侍の国
この国がそう呼ばれていたのはもう昔の話。
数年前、突如、宇宙から舞い降りた天人<あまんと>の台頭と廃刀令により侍は衰退の一途を辿っていた。
そんな世の中、侍魂を持った一人の男がそこにいた。
如何なることにも屈せず
ただひたすら"護る"ために刀を抜き
己の"魂"曲げず飄々とこの国に立っている
そんな男
第0訓 天然パーマは甘い物が好き
ここはかぶき町にあるとあるファミレス。
昼間の食事時とあって満席状態で店員たちも大忙しという中彼は、
「ちょっ、おまっ馬鹿なのか?マジで馬鹿なのかぁぁぁぁぁ!!?」
絶賛叱られていた。
あぁ、なぜこんなことも満足にできないんだ。なぜこうも上手くいかないんだ。
と思い巡らせていた。
ここに勤め始めてひと月が経とうとしている。姉が亡き父にまかされた弓術の道場の門下生が減少しこのままだと生活が危うくなるということで自ら始めたのだが、
「てめぇはこんな簡単なこともできないんですかぁぁぁ?!!今の時代猿でもレジ打ちできるぞあぁん!!?」
とまぁこの有り様である。
事実彼は生まれてこの17年、学問という学問を学んだことがなかった。寺子屋に行こうにも朝昼晩常に弓術の修練をやっていたため行く時間がなかったのと、彼が幼い時に父を亡くしたため財政的にも厳しかったのだ。兄貴分のような人が昔いて、姉と共に道場を切り盛りしていたがその人が突然姿を消したためさらに行こうにも行けない状況となっていた。
というわけで、彼には抜けている部分が多くある。
「ははは……すみません」
「ははは、じゃねぇぞごらぁぁ!!?てめぇに何回使い方教えたと思ってんだぁぁぁぁぁぁ!!!なんで単純なボタンの意味が覚えられねーわけぇぇぇ?!!」
「生まれてから弓しか触ってこなかったもんで…あはは」
「それ何百回聞いたと思ってんだぁぁ!!」
とこのようなことが日常茶飯事であるためになかなかそこの人たちと打ち解けられないでいる。前に何度か話し掛け事があるのだが、相手が敬遠気味でまともな会話が続いたことがない。
「…ちっ、てめぇみたいな人間なんかこの社会で誰が相手にするか…最初可哀想に思って拾った俺がバカだった…」
「………」
「今の時代学歴社会なのによぉ、弓術とか時代錯誤な事やってる野郎がまともなはずがないわなぁ…!」
「……っ」
彼は自分と姉がやっている弓術のことを馬鹿にされるのをとても嫌っていた。自分の誇りを貶されるのは自分を否定されるように感じるからだ。しかしそれを言っているのが自分の上司であり、彼の意見は正論だったためぐっと我慢した。これもまた日常茶飯事の1つだ。
いろいろ言われたあともう一度覚え直せと言われ、それを始めたが彼の心は穏やかではなかった。しかしここで頑張らなければ彼は姉のことを支えていくことができない。今はがまんだ…と自分に言い聞かせていたとき、
「外は暑すぎるな」
「そうですねお頭!おい、そこのお前いい席をお頭のために用意しろやぁ!」
仁王立ちして睨みつけながらこちらに向かって叫んでいる人物を見た。腰に帯刀してしており制服?のようなものを着ていた為まさか真選組かと身構えたが、違った。
頭部が人間ではなく虎のような風貌をしている。
そう、天人だった。
「…申し訳ございませんが、今満席でして…」
今世の中天人たちが地球を我が物顔して出歩いており、なんでも天人が優先という風潮となっている。しかしそういうのが嫌いな彼は普通の人間のお客と同じように振る舞おうとしていたのだが、
「ばっかやろうぅぅぅ!!!」
バチィィン
「いたっ!!」
店長が自分が言おうとしていたことを止めてきた。そして店長はできるだけ小さな声で、
「おっまえ、コレもいっただろーが!!天人のお客様がいらしたときの対応の仕方を!!」
「えっ、でも満席なんですが…」
「だから、満席の場合は人間のお客にどいてもらうってきまりだろーが!!」
「……」
「おい、まだなのかぁぁ!?この俺たち天人を待たせる気なのかぁ!?」
「は、すぐにご用意いたします!!」
天人の団体のしたっぱが言い放ったあと店長はその天人たちの下僕のようにけいれいしてすぐどなたかお客様にどいてもらうために動き出した。
…だから天人は嫌なんだ。人を人と思わず、家畜のようにしか見ていない。確かに天人は地球の技術の大幅な発展めに貢献した。数年前から考えると数百年以上も進んでいることは明らかだ。
しかしそれはあくまで天人の自己満であって人間はたのんでいない。この考えもただのエゴかもしれないが。
だがそのせいで人間達がするはずだった技術の成長阻害された感じがしている。
天人<こいつら>を優先して家畜のように従い人間の誇り汚すのは嫌だ。
次第に苛立ちが込み上げてきて自分が気づいかないうちに言葉を発していた。
「…ですからお客様、今満席でしてその場で他のお客様同様お待ちいただくか、待つのが嫌でしたら他の店にいかれてはいかがかと」
「なんだとてめぇ…?」
「誰に向かって口利いてんだガキぃぁ!?」
しまったと思った時にはもう遅かった。店長に直せと言われていた癖がひどい場面ででてしまった。だんだん天人たちが自分の周りを囲みだした。
ヤバい。自分の本能がそう叫んでいたが、何も武器がない以上攻撃されたとしたら何か抵抗することができない。
店長が謝罪させようと来たが天人のひとりに殴られて吹っ飛ばされていた。
が、すぐに復活してこちらまで来て土下座させられた。
「ほんっと、すんませんでしたぁぁぁぁぁ!!!ほら、てめぇもはやく…ごはぁっ!!」
謝らせようとしていた店長は最後の言葉を言う前に蹴り上げられ床にうずくまっていた。
「まぁまぁ…おめぇらおちつけや」
「かっ、頭っ!!で、ですが」
「まぁいいじゃねーか、人間にしては度胸のあるやつだろうが…俺たちの靴全部キレイになめたらその誠意を買って許してやろうじゃねーかよ」
「………っ」
「はははっ!!!それはいいですねぇ!!おい人間、頭これほど家畜のてめぇらに寛大な心を見せてくれたんだ!!はやくお前の誠意をみせてみろよ!!」
理解できなかった。ただ正論を言っただけのにここまで言われるか、こんな仕打ちを受けなければならないのか、と。
店長はうずくまりながらもこちらに向かって早くやれと言ってくる。
ふざけるな。誰が、
「誰がやるってんだ…!僕たちはお前ら天人なんかの家畜なんかじゃないっ…!!」
「ほぅ……やれ」
「…っうぐっはぁぁぁぁぁあ!!!?」
ガッシャァァン
彼は思いっきり蹴られ、客のテーブルの上に吹っ飛ばされていた。立ち上がろうとしたが、力が入らず立つことが出来なかった。
今のことで店の中はパニック状態となり、客は外へ逃げ出し始めた。店長はその場で気絶していた。
(しまった…!周りのお客様のことを考えていなかった!!)
まただ、またやってしまった。自分のせいでまた周りの人たちに迷惑をかけてしまった…。なんでだ、なんでこんな事に事が運んでしまうんだ…なんで悪い方向に事が動いてしまうんだ…なんで
「なんで僕はこんなに不甲斐ないんだ…」
涙がでていた。ここでやられてしまうのが怖いからなのか?いや、違う。弱い自分が情けないからだ。天人たちが自分のところに迫ってきている。あぁ、もっと自分がしっかりしていれば、もっと自分が強ければ--
「不甲斐なくなんかねーよ」
「…えっ?」
「ふはははは!!俺たち黄虎組に楯突いたことを後悔しながら、死ねぇぇぇぇぇ…ってぶっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ドガァァァァアァアァン
……いったい今何が起きた?
今襲いかかってきた天人のひとりが吹き飛んで行った。自分も天人たちも何がどうなっているのか訳がわからなかった。そして襲いかけられる直前に聞いた声はいったい…?
その謎はすぐに解けた。
とっさにやられると思って伏せていた顔をあげてみると、
オレンジ髪で天然パーマの男が木刀を片手に自分の目の前に立っていた。
服装は着流しで片袖を通してなく、黒いブーツといったてきとうな恰好をしていたが、何故か彼が目の前に立っているだけで自分の緊張がほぐれていった。
すると彼は口を開きこう言い放った。
「俺のブラックいちごパフェ…」
ん?
「俺のブラックいちごパフェ一口も食わずに跡形もなく消えちゃったんだけどぉぉぉぉぉぉ!!!??」
は?
「…てっ、てめぇなに言ってんだ?頭おかしいのか!?」
これは天人たちに大いに同意する。
この状況下でいったいこの男は何を言っているのか?
いちごパフ…何を言っている?
「いーか、てめーら、俺は世界一糖分を愛している。そして糖分も俺のことを愛している。つまり、俺と糖分は相思相愛の関係ということだ」
男はつづける。
「俺たちは毎日デートをして、買い物したりショッピングしたりして、愛し合っていた」
男はつづける。
「だがしかし、俺たちの仲を引き裂こうとする奴が現れた」
男はつづける。
「そう医者<お義母さま>だ」
男はつづける。
「だが俺は抵抗した…『俺たちは愛し合っているんです!!だからどうか俺たちの仲を引き裂かないで下さい!!』ってな」
男はつづける。
「だが医者<お義母さま>は許してくれなかった…でも俺たちは別れるつもりはなかった。だから俺たちは決めたんだ…」
男はつづける。
「週に1度だけここで会おうってな」
男はつづ…これいつまでつづくんだ?
「だがお前等はこの再会<至福>のときをぶっ壊しやがった!!!!だからてめぇらをぶっ潰す!!!」
…………
…………
…………
「いや、なんの話しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ???!!!!」
いきなりなんのはな…いや、マジでなんの話しだぁぁぁぁぁぁぁ!!??
うっわぁぁぁぁぁ急に不安になってきたぁぁぁぁ!!!!!
「…えぇはなしだなぁ…ずびっ」
「とくに買い物とショッピングのくだりは……」
「ってないてるしっっ!!どこにそんな要素あったぁぁぁぁぁ!!!??」
「どアホどもがぁ!!あんなアホの話に感動してんじゃなくて早く潰しにかからんかぃぃぃぃ!!ずびっ」
「いや、でもこんな話聞かされるとなぁ…ずびびっ」
「謝らなくちゃいけない気がしてきて…ずびっ」
天人たちのほとんどがあの男の話で泣いているという混沌とした状態というかもうなんだよこれ状態になっていた。しかしこれも、
「謝っても許すと思うか?」
「「「!!??」」」
「…っな!?」
この男が音もなく天人たちの背後に現れたことで終止符がうたれる。
自分には信じられなかった。彼らも驚きを隠しきれていなかった。目の前にいた男が消え、天人たちの背後に回っている、自分たちの背後にいるということを。
「ぎゃーぎゃーやかましーんだよ
発情期ですかこのヤロー」
この台詞を後に、
その男の1人舞台が始まった。
「てめぇらぁぁぁぁぁぁ、俺の大事な再会の時間を奪った罰覚悟して受けやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「え、ちょま、ギャァァァァァぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ドガァァァァアァアァン
ガッシャァァン
ズドォォォォォォォォォォォォン
一瞬だった。
自分の目の前にいた天人たちは
この男の無双によって
…天井に頭から突き刺さっていた。
これが始まり。
「あ、あの」
「んあ?」
「…あ、あなたの名前は?!」
「あー…人に聞く前に自分の名前言うのが礼儀ってやつだろ」
この2人の出会いから
「は、はい!!僕は、
「僕は天堂滅却師流弓術の道場を姉と一緒にやってて、このファミレスの店員やってる石田雨竜といいます!」
3人、4人、と
「あぁ、さっき怒られてたダメダメ店員か、はっ」
「なんですか、ダメダメ店員って!!」
つながり、
「黒崎一護だ」
「えっ?」
「万事屋 死神代行のオーナーやってる黒崎一護だ」
そして
「気に入った。お前俺んとこで働かね?」
「えっ…はっ、はい!!」
絆となっていく
ここから始まる
"黒夜叉"黒崎一護が紡ぐ
新たな物語
漂魂~Soul Bleaching~
start
「お前俺が拾わないと働くあてなさそうだしなー」
「ちょ、それどういうことですか!?」
「まず、この惨状を見てみようか」
「あ」
どうも。ほのボンです。
駄文すみません。
誤字脱字があれば感想にかきこみおねがいしますー
地の文ムズイ
誰か石田と一護の挿絵描いて下さい