ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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幕間劇 破滅の光 vs 遊城十代

閃光が駆け抜ける。

室内を満たした冷たい光が、エドのライフを根こそぎ奪っていった。

「エドォォーーーッ!」

十代は膝をついたエドに駆け寄り、その手を添える。

「あれは、もう斎王ではない。頼む、十代……。僕と斎王の意志を継いで、破滅の運命を打ち破ってくれ。そして、斎王の心を、あの肉体に、取り戻して……くれ……」

最期の言葉を友へと託し、エドの身体は光となって消えた。

「――ッ!? エドッ!? エドッ! おまえ、エドに何をしたッ!」

「ふふっ、エドは可愛い盟友だ。その命、粗末に扱いはしない。見ろ、大アルカナ、裁判の女神だ」

斎王が指差す先、部屋の最奥に位置する女神像に十代は目を向ける。

裁判の女神の右手にはソーラの鍵が1本。左の掌には斎王に敗北したエドが乗っていた。

「女神の腕は、裁きの天秤になっている。エドを助けたければ、おまえの持つソーラの鍵を、女神の右手に乗せるのだ。それしかエドを救う手立てはない」

「なんだとッ!?」

斎王の要求に、十代は怒りをあらわにして声を荒げた。だが斎王はそんなことを意にも介さずに言葉を続ける。

「この要求に従わなければ、エドは下のマグマへと落下する。さあどうする? 全てはおまえ次第だ」

「汚ねぇ、汚ねぇぜ、斎王!」

十代は懐から取り出したソーラの鍵を、血の滲む思いで握りしめる。(エド)を救うか、世界を救うか、十代には重すぎる決断であった。

あのマグマはソリッドビジョンなどではない。十代はそれを直感的に感じていた。

「さあ、ストッパーを外すぞ」

「くっ、やめろ!」

十代の制止を振り切り、女神像は動き出した。緩やかな動きではあるが、確実にエドの乗る左手の方が傾いている。

「ぐっ、うおぉぉぉッ!」

一瞬の迷いの後、十代は握った鍵を女神の右手に投げ入れた。

女神像の動きが止まる。

「ふふっ、そうだ。それでいい。これで世界は白く染まる。宇宙は、白紙に戻る。貴様には分かるまい。この崇高な目的が」

「おまえ……一体なにを……」

『十代! 今の斎王は"破滅の光"に身体を奪われている』

「――ッ!? ネオス、その声はネオスだな!」

『鍵は私が守る! 十代、破滅の光をデュエルで滅ぼすのだ!』

「分かったぜ! 勝負だ、斎王! いや、破滅の光!」

「チッ、忌々しい精霊めッ! よかろう! 諸共に葬ってやる!」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード《古のルール》を発動。来いッ ネオス!」

 

手札から現れたのは、十代が最も信頼するヒーローの1体。正しき闇の力を宿す、破滅の光とは正逆の力を持つ精霊の宿るカード。

 

「続けて《N・エア・ハミングバード》を守備表示で特殊召喚し、効果発動。おまえの手札の数×500ポイントのライフを回復するぜ」

 

遊城十代 LP4000 → 6500

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

遊城十代 LP6500 手札2 モンスター2 伏せ1

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。魔法カード《ソーラー・エクスチェンジ》を発動。手札の《ライトロード・ドラゴン グラゴニス》を捨てて、カードを2枚ドロー。その後、デッキの上から2枚のカードを墓地に送る」

 

《アルカナフォースⅩⅩⅠ-THE WORLD》

《ライトロード・ビースト ウォルフ》

 

「《ライトロード・ビースト ウォルフ》がデッキから墓地へ送られたことで効果発動。このカードを墓地から特殊召喚する。バトルだ。ウォルフでエア・ハミングバードを攻撃!」

 

ウォルフの一撃を受け、風のネオスペーシアンはなす術もなく破壊された。十代は済まないとばかりに顔を歪め、リバースカードを発動する。

 

「《ヒーロー・シグナル》を発動。デッキから《E・HERO シャドー・ミスト》を特殊召喚するぜ。そして効果発動。デッキから《マスク・チェンジ》を手札に加える」

 

「バトルフェイズを終了し、モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

斎王琢磨 LP4000 手札4 モンスター2 伏せ1

遊城十代 LP6500 手札3 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《マスク・チェンジ》を発動。《E・HERO シャドー・ミスト》を墓地に送り、EXデッキから《M・HERO ダーク・ロウ》を特殊召喚」

 

漆黒の英雄が姿を変えてフィールドに降り立つ。除外効果に加え、ハンデス効果も持ち合わせた妨害型のヒーローだ。

 

「墓地に送られたシャドー・ミストの効果でデッキから《E・HERO エアーマン》を手札に加え、そのまま召喚だ。効果でおまえの伏せカードを破壊する」

 

風の英雄が巻き起こした旋風によって、斎王の伏せた《リビングデッドの呼び声》が破壊される。これで次のターンにアルカナフォースの最上級モンスターを蘇生させて攻め込むという斎王の目論見は破綻した。

 

「バトルだ。ネオスでウォルフに攻撃、ラス・オブ・ネオス!」

 

斎王琢磨 LP4000 → 3600

 

「続けてエアーマンでセットモンスターを攻撃だ!」

 

伏せられたのは下級モンスター、守備力はそう高くないはずだ。十代はそう判断してエアーマンから攻撃した。セオリーとしては間違ってはいない。十代にもう少し「ライトロード」の知識があれば、また違った判断ができたのかもしれないが。

 

「セットモンスターは《ライトロード・ハンター ライコウ》だ。リバース効果が発動する」

 

斎王が選択したのは当然、攻撃の権利が残されており、厄介な効果を持つダーク・ロウだ。ライコウの破壊効果とデッキの上からカードを3枚墓地に送る効果は同時に処理されるので、墓地へ送られるカードはダーク・ロウの影響下にあり、ゲームから除外された。

 

《アルカナフォースⅥ-THE LOVERS》

《閃光のイリュージョン》

《テラ・フォーミング》

 

「くっ、攻め切れなかったか。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

遊城十代 LP6500 手札2 モンスター2 伏せ1

斎王琢磨 LP3600 手札4 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。ついに来たか、フィールド魔法《光の結界》を発動!」

 

ふたりが相対するデュエルフィールドを光の結界が包み込む。その波動を受けて、ネオスの身体がわずかに傾いだ。

 

「光の結界の中では、貴様の精霊たちも力が出せまい。目覚めよッ! オージーン!」

 

「……はい、斎王様」

 

十代のデュエルを見守っていたオージーン王子の瞳から意思の光が失われ、斎王の支配下に堕ちた。

斎王の手から放たれた光の波動が、女神の掌からふたつの鍵を奪い取り、それがオージーンの手に渡る。

女神の平衡が失われ、エドが乗せられていた左手が大きく傾く。

 

「そうはさせないドン! うおおぉぉぉッ!」

 

あわや落下すると思われた直前、剣山の決死の行動により、エドは何とか救出された。

 

「行けッ! オージーン! その鍵を使い地球を破滅に導くのだッ!」

 

オージーンはその使命を果たすべく、何の疑いも持たずに飛び出して行く。それを止めるべく、剣山と彼の秘書であるリンドがオージーンを追いかけて行った。

 

「フハハハッ あのふたつの鍵で、レーザー衛星ソーラが地球を破壊し、破滅に導く!」

 

『十代! ヤツをデュエルで倒すのだ! 光の結界を破壊しなければ、世界は破滅する』

 

「ネオス……分かったぜ! 破滅の光、おまえの思い通りになんかさせるかよ!」

 

「ふふっ、我が運命の力は、いま最高潮にある。魔法カード《カップ・オブ・エース》を発動。当然「表」だ。カードを2枚ドロー」

 

舞い上がったソリッドビジョンのコインは、それが当然とばかりに表を示す。

 

「デッキの上からカードを3枚墓地に送り《光の援軍》を発動。デッキから《ライトロード・エンジェル ケルビム》を手札に加える」

 

《ライトロード・ビースト ウォルフ》

《ライトロード・サモナー ルミナス》

《ライトロード・ウォリアー ガロス》

 

「墓地に落ちた《ライトロード・ビースト ウォルフ》を自身の効果で特殊召喚。そしてウォルフをリリースし、《ライトロード・エンジェル ケルビム》をアドバンス召喚。効果発動だ。デッキの上からカードを4枚墓地に送り、貴様の伏せカードとネオスを破壊する! 我が運命の力によって消え去れッ! ネオスッ!」

 

『ぐあぁぁッ!』

 

「ネオスッ! くっ、破壊された《運命の発掘》の効果で、カードを1枚ドローだ」

 

「墓地に送られたカードはこの4枚、ウォルフが特殊召喚される」

 

《ライトロード・ビースト ウォルフ》

《ライトロード・パラディン ジェイン》

《アルカナフォースⅣ-THE EMPEROR》

《アルカナフォースⅦ-THE CHARIOT》

 

「バトルだ。ケルビムでエアーマンを攻撃! 続けてウォルフでダイレクトアタック!」

 

遊城十代 LP6500 → 6000 → 3900

 

2体の攻撃を受け、十代のライフが大きく削られる。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

斎王琢磨 LP3600 手札3 モンスター2 伏せ1

遊城十代 LP3900 手札3 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード《ミラクル・フュージョン》を発動。墓地の《E・HERO エアーマン》と《E・HERO シャドー・ミスト》を除外して、《E・HERO Great TORNADO》を融合召喚。その効果により、おまえのモンスターの攻撃力・守備力を半分にする」

 

《ライトロード・ビースト ウォルフ》 攻撃力2100 → 1050

《ライトロード・エンジェル ケルビム》攻撃力2300 → 1150

 

「さらに《O-オーバーソウル》を発動。甦れッ! ネオスッ!」

 

十代の呼び声に応え、光の英雄が再び姿を現す。

 

「バトルだ。いけッ! ネオス! グレイトトルネード!」

 

斎王琢磨 LP3600 → 2150 → 500

 

「ぬぅぅ、調子に乗るなよ、十代!」

 

「よし、もうひと押しだ。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

遊城十代 LP3900 手札1 モンスター2 伏せ1

斎王琢磨 LP 500 手札3 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。私のスタンバイフェイズに光の結界は正逆を決める。だが、私の運命力は満ちているのだ。当然、正位置()だ。《強化蘇生》を発動。墓地の《ライトロード・サモナー ルミナス》を特殊召喚。そして《マジック・プランター》を発動。《強化蘇生》を墓地に送り、カードを2枚ドローする」

 

強化蘇生がドローに代わり、ルミナスの強化が剥がれる。だが斎王は構わずルミナスの効果を発動する。

 

「手札を1枚捨て、ルミナスの効果発動。いま捨てたルミナスを蘇生する。そして蘇生したルミナスの効果を発動。墓地のウォルフを特殊召喚」

 

瞬く間に斎王のフィールドに3体のライトロードモンスターが並ぶ。その高速展開にさしもの十代もたたらを踏んだ。

 

「魔法カード《アルカナリーディング》を発動。デッキから《アルカナフォースEX(エクストラ)THE DARK RULER(ザ・ダーク・ルーラー)》を手札に加える。そしてフィールドの3体のモンスターを墓地に送り、《アルカナフォースEX(エクストラ)THE DARK RULER(ザ・ダーク・ルーラー)》を特殊召喚!」

 

《アルカナフォースEX(エクストラ)THE DARK RULER(ザ・ダーク・ルーラー)

星10/光属性/天使族/攻4000/守4000

 

アルカナフォースの番外席次、エクストラを冠する強大な力を持つアルカナフォースの1体、その「(ダーク)」が2体の英雄を睥睨する。

 

「光の結界の効果で正位置()の効果を得る。バトルだ。ザ・ダーク・ルーラーでグレイトトルネードを攻撃、ジ・エンド・オブ・シャドー!」

 

「リバースカード《エレメンタル・チャージ》を発動。「E・HERO」の数×1000のライフを回復する」

 

遊城十代 LP3900 → 5900 → 4700

 

「光の結界の効果で、私の「アルカナフォース」モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの元々の攻撃力分のライフを回復する。そしてザ・ダーク・ルーラーは2回の攻撃が可能なのだ。続けてネオスを攻撃!」

 

遊城十代 LP4700 → 3200

 

「さらにライフが回復する。そしてバトルフェイズ終了時にザ・ダーク・ルーラーは守備表示になり、次の私のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない」

 

斎王琢磨 LP 500 → 3300 → 5800

 

ザ・ダーク・ルーラーの連続攻撃により、2体のヒーローは膝を屈した。さらに大幅なライフ回復を許してしまい、追い詰めたと思った背中が大きく遠ざかる。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

斎王琢磨 LP5800 手札2 モンスター1 伏せ0

遊城十代 LP3200 手札1 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《カードガンナー》を守備表示で召喚。効果でデッキの上から3枚のカードを墓地に送り、ターンエンドだ」

 

遊城十代 LP3200 手札1 モンスター1 伏せ0

斎王琢磨 LP5800 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに光の結界の効果発動。当然、正位置()。《カップ・オブ・エース》を発動。当然、表だ。デッキからカードを2枚ドローする。墓地の《アルカナリーディング》の効果発動。このカードを除外して、手札から《アルカナフォースⅩⅧ-TME MOON》を特殊召喚。さらに《アルカナフォースⅠ-THE MAGICIAN》を召喚。バトルだ。ザ・マジシャンでカードガンナーを攻撃!」

 

「ぐぅぅ、カードガンナーの効果で1枚ドローだ」

 

「光の結界の効果でライフが回復する」

 

斎王琢磨 LP5800 → 6200

 

「続けてザ・ムーンでダイレクトアタック!」

 

遊城十代 LP3200 → 400

 

「ライフは風前の灯火だなぁ、十代。最後に見せてやろう、光の盟主を。フィールドの3体を墓地に送り《アルカナフォースEX(エクストラ)THE LIGHT RULER(ザ・ライト・ルーラー)》を特殊召喚!」

 

《アルカナフォースEX(エクストラ)THE LIGHT RULER(ザ・ライト・ルーラー)

星10/光属性/天使族/攻4000/守4000

 

エクストラを冠する強大な力を持つアルカナフォースの1体、「(ダーク)」に続き「(ライト)」までもが十代の前に立ちはだかった。

 

「私は逆位置()の効果を選択する。ターンエンドだ」

 

斎王琢磨 LP6200 手札1 モンスター1 伏せ0

遊城十代 LP 400 手札2 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「十代、そろそろ諦めたらどうだ? ライフ差は歴然。破滅の運命は等しく皆に訪れるのだ。潔く運命を受け入れろ、十代」

 

「へへっ、バカなこと言うなよ。俺の運命は俺が決める! 運命は変えられるんだ! ドローという希望、ドローという奇跡で、運命は拓ける。俺のターン、ドロー!」

 

斎王の言葉を切り捨て、十代は運命に抗うべくカードを引く。

 

「《コンバート・コンタクト》を発動。手札から《N・アクア・ドルフィン》を、デッキから《N・グラン・モール》を墓地に送り、カードを2枚ドローする。もう1枚発動だ。手札から《N・ブラック・パンサー》を、デッキから《N・フレア・スカラベ》を墓地に送り、カードを2枚ドローする。来たぜ斎王、逆転のカードが。魔法カード《ミラクル・コンタクト》を発動。墓地のネオスとエア・ハミングバードをデッキに戻し、コンタクト融合! 来いッ! 《E・HERO エアー・ネオス》」

 

《E・HERO エアー・ネオス》

星7/風属性/戦士族/攻2500/守2000

 

「エアー・ネオスの攻撃力は、自分のライフポイントが相手のライフポイントよりも少ない場合、その差の数値だけアップするぜ。俺とおまえのライフ差は5800だ。エアー・ネオスの攻撃力は8300となる!」

 

「は、8300だとぉ!?」

 

自分のエースであるザ・ライト・ルーラーの攻撃力の2倍以上。運命の揺らぎを感じつつも、斎王は未だに自分の勝利を疑わない。

 

「バトルだ。エアー・ネオスでザ・ライト・ルーラーを攻撃、スカイリップ・ウィング!」

 

「甘いんだよッ! 手札の《アルカナフォースⅩⅣ-TEMPERANCE》を捨て、戦闘ダメージを0にする!」

 

ザ・ライト・ルーラーは破壊されたものの、そのダメージは斎王までは届かず、ライフを削ることはできなかった。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズにエアー・ネオスはEXデッキに戻る」

 

遊城十代 LP 400 手札0 モンスター0 伏せ2

斎王琢磨 LP6200 手札0 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。ザ・ライト・ルーラーを破壊したくらいでいい気になるなよ、十代。光の結界がある限り、私の運命は――何ッ!? 逆位置()だとッ!?」

 

斎王の意に反して、コインが示したものは、裏。フィールドから光の結界が消失する。同時に精霊の力を削弱させる効果も消え去った。

 

『今だッ! 十代、私はソーラを止める! デュエルは任せたぞ!』

 

「エアー・ネオス! 分かったぜ! こっちは任せとけ!」

 

エアー・ネオスは翼を羽ばたかせ、天へと飛び立った。

 

「へへっ、おまえの運命力とやらも、どうやら衰えてきたらしいな」

 

「ほざくなッ! 今さらもう遅いのだッ! 貴様らが何をしようと、破滅の未来は避けられん! 《強欲で金満な壺》を発動。EXデッキのカードをランダムに6枚、裏側表示で除外し、カードを2枚ドロー!」

 

新たに引き入れた2枚のカードを視界に収め、斎王から笑みが零れる。

 

「我が運命に未だ陰りなし! 効力を失った結界などもういらん! 手札から《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》を特殊召喚! ライフを1000払い、効果発動。光の裁きを受けろッ! 泣いて許しを請うがいいッ! 今こそ全てを無へと還すッ! ジャッジメント・デストロイッ!」

 

「まだ諦めねぇ! 《クリボーを呼ぶ笛》発動。デッキから《ハネクリボー》を特殊召喚する!」

 

破壊の力が爆発する直前、十代のフィールドに羽の生えたクリボーが現れる。それはすぐさま破壊されるものの、辛うじて十代の命を繋いだ。

 

「ハネクリボーがフィールドで破壊され墓地へ送られたターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる」

 

「まだ足掻くか。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

エンドフェイズに裁きの龍の強制効果でデッキの上から4枚のカードが墓地に送られるが、斎王の運命力が落ちている影響か、有力なカードの姿は見えなかった。

 

斎王琢磨 LP5200 手札0 モンスター1 伏せ1

遊城十代 LP 400 手札0 モンスター0 伏せ0

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロォォーッ! 《カップ・オブ・エース》を発動。いくぜ、斎王。俺はすべてを運命のせいにして諦めたりはしない! 運命ってのは自分の手で創り出すものなんだ!」

 

これが外れれば、おそらく十代に勝ち目はない。斎王は必死の形相で宙に舞うコインを睨みつけた。それが示した結果は――。

 

「――表だ。カードを2枚ドローするぜ。トラップカード《NEXT(ネオスペースエクステンション)》を発動。このカードは俺のフィールドにカードがない時、手札から発動できる。墓地から《N・アクア・ドルフィン》、《N・グラン・モール》、《N・ブラック・パンサー》、《N・フレア・スカラベ》を効果を無効にして特殊召喚する。続けて《スペーシア・ギフト》を発動。フィールドにいる「ネオスペーシアン」1種類につき1枚ドローする。俺のフィールドには4人のネオスペーシアン(仲間たち)がいる。よって4枚ドロー」

 

この土壇場で、この追い詰められた状況で、大量展開からの大量ドロー。斎王の額に冷たい汗が流れる。

 

「もう遅いと言ったッ! たとえ貴様が勝利しても、ソーラは止まらぬッ! 愚かな精霊たちよ、一足先に光の中に消えるがいいッ! ソーラよ、力を解き放てッ!」

 

レーザー衛星ソーラが溜め込んだエネルギーを解放しようと矛先をエアー・ネオスへと向ける。光の波動は一点に収束し、狙いをエアー・ネオスに定める。

 

『破滅の光よ、これ以上おまえに兄の身体を利用させない』

 

「その声は……美寿知か!?」

 

「美寿知だとッ!? なぜ貴様がッ!?」

 

『私はこの日のために、自らをデジタル化し、衛星回線を通してソーラの中へと潜入した。さあ、今ならソーラは作動しない。破壊するのです』

 

電子の存在となった美寿知がソーラの動きを止める。

宇宙に飛び立ったエアー・ネオス、そしてスペースザウルスへと進化を果たした剣山は、好機とばかりにソーラへと特攻をかけた。

ふたりの攻撃を受け、ソーラは爆煙の中に消え去った。

 

『十代、後はデュエルで破滅の光を封印し、元の兄に戻してください』

 

「ああ、美寿知。任されたぜ。《融合派兵》を発動。EXデッキの《E・HERO グラン・ネオス》を公開し、デッキから《E・HERO ネオス》を特殊召喚。見せてやるぜ、破滅の光! 運命に抗う力を! フィールドのネオス、グラン・モール、アクア・ドルフィン、フレア・スカラベをデッキに戻し、クアドラプルコンタクト融合! 来いッ! 《E・HERO コスモ・ネオス》!!」

 

ネオスとネオスペーシアン3体が融合し、小宇宙の中から新たなヒーローが生まれる。

 

《E・HERO コスモ・ネオス》

星11/光属性/戦士族/攻3500/守3000

 

「コスモ・ネオスの効果発動。このカードがEXデッキからの特殊召喚に成功した場合、このターン相手はフィールドで発動する効果を発動できない。そしてこの効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない!」

 

小宇宙の中から現れたそのヒーローからは、絶対にとどめを刺すという強固な意志すら感じさせた。

 

「さらに《ネオス・フュージョン》を発動。デッキから《E・HERO ネオス》と《N・エア・ハミングバード》を墓地に送り、EXデッキから《E・HERO エアー・ネオス》を特殊召喚。もう一度頼むぜ、エアー・ネオス!」

 

十代の呼び声に応えて、エアー・ネオスが宇宙から帰還する。

ネオスとネオスペーシアンの力を融合した2体のヒーローが、威風堂々と光の龍と向かい合う。

 

「これがラストターンだ! エアー・ネオスで裁きの龍に攻撃、スカイリップ・ウィング!」

 

斎王琢磨 LP5200 → 900

 

エアー・ネオスの羽撃(はばた)きを受け、斎王のライフが大きく削られる。そして十代の腕が、裁きを下す宣告のように振り下ろされた。

 

「コスモ・ネオスでダイレクトアタック! ギャラクシアン・アルティメーション!」

 

銀河の星々をも砕くほどの一撃を受けて、ついに斎王の身体を支配していた"破滅の光"が、その姿を現す。

 

「光が闇に屈するというのか!? こんなことが、こんなことがぁッ!? ぬわぁぁぁーーーッ!!」

 

 

 

斎王琢磨 LP 900 → 0

 

 

 

斎王の身体に悪霊の如く取り憑いていた破滅の光は、正しき闇の力を持つ十代の手によって消滅した。レーザー衛星ソーラも、ネオスと剣山の手によって破壊された。

世界は破滅の運命から逃れることができたのだ。

「すまなかった。破滅の光に魅入られたのは、世間を恨む邪な気持ちが私の中にあったからだ」

「まあいいじゃねぇか、そんなことは。破滅の光はこの宇宙から消えたんだ。俺たちは運命に勝ったんだ! 今はそれを喜ぼうぜ!」

消沈する斎王を気遣ってか、十代は殊更に明るく言い放った。

「ありがとう、十代。それにエド、みんなも」

「……僕は何もしてあげられなかった。だけどオージーンも斎王も無事に戻ってきてくれた。だけど美寿知さんは……」

「美寿知とはきっとまた会える。私はそう信じている」

「ああ、きっと会えるさ。なあ、占ってみればいいんじゃないか?」

「いや、もう私には未来を見通す力は無くなってしまったようだ」

懐から取り出したタロットカードが、風に攫われて宙を舞う。見上げた視線の先には、海馬コーポレーションのヘリがあった。

そのヘリの中、ガラスの奥に見える女性を瞳の中に映した斎王は、小さく笑みを零した。

 

 

 

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