当方初めての作品であり、まだまだ未熟ですが楽しんでいただければ幸いです!
一話冒頭なので表紙も用意しました。
それではごゆっくりお楽しみ下さいませ。
言葉に詰まる。
―彼の前を朱が駆ける―
なにが悪かったのだろうか、
いつもの『癖』だろうか?
―それは血『だった』物。―
あるいは彼女を視界に捕らえた事?
それに飽き足らず価値を定めた事だろうか?
―彼の眼前に形を持った死が迫る。
それをお前も邪魔だと言わんばかりに遮る、朱。
「お前!そこいたら邪魔!!!」
…言われた。―
いや、この卑屈な『癖』を作る原因となった姉のせい?
いやいや、そのどれでもない。
まず第一に彼は運が無かった。不幸だった。
そして…この場に居合わせるだけの『素質』があった。
よかった助かった、…いやナニコレ?と彼は死の恐怖で真っ白になった頭で必死に状況を理解しようと試みる。
…理解しようと試みるが現状があまりにも非現実的過ぎて
頭が考えるのを勝手に止める。
そしてまた理解しようと努める。
このループを3度は繰り返しただろうか、突如何かが弾ける音がした。
直後彼のすぐ側には折れたのであろう亀裂の入った赤黒い刃が突っ立っていた。
「…!!?」
言葉にならない悲鳴をあげる
死にかけたのだと脳が理解すると同時に恐怖で体がすくみ上がる。
「っくっそ!!!ホント使えない!このナマクラっ!」
酸素の足りない熱帯魚のように口をパクパクと動かすのがやっとの彼の元へ彼女が駆け寄ってくる
「ほら!オマエの使うぞ!」
「ぇへ…?」
彼が声を発し終わらない内に彼女は彼の胸に拳を突き立てる。
彼は咄嗟に次に胸にくるであろう衝撃に備えて目を瞑った
…が、こない。
「なに・・・これ・・・?」
恐る恐る目を開くと目の前には驚愕した彼女の表情があった。
何を驚いているのだと目線を自分の胸元に向けると…
入っている。手が。
いや、刺さっているといった方が正しいのだろうか、
とにかく彼女の手首から先が自分の胸に突っ込まれている。
「は…はは…」
彼は本日何度目かわからない情けない声を出した。
(あぁ納得納得。いやそりゃ驚くよね?自分の手が他人の胸ぶち抜いたら。世紀末覇者かな?
なにこれとも言いたくなりますよハイ。いや俺が言いたいもん。ナぁニコレ?)
なんて呆けていると彼女はまたキツい表情に戻り、
「使えりゃなんでもいいわよっ!」
『何か』を彼の胸から引き抜いた。
それと同時に彼も意識を手放した。
--------------------------------------------------------------------------
「・・・・E。」
淡々と、
「ぇえ~…じゃああのコは?」
「んーD…かな?」
死んだ魚のような目で事務的に、
「じゃ~…お!丁度いいトコに!あれは!?」
「B-(ビーマイナー)。」
「即答!???」
ただ黙々と
「えー…マジかよー…生徒会長どー考えてもSクラスだろー・・・
それをお前Bって・・・てか-(マイナー)ってなんだよ」
「俺のランクは現状Aがグランプリなの。漫画の賞だって大賞はそうそう出ないだろ?それと一緒。てかBだって準グランプリだぞ?すごいぞ?」
「すごいぞ?じゃねぇよ…まぁいいやじゃあ、委員長ちゃんは!?」
「C+(シープラス)…かな?」
「いやだから+とか-ってなんだよ!?」
耳元で叫ぶな五月蝿い、とぼやきながら彼――曇 友希(あずも ゆき)―― は自分のルールを少し得意気に語る。
「委員長はルックスはC相当だが性格、立ち振る舞いのどちらもCには惜しい。だからC+。
同様に会長はルックスこそいいが、性格に難ありなんでB-。」
超得意気。
「…さいで。まぁなんでもいいけどあんま大声で評価すんなよ?
お前それ一部の男子しかしらねーからまだなんともないケド女子にしられでもしたら・・・」
そういっていかにもお調子者ですというオーラを全身から放つユキの前に陣取る―瀬川 栄太(せがわ えいた)―は戦々恐々と身を震わす。
「分かってるって…これがどんだけ失礼かも重々承知してるよ」
とユキはバツが悪そうに返した。
「ならやめりゃいいじゃねぇか…」
「そうなんだけど…もう昔からの悪癖みたいなもんだからなぁ…口に出さなくてもつい考えてるし。」
「さよーですか。まぁ気をつけてな!」
そう、ユキはなにもこの癖を自発的に始めた訳ではない。
(未だにAランクは姉さんだけ…か。)
キッカケは昔から慕っていた姉にいつ頃だっただろうか、
お前は女を見る目がない上、女に耐性が無すぎる。と言われそれがちょっとしたトラウマになり始めた事だった。
まさに完璧超人と言わざるを得ない尊敬する姉からの辛辣な一言。
それを見返そうと一念発起したのはいいが、どうもベクトルを間違えてしまっていたらしい。
気付けば異性に近づけない理由がまた一つ増えているだけだった。
「おい!ユキ!帰ろーぜっ!」
栄太が肩を叩いたので我に返る。
もう放課後だった。
「OK~悪いな、考え事してたわ。」
いつもこの悩みに没頭するとあっという間に日が暮れる。
だから授業が面倒でだるい日は一日中考えて時間を潰していた。
商店街を抜けて閑静な住宅街を歩く。
いつもより長く悩んでいたらしい、日はもう暮れ始め辺りは薄暗かった。
「んでよ~あいつ傑作だったわけよ!なんて言ったと思う?」
「さぁ?なんだって?」
「それがよ~・・・」
いつもこんなカンジで傑作でもない傑作話を頂戴しながら帰路につく。
この日も別に少し日が落ちている以外はいつもと同じだった。
でも、もし、この何気ない日常の繰り返しが崩れるなら
それはこんな―――いつもと変わらない逢魔が時なのかもしれない。
「へぇ…それはまた・・・っ―――!」
角を曲がった開けた視界の先、橋の上。
彼は目にした。
この何もかも飲み込んでしまうような燃える夕暮れ時に色褪せず輝くその―少女を―
「A(エー)・・・・」
ふと、つぶやく。そうだ彼女こそ…
サイドテールにまとめた黒髪、あの服は少し風変わりな…
和風ゴスロリとでもいった雰囲気だろうか何故か右腕の袖が帯状になっていた。
そして右目には
その風変わりすぎる格好でさえもそうあるべきであるかのような美しい景色の装飾として映るほどに彼女は…
だがユキはまだ知らなかった。
自分でも無意識にそのつぶやきの後に言葉を続けてしまう事を。
隣で傑作話を披露していたお調子者の栄太でさえ驚愕の景色に饒舌だった口元があんぐりとあいたままになった。
そしてその隣のつぶやきの意味を理解するや否やこれでもかと言うほどにさらに大きな驚きをその面に貼り付けて
「い、いまお前Aって・・・・!?」
そう、かれこれ小学校からの腐れ縁で昔からユキの 評価 を聞いてきた栄太でさえ彼がA評価をつける所など見たことがなかったのだ。
それも
確かにこの景色にはそれだけの魔性の何かがあったのかもしれない。
会話が聞こえたのだろうか?この青少年二人の感動をしってかどうか『彼女』がこちらを向いた。
向いたのだが、…目つきが変だ。
あれは…そう 睨んでいる 。
親の仇でも見つけたかのような獰猛な眼光をこちらに向ける。
そして、飴を口から出すとこちらに向かってなにか言った、ように見えた。
…近くにいるのだが小さくて聞こえない。が、口の動きでハッキリと分かった。
あれは・・・
(こ っ ち み ん な ド ー テ イ …?)
悪口だ。
しかも淑女が使うにはあまりにも不釣合いで下劣なワードを用いて。
「・・・-(マイナー)・・・・。」
「ぇ…?」
栄太がユキに聞き返す。
「え…なんて…?」
「…A-(エーマイナー)っ!」
出ました-(マイナス)表記。
周りになかなか響く声で言い放った後にユキは気付いた。
もしかしなくても今の…このコに聞こえたんじゃ・・・
(お願いです…どうか聞き逃してるか、何のことか悟られませんようにぃ~…っ)
なんて彼の願いも虚しく彼女は少し訝しんだ表情をした後に一つ
ニッコリとは全く呼べない嗜虐的な笑みを浮かべて
「ほう・・・?」
と面白そうに呟いた。
如何でしたでしょうか?
今回はプロローグと一話が一緒になってしまいましたので後ほど分けるかもしれません。
次の更新はまだ未定ですが、もしよろしければまた遊びにいらっしゃってください。
それではまた次回。