ジェネックス開始から六日目。この日は懐かしい顔に出会った。
「卒業デュエルぶりですね。カイザー」
「キミか。久しぶりだな」
そこにはいつも通りの優しい目をしたカイザー丸藤亮がいた。
エドとの一戦が行われていないので、ヘルカイザーはこの世界にはいない。ヘルカイザーのキャラは嫌いではないが、あの破滅に向かっていくような生き方はちょっと共感できない。
「折角ですし、
「ふっ、残念だが、今の俺にその資格はない」
カイザーが自嘲するように笑う。まさか――。
「負けたんですか?」
「先ほど十代とデュエルしてな。新進気鋭の新人だの、無敗の帝王だのと持て囃され、少々天狗になっていたようだ。ぽっきりと伸びた鼻を折られたよ」
「そ、そうですか」
なんというか、返答に困るな。
「だが、同時に気付かせてくれた。俺は完璧でも完全でもない。俺はまだ成長できる。強くなれる。それを確認できただけでも、来た甲斐はあった」
カイザーは殻を破ったのか。てかまだ強くなるのか、いよいよ手が付けられなくなるな。
「俺は鮫島校長に挨拶して帰ることにするよ。じゃあな、頑張れよ、遊蓮」
「はい、ありがとうございます」
カイザーはスッキリとした表情で去って行った。さて――。
「いいんですか、挨拶しなくても。親友なんでしょう?」
「……気付いていたのか」
木陰から白い制服を着た吹雪さんが姿を見せる。
「
久しぶりに会ったからデュエルしたかったのにってところかな。
「ま、そろそろ終盤ですし、いいかげん決着つけときますか。白い制服も目ざわりになってきましたし、ね」
「ふん、斎王様の偉大さを理解できぬ愚か者め。光の素晴らしさをその身体に叩き込んでやろう」
『デュエルッ!』
「先攻はもらうぞ、ドロー。俺は《
飛翔したのは純白の竜鱗を持つレッドアイズ。慌ててデュエルディスクを確認するも、カード名やステータスは間違いなく《
ああ、あれか。イラスト違いみたいなものか。
「手札から魔法カード《黒炎弾》を発動。《真紅眼の黒竜》の元々の攻撃力分のダメージを相手に与える」
音羽遊蓮 LP4000 → 1600
「さらに《真紅眼の黒竜》をリリースし、手札の《
天上院吹雪 LP4000 手札1 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「俺のターン、ドロー」
レッドアイズデッキはバーン効果を持つカードが多い。時間をかけるほどジリ貧になる。
「《闇の誘惑》を発動。カードを2枚ドローし、《フォーチュンレディ・ダルキー》を除外します。《召喚師アレイスター》を召喚して効果発動。デッキから《召喚魔術》を手札に加え、そのまま発動。チェーンはありますか?」
「……ちょっとまて。俺の墓地を利用するカードだと? チッ、《レッドアイズ・スピリッツ》を発動。墓地より甦れ、レッドアイズ!」
再び白きレッドアイズが飛翔する。悪くはないが、やっぱり違和感が凄いな。
「ならば俺はフィールドの《召喚師アレイスター》と手札の《フォーチュンレディ・ライティー》を融合します。融合素材となったアレイスターは除外され、ライティーは墓地に送られる。《召喚獣メルカバー》を融合召喚!」
《召喚獣メルカバー》
星9/光属性/機械族/攻2500/守2100
「さらに墓地の《召喚魔術》の効果も発動します。墓地のこのカードをデッキに戻し、除外されている《召喚師アレイスター》を手札に加える。バトルフェイズに入ります。メルカバーで真紅眼の亜黒竜を攻撃、スターライト・デストーション!」
天上院吹雪 LP4000 → 3900
「墓地に「レッドアイズ」がいないため真紅眼の亜黒竜の効果は発動できない。だがこちらは発動できるぞ。《レッドアイズ・バーン》! お互いに破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。これで終わりだぁッ!」
「させませんよ。メルカバーの効果発動。相手が発動したカードと同じ種類のカードを手札から捨てることで、その発動を無効にし除外する。俺は手札の《ダメージ・ダイエット》を捨てて、《レッドアイズ・バーン》の発動を無効にして除外します」
「チッ、罠カードを握っていたか」
ここで追撃してもライフは削り切るのは無理か。この手札なら、メルカバーの効果で全ての効果発動を無効にできる。攻めるのは次のターンだな。
「カードを1枚伏せてターンエンドです」
音羽遊蓮 LP1600 手札3 モンスター1 伏せ1
天上院吹雪 LP3900 手札1 モンスター1 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。ふふっ、まさか亮に対抗する為に入れたカードがここで役に立つとはな。俺はおまえの《召喚獣メルカバー》をリリースして、《海亀壊獣ガメシエル》を特殊召喚」
「カ、カメェェェーッ!」
まさかここで亀が出てくるとは!
確かにカイザーのサイバーデッキに比べれば、レッドアイズではパワー不足感は否めない。攻撃力2200ならレッドアイズで殴り倒せる数値だ。
「墓地の《伝説の黒石》の効果発動。《真紅眼の亜黒竜》をデッキに戻し、このカードを手札に加える。魔法カード《闇の誘惑》を発動」
「それは止めます。ライフを半分払い《神の宣告》を発動」
音羽遊蓮 LP1600 → 800
吹雪さんの手札は1枚。伝説の黒石の効果は1ターンに1度、どちらか1つしか発動できない。これ以上の展開はできないはず。
「ならばバトルだ。レッドアイズでガメシエルに攻撃、ダーク・メガ・フレア!」
音羽遊蓮 LP 800 → 600
「俺はこれでターンエンドだ」
天上院吹雪 LP3900 手札1 モンスター1 伏せ0
音羽遊蓮 LP 600 手札3 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。《召喚師アレイスター》を召喚して効果発動。デッキから《召喚魔術》を手札に加えます。《フォーチュンフューチャー》を発動。除外されているダルキーを墓地に戻し、カードを2枚ドロー。《召喚魔術》を発動」
「またその魔法か。そういえばアレイスターを回収していたな」
「今度は別の召喚獣をお見せしますよ。俺はフィールドの《召喚師アレイスター》と手札の《フォーチュンレディ・ファイリー》を融合。召喚条件はアレイスターと炎属性モンスター。現れろ、《召喚獣プルガトリオ》!」
《召喚獣プルガトリオ》
星7/炎属性/悪魔族/攻2300/守2000
「攻撃力2300……。レッドアイズには届かんな」
「それはどうでしょうね? プルガトリオは相手フィールドのカードの数×200ポイント攻撃力がアップします。さらに墓地の《召喚魔術》をデッキに戻し、除外されている《召喚師アレイスター》を手札に加え、効果発動。このカードを手札から墓地に送ることで、プルガトリオの攻守を1000アップさせる」
《召喚獣プルガトリオ》 攻撃力2300 → 2500 → 3500
「バトルです。プルガトリオで真紅眼の黒竜に攻撃、バーニング・エクスプロージョン!」
天上院吹雪 LP3900 → 2800
「さらに手札から速攻魔法《法の聖典》を発動。プルガトリオをリリースし、EXデッキから《召喚獣メガラニカ》を特殊召喚。メガラニカでダイレクトアタック!」
「バ、バカな……。グワーッ!」
天上院吹雪 LP2800 → 0
「吹雪さん、大丈夫ですか? 俺のこと分かります?」
「んん……、遊蓮くんか。ここは……? なぜ僕はこんなところに……確か斎王くんとデュエルをして……どうなったっけ?」
ああ、これは何も覚えていないパターンだな。