とりあえず現状を説明すると――。
死んだ。
転生した。
ってことかな。いや、転生とは違うか。憑依とも違う。容姿は間違いなく中学生くらいの時の自分だったから。
なら逆行か? とも思ったが、こんな景色は見覚えがない。現代っぽいんだが、なんとなく違和感がある。
まあ、ものは試しだ。
「ステータス、オープン!」
……何も起こらず。どうもそういうのじゃないらしい。なら。
「メラ! アギ! ファイア! ハリト! フレアアロー!」
……なるほど、そういうのでもないと。とりあえず手持ちを確認するか。バッグの中身を探ると出てきたのは、いつも使っているデッキケース? これは――。
「これは俺の魂のデッキ! ……じゃねぇ!?」
広げてびっくり、これは大会用のガチデッキではなく、フリー用のテーマデッキだ。いや、決して弱いわけではないんだが……。
「全部フリー用だな。まあいいや。あとは財布か」
中に入っていたのは2万3千円。中学生にしては大金だ。それと、受験票?
「デュエルアカデミアか。デュエルアカデミア!? じゃあこのやたら場所を取ってたのは、デュエルディスクか」
あーはいはい。そういうことね、完全に理解した。というか時間がヤバいな。
「ヘイ、タクシー!」
地理も良く分からないし、電車だと間に合わないかもしれん。改めてバッグを手に取り、タクシーに乗り込んだ。
「受験番号66番、
「ハイッ!」
筆記試験を受けた覚えはないが、66番ってのはどうなんだろう。確か主人公が110番だったから、可もなく不可もなくって感じなのかな。
デュエルフィールドで待ち構えていた試験官は眼鏡をかけた見覚えのない人だった。クロノス先生だったら面白かったのに。
「では始めよう。先攻はキミからだ」
「ハイ! よろしくお願いします!」
「良い返事だ。では」
『デュエルッ!』
「俺のターン、スタンバ――あれ?」
デュエルディスクのフェイズ移行ランプが
「ドロー、スタンバイからメインへ」
俺のEXデッキからはリンク、シンクロ、エクシーズが消えていた。ご丁寧にメインデッキのチューナーも全部消えていた。デッキが複数あったこと、それにトレード用やら調整用のカードが残っていたからなんとか40枚に仕立てられたが、気付かずに試験に臨んでいたら枚数不足でジャッジキルされるところだった。
ちなみに、うさぎもさくらもうららもわらしもみずきもしぐれも消えていた。そういえばあいつら全員チューナーだったわ。
さて、せっかくだからあれを試してみるか。
「《レプティレス・ガードナー》を守備表示で召喚」
おお、本当にできた。けど違和感ハンパねぇ。
「カードを2枚伏せてターンエンドです」
音羽遊蓮 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「私のターン、ドロー。ふむ、守備力2000か。なかなかに堅い」
やっぱりフェイズ移行は口にしないのが普通なのか。まあデュエルディスクで確認できるからいいけど。
「私は《切り込み隊長》を召喚。その効果により手札の《ツイン・ブレイカー》を特殊召喚。さらに装備魔法《稲妻の剣》をツイン・ブレイカーに装備する」
《ツイン・ブレイカー》 攻撃力 1600 → 2400
「バトルだ! ツイン・ブレイカーでレプティレス・ガードナーに攻撃!」
音羽遊蓮 LP4000 → 3600
ダメージが入ったことで周りがざわついている。貫通効果持ちって説明がなかったからかな。
「ツイン・ブレイカーは貫通効果を持っている。そして守備表示モンスターを攻撃した場合、もう1度だけ続けて攻撃する事ができる」
ああ、このタイミングで言うのか。ショーとしては効果的だけど。
「その前に破壊されたレプティレス・ガードナーの効果を発動しますよ。デッキから《レプティレス・ヴァースキ》を手札に加えます」
「いいだろう。ツイン・ブレイカーで二度目の攻撃だ。ダブル・アサルト!」
音羽遊蓮 LP3600 → 1200
「その伏せカードはブラフかな? 切り込み隊長でダイレクトアタック!」
「ご心配どうも、ここで発動しますよ。《スケープ・ゴート》を発動。羊トークン4体を守備表示で特殊召喚」
「ならば羊トークンを攻撃だ。いけ、切り込み隊長!」
青い羊トークンがメェェと断末魔を残して一刀のもとに斬り伏せられた。
「私はこれでターンエンドだ」
試験官 LP4000 手札3 モンスター2 伏せ0
音羽遊蓮 LP1200 手札4 モンスター3 伏せ1
――――――――――――
「俺のターン、ドロー」
さて、伏せはなしか。まあおそらく試験用のデッキだろうから、そこまでエグいカードは入ってないんだろう、たぶん。
「羊トークン2体をリリースして《レプティレス・ヴァースキ》を特殊召喚し、効果発動。《ツイン・ブレイカー》を破壊します」
レプティレス・ヴァースキの繰り出した尾撃にツイン・ブレイカーの剣はへし折られ、そのまま胸を貫かれた。
「続けて魔法カード《レプティレス・スポーン》を発動。墓地の《レプティレス・ガードナー》を除外して「レプティレストークン」を2体特殊召喚します。そしてその1体をリリースして《レプティレス・メデューサ》をアドバンス召喚」
レプティレス・メデューサが姿を現すと、周囲から小さく悲鳴が聞こえた。ヴァースキはともかくメデューサはなぁ。ビジュアルが。
「メデューサの効果発動。手札を1枚墓地に送り、《切り込み隊長》の攻撃力を0にします。ついでに表示形式の変更もできません」
「……むぅ」
「バトルフェイズに入ります。レプティレス・ヴァースキで切り込み隊長を攻撃!」
試験官 LP4000 → 1400
「続けてレプティレス・メデューサでダイレクトアタック!」
試験官 LP1400 → 0
「お見事、合否は後日郵送される。本日はこれまで」
「はい、ありがとうございました」
さて、帰るか。帰れるかな?
結論から言うと、無事帰れました。財布に身分証が入ってたからね。
両親は前の世界と一緒だった。もしかしたら平行世界の自分なのかな。この世界の俺の意思がどうなったかとかは、考えないほうがいいんだろうな。
十日後に合格通知が届いた。所属は――。
オシリスレッドか。まあ、筆記試験が66番だったから仕方ないのか。
今さらだが、この選択が正解だったかは分からない。
まあ、なるようになるさ。
導入部をかなりすっ飛ばしましたが、まあテンプレだしみんな興味ないでしょ。
とりあえず一期分、三幻魔までやります。