クロノス臨時校長とナポレオン教頭のスター発掘計画。万丈目の次にターゲットとなったのは翔だった。
デュエルの相手はインゼクター羽蛾の再来と言われる、ブルーでも指折りの実力者。インセクトデッキの使い手、胡蝶蘭。
どうでもいいけど、インゼクター羽蛾の再来と言われても、いまいち実力者っぽいイメージがない。一応、元全日本チャンプなんだけどな。
それとインゼクターだよな。インセクターだったっけ?
どうでもいいことだから刹那で忘れちゃったぜ。
まあ見どころのある試合ではあった。彼女のエースであろう、究極変異態・インセクト女王はソリッドビジョンで見れば、それなりに迫力があり、それなりにアレなビジュアルだった。
危なっかしい場面もあったが、翔は無事勝利を収め、ラーイエローへと昇格した。
それからしばらく経ち、しばしば生徒たちの口の端に上るようになったのが、ひとりのプロデュエリストの名前だった。
プロデュエリスト、エド・フェニックスの入学は主に教師陣の間で話題にはなっていたが、緘口令が敷かれていたのか、生徒たちの耳には入っていなかった。
初日にこっそりと来島し、十代に1キルされてすごすごと帰ったと思いきや、どうも十代の端末に宣戦布告のメールを送っていたらしい。
ちなみにカイザーとのデュエルは行われていない。卒業デュエルの相手が十代ではなかったからだろうか。
「俺がプロ相手にどこまでやれるか。くぅー、楽しみだぜ!」
十代は興奮を隠しきれない様子で、エドの到着をまだかまだかと待ちわびていた。
時刻は早朝。デュエルアリーナの使用許可を出すための一部の教師陣と、十代の関係者しか観戦は許さないというのがエドの条件だった。
おそらく
時刻きっちりに、エドがアリーナに姿を見せる。
「どちらが本当のヒーロー使いか。決着を付けよう、十代」
「いいぜ。このデュエル、同じヒーローデッキを使うデュエリストとして、俺も負けるわけにはいかない。ヒーローデッキは俺の全てなんだ!」
「おまえの全て? ふっ、はっはっはっ。ならばおまえの全てを打ち砕いてやろう!」
『デュエルッ!』
「頑張れアニキーッ! そんなやつケチョンケチョンにしてやるザウルス!」
いつの間にか十代に弟子入りしていた剣山が発破をかける。
「任せろ! 俺のターン、ドロー。《E・HERO ソリッドマン》を召喚し、効果で手札の《E・HERO オーシャン》を特殊召喚。《置換融合》を発動し、フィールドのソリッドマンとオーシャンを融合。来いッ! 《E・HERO アブソルートZero》!」
呼び出されたのは防御に優れた水のヒーロー。十代が頼りにしている守りの要。そして攻めに転じることもできる優秀なカード。
「ソリッドマンの効果で、墓地のオーシャンを守備表示で特殊召喚。カードを2枚伏せてターンエンドだ」
遊城十代 LP4000 手札1 モンスター2 伏せ2
――――――――――――
「僕のターン、ドロー。手札の《D-HERO ディアボリックガイ》を捨てて、《V・HERO ファリス》を特殊召喚。そしてファリスの
「永続罠扱い? ヴィジョン? デステニー? スゲェ! 見たこともないヒーローだぜ!」
VとDの混合型か。これは面白くなりそうだ。
「これがE・HEROの先を行く、Dシリーズ、そしてVシリーズだ」
「エレメンタルヒーローの先を行くヒーロー。やっぱりあるんだ。俺のE・HEROにも、進むべき道が!」
「能天気なヤツだ。インクリースの
「ここだッ! リバースカード《亜空間物質転送装置》を発動。ゼロをエンドフェイズまで除外する。そしてフィールドを離れたことでゼロの効果が発動する。おまえのモンスターを全て破壊するぜ!」
亜空間からの氷撃を受け、インクリースとヴァイオンが消え去った。十代は融合素材を潰しにかかったか。まあ、十代にとっては未知のヒーローだ。何が出てくるか分からないからな。
「その程度で僕の手が止まるとでも思ったか! 《融合》発動。手札の《D-HERO ディバインガイ》と《D-HERO ディスクガイ》を融合。運命の戦士たちよ、今一つとなりて暗黒の未来に君臨せよ! カモンッ! 《D-HERO ディストピアガイ》!」
《D-HERO ディストピアガイ》
星8/闇属性/戦士族/攻2800/守2400
「
遊城十代 LP4000 → 2400
「僕はまだ通常召喚を行っていない。《D-HERO ドリルガイ》を召喚し、バトルだ。まずはドリルガイでオーシャンを攻撃!」
「《和睦の使者》を発動。このターン、俺のモンスターは戦闘では破壊されず、受ける戦闘ダメージは0になる」
「ふっ、少しは粘るようだ。カードを1枚セットしてターンエンド」
「エンドフェイズにゼロが戻ってくるぜ」
エド LP4000 手札0 モンスター2 伏せ1
遊城十代 LP2400 手札1 モンスター2 伏せ2
――――――――――――
「俺のターン、ドロー」
「スタンバイフェイズに
《D-HERO ドローガイ》 攻撃力1600 → 2000
《D-HERO ドリルガイ》 攻撃力1600 → 2000
《D-HERO ディストピアガイ》攻撃力2800 → 3200
「こっちもオーシャンの効果を発動するぜ。墓地のソリッドマンを手札に戻す」
十代はディストピアガイの効果に気付いているか? 意外と見落とすからなぁ、あいつは。
「ソリッドマンを召喚。効果で手札のエアーマンを特殊召喚。エアーマンの効果でデッキから《E・HERO シャドー・ミスト》を手札に加えるぜ」
十代のフィールドに並ぶ4体のヒーロー。それが一斉にエドのヒーローへと襲い掛かる。
「オーシャンを攻撃表示に変更し、バトルだ! ゼロでディストピアガイに攻撃、
「ならばディストピアガイの
やはりそこだろうな。水属性のオーシャンがいなくなったことで、ゼロの攻撃力が元に戻る。
遊城十代 LP2400 → 2100
「ゼロがフィールドを離れたことで効果発動。おまえのモンスターを全て破壊する」
「ドローガイは
「ソリッドマンとエアーマンでダイレクトアタック!」
エド LP4000 → 2700 → 900
「
「いいぜ。俺はバトルフェイズを終了し、墓地の《置換融合》の効果発動。このカードを除外して、ゼロをEXデッキに戻す。その後、カードを1枚ドロー。カードを1枚伏せてターンエンドだ」
遊城十代 LP2100 手札3 モンスター2 伏せ1
エド LP 900 手札1 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「僕のターン、ドロー。
墓地肥やしと手札交換、この高回転がD-HEROの魅力だよな。
「《死者蘇生》を発動。
「させねぇ! 《墓穴の指名者》を発動だ。ディスピアガイを除外する」
「この程度は防いでくるか。ならば《V・HERO グラビート》を召喚して
《V・HERO トリニティー》
星8/闇属性/戦士族/攻2500/守2000
「このカードが融合召喚に成功したターン、このカードの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる」
「なにッ!? ってことは、攻撃力5000!?」
攻撃力の倍化に3回攻撃、まさしく一人で多数に立ち向かうヒーローって感じの効果だよな。直接攻撃できないというデメリットもあるけど。
「ふっ、認めよう十代。おまえは大したデュエリストだよ。だが、おまえは絶対に僕には勝てない」
「なんでそんなことが言い切れるんだよ!」
「デュエルが楽しいものだとほざいているおまえには、決して届かぬ境地がある。ヒーローに憧れるだけのおまえは、決して本物のヒーローにはなれはしない。感じないんだよ、おまえからは! 鉄の意志も、鋼の強さも! 僕は違う、この力で父さんの仇を討つッ!」
「……父さんの、仇だって?」
「――チッ、少しお喋りが過ぎたようだ。バトル! トリニティーでソリッドマンを攻撃、トリニティー・レゾナンス!!」
トリニティーの赤き巨体が十代へと迫る。その拳はソリッドマンを粉砕し、その余波が十代のライフを削り切った。
遊城十代 LP2100 → 0