ガンダムビギニングダイバーズ   作:カシュー

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初陣と成長

「センサービットを展開した。各機、準備はいいかな?」

 

ベルさんの声が聞こえる。作戦通りに事が進みそうだ。

 

「カズ、いけます」

「シノはすぐにでもいけます!!」

「レイアもいけるわ」

「タクミ、今、地点に着きました」

「タクミ君、作戦考案者が遅れてどうするの……?」

 

先輩がモニター越しに冷たい視線を送ってくる。

 

「すいません、すぐに準備します……」

「まぁまぁ、まだ相手の位置も特定できてないし、焦る必要はないよ」

 

ベルさんはそう言っているが、先輩が言っていることは正論だ。

 

「あっ、見つかったよ。11時の方角に1機、12時に3機、1時に1機。3機の中心に建造物があるから、多分そこが秘密基地だね」

 

ベルさんのケルディムガンダムタイガには、センサーを拡張させるセンサービットが6基装備されている。それらを中継させることで、一方向だけではあるが、2500000メートルほど先の機体を感知できるようになっている。だが、それを狙撃出来るかはその狙撃手の腕次第なのだが。

 

「私が一回狙撃するから、それから四人で一気に攻めてくれ」

「「「「了解」」」」

「ハロも、撃った弾道の解析と修正は頼んだ」

『マカセトキ!!マカセトキ!!』

 

ベルさんは秘密基地らしき建造物に狙いを定め、スナイパーライフルの引き金を引く。放たれたビームは建造物の端かすめ、その向こう側に飛んでいく。

 

「すまない……直撃させることが出来なかった」

「気にしないでくださいよ。元々当たったらラッキー程度にしか考えていなかったんですし」

「シノ、それ微妙にフォローになってない……」

 

相手のダイバー達はこちらから見ても焦っている様子だ。その中の二機が狙撃を受けた方向に向かっていく。

 

「あっベルさん!!二機がそっちに行きましたよ!!」

「私が護衛に回ります」

 

先輩がベルさんの方に向かっていった二機を追う。

 

「俺達も行くぞ!!」

「おうっ!!」

 

俺は両手で頬を叩きい気合いを入れた。

 

 

 

 

 

 

『何なんだよ!!どっから撃ちやがった!?』

 

デュエルガンダムアサルトシュラウドとフルアーマーユニコーンが狙撃された方向に向かっている。

 

『背後にも一機!?F91ってことは例のレイアフォロワーか!!』

 

アサルトシュラウドがこちらを振り向いて肩部ミサイルを放つが私はビームシールドで耐える。

 

「先ずはこっちから」

 

ビームサーベルを引き抜き、アサルトシュラウドに斬りかかる。

 

『そんな攻撃でぇ!!』

「ベルさん、今です」

「そんなに狙撃の的になりたいのか!!」

 

アサルトシュラウドは高く飛んでそれを回避するが、そこをケルディムガンダムタイガの狙撃で撃ち抜かれる。

 

「レイア君、ナイス誘導!!」

「ベルさんも、完璧な狙撃でした」

 

モニター越しに私たちはサムズアップを向け合う。

 

『クソが!!』

 

フルアーマーユニコーンが背部のバズーカやミサイル、グレネードをこちらに発射する。私は後退しながらバルカンでそれらを撃ち落とすが、いくつかは撃ち損じる。

 

「まぁ、当たらないんだけどね……」

 

私は撃ち損じた分を避ける。更にベルさんがフルアーマーユニコーンを狙撃するが、ユニコーンの特性か、ビームが通らない。

 

「ベルさん、その武器ではダメージが入りません。ここは私に任せて三人の援護に行ってください」

「申し訳ない、ここは頼んだ!!」

 

ベルさんはタクミ君達の元に向かう。

 

『お前、さっきのレイアフォロワーだよな?』

 

相手のダイバーがオープン回線で話し掛けてくる。

 

『一つ聞きたいんだ。何で今時レイアなんかのファンになったんだ?』

 

今時……ねぇ……

 

『もう引退して一年だ。新参勢があいつを知る機会なんてそうないだろ?』

 

どうやら私はこの一年で「あの人は今」的な扱いになっているらしい。

 

「気が知れない……かしら?」

 

さっき彼らが言っていた言葉を返す。

 

『あぁ、そうだな。あいつは、烈火組の仲間のおこぼれを貰ってただけの、お荷物だったろ!!あんなやつのファンになる奴なんて馬鹿だ!!気が知れねぇよ!!」

 

なかなかに嫌われているようだし、なかなか好き放題言ってくれる。

 

自分で言うのも何だけど、それなりに個人での実力はあると思うのだけれど……

 

確かに、今時私のことを応援してくれているファンは少ないだろう。

ただ、ファンいないわけではない。

 

 

 

 

シノさんはどうしてGBNをやろうを思ったの?

 

三日前、シノさんと二人でミッションの周回を行っていた時、ふと気になって聞いてみたのだ。

 

「実は先輩に憧れて始めたんです」

 

私に?

 

私に憧れている人がいるなど思ってもみなかったため、少しあっけにとられた。

 

それは、レイアとしての私に憧れたってことなのかしら?

 

「いえ、元々学校での先輩に憧れてたんです。先輩がGBNで戦っている映像を見てからはレイアさんとしての先輩にも憧れてますけど」

 

シノさんは照れくさそうに笑っていた。

正直、私に魅力があるとは思えない。

 

「要は私が先輩のファン一号ってことですよ!!っあ、でも復帰前からのファンもいるから一号ではないか……」

 

そしてシノさんはそんな下らないことで考え込んでいた。

 

 

 

 

「私のファンがいてくれる限りは……どんなことを言われても私はもう折れない……」

 

もう、あの時の私ではない。

 

「ディバインモード!!」

 

F91キリアの装甲が展開して、サイコフレームが露出し発光する。

 

『はっ!?それってまるっきりレイアのガンプラの……』

 

相手のダイバーは少し驚いた声をあげた後、何かに気がついたかのように更に驚いた声を上げる。

 

『まさか……本物の……!?』

「えぇ、私があなたが言っていたお荷物よ」

『……でもいくら本物だからって……お荷物には負けねぇよ!!』

 

フルアーマーユニコーンが武器を構えて撃とうとする。だが、ユニコーンは固まったかのように動かない。

 

『……あれっ!?何で撃てねぇんだよ!!』

「あなた。サイコフレームはサイコミュがフレームに組み込まれているって知ってるかしら?」

『はぁ?何を急に……まさか……』

 

サイコミュジャック……フルサイコフレームによって感応波を増幅させて周辺のサイコミュ兵器を支配する現象。

 

「そう、あなたのユニコーンのサイコフレームを支配して、動きを止めたの。良かったわ、あなたがデストロイモードの方を買ってくれて」

 

まさかここまで出来るとは思っていなかったけれど、まぁ良しとしよう。

 

「確かに気が知れないけれど、あれでもかわいい後輩達なの。私は何を言われてもかまわない。でも、私のファンになってくれたあの子達を悪く言うのはやめてくれるかしら?」

 

ユニコーンが装備していた三つのシールドがひとりでに動き始める。

 

『こっちもかよ……!!俺だってそれ、出来たことないのに……!!』

 

GBNで強くなるにはコツがある。一つ目がプレイヤースキル。操作技術があればある程度勝ち上がることは出来るだろう。しかし、使うガンプラのクオリティが高くなければ勝ち上がった先で壁に遮られる。もう一つのコツというのが、そのガンプラのクオリティなのだ。

 

「それじゃあ、早速終わらせてもらうわね」

 

F91キリアが右手をユニコーンに向ける。その瞬間、宙を舞っていた三つのシールドがユニコーンのコクピットに高速で突き刺さる。

 

『うわああああああああ!!』

 

相手のダイバーの叫び声と共にユニコーンが姿を消す。センサーからも反応が消えたことが、撃墜されたことを物語っている。

 

「さて、行きましょうか」

 

極力、エネルギーを使いたくなかったけれど、予定以上に抑えることが出来て何よりね。

 

私は、タクミ君達のもとへ、戻ることにした。

 

 

 

 

 

「また敵の反応が消えた!!先輩達が倒したんだね!!」

「あぁ、こっちも戦果を上げないとな」

 

敵機はV2ガンダムA(アサルト)B(バスター)、パーフェクトストライク、少し二機とは離れているがフルアーマーガンダム。中でも脅威となりそうなのは、リーダー機のV2ガンダムだ。だが、こちらの狙い通り、動きが消極的になっている。

 

「このまま、行けるぞ!!」

 

ガンダムアサルトエクシアがブレードブラスターを大剣のように持って、パーフェクトストライクに接近する。改造のクオリティが上がって、前よりもアサルトエクシアの性能が上がっている。

パーフェクトストライクの対艦刀とつばぜり合いになり、シールドに搭載したブレードで追撃を狙うが、ストライクが後退することで回避する。

 

「シノ、今だ!!」

「そこだっ!!」

 

その隙にシノのラピッドインパルスフルバーニアンがパーフェクトストライクの背後に回って、ビームハンドガンを連射する。

 

『なっ!?いつの間に……!!』

 

ラピッドインパルスフルバー二アンは両肩、両足に搭載された可動式のスラスターユニットや二丁の連射性に優れたビームハンドガンによって、高機動と小回りの良さを両立させたガンプラに仕上がっている。

 

エンジンに直撃を受けたパーフェクトストライクはマルチプルストライカーを切り離し、廃棄するが、ただのストライクが挟み撃ちにされている状態で勝てるはずもなく、あえなくシノに撃墜された。

 

「ナイスキル、調子よさそうだな」

「ありがと……でも、まだ守りが堅いね」

「敵の数を減らせば、それだけ秘密基地を狙いやすくなる。アサルトバスターがやっかいだけど、作戦通り行けば勝てない相手じゃないよ」

 

シノはフルアーマーガンダムと戦っているカズの加勢に向かった。

それなら俺はアサルトバスターの相手をするとしよう。

アサルトバスターはメガビームライフルを俺に向けて発射する。俺はそれを避けてブレードブラスターを撃つが、Iフィールドで防御され、反撃のマイクロミサイルでブレードブラスターを破壊されてしまう。

 

『甘いんだよ、そんな攻撃でこのアサルトバスターが倒せるとでも!?』

「ビーム兵器が通らないな……実体剣で攻めるか!!」

 

俺は背部に装備していた二本のGNエクスカリバーを連結させて、構える。ソードインパルスのエクスカリバーを元に、実体剣の部分をクリアグリーンのプラ板の取り替えて、OO系統の武器に合わせている。個人的には自信作だ。

俺はGNエクスカリバーで突くようにアサルトバスターに攻撃するが、大型の盾に阻まれてうまくダメージを与えられない。

 

「クソッ!!そう簡単にはやらせてくれないか!!」

『だから、甘いって言ってるだろ!!』

 

一方、カズ達はこの三日間、練習した連携でうまく立ち回っている。

 

「カズ君、右側に攻撃を集中させた方が倒しやすそうだよ!!」

「さっきの攻撃で装甲にヒビが入ったのか……」

 

二人はフルアーマーガンダムの右側の装甲に射撃を集中させる。装甲が破壊され、体制が崩れた所を、ジェイラインのビームサーベルで腹部を両断される。

あっちは問題なかったようだ。問題があったのはこっちか……

俺は後方へ下がり、体勢を立て直そうとするが、その瞬間、アサルトバスターはメガビームライフル、メガビームキャノン、ヴェスバーを展開し、一斉射撃の準備を始める。

 

『これで終わりだ!!』

「やばいっ!!TRANS-AM!!」

 

 

左手に持っていたGNエクスカリバーを犠牲になんとかアサルトバスターの攻撃を回避する。その勢いのまま、シールドを射出する。先端部のブレードが展開され、間からビーム刃が発生する。

 

『これは……デスサイズのバスターシールドか!!』

「ご名答!!」

 

射出されたバスターシールドはアサルトバスターの盾をはじき、手放させる。アサルトバスターのダイバーは予想外の攻撃に戸惑い、大きな隙を見せる。

 

「ここだ!!」

 

その隙を見逃さずに、GNエクスカリバーを構え、突進する。アサルトバスターはビームサーベルを引き抜き、カウンターを仕掛けるが、ビームサーベルはアサルトエクシアの頭部を破壊し、GNエクスカリバーはアサルトバスターのコクピットを貫く。

アサルトバスターは爆発し、アサルトエクシアは仰向けに倒れた。

 

「一人でよく頑張ったわね……タクミ君」

「お疲れ様、私たちの完全勝利だね」

 

モニターに【WINNER BEGINNING DIVERS】の文字が表記され、F91キリアとケルディムタイガが遅れてやってきた。

 

「……ありがとうございます」

「今、シノ君達が秘密基地を破壊したところだ」

「そうみたいですね……なんとか勝ててよかったです」

 

俺は笑って答える。

 

 

 

 

 

「本当に失礼なことを言ってしまった」

 

相手のフォースに挨拶を言いに行こうとすると、フォースのリーダーが頭を下げて謝罪をしてきた。先輩を笑っていた二人に至っては土下座までしている。さっきとは全く違う対応に少しばかり戸惑ってしまう。

 

「いやいや、やめてくださいよ!!何もそこまでしなくても……」

「そんなわけにはいかない。俺達はあんた達を舐めていた……」

「それはそうなんでしょうけど、みんなもそれほど気にしてるって事もなかったですし……」

「寛大な返答に感謝したい……だが、連携か……あまり考えていなかったな」

 

相手のリーダーは顎に指を当て考える。

 

「やはり、ずっと同じ事を繰り返していても、何も成長できないって事か……そういえば、あんた達は【轟炎フォース祭】には出場するのか?」

「なんなんですか?その轟炎なんとか祭って……」

 

シノがベルさんに聞いている。

 

「たしか、トップランクのダイバーが運営と協力して今度、大会を開催するんだよ。フォースだったらどのランクでも参加できるんだよ」

 

シノさんはシノにわかりやすく説明する。

 

「俺達も、参加する予定でな。そこであんた達にリベンジしたいって話をさっきしてたんだよ」

「そうですね、元々その予定はなかったですけど、そういうことなら参加してみようかな……」

「まぁ、本当にリベンジできるかは、お互いの頑張り次第ね」

 

先輩が相手のリーダーを挑発する。

 

「はっ!!言ってろ!!」

 

リーダーは笑って答える。その表情はフォースバトルを始める前のめんどくさそうな顔ではなく、活気にあふれていた。

 

 

 

しかし、この時の俺達は知らなかった。この大会が長い戦いの始まりであることを………

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