ガンダムビギニングダイバーズ   作:カシュー

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応えるべき期待

「初勝利を祝して……」

「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

初のフォースバトルを終え、俺達はGBN内のカフェで打ち上げをしていた。

 

「これ凄い美味しいです!!ゲームの中なのに味を感じる……」

 

シノは美味しそうにケーキを食べている。

 

「この前の大型アップデートで五感の認識をリンクできるようになったからね……おなかを満たすことはなくても、ほとんど実際に食べているのと変わらないよ」

 

ベルさんはそう言うと、可憐に紅茶を飲む。

 

「それで?轟炎フォース祭ってのは、いつまでに申し込めば良いんだ?」

「そういえば……そこまで考えてなかった……もう終わってないよな……」

「いや、確か当日まで申し込みが出来るはずだよ。主催者が初めて大会の主催をするらしいから企画がこけないように参加受付を緩くしたって話だ」

「なるほど、そうだったんですね」

 

そんなことを話していると、先輩が周りを気にしている。

 

「先輩、どうかしましたか?」

「いえ、気のせいかもしれないのだけれど、周りの人たちにジロジロ見られてるような気がして……」

 

確かに、先輩が言うように周りのダイバー達はこちらを見ながらひそひそと話している。

意識し始めるとこちらも落ち着かなくなってきた。

 

「俺達何か変なことしてますかね?」

「ここはそんなマナーに厳しいところでもないと思うし、それほどのマナー違反はしていないのだけれど……」

「あら♪シノちゃん達じゃないの!!ちょうど探していたのよ~♪」

 

そんな中、マギーさんが話し掛けてきた。

 

「それにレイアちゃんも、久しぶりね♪」

「ご無沙汰してます……マギーさんも、お変わりないようで安心しました」

 

先輩もマギーさんとは知り合いだったようでお辞儀をしている。

 

「それで、どうしたんですか?私たちを探してたって……」

「そうなのよ!!あなた達がフォースを作って、しかも少し話題になってるって聞いてね♪」

「話題……になったって……私たちが?」

「あら、まだ知らなかったのね……この配信を見たらわかると思うわ♪」

 

 

そう言うとマギーさんは一本の動画を見せてきた。それはついさっきまで配信していた動画のようだ。

 

 

 

 

 

 

「はーい、【フォースバトルを勝手に実況&解説!!シリウス君のわくわく☆実況部!】、はーじまーるよーーーー!!!」

 

パーカーを着た少年がテレビ局のスタジオを思わせる部屋で大きく手を振っている。

 

GーTUBE……GBN内で閲覧できる動画共有サービス。そこで動画を配信する者をジーチューバーと呼ぶ。

彼の配信はそのタイトルの通り、フォースバトルを実況や解説を行う物であり、彼のファン以外にも純粋にバトルが好きなダイバーからも支持されているらしい。

 

『待ってた』『こんばんはーー!!』『シリウスきゅん、かわいい!!』『初見です』『初見さんだ!!ものども囲め囲め!!』『落ち着けwww』『初見が逃げるぞwww』

 

視聴者のコメントが画面を流れていく。

 

「あはは……初見さん、こんな所だけど、楽しんでいってね~!!さて、僕、ついにSランクに到達しましたーーー!!なので今回はその記念にスペシャルゲストにお越しいただいております!!」

 

『おぉ、ついにか』『おめでとう!!』『すげーーー!!』『スペシャルゲストだって!?』『誰だろ?』『シリウスきゅんかわいい!!』『どうせ、フォースの仲間だろ。だまされんぞ』『ジョージいて草』

 

その言葉にコメントがざわつく。

 

「いやいや、本当にスペシャルな人なんだって!!」

「あっはっは!!君は信用されていないな、これまで何をしでかしてきたんだい?」

 

シリウスとかいう少年の隣からやけに渋い声がする。

 

「あぁ、ダメですよ…ロンメル隊長……まだ紹介してないんですから」

 

シリウスはその隣のダイバーを静止するが、そのダイバーの白い手……もとい前足が映っている。

 

『今、ロンメル隊長って言ったな』『まじでか』『ファ!?』『マジのスペシャルゲストで草』

 

「あっ!!言っちゃった!!もういいや、スペシャルゲストの第七機甲師団の智将ロンメル隊長でーす!!」

 

カメラが隣にいる、軍服を着た白いフェレットの姿をしたダイバーを映す。

 

「どうも、第七機甲師団のロンメルです」

 

ロンメルが画面に映ると、コメントが一気に湧き上がる。

 

『すげーーーーーー!!』『マジじゃねぇか!!』『ロンメル隊長ーーーーーーーー!!俺だーーーーーーーーー!!結婚してくれーーーーーー!!』『よく出てくれたな……』

 

「というわけで、今回はロンメル隊長と共にフォースバトルを勝手に実況解説していくのですが……今回はこのバトル!!」

 

シリウスがそう言うと、2人が映っている画面が小さくなり、もう一つウィンドウが現れる。そこには見覚えのある景色とガンプラが映っている。というか、これってさっきまで俺達が……

 

「ビギニングダイバーズVSクリムゾンシュバルツを実況していきます!!」

 

 

 

 

 

「はああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

俺は思わず驚きの声を上げた。みんな五月蠅そうにしているが動揺しているのは間違いないだろう。

 

「凄いな……あの智将ロンメルにバトルを見てもらえる機会なんて滅多にないぞ……」

「視聴回数三万回……それだけ私たちのバトルが見られてたって事!?」

「こんなことになってたら、周りに見られるのも納得ね……」

「まぁ、とりあえず続きを見るとしよう……」

 

ベルさんがそう言って動画の一時停止を解除する。

 

 

 

 

 

フォースバトルの映像が流れている間、シリウスとロンメルは好きにバトルを実況していた。ここがうまいと言った賞賛や、ここはもっとうまく出来たはずというような厳しい言葉も出ていたが、やはり、SSランクとSランクのダイバーであるため、どれも適格な物であった。

そして、バトルの映像が終わり、二人の画面が大きくなる。

 

「さて、結果としては、ビギニングダイバーズの完全勝利に終わりましたが、ロンメル隊長としてはどう感じましたか?」

「ふむ、まずはクリムゾンシュバルツについてだが、バトルの形式毎の戦い方を考えていなかったことが大きな敗因の一つと言えるだろう」

「形式毎の戦い方……ですか」

「今回のバトル形式は変則的な防衛戦。防衛対象を守るというよりも隠すということが、この形式の戦い方と言えるだろう」

「なるほど、クリムゾンシュバルツは防衛対象に護衛機を集中させてしまったことで位置がばれてしまったということですね?」

「その通り。その時点でクリムゾンシュバルツは大きく劣勢になってしまったということなのだよ」

 

『これは結構なポカだよな』『普通の防衛戦なら常套手段なんだけどなぁ』『正直、ここで勝敗が決まったまである』

 

ロンメルはキメ顔で解説する。コメントも考察に興じているようだ。

 

「この場合だと、防衛対象を偽装するために護衛機を散らばらせるのが最善だろう」

「そして、そこでビギニングダイバーズは超遠距離狙撃によって防衛対象を攻撃しました。この狙撃には驚きましたね」

「ここまでの遠距離狙撃はトップフォースでもそうそう見れる物ではない。誰が相手をしても想定できる物ではないだろう。この狙撃はいくつかの効果があった」

 

『あれはマジで興奮した』『俺も狙撃手やってるけどあれはできないわ……』『操作してるダイバーはとんだ変態だな!!』『シモ・ヘイヘかお前は』『狙撃による効果か……なんだろ』

 

「先ずは、いくつかの護衛機を動きづらくさせた。下手に防衛対象から離れると、いつ狙撃をされるかわからないからね。そして、もう一つは空に飛びづらくなった。空中は射線が通りやすいからね。更に加えて、狙撃に意識をそらせることで、接近戦も仕掛けやすくなる。狙撃を印象づけて、警戒させるように促す作戦と言うことだろう」

「たった一回の狙撃にそこまでの意味が……ビギニングダイバーズの指揮官はなかなか考えていらっしゃる」

「まぁ、これはあくまで私の考察だがね。だが、アサルトバスターがこれ以降飛ばなくなったように、一回の狙撃でクリムゾンシュバルツの動きが大きく制限されたことは事実だ」

 

そう言ってロンメルはワインが入ったグラスを口元で傾ける。

 

「それに対し、クリムゾンシュバルツは二機のガンプラを狙撃を抑えるために動かしましたが、これは一見正しい行動に見えますが?」

「それは確かに間違った行動ではない。それに対するカバーでビギニングダイバーズも一機動いているが、そちらに狙撃の意識を逸らす事に成功している。結果としては二機とも撃墜されてしまったが判断としては正しいと言えるだろう」

 

それを聞いて、シリウスは話を進める。

 

「そこで、二体二と三対三にそれぞれ分断されることになります。先ずは二対二の方ですが、ビギニングダイバーズは精密狙撃とまさかのサイコジャックでアサルトシュラウドとフルアーマーユニコーンを撃破しましたが、どうでしょうか?」

「狙撃の方はさっきも言っていた空中は射線が通りやすいというものの実例と言えるだろう。対するサイコジャックもトップフォースでもそう見れる物ではない。ガンプラの性能差の違いがなせる技だ。なかなか貴重な映像だろう」

「つまりは、今回だけのスペシャル技ということでしょうか?」

「そうなるだろうね。ただ、サイコジャック自体はあのF91キリアが元々持っていた機能だろうし、ファンネル対策程度に搭載していたのだろう」

 

ロンメルが言ったその機体名にコメントも更に盛り上がる。

 

『やっぱあれ、レイアか。復帰してたんだ』『約一年ぶりか。前より強くなってね?』『ていうか、ガンプラそのものをジャックって何だよ』『全盛期の烈火組一軍だった人だぞ。それぐらい出来ても不思議に思わん』『ごめん、知らないダイバー何だけどそんな凄い人なの?』『今のシリウスと同等かそれ以上』『たしか純白の戦姫って呼ばれてたよな』『何でそんな人が新造のフォースにいるの?』

 

「コメント欄もレイアさん一色になってますね」

「昨年にフォースを脱退してきりだったからね。まさかの復帰には私も驚いたよ」

「私はGBNをデビューして間もないので彼女のことは噂程度にしか、聞いていなかったので、是非いつか戦ってみたい物です」

「ただ、彼女が復帰すれば、烈火組も元の形に戻る物と思っていたが、そう簡単な話ではなかったようだな」

「さて、話を戻しますが、続いては三対三。防衛対象周辺での戦いですね」

 

少し脱線しかけた話をシリウスはどうにか修正する。

 

「こちらは至極シンプルな戦いだった。個人で戦おうとしたクリムゾンシュバルツと連携を意識して戦っていたビギニングダイバーズ。ドズル・ザビが言っていたように戦いとは数だ。同じ戦力だったとしてもその戦力の使い方でここまで差が生まれる」

「なるほど、ビギニングダイバーズはこのフォースバトルにおいて、常に連携を意識して戦っていた。その点がこの戦いの大きなポイントであるわけですね」

「更に言えば、ビギニングダイバーズはそれぞれのガンプラを役割を意識して改造している。例えば、このインパルスは機動力を重視することで、意識を集中させるおとり役、隙を見せた相手への奇襲役を担っている」

 

『あのジェスタも中距離支援用みたいだったし、うまくバランスがとれたフォースだよな』『基本が出来てるフォースは強い。でも、基本が出来てないフォースって意外といるんだよな』

 

コメントも俺達に注目しているようだ。

 

「とはいえ、コメントにも書き込まれているようだが、これぐらいの連携は基本中の基本。トップフォースを目指す以上、出来て当然といえる物さ。これに満足することなくその上を目指すことが、ビギニングダイバーズの次の目標となるだろう」

「戦術のレベルが一緒なら、差が生まれるのはそれぞれのダイバーの実力……ということですね?」

「その通り。狙撃手のベル君とレイア君は十分な能力を持っているが、リーダーを含む三人のルーキーはまだ実力不足。上を目指す以上は個人の力量を向上させる必要があるだろうな。そのような未熟な点もまだまだ存在するフォースであるが、今後の彼らの活躍に期待している自分もいる。彼らと公式戦で戦える日まで期待して待っておくとしよう」

 

『ロンメル隊長が新造のフォースにここまで注目するのも珍しいな』『今のうちに、フォースバトル申し込んでみようかな』『マジで、これは申し込みが殺到しそう』『これは神回』『ゲスト回はすべて神回定期』『毎回神回定期』

 

「さて、そろそろお時間になってしまいましたが、最後に何かコメントをいただけますか?」

「ふむ、後半はビギニングダイバーズについての解説が多かったように感じるが、当然クリムゾンシュバルツにも期待している。今回のフォースバトルで見える課題も多かっただろう。それを改善すればそのランクに見合った技術を身につける事が出来るだろう。是非頑張っていただきたい物だ」

 

そう言い終えたロンメルを見て、シリウスは両手を合わせて締めに入る。

 

「ロンメル隊長。本日はご出演いただき、本当にありがとうございました」

「いや、こちらも普段は見ることがない新造フォースの活躍を見れて、良い刺激になったよ。是非また機会があれば出演したい物だ」

 

『今回は特に参考になった』『面白かったです!!』『やはり神配信だったか……』『今配信してることに気づいた』『残念。もう終わるところだ』『まぁ、ライブラリには残るだろうから、気を落とすな』

 

「というわけで、今回の配信はここまで!!お相手はセイクリッド旅団のシリウスと」

「第七機甲師団のロンメルがお送りしました」

「それでは皆さん、また次回~!!」

 

シリウスの締めの言葉で動画は終了した。

 

 

 

 

 

 

動画が終わっても、俺達は黙ったままだった。ふと、自分のメッセージ欄を見てみると、読み切るのに根気が必要そうな量のメッセージが届いていた。

 

「これは……今度の大会、予選落ちなんかじゃ期待外れだろうな」

「まぁ、元から、勝ち進んでいく予定だったじゃないしね。予定が絶対になっただけだよ」

「そうね、要は負けなければ良い。ただ、それだけの話ね」

 

フォースバトルになれているからか、先輩とベルさんは余裕そうに言っているが、残りの俺達は気が気でない。シノに至っては、シャトルに乗っていたときのように、体を震わせている。

 

「でも、そうですよね。期待されてるからには、応えたい。そのためにも、俺達はもっと強くならないと」

「あぁ、そうだな」

「また明日から忙しくなりそうだね!!」

 

俺がつぶやいた言葉に、二人も同調する。

 

「みんな、頑張ってね~♪」

「あっ、マギーさん、待ってください」

 

立ち去ろうとするマギーさんを先輩が呼び止める。

 

「あら、どうかした?」

「これから、久々に一戦どうです?次の大会までにブランクの差を埋めておきたくて」

「良いわね。それと、勝った方がマグナリアのケーキを一ピースおごって貰うってのも追加でね♪」

「えぇ、勿論負けるつもりはないですよ」

 

先輩は楽しそうに、マギーさんと話している。

 

「ということだから、私はここで少しバトルしてくるから……お先に失礼させてもらうわね」

 

そう言い残して、マギーさんと立ち去っていった。

 

「さて、私もそろそろログアウトさせて貰うよ」

「それじゃあ、俺達も……お疲れ様です」

 

ベルさんがログアウトするのに合わせて俺達もログアウトすることにした。

 

 

 

 

 

そんな中、彼らを十分ほど前から見ていたダイバーがいた。

 

ビギニングダイバーズの面々が打ち上げをしていると聞いて、ここに急いできて良かった。

 

「本当に面白そうだな。今度、あのリーダー君に声かけてみようっと!」

 

フードを外してそのダイバー、さっきまで動画の配信をしていたシリウスは席を立ち、どこかへ立ち去っていった。




作中の登場人物、ガンプラ、オリジナル設定等はビルドダイバーズシリーズの二次創作であれば、良識に沿った範囲内でご使用いただいてかまいません。
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