閃光が駆け抜ける。
室内を満たした冷たい光が、エドのライフを根こそぎ奪っていった。
「エドォォーーーッ!」
十代は膝をついたエドに駆け寄り、その手を添える。
「あれは、もう斎王ではない。頼む、十代……。僕と斎王の意志を継いで、破滅の運命を打ち破ってくれ。そして、斎王の心を、あの肉体に、取り戻して……くれ……」
最期の言葉を友へと託し、エドの身体は光となって消えた。
「――ッ!? エドッ!? エドッ! おまえ、エドに何をしたッ!」
「ふふっ、エドは可愛い盟友だ。その命、粗末に扱いはしない。見ろ、大アルカナ、裁判の女神だ」
斎王が指差す先、部屋の最奥に位置する女神像に十代は目を向ける。
裁判の女神の右手にはソーラの鍵が1本。左の掌には斎王に敗北したエドが乗っていた。
「女神の腕は、裁きの天秤になっている。エドを助けたければ、おまえの持つソーラの鍵を、女神の右手に乗せるのだ。それしかエドを救う手立てはない」
「なんだとッ!?」
斎王の要求に、十代は怒りをあらわにして声を荒げた。だが斎王はそんなことを意にも介さずに言葉を続ける。
「この要求に従わなければ、エドは下のマグマへと落下する。さあどうする? 全てはおまえ次第だ」
「汚ねぇ、汚ねぇぜ、斎王!」
十代は懐から取り出したソーラの鍵を、血の滲む思いで握りしめる。
あのマグマはソリッドビジョンなどではない。十代はそれを直感的に感じていた。
「さあ、ストッパーを外すぞ」
「くっ、やめろ!」
十代の制止を振り切り、女神像は動き出した。緩やかな動きではあるが、確実にエドの乗る左手の方が傾いている。
「ぐっ、うおぉぉぉッ!」
一瞬の迷いの後、十代は握った鍵を女神の右手に投げ入れた。
女神像の動きが止まる。
「ふふっ、そうだ。それでいい。これで世界は白く染まる。宇宙は、白紙に戻る。貴様には分かるまい。この崇高な目的が」
「おまえ……一体なにを……」
『十代! 今の斎王は"破滅の光"に身体を奪われている』
「――ッ!? ネオス、その声はネオスだな!」
『鍵は私が守る! 十代、破滅の光をデュエルで滅ぼすのだ!』
「分かったぜ! 勝負だ、斎王! いや、破滅の光!」
「チッ、忌々しい精霊めッ! よかろう! 諸共に葬ってやる!」
『デュエルッ!』
「俺のターン、ドロー。魔法カード《古のルール》を発動。来いッ ネオス!」
手札から現れたのは、十代が最も信頼するヒーローの1体。正しき闇の力を宿す、破滅の光とは正逆の力を持つ精霊の宿るカード。
「続けて《N・エア・ハミングバード》を守備表示で特殊召喚し、効果発動。おまえの手札の数×500ポイントのライフを回復するぜ」
遊城十代 LP4000 → 6500
「カードを1枚伏せてターンエンドだ」
遊城十代 LP6500 手札2 モンスター2 伏せ1
――――――――――――
「私のターン、ドロー。魔法カード《ソーラー・エクスチェンジ》を発動。手札の《ライトロード・ドラゴン グラゴニス》を捨てて、カードを2枚ドロー。その後、デッキの上から2枚のカードを墓地に送る」
《アルカナフォースⅩⅩⅠ-THE WORLD》
《ライトロード・ビースト ウォルフ》
「《ライトロード・ビースト ウォルフ》がデッキから墓地へ送られたことで効果発動。このカードを墓地から特殊召喚する。バトルだ。ウォルフでエア・ハミングバードを攻撃!」
ウォルフの一撃を受け、風のネオスペーシアンはなす術もなく破壊された。十代は済まないとばかりに顔を歪め、リバースカードを発動する。
「《ヒーロー・シグナル》を発動。デッキから《E・HERO シャドー・ミスト》を特殊召喚するぜ。そして効果発動。デッキから《マスク・チェンジ》を手札に加える」
「バトルフェイズを終了し、モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
斎王琢磨 LP4000 手札4 モンスター2 伏せ1
遊城十代 LP6500 手札3 モンスター2 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。《マスク・チェンジ》を発動。《E・HERO シャドー・ミスト》を墓地に送り、EXデッキから《M・HERO ダーク・ロウ》を特殊召喚」
漆黒の英雄が姿を変えてフィールドに降り立つ。除外効果に加え、ハンデス効果も持ち合わせた妨害型のヒーローだ。
「墓地に送られたシャドー・ミストの効果でデッキから《E・HERO エアーマン》を手札に加え、そのまま召喚だ。効果でおまえの伏せカードを破壊する」
風の英雄が巻き起こした旋風によって、斎王の伏せた《リビングデッドの呼び声》が破壊される。これで次のターンにアルカナフォースの最上級モンスターを蘇生させて攻め込むという斎王の目論見は破綻した。
「バトルだ。ネオスでウォルフに攻撃、ラス・オブ・ネオス!」
斎王琢磨 LP4000 → 3600
「続けてエアーマンでセットモンスターを攻撃だ!」
伏せられたのは下級モンスター、守備力はそう高くないはずだ。十代はそう判断してエアーマンから攻撃した。セオリーとしては間違ってはいない。十代にもう少し「ライトロード」の知識があれば、また違った判断ができたのかもしれないが。
「セットモンスターは《ライトロード・ハンター ライコウ》だ。リバース効果が発動する」
斎王が選択したのは当然、攻撃の権利が残されており、厄介な効果を持つダーク・ロウだ。ライコウの破壊効果とデッキの上からカードを3枚墓地に送る効果は同時に処理されるので、墓地へ送られるカードはダーク・ロウの影響下にあり、ゲームから除外された。
《アルカナフォースⅥ-THE LOVERS》
《閃光のイリュージョン》
《テラ・フォーミング》
「くっ、攻め切れなかったか。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
遊城十代 LP6500 手札2 モンスター2 伏せ1
斎王琢磨 LP3600 手札4 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「私のターン、ドロー。ついに来たか、フィールド魔法《光の結界》を発動!」
ふたりが相対するデュエルフィールドを光の結界が包み込む。その波動を受けて、ネオスの身体がわずかに傾いだ。
「光の結界の中では、貴様の精霊たちも力が出せまい。目覚めよッ! オージーン!」
「……はい、斎王様」
十代のデュエルを見守っていたオージーン王子の瞳から意思の光が失われ、斎王の支配下に堕ちた。
斎王の手から放たれた光の波動が、女神の掌からふたつの鍵を奪い取り、それがオージーンの手に渡る。
女神の平衡が失われ、エドが乗せられていた左手が大きく傾く。
「そうはさせないドン! うおおぉぉぉッ!」
あわや落下すると思われた直前、剣山の決死の行動により、エドは何とか救出された。
「行けッ! オージーン! その鍵を使い地球を破滅に導くのだッ!」
オージーンはその使命を果たすべく、何の疑いも持たずに飛び出して行く。それを止めるべく、剣山と彼の秘書であるリンドがオージーンを追いかけて行った。
「フハハハッ あのふたつの鍵で、レーザー衛星ソーラが地球を破壊し、破滅に導く!」
『十代! ヤツをデュエルで倒すのだ! 光の結界を破壊しなければ、世界は破滅する』
「ネオス……分かったぜ! 破滅の光、おまえの思い通りになんかさせるかよ!」
「ふふっ、我が運命の力は、いま最高潮にある。魔法カード《カップ・オブ・エース》を発動。当然「表」だ。カードを2枚ドロー」
舞い上がったソリッドビジョンのコインは、それが当然とばかりに表を示す。
「デッキの上からカードを3枚墓地に送り《光の援軍》を発動。デッキから《ライトロード・エンジェル ケルビム》を手札に加える」
《ライトロード・ビースト ウォルフ》
《ライトロード・サモナー ルミナス》
《ライトロード・ウォリアー ガロス》
「墓地に落ちた《ライトロード・ビースト ウォルフ》を自身の効果で特殊召喚。そしてウォルフをリリースし、《ライトロード・エンジェル ケルビム》をアドバンス召喚。効果発動だ。デッキの上からカードを4枚墓地に送り、貴様の伏せカードとネオスを破壊する! 我が運命の力によって消え去れッ! ネオスッ!」
『ぐあぁぁッ!』
「ネオスッ! くっ、破壊された《運命の発掘》の効果で、カードを1枚ドローだ」
「墓地に送られたカードはこの4枚、ウォルフが特殊召喚される」
《ライトロード・ビースト ウォルフ》
《ライトロード・パラディン ジェイン》
《アルカナフォースⅣ-THE EMPEROR》
《アルカナフォースⅦ-THE CHARIOT》
「バトルだ。ケルビムでエアーマンを攻撃! 続けてウォルフでダイレクトアタック!」
遊城十代 LP6500 → 6000 → 3900
2体の攻撃を受け、十代のライフが大きく削られる。
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
斎王琢磨 LP3600 手札3 モンスター2 伏せ1
遊城十代 LP3900 手札3 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。魔法カード《ミラクル・フュージョン》を発動。墓地の《E・HERO エアーマン》と《E・HERO シャドー・ミスト》を除外して、《E・HERO Great TORNADO》を融合召喚。その効果により、おまえのモンスターの攻撃力・守備力を半分にする」
《ライトロード・ビースト ウォルフ》 攻撃力2100 → 1050
《ライトロード・エンジェル ケルビム》攻撃力2300 → 1150
「さらに《O-オーバーソウル》を発動。甦れッ! ネオスッ!」
十代の呼び声に応え、光の英雄が再び姿を現す。
「バトルだ。いけッ! ネオス! グレイトトルネード!」
斎王琢磨 LP3600 → 2150 → 500
「ぬぅぅ、調子に乗るなよ、十代!」
「よし、もうひと押しだ。カードを1枚伏せてターンエンド」
遊城十代 LP3900 手札1 モンスター2 伏せ1
斎王琢磨 LP 500 手札3 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「私のターン、ドロー。私のスタンバイフェイズに光の結界は正逆を決める。だが、私の運命力は満ちているのだ。当然、
強化蘇生がドローに代わり、ルミナスの強化が剥がれる。だが斎王は構わずルミナスの効果を発動する。
「手札を1枚捨て、ルミナスの効果発動。いま捨てたルミナスを蘇生する。そして蘇生したルミナスの効果を発動。墓地のウォルフを特殊召喚」
瞬く間に斎王のフィールドに3体のライトロードモンスターが並ぶ。その高速展開にさしもの十代もたたらを踏んだ。
「魔法カード《アルカナリーディング》を発動。デッキから《アルカナフォース
《アルカナフォース
星10/光属性/天使族/攻4000/守4000
アルカナフォースの番外席次、エクストラを冠する強大な力を持つアルカナフォースの1体、その「
「光の結界の効果で
「リバースカード《エレメンタル・チャージ》を発動。「E・HERO」の数×1000のライフを回復する」
遊城十代 LP3900 → 5900 → 4700
「光の結界の効果で、私の「アルカナフォース」モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの元々の攻撃力分のライフを回復する。そしてザ・ダーク・ルーラーは2回の攻撃が可能なのだ。続けてネオスを攻撃!」
遊城十代 LP4700 → 3200
「さらにライフが回復する。そしてバトルフェイズ終了時にザ・ダーク・ルーラーは守備表示になり、次の私のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない」
斎王琢磨 LP 500 → 3300 → 5800
ザ・ダーク・ルーラーの連続攻撃により、2体のヒーローは膝を屈した。さらに大幅なライフ回復を許してしまい、追い詰めたと思った背中が大きく遠ざかる。
「私はこれでターンエンドだ」
斎王琢磨 LP5800 手札2 モンスター1 伏せ0
遊城十代 LP3200 手札1 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。《カードガンナー》を守備表示で召喚。効果でデッキの上から3枚のカードを墓地に送り、ターンエンドだ」
遊城十代 LP3200 手札1 モンスター1 伏せ0
斎王琢磨 LP5800 手札2 モンスター1 伏せ0
――――――――――――
「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに光の結界の効果発動。当然、
「ぐぅぅ、カードガンナーの効果で1枚ドローだ」
「光の結界の効果でライフが回復する」
斎王琢磨 LP5800 → 6200
「続けてザ・ムーンでダイレクトアタック!」
遊城十代 LP3200 → 400
「ライフは風前の灯火だなぁ、十代。最後に見せてやろう、光の盟主を。フィールドの3体を墓地に送り《アルカナフォース
《アルカナフォース
星10/光属性/天使族/攻4000/守4000
エクストラを冠する強大な力を持つアルカナフォースの1体、「
「私は
斎王琢磨 LP6200 手札1 モンスター1 伏せ0
遊城十代 LP 400 手札2 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「十代、そろそろ諦めたらどうだ? ライフ差は歴然。破滅の運命は等しく皆に訪れるのだ。潔く運命を受け入れろ、十代」
「へへっ、バカなこと言うなよ。俺の運命は俺が決める! 運命は変えられるんだ! ドローという希望、ドローという奇跡で、運命は拓ける。俺のターン、ドロー!」
斎王の言葉を切り捨て、十代は運命に抗うべくカードを引く。
「《コンバート・コンタクト》を発動。手札から《N・アクア・ドルフィン》を、デッキから《N・グラン・モール》を墓地に送り、カードを2枚ドローする。もう1枚発動だ。手札から《N・ブラック・パンサー》を、デッキから《N・フレア・スカラベ》を墓地に送り、カードを2枚ドローする。来たぜ斎王、逆転のカードが。魔法カード《ミラクル・コンタクト》を発動。墓地のネオスとエア・ハミングバードをデッキに戻し、コンタクト融合! 来いッ! 《E・HERO エアー・ネオス》」
《E・HERO エアー・ネオス》
星7/風属性/戦士族/攻2500/守2000
「エアー・ネオスの攻撃力は、自分のライフポイントが相手のライフポイントよりも少ない場合、その差の数値だけアップするぜ。俺とおまえのライフ差は5800だ。エアー・ネオスの攻撃力は8300となる!」
「は、8300だとぉ!?」
自分のエースであるザ・ライト・ルーラーの攻撃力の2倍以上。運命の揺らぎを感じつつも、斎王は未だに自分の勝利を疑わない。
「バトルだ。エアー・ネオスでザ・ライト・ルーラーを攻撃、スカイリップ・ウィング!」
「甘いんだよッ! 手札の《アルカナフォースⅩⅣ-TEMPERANCE》を捨て、戦闘ダメージを0にする!」
ザ・ライト・ルーラーは破壊されたものの、そのダメージは斎王までは届かず、ライフを削ることはできなかった。
「カードを2枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズにエアー・ネオスはEXデッキに戻る」
遊城十代 LP 400 手札0 モンスター0 伏せ2
斎王琢磨 LP6200 手札0 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「私のターン、ドロー。ザ・ライト・ルーラーを破壊したくらいでいい気になるなよ、十代。光の結界がある限り、私の運命は――何ッ!?
斎王の意に反して、コインが示したものは、裏。フィールドから光の結界が消失する。同時に精霊の力を削弱させる効果も消え去った。
『今だッ! 十代、私はソーラを止める! デュエルは任せたぞ!』
「エアー・ネオス! 分かったぜ! こっちは任せとけ!」
エアー・ネオスは翼を羽ばたかせ、天へと飛び立った。
「へへっ、おまえの運命力とやらも、どうやら衰えてきたらしいな」
「ほざくなッ! 今さらもう遅いのだッ! 貴様らが何をしようと、破滅の未来は避けられん! 《強欲で金満な壺》を発動。EXデッキのカードをランダムに6枚、裏側表示で除外し、カードを2枚ドロー!」
新たに引き入れた2枚のカードを視界に収め、斎王から笑みが零れる。
「我が運命に未だ陰りなし! 効力を失った結界などもういらん! 手札から《
「まだ諦めねぇ! 《クリボーを呼ぶ笛》発動。デッキから《ハネクリボー》を特殊召喚する!」
破壊の力が爆発する直前、十代のフィールドに羽の生えたクリボーが現れる。それはすぐさま破壊されるものの、辛うじて十代の命を繋いだ。
「ハネクリボーがフィールドで破壊され墓地へ送られたターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる」
「まだ足掻くか。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
エンドフェイズに裁きの龍の強制効果でデッキの上から4枚のカードが墓地に送られるが、斎王の運命力が落ちている影響か、有力なカードの姿は見えなかった。
斎王琢磨 LP5200 手札0 モンスター1 伏せ1
遊城十代 LP 400 手札0 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロォォーッ! 《カップ・オブ・エース》を発動。いくぜ、斎王。俺はすべてを運命のせいにして諦めたりはしない! 運命ってのは自分の手で創り出すものなんだ!」
これが外れれば、おそらく十代に勝ち目はない。斎王は必死の形相で宙に舞うコインを睨みつけた。それが示した結果は――。
「――表だ。カードを2枚ドローするぜ。トラップカード《
この土壇場で、この追い詰められた状況で、大量展開からの大量ドロー。斎王の額に冷たい汗が流れる。
「もう遅いと言ったッ! たとえ貴様が勝利しても、ソーラは止まらぬッ! 愚かな精霊たちよ、一足先に光の中に消えるがいいッ! ソーラよ、力を解き放てッ!」
レーザー衛星ソーラが溜め込んだエネルギーを解放しようと矛先をエアー・ネオスへと向ける。光の波動は一点に収束し、狙いをエアー・ネオスに定める。
『破滅の光よ、これ以上おまえに兄の身体を利用させない』
「その声は……美寿知か!?」
「美寿知だとッ!? なぜ貴様がッ!?」
『私はこの日のために、自らをデジタル化し、衛星回線を通してソーラの中へと潜入した。さあ、今ならソーラは作動しない。破壊するのです』
電子の存在となった美寿知がソーラの動きを止める。
宇宙に飛び立ったエアー・ネオス、そしてスペースザウルスへと進化を果たした剣山は、好機とばかりにソーラへと特攻をかけた。
ふたりの攻撃を受け、ソーラは爆煙の中に消え去った。
『十代、後はデュエルで破滅の光を封印し、元の兄に戻してください』
「ああ、美寿知。任されたぜ。《融合派兵》を発動。EXデッキの《E・HERO グラン・ネオス》を公開し、デッキから《E・HERO ネオス》を特殊召喚。見せてやるぜ、破滅の光! 運命に抗う力を! フィールドのネオス、グラン・モール、アクア・ドルフィン、フレア・スカラベをデッキに戻し、クアドラプルコンタクト融合! 来いッ! 《E・HERO コスモ・ネオス》!!」
ネオスとネオスペーシアン3体が融合し、小宇宙の中から新たなヒーローが生まれる。
《E・HERO コスモ・ネオス》
星11/光属性/戦士族/攻3500/守3000
「コスモ・ネオスの効果発動。このカードがEXデッキからの特殊召喚に成功した場合、このターン相手はフィールドで発動する効果を発動できない。そしてこの効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない!」
小宇宙の中から現れたそのヒーローからは、絶対にとどめを刺すという強固な意志すら感じさせた。
「さらに《ネオス・フュージョン》を発動。デッキから《E・HERO ネオス》と《N・エア・ハミングバード》を墓地に送り、EXデッキから《E・HERO エアー・ネオス》を特殊召喚。もう一度頼むぜ、エアー・ネオス!」
十代の呼び声に応えて、エアー・ネオスが宇宙から帰還する。
ネオスとネオスペーシアンの力を融合した2体のヒーローが、威風堂々と光の龍と向かい合う。
「これがラストターンだ! エアー・ネオスで裁きの龍に攻撃、スカイリップ・ウィング!」
斎王琢磨 LP5200 → 900
エアー・ネオスの
「コスモ・ネオスでダイレクトアタック! ギャラクシアン・アルティメーション!」
銀河の星々をも砕くほどの一撃を受けて、ついに斎王の身体を支配していた"破滅の光"が、その姿を現す。
「光が闇に屈するというのか!? こんなことが、こんなことがぁッ!? ぬわぁぁぁーーーッ!!」
斎王琢磨 LP 900 → 0
斎王の身体に悪霊の如く取り憑いていた破滅の光は、正しき闇の力を持つ十代の手によって消滅した。レーザー衛星ソーラも、ネオスと剣山の手によって破壊された。
世界は破滅の運命から逃れることができたのだ。
「すまなかった。破滅の光に魅入られたのは、世間を恨む邪な気持ちが私の中にあったからだ」
「まあいいじゃねぇか、そんなことは。破滅の光はこの宇宙から消えたんだ。俺たちは運命に勝ったんだ! 今はそれを喜ぼうぜ!」
消沈する斎王を気遣ってか、十代は殊更に明るく言い放った。
「ありがとう、十代。それにエド、みんなも」
「……僕は何もしてあげられなかった。だけどオージーンも斎王も無事に戻ってきてくれた。だけど美寿知さんは……」
「美寿知とはきっとまた会える。私はそう信じている」
「ああ、きっと会えるさ。なあ、占ってみればいいんじゃないか?」
「いや、もう私には未来を見通す力は無くなってしまったようだ」
懐から取り出したタロットカードが、風に攫われて宙を舞う。見上げた視線の先には、海馬コーポレーションのヘリがあった。
そのヘリの中、ガラスの奥に見える女性を瞳の中に映した斎王は、小さく笑みを零した。