGのキットではオミットされてたからすっかり忘れてたな」

「ってことは、接近しても油断できないってことか……どうする?」

「一応策はある」

 

 

 

 

俺はデュナメスに正面から突撃する。デュナメスは左膝のミサイルで迎撃してくるが、ブレードブラスターでそれを撃墜する。

 

「この程度なら…!!」

 

俺はシールドのワイヤークローでデュナメスを捕らえる。それに対し、デュナメスはハンドガンを連射するが、エクシアの装甲なら耐えきることが出来るだろう。

 

「まだだっ!!」

 

デュナメスは腰アーマーからミサイルを数発発射するが、またブレードブラスターで撃ち落とす。爆発によって視界が一瞬遮られるが、デュナメスに動きはないので何も問題ないだろう。

ブレードブラスターでデュナメスに狙いを定める。もしそれが避けられても接近戦で押し切る。

 

「これならいける!!」

 

勝利を確信したそのとき、左右の道路からのGNミサイルがエクシアに直撃する。

 

「なんで……そんな方向から……!?」

 

ミサイルの弾道は直進やアーチ状のように、あらかじめ設定することが出来る。ついさっきまでミサイルは直進のものばかりだった。

 

「リアルタイムでミサイルの弾道を再設定したのか……!?」

 

ハンドガンを連射しているうちに弾道を再設定し、腰アーマーのミサイルを二つに分けて発射し時間差で攻撃出来るようにしたのだ。

 

だからってあんな状況で出来ることじゃねぇだろ……

 

その後、ハンドガンでコクピットを数発撃たれ、エクシアは爆散した。

 

でも、こうなることも想定済みだ……

 

エクシアの爆発の中からビームサーベルが現れ、デュナメスの頭部を貫く。ラピッドインパルスだ。

 

「うおぉぉぉ!!」

 

シノの叫びと共に、デュナメスに突き刺さったビームサーベルは下へ向かってコクピットを両断した。

ラピッドインパルスはエクシアの背後におり、いわゆるジェットストリームアタックの要領で二段構えの攻撃を繰り出したというわけだ。

 

「よし!!やったよ!!カズ君、たっくん!!」

 

デュナメスの爆発と共に、シノは大声を上げて喜ぶ。

まぁ、そのまますぐに他のガンプラに撃墜されたのだが……

 

 

 

 

 

 

「あんな倒され方じゃ、しまらないなぁ……」

 

ロビーに戻り、シノが悔しそうにつぶやく。

 

「まぁ、あのデュナメスを倒せたんだから良しとしようぜ」

「それはそうなんだけどさ~」

 

それでもシノはブツブツとつぶやく。

 

「あっそこの三人組!!」

 

俺たちを呼び止める声。その主は中世の騎士を思わせる男装麗人だった。いや、正しくは中世の騎士をモチーフにした歌劇の登場人物のようだった。白いハロを小脇に挟んでいる。

 

「さっきのバトルロイヤルミッションで戦った子たちだよね?」

「あっもしかして、さっきのデュナメスのダイバーですか!?」

「あぁ、そうだよ。ダイバーネームはベル、傭兵プレイで色々なフォースを転々としている。いやー、見事だったよ。面白いバトルだった」

『オモロイ!オモロイ!』

「このハロはゲストアバターじゃないんですね」

「あぁ、少し前のミッションのシークレット報酬で貰った、NPCのハロを改良したら、なぜか関西弁になっちゃってね」

 

ベルさんは微笑んでハロを軽く叩く。

 

『ナニスンネン!ナニスンネン!』

「あぁ、わかった!!」

 

カズが何か腑に落ちたかのような顔をする。

 

「わかったって何が?」

「背後に目がついてるみたいって言ってただろ?他にもミサイルの弾道の再設定とか。このハロがサポートをしてたってことだろ」

「正解。よくわかったね」

「あ~なるほど。レアアイテムだからわからなかったな」

「それにしても、いいコンビネーションだった。いいチームになるんじゃないか?出来れば三人ともフレンドになってほしいんだけど、いいかな?」

「はっはい!!勿論!!」

 

ベルさんはフレンド交換したあと、楽しそうに帰って行った。ただ、一言独り言を残して。

 

「やはり、フォース戦の方がおびき寄せやすいか……」

 

言葉の意味はいまいちわからなかったが、何かを探しているのだろうか。

 

「いいチーム……あーー!!思い出した!!」

 

 

シノが大声を上げる。

 

「二人に言いたいことを思い出した」

 

シノは俺たちを指さす。

 

「私たちでフォースを組もう!!」




次回、先輩回。
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