その日の教室は閑散としていた。生徒たちが無断欠席していたのだ。十代たちは新たなセブンスターズの襲来と色めき立っている。
授業が始まっても生徒たちが来ることはなく、代わりにきたのは女性の事務員さん。どうも川田くんのバッグが森の中で見つかったらしい。
これあれだ。アマゾネスの流れだ。
そんなわけで俺たちは、森の中に建設されたコロシアムにやってきたのだった。
「おい、あれクロノス先生じゃないか?」
「そういえばクロノス教諭の姿も見えなかったニャ」
確かトラの用心棒がいるんだよな。ああ、いたいた。十代たちからは距離をとっておこう。うん、やっぱり追いかけられてる。
みんながバイト代を貰ってる中で、クロノス先生だけが貰い損ねていた。つか気持ち悪いからやらないってのも酷いよなぁ。
「こらぁー、何者だ、おまえ!」
「フッ、わたしはタニヤ。偉大なるアマゾネス一族の末裔にして長。そしてセブンスターズのひとり」
「やっぱりか。よし、勝負だ」
「いいだろう。だ・け・ど、わたしと勝負できるのは男の中の男だけぇ~」
さっきまで凛々しく振舞っていた女性が、突如としてなよっとした感じになって身体をくねらせ始めた。やっぱりこの人のキャラはよく分からん。
「我こそは男という者、出てこい!」
「俺だ!」
「いや、俺だろう!」
「いいや、俺だ!」
「……あなたはいいの?」
「今回はあいつらに譲るよ」
意気揚々と踏み出した、十代、万丈目、三沢。
選ばれたのは、三沢でした。
今回は闇のデュエルではなく、タニヤが勝てば三沢を婿にし、タニヤが負ければ三沢の嫁になるという平和な条件だった。
婿取りデュエルが今、始まる。
『デュエルッ!』
「先攻はわたしだ、ドロー。《アマゾネスの剣士》を召喚。カードを2枚伏せてターンエンドだ」
タニヤ LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。《怒気土器》を守備表示で召喚し、効果発動だ。手札の《
「この瞬間、2枚の伏せカードを発動する。《アマゾネスの急襲》、そして《メタバース》。まずはメタバースの効果でデッキからフィールド魔法《アマゾネスの里》を発動。これにより《アマゾネスの剣士》の攻撃力は200アップする」
「むっ、ならば相打ちか。アマゾネスの剣士とは相性がいいカードとは思えないが?」
「それはどうかな? 《アマゾネスの急襲》の効果発動。私の「アマゾネス」モンスターが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に、相手モンスターを除外する」
アマゾネスの剣士は電磁石の戦士αは相打ちにはなったが、片方は墓地に、片方はゲームから除外された。
「アマゾネスの里の更なる効果発動。1ターンに1度、「アマゾネス」モンスターが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に、その「アマゾネス」モンスターの元々のレベル以下の「アマゾネス」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。私は《アマゾネスペット
「おいおい、状況が一気に悪くなったぞ!」
「伏せカードをまるで警戒しないなんて、三沢くんらしくないわね」
「嫁うんぬんで調子を崩したかな。まあ、別に負けても魂取られるわけでもなし、いいんじゃないか?」
「気の抜けるようなこと言うなよ、遊蓮。行けー、三沢! ラストサムライ魂見せてやれ!」
「まかせろ! この程度、すぐに挽回してみせる。カードを2枚伏せてターンエンド」
「きゃ~、三沢っちカッコイイ~、痺れるぅ~、素敵ぃ~」
「ふっ、分かっているぞタニヤ。お色気で俺のペースを崩そうという陳腐な作戦。だが俺の心はその程度戦術は鉄壁。おまえのお色気光線など通用しない!」
「言葉が乱れてるッス」
「つまり心が乱れてるってことだな」
三沢大地 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2
タニヤ LP4000 手札2 モンスター2 伏せ0
――――――――――――
「わたしのターン、ドロー。《アマゾネスの聖戦士》を召喚。このカードは自分フィールド上の「アマゾネス」という名のついたモンスターカード1枚につき、攻撃力が100ポイントアップする。アマゾネスの里の効果も受け、さらにパワーアップ」
《アマゾネスの聖戦士》攻撃力2200
《アマゾネス女王》 攻撃力2600
《アマゾネスペット虎》攻撃力2500
「バトルだ。アマゾネスの聖戦士で怒気土器を攻撃、続けてアマゾネスペット虎でダイレクトアタック!」
「そうはさせん! 除外された時の対処法も用意してある。《化石岩の解放》を発動。除外されている《電磁石の戦士α》を特殊召喚。その効果でデッキから《磁石の戦士マグネット・バルキリオン》を手札に加える。そして電磁石の戦士αのもう1つの効果も発動する。相手ターンにこのカードをリリースすることで、デッキからレベル4の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を特殊召喚する。俺は《
「う~、マグネット・ウォリアーがゲシュタルト崩壊しそうッス。てか
「いまさらだな。俺のサンダー・ドラゴンだってドラゴン族じゃない」
ドラゴン族じゃないドラゴンはいっぱいいる。これ豆な。
「ならばアマゾネスペット虎で磁石の戦士δを攻撃、続けてアマゾネス女王でダイレクトアタック!」
三沢大地 LP4000 → 1400
「ぬぅぅ、だが俺は負けん。世界の破滅を防ぐため、俺は負けるわけにはいかないんだ!」
「ふっ、世界の破滅がなによ。そんなものより不滅の恋を探す方が重要よ。七精門の鍵でも開かない貴方のハートを、わたしの鍵で開けてみせるわ」
「くっ、わけがわからん。大体、会ったばかりの俺のどこに惚れたというんだ!」
「その凛々しい顔よ!」
三沢の問いに、タニヤはきっぱりと言い放った。
「か、顔だと!? そんなことで……それではあいつらのアイドルカードと同じ……くっ、何故ピケルが……うぉぉー、俺のターン!」
おい、相手はまだエンド宣言してないぞ。
「せっかちだな。まだバトルフェイズだ。アマゾネスの急襲の効果で、手札から《アマゾネスの格闘戦士》を特殊召喚し、ダイレクトアタック! さあ、意地があるなら見せてみろ!」
「くっ、仕方ない。《戦線復帰》を発動。墓地の《電磁石の戦士β》を特殊召喚する。その効果でデッキから《磁石の戦士β》を手札に加える。そしてこのカードをリリースしてデッキから《磁石の戦士α》を守備表示で特殊召喚する」
「アマゾネスの格闘戦士で攻撃、当然そいつも除外する。わたしはこれでターンエンド」
タニヤ LP4000 手札1 モンスター4 伏せ0
三沢大地 LP1400 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。手札から《トレード・イン》を発動。《磁石の戦士マグネット・バルキリオン》を捨てて、カードを2枚ドロー。《悪魔への貢物》を発動。おまえの《アマゾネス女王》を墓地に送り、手札から《磁石の戦士β》を特殊召喚する。そしてフィールド魔法《マグネット・フィールド》を発動」
アマゾネスの里がかき消され、新たなフィールドが世界を塗り替える。そうか、まだフィールド魔法は共存できないんだったな。
「マグネットフィールドの効果発動。墓地の《磁石の戦士γ》を特殊召喚。続けて装備魔法《戦線復活の代償》を発動。通常モンスターの磁石の戦士γを墓地に送り、おまえの墓地の《アマゾネス女王》を俺のフィールドに特殊召喚して、このカードを装備する」
「わたしのモンスターを寝取るとは、やるじゃないか」
「寝取るとか言うなッ! くっ、惑わされるな、
《電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン》
星8/地属性/岩石族/攻3000/守2800
「マグネット・ベルセリオンの効果発動。墓地の《磁石の戦士γ》を除外して《アマゾネスの聖戦士》を破壊する」
フィールドの「アマゾネス」が減ったことで、アマゾネスペット虎の攻撃力がさらに下がった。
「バトルだ。アマゾネス女王でアマゾネスペット虎を攻撃!」
タニヤ LP4000 → 3500
「アマゾネスの急襲の効果でアマゾネス女王を除外する」
「
「アマゾネスの格闘戦士が戦闘を行う事によって受ける戦闘ダメージは0になる。アマゾネスの急襲の効果で磁石の戦士βを除外」
「これでおまえのモンスターはいなくなった。マグネット・ベルセリオンでダイレクトアタック! 超電磁カッター!」
タニヤ LP3500 → 500
「アマゾネスの急襲の効果を使わなかったということは、おまえの手札には「アマゾネス」モンスターはいないようだな。俺はこれでターンエンドだ」
三沢大地 LP1400 手札0 モンスター1 伏せ0
タニヤ LP 500 手札1 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「わたしのターン、ドロー。まずは褒めてやろう。わたしをここまで追い詰めたことを」
「まるで勝ちを確信したような言い草だな」
「おまえの手札は0。リバースカードもない。わたしの攻勢を防ぐ手段はないということだ」
「マグネット・ベルセリオンを超える攻撃力を持つモンスターがいるというのか……」
「ふっ、大きすぎる力は身を滅ぼすということを教えてやろう。《アマゾネスの斥候》を召喚」
《アマゾネスの斥候》
星3/地属性/戦士族/攻 800/守1200
「攻撃力800のモンスターで何を……」
「こうするのさ。魔法カード《アマゾネスの呪詛師》を発動。アマゾネスの斥候とマグネット・ベルセリオンの元々の攻撃力を入れ替える」
「攻撃力を……入れ替えるだと!?」
「バトルだ。アマゾネスの斥候でマグネット・ベルセリオンを攻撃、ダガー・ショット!」
投擲されたダガーは一瞬のうちに巨大化し、ベルセリオンの胸板を貫いた。
「――ぐあぁぁぁッ!!」
三沢大地 LP1400 → 0
「これで三沢っちはわたしのもの。関係のない者は去れ、バース!」
彼女の虎に追い立てられ、俺たちはコロシアムを後にした。七精門の鍵が1つ失われ、囚われ人となった三沢をどうするか途方に暮れていたが、当の本人は翌日の昼に帰ってきた。
タニヤに骨抜きにされて。
アニメを見ていない人には分かり辛かったかもしれませんが、タニヤはかなり二面性の強いキャラです。
詳しく知りたい方はアニメを見よう!