ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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第13話 兄弟対決

俺の部屋に1つのインテリアが増えた。

テーブルの上にちょこんと座しているのは、翡翠色の髪の可愛らしい人形だ。

『可愛らしいだなんて、アナタ中々わかってるわね』

そしてこの人形は普通に喋るのだ。喋るというか念話らしい、確かに口は動いていない。自らが課した誓約によって動くことはできないが、意思疎通はできる。さすがはヴァンパイア一族の末裔といったところか。

「俺は精霊も見えないし、声も聞こえないはずなんだがなぁ」

『私は精霊じゃないわ。それよりも上位の存在よ』

「さいですか」

ともあれ、厄介な同居人が増えたわけだ。

厄介といえば、万丈目グループがアカデミアに買収を仕掛けてきた。友好デュエルでは万丈目が勝ったので、おとなしくしているかと思ったが、想像以上に堪え性がないようだ。

万丈目はハンデとして「デッキのモンスターは全て攻撃力500未満」という条件を受け入れ、デュエルを行うことになった。

もちろんパワーデッキ型の万丈目はカードが不足している。なので噂のカードの墓場に行き、加えて十代の母親が送ってきたカードを漁って、なんとかデッキを組み上げた。

「そんなことよりバーンデッキ組もうぜ」

と言ったら白い眼で見られた。どうやら万丈目の好みではなかったらしい。

 

 

 

 

 

「長作兄さん、俺が卒業後にプロになってカードゲーム界を牽引する。それで話はまとまったはずだ!」

「準よ、状況というのは刻一刻(こくいっこく)と変化しているのだ。好機と見れば、悠長にしている理由はない。我ら万丈目グループは政界、財界、カードゲーム界の三界を制覇し、世界に羽ばたくのだ!」

「だからといって、こんな横暴は……」

「愚かな弟よ、貴様はこの学園に染まりすぎてしまったようだ。だからこそ貴様にもチャンスをくれてやった。貴様もデュエリストの端くれなら、私をデュエルで黙らせてみろッ!」

「……兄さん。わかったよ、兄さん。俺は勝つッ! 勝ってあんたを黙らせてみせるッ!」

「よくぞ言ったッ! かかってこい、準! 兄より優れた弟など存在せぬということを教えてやろうッ!」

盛大なハンデ要求しといてよく言えるなー。

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「私の先攻だ、ドロー。《トレード・イン》を発動。手札のレベル8《トライホーン・ドラゴン》を捨てて2枚ドロー。魔法カード《古のルール》を発動。手札の《ラビードラゴン》を特殊召喚する。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

万丈目長作 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。モンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「エンドフェイズに《リビングデッドの呼び声》を発動。墓地の《トライホーン・ドラゴン》を特殊召喚する」

 

万丈目準  LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2

万丈目長作 LP4000 手札2 モンスター2 伏せ1

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。ふっ、さすがのおまえでもハンデが重すぎたか? 《サファイアドラゴン》を通常召喚!」

 

「瞬く間に3体のドラゴンを並べたか。あの男、本当に素人か?」

 

隣に座っていた三沢が感心するように呟くが、むしろ複雑なコンボを狙わず、単純にパワーで押すって戦い方は、いかにも素人っぽいと思うけどな。

 

「いくぞ、準! トライホーン・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!」

 

「《おジャマ・ブルー》の効果発動。このカードが戦闘で破壊され墓地に送られた時、デッキから「おジャマ」カード2枚を手札に加えることができる。俺は《おジャマジック》と《おジャマ・カントリー》を手札に加える」

 

「手札補充など姑息な手段に過ぎんッ! このターンで終わらせる。サファイアドラゴンで攻撃!」

 

万丈目準 LP4000 → 2100

 

「これで最後だ。ラビードラゴンでダイレクトアタック!」

 

「そちらは通さないッ! 《くず鉄のかかし》を発動。その攻撃を無効にする。発動後このカードは墓地へ送らず、そのままセットする」

 

「ふんっ、またしても姑息なマネを。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

万丈目長作 LP4000 手札1 モンスター3 伏せ2

万丈目準  LP2100 手札5 モンスター0 伏せ2

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。フィールド魔法《おジャマ・カントリー》を発動。手札の《おジャマジック》を墓地へ送り、墓地の《おジャマ・ブルー》を特殊召喚。そして《おジャマジック》は手札・フィールドから墓地へ送られた場合に効果が発動する。デッキから《おジャマ・グリーン》、《おジャマ・イエロー》、《おジャマ・ブラック》を手札に加える」

 

「また手札補充か。そんなザコカードを何枚持ったところで、何の役に立つ」

 

「ザコにはザコの役割がある。おジャマ・カントリーの効果はこれだけではない。自分フィールド上に「おジャマ」と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの元々の攻撃力・守備力を入れ替える」

 

「ぬぅ、そんな効果が……。だが攻守力が逆転しても、私のドラゴン軍団にさほどの影響はない!」

 

《ラビードラゴン》    攻撃力2900/守備力2950

《トライホーン・ドラゴン》攻撃力2350/守備力2850

《サファイアドラゴン》  攻撃力1600/守備力1900

 

「まだまだいくぞ! 《おジャマ・レッド》を召喚。そして効果発動。手札の《おジャマ・グリーン》、《おジャマ・イエロー》、《おジャマ・ブラック》を特殊召喚」

 

万丈目兄もフィールドの異様さに気付いたようだ。名状しがたき5色の生物(なまもの)が戦隊ヒーローよろしくポーズを決めている。

 

「そ、そんなザコが何体集まったところで、私のドラゴン軍団には――」

 

「――勝てるッ! 魔法カード《おジャマ・デルタハリケーン!!》発動。このカードは自分フィールド上に《おジャマ・グリーン》、《おジャマ・イエロー》、《おジャマ・ブラック》が表側表示で存在する場合に発動できる。相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する!」

 

「甘いぞ、準! 手札を1枚捨てて、カウンター罠《マジック・ジャマー》を発動。そのカードの発動を無効にして破壊する」

 

「ならばこちらもカウンター罠《ギャクタン》を発動! その発動を無効にし、そのカードを持ち主のデッキに戻す」

 

「なんだとぉー!?」

 

おジャマ3体の巻き起こした暴風によってドラゴン軍団は跡形もなく消え去った。

 

「バトルだ! おジャマたち(ザコども)でダイレクトアタック!」

 

「バカな、私のレアカードが、レアデッキが負ける!? ぐ、ぐあぁぁッ!」

 

 

 

万丈目長作 LP4000 → 3000 → 2000 → 1000 → 0

 

 

 

「兄さん、俺はいずれプロになる。そしたら兄さんたちの、万丈目グループの力になれると思う。どうか、それまで待っていてくれ」

「準……。私たちはおまえを低く見過ぎていたようだ。いいだろう。おまえが卒業するまで、待っていてやろう」

 

 

 

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