ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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第20話 恋する乙女と占術姫

「ネフィリムでエスクリダオを攻撃、続けてアノマリリスでダイレクトアタック」

ネフィリムの効果で戦闘前にエスクリダオが破壊され、アノマリリスの攻撃で十代のライフは尽きた。

「グワーッ、負けたかー。やっぱ強ぇな、遊蓮」

「テーブルデュエルだからって気を抜き過ぎじゃないか? ミドラーシュの効果だって見落としてたし」

「まさか特殊召喚が1回しかできないなんてな。それに、そのアノマリリリスってモンスターの効果にも気をとられ過ぎたかもな」

おい、「リ」が一個多いぞ。

「あとダメージ計算も間違ってたな」

「デュエルディスクなら勝手に計算してくれるのになー」

「そういうこと言ってると、いざという時に計算が合わなくて、100足りないとかになるんだよ。つーか、おまえ暇なんだろ。隼人もいなくなって、俺とカイザーのデュエルに触発されたのか、翔のヤツが勉強を始めたから」

「まぁなー。翔のヤツも勉強なんかより実戦の方が楽しいのにな」

楽しい楽しくないの問題じゃない気もするが。

――とその時、庭の方から可愛らしい声が聞こえてきた。

「見つけたーッ!、十代様ったらこんなところにいた!」

「ゲッ! レイ、おまえなんでここにいるんだよッ!?」

ほんとにな。私服ってことは潜り込んだわけではなさそうだが、わざわざブルー寮まで来るとは、そうとう探し回ったみたいだな。

「なんでって、連休を利用して会いにきちゃった♪」

「会いにきちゃった、じゃねぇだろ!」

紺碧の髪を揺らしながら、早乙女レイは子猿のようにスルスルと木をよじ登り、俺たちのいるベランダまで軽々と到達した。

「えっと、こっちの人は初めましてだね。ボクは早乙女レイ、十代様の彼女でーす!」

(ちげ)ぇだろ!」

十代が割とマジな感じで否定する。実は初めましてじゃないんだよな。前に学園で顔は合わせてる。だがその時は帽子を目深にかぶってたし、なにより前半はカイザー、後半は十代しか目に入ってなかったのだろう。

「これはご丁寧に。俺はオベリスクブルーの音羽遊蓮。十代の友人だ。しかし十代にこんな可愛い彼女がいたとは知らなかった。末永くお幸せに」

「はい! ありがとうございます!」

「だから違うって! 遊蓮、おまえも乗っかるんじゃねぇ!」

ちょっとからかっただけなのに、十代のヤツ本気で慌ててるな。まあ相手が小学生じゃなぁ。

「むー、じゃあ十代様の流儀に合わせるわ。デュエルで勝負!」

「はっ、面白ぇ! 表に出やがれ、相手になってやらぁ!」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「ボクのターン、ドロー。魔法カード《儀式の下準備》を発動。デッキから儀式魔法カード《聖占術の儀式》を手札に加え、さらにそのカードにカード名が記された儀式モンスター《聖占術姫タロットレイ》をデッキから手札に加えるよ」

 

「儀式モンスターか。明日香を思い出すな」

 

「むー、ボクとのデュエルの時に他の女を思い出すなんて、十代様ってば女心を分かってないッ!」

 

「え? ああ、悪い悪い」

 

全く悪びれてない様子で、むしろ困ったといった感じで十代は頭をかいた。

 

「今手札に加えた《聖占術の儀式》を相手に見せて、《魔神儀(デビリチャル)-キャンドール》の効果発動。デッキから《魔神儀-タリスマンドラ》を特殊召喚し、このカードも特殊召喚する。そしてタリスマンドラがデッキから特殊召喚されたことで効果発動。デッキから《魔神儀の創造主-クリオルター》を手札に加える。さあ、いきますよ、十代様。《聖占術の儀式》を発動。手札の《魔神儀の創造主-クリオルター》をリリースし、《聖占術姫タロットレイ》を特殊召喚!」

 

《聖占術姫タロットレイ》

星9/光属性/天使族/攻2700/守1200

 

「モンスターをセットして、カードを2枚伏せる。そしてタロットレイの効果発動。裏側守備表示のモンスターを表側攻撃表示にする。ボクが伏せたのは《メタモルポット》。リバース効果でお互いのプレイヤーは手札を全て捨ててカードを5枚ドローする」

 

十代はいきなりの手札交換に面食らったようだが、おとなしく手札を全て捨てて、新たに5枚のカードをドローした。

 

「シャドー・ミストが墓地に送られたことで効果が発動するぜ。デッキから《E・HERO リキッドマン》を手札に加える」

 

「ボクはさらにカードを1枚伏せてターンエンド。エンドフェイズにタロットレイの効果で、手札の《機怪神(デウス)エクスクローラー》を裏側守備表示で特殊召喚」

 

早乙女レイ LP4000 手札3 モンスター5 伏せ3

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。いきなり5体もモンスターを展開してくるなんて、やるじゃねぇか。俺も負けてらんねぇ。まずは墓地の《ブレイクスルー・スキル》の効果発動。このカードを除外してタロットレイの効果を無効にする」

 

「その効果にチェーンしてタロットレイの効果発動。《機怪神エクスクローラー》を表側攻撃表示にする。リバースしたこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターが発動した効果は無効化されるんだよ」

 

スキルドレインとは微妙に違うんだよな。これで十代はかなり行動を制限されたな。

 

「効果無効か、仕方ねぇ。手札を1枚捨てて《ツインツイスター》を発動。両側のセットカードを破壊だ。続いて《三戦の才》を発動。デッキからカードを2枚ドローするぜ。《融合》を発動。手札のスパークマンとオーシャンを融合。来いッ! 《E・HERO アブソルートZero》! バトルだ! ゼロでタロットレイに攻撃!」

 

「ええっ!? 攻撃力の低いモンスターで攻撃!?」

 

これは仕方ない。フィールドで発動する効果が無効にされるのは厳しい。多少強引でも打開しないとジリ貧になる一方だ。

 

遊城十代 LP4000 → LP3800

 

「ゼロは墓地で発動する効果だ。クローラーでも無効にはできないぜ。おまえのフィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

ゼロの決死の特攻が実を結び、レイのフィールドにいたモンスターは全て消え去った。

 

「エクスクローラーの効果発動。デッキから《聖占術姫タロットレイ》を手札に加えるよ」

 

「バトルフェイズを終了し、《E・HERO リキッドマン》を守備表示で召喚して効果発動。墓地から《E・HERO シャドー・ミスト》を守備表示で特殊召喚だ。効果でデッキから《マスク・チェンジ》を手札に加える。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

遊城十代  LP3800 手札1 モンスター2 伏せ2

早乙女レイ LP4000 手札4 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「ボクのターン、ドロー」

 

「リバースカードオープン! 《マスク・チェンジ》を発動。シャドー・ミストを墓地に送り、《M・HERO ダーク・ロウ》を特殊召喚! シャドー・ミストの効果でデッキから《E・HERO エアーマン》を手札に加えるぜ」

 

漆黒の英雄が姿を変え、新たに仮面(マスク)の英雄へと生まれ変わる。

 

「ダーク・ロウがいる限り、おまえの墓地に行くカードは全て除外される。また1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合に、相手の手札をランダムに1枚選んで除外することができる」

 

あれ1枚で詰むデッキもあるからな。レイのデッキはそこまで墓地依存はしてなさそうだが。

 

「手札の《聖占術の儀式》を相手に見せて、《魔神儀-ブックストーン》の効果発動。デッキから《魔神儀-ペンシルベル》を特殊召喚し、このカードも一緒に特殊召喚。そしてペンシルベルがデッキから特殊召喚されたことで効果発動。墓地から《魔神儀の創造主-クリオルター》を手札に加えるよ」

 

「この瞬間、ダーク・ロウの効果発動。おまえの手札をランダムに1枚除外する」

 

レイの手札から1枚のカードが次元の彼方へと消え去った。だがレイの表情に焦った様子はない。

 

「ダーク・ロウの効果は1ターンに1度、もう大丈夫ッ! 墓地の《聖占術の儀式》の効果発動。このカードを除外してデッキから《聖占術姫タロットレイ》を手札に加える。そして《聖占術の儀式》を発動。フィールドのブックストーンとペンシルベル、そして墓地の《儀式魔人ディザーズ》を除外して、《聖占術姫タロットレイ》を儀式召喚! そして特殊召喚成功時に《激流葬》を発動。フィールドのモンスターを全て破壊だぁー!」

 

「なにぃ!? おまえのモンスターも巻き込まれちまうぞ!」

 

十代は驚愕に目を見開くが、そうはならないんだよなぁ。

 

「甘いですよー、十代様。儀式魔人ディザーズを使用して儀式召喚したモンスターは罠カードの効果を受けないんです。だから破壊されるのは十代様のモンスターだけですよ」

 

「マジかよ、クッソー」

 

「というわけで、タロットレイでダイレクトアタック! ラブラブビーム!」

 

遊城十代  LP3800 → 1100

 

「ボクはカードを1枚伏せて、エンドフェイズにタロットレイの効果で、墓地の《機怪神エクスクローラー》を裏側守備表示で特殊召喚」

 

「ここだぁッ! リバースカード《墓穴の指名者》を発動。《機怪神エクスクローラー》を除外するぜ」

 

「むぅ、じゃあボクはこれでターンエンドです」

 

早乙女レイ LP4000 手札2 モンスター1 伏せ1

遊城十代  LP1100 手札2 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《戦士の生還》を発動。墓地の《E・HERO リキッドマン》を手札に戻し、そのまま召喚だ。効果で墓地から《E・HERO シャドー・ミスト》を守備表示で特殊召喚。効果でデッキから《マスク・チェンジ》を手札に加える」

 

「チェンジ……。またダーク・ロウですか?」

 

「残念ながらダーク・ロウは1枚しか入ってないんだ。今度は別のヒーローさ。《ミラクル・フュージョン》を発動。墓地のスパークマンとオーシャンを融合。来いッ! 《E・HERO The シャイニング》! いくぜ、バトルだ! シャイニングでタロットレイを攻撃、オプティカル・ストーム!」

 

「タロットレイの効果を発動。シャイニングを裏側守備表示にします!」

 

「当然そうくるよな。チェーンして《マスク・チェンジ》を発動だ。シャイニングを墓地に送り、EXデッキから《M・HERO 光牙》を特殊召喚する。再度タロットレイを攻撃だ。そして光牙の攻撃力は相手のモンスターの数×500攻撃力がアップし、墓地のモンスターを除外することでその攻撃力分、相手モンスターの攻撃力を下げる。俺は墓地のシャイニングを除外してタロットレイの攻撃力を2600下げる」

 

「うっ、タロットレイの攻撃力が100に……」

 

「喰らえッ! レイザー・ファング!」

 

早乙女レイ LP4000 → 1100

 

「これでラストッ! リキッドマンでダイレクトアタック!」

 

「伏せカードを忘れてもらっちゃ困りますよ、十代様。《リビングデッドの呼び声》を発動。蘇れ! タロットレイ!」

 

リキッドマンの攻撃が決まる直前、法衣を纏った占術姫が行く手を遮る。

 

「くっ、決められなかったか。ターンエンドだ」

 

「エンドフェイズにタロットレイの効果を発動。光牙を裏側守備表示にしますね」

 

タロットレイの効果は1ターンに1度だが、名称ターン1ではないので問題なく発動できる。

十代の手札はエアーマンのみ、中々厳しい状況だな。

 

遊城十代  LP1100 手札1 モンスター3 伏せ0

早乙女レイ LP1100 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「ボクのターン、ドロー。これでボクの勝ちだね。タロットレイでリキッドマンを攻撃だー!」

 

「へへっ、レイ。おまえこそ忘れてもらっちゃ困るぜ。墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動。このカードを除外して、その攻撃を無効にする」

 

「うっ、そうか最初のターンに……。ボクの効果を利用するなんて、さっすが十代様。モンスターをセット、カードを1枚伏せて、エンドフェイズにタロットレイの効果で墓地の《メタモルポット》をセットしてターンエンドです」

 

早乙女レイ LP1100 手札1 モンスター3 伏せ1

遊城十代  LP1100 手札1 モンスター3 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。光牙を反転召喚して、《E・HERO エアーマン》を召喚。そして効果発動。その伏せカードを破壊するぜ。続けて《置換融合》を発動だ。フィールドのリキッドマンとエアーマンを融合。来いッ! 《E・HERO Great TORNADO》!」

 

グレイトトルネードの召喚時効果によってタロットレイの攻守力が半分になる。十代の扱うヒーローは誘発効果を持つカードが多い。タロットレイの裏側守備表示にする効果では、起動効果は封じられても、誘発効果は防げない。

 

「リキッドマンの効果発動。このカードがヒーローの融合素材となった時、カードを2枚ドローし、1枚を捨てる。さらに墓地の《置換融合》を除外して効果発動。《E・HERO アブソルートZero》をEXデッキに戻して、カードを1枚ドローする。バトルフェイズに入るぜ!」

 

これは決まったかな。タロットレイでどちらかを裏守備にしても、もう1体の攻撃は防げない。

かと思いきや、レイは意外な手を打った。

 

「タロットレイの効果発動。ボクのセットモンスターを表側攻撃表示にします。セットモンスターは《ペンギン・ソルジャー》。このカードがリバースした時、フィールド上のモンスターを2体まで選択して持ち主の手札に戻す事ができる。ボクが選択するのはもちろん十代様のヒーロー2体です!」

 

「やるな、こんな隠し玉をもってたとは、だけど勝つのは俺だ! 手札から速攻魔法《フォーム・チェンジ》を発動。光牙をEXデッキに戻し、同じレベルの《M・HERO ダイアン》を特殊召喚する。そのままタロットレイに攻撃だ、ディスバーション!」

 

奮闘虚しく、タロットレイはダイアンの一撃を受けて砕け散った。

 

 

 

早乙女レイ LP1100 → 0

 

 

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」

「うー、負けちゃったぁ。何がいけなかったんですかー、十代様ぁー」

「え? 何がって、何だ?」

返答に窮したのか、十代はこちらに水を向けてきた。レイの言う「何」が、自分の行動を指しているのか、それともデュエルの内容を指しているのか判断しかねたが、後者として返事をするか。

「まあ、メタモルポットじゃないかな。確かに手札交換、手札補充ができる優秀なカードだが、それは相手にもいえることだ。墓地で効果を発揮するカードも多くあるし、使いどころは考えないとな。例えば「相手はドローフェイズ以外ではカードをドローする事ができない」という効果を持つ《神殿を守る者》を召喚して、タロットレイの効果でスタンバイフェイズにメタモルポットをリバースすれば、相手の手札を0にできる」

「おまえ……よくそんなえげつないコンボ思いつくよな」

十代が心底嫌そうな顔でツッコミを入れる。別に俺が思いついたわけじゃないけどな。メタモルポットと神殿を守る者のコンボは割と有名だ。

「なるほど……。帰ったら探してみます」

レイは弾けるような笑顔でそう言った。本気でやるつもりかな、だとしたら余計なことを言ったかも。そういえば占術姫シャドールなんてデッキもあったな。

涼風がレイの艶やかな髪を巻き上げる。

あと数週間もすれば俺たちは進級し、新入生がやってくるだろう。

潮騒の音を聞きながら、ふたりの方に目を向ける。

ふたりはデュエル談義に花を咲かせていた。恋人というよりは、兄妹のようだが、俺は言ってやったよ。

「お似合いだな」

 

 

 




というわけで、第一部完。
二期分はそのうちやる予定ですが、一旦閉幕。
最後になりましたが、誤字報告、感想、評価をくださった方々に感謝を。
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