ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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第34話 宝玉の輝き

新学期まであと2週間といったところで、俺は頭を悩ませていた。

3年生といえば、原作で最大の山場である異世界編である。阻止しようにも、これがなかなか難しい。理由は主に3つある。

ひとつ、ユベルが現時点でどの程度の力を持っているか分からない。

ひとつ、プロフェッサー・コブラを説得できる自信がない。

ひとつ、プロフェッサー・コブラを説得(物理)できる自信がない。

相手は元軍人だ。力で制圧は難しい。というか無理。

鮫島校長にコブラの招聘を止めてもらおうにも、一学生の俺では難しいし、俺が詳しい事情を知っているのもおかしい。

結局なるようにしかならないかな、という結論になった。

とりあえずデスベルトは装着しないようにしよう。

 

 

 

 

 

「と思っていた時期が俺にもありました」

始業式が始まり、校長の訓辞と新入生代表の早乙女レイの宣誓が終わる。

ちなみに、レイは原作通りジェネックス準優勝の功績が認められ、飛び級での入学となった。

その後、校長が生徒たちの能力向上を願って、デュエルアカデミアの分校から首席を迎え入れることを発表した。

イースト校代表のアモン・ガラム。

ウエスト校代表のオースチン・オブライエン。

サウス校代表のジム・クロコダイル・クック。

そして遅れてやってきた、アークティック校代表のヨハン・アンデルセン。

最後に特別講師として赴任したプロフェッサー・コブラを紹介する。

壇上に現れたプロフェッサー・コブラは挨拶もそこそこに、エキシビションマッチを行うことを宣言する。

対戦者はコブラの独断で決定した。まずはヨハン・アンデルセン。そして――。

「対するは、音羽遊蓮!」

十代じゃないんかい。

マジでなんでだ? 原作でもジェネックス優勝者の万丈目はコブラの琴線には触れなかったのに。

「ふたりとも、右手を前に」

登壇すると、いきなりそんなことを言われた。

嫌ですと言いたいが、さすがに無理な流れだ。

そして一時間後、ヨハンとのデュエルが開始された。

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「ジェネックス優勝者の実力、見せてもらうぜ。俺のターン、ドロー。出ろッ! 《宝玉獣 エメラルド・タートル》!」

 

「……なるほど。綺麗だな」

 

甲羅にちりばめられた大粒の翠玉(エメラルド)が得も言われぬ輝きを放っている。

 

「嬉しいこと言ってくれるねぇ。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

ヨハン LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

宝玉獣、いやヨハンの宝玉獣デッキには穴がある。おそらくだが、宝玉獣カードは1種1体しか存在しない。デッキの中核であるサファイア・ペガサスや、高い爆発力を誇るルビー・カーバンクルが1枚というのは心もとない。

まあその辺をなんとかするのがデュエリストの腕なんだろうが。

そして、火力だ。

宝玉獣の最大攻撃力は効果込みでトパーズ・タイガーの2000。強化して補うにも限界がある。レインボー・ドラゴンは、たぶんまだ存在していない。

つまり警戒すべきはあの1枚。あれを通されると負ける。

 

「《フォーチュンレディ・ライティー》を召喚」

 

「へぇ、そいつがジェネックスを勝ち抜いたデッキのひとつ。フォーチュンレディか」

 

今では色々詰め込みすぎて混成マジシャンデッキになってるけどな。

 

「《ルドラの魔導書》を発動。フィールドのライティーを墓地に送り、カードを2枚ドロー。ライティーの効果でデッキから《フォーチュンレディ・アーシー》を特殊召喚。バトルだ! アーシーでエメラルド・タートルに攻撃、カースド・スキュアー!」

 

「トラップ発動! 《宝玉の集結》!」

 

ヨハンは罠カードを発動したが、攻撃は止まらずエメラルドの甲羅は砕かれた。

 

「宝玉獣は破壊されても墓地へは行かず、永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンに留まる。そして永続罠《宝玉の集結》の効果発動。自分フィールドの表側表示の「宝玉獣」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動できる。デッキから「宝玉獣」モンスター1体を特殊召喚する。頼むぜッ! サファイア・ペガサス!」

 

エメラルドに続き、今度は蒼玉(サファイア)の角を携えた天馬が姿を現した。

 

「サファイア・ペガサスの効果発動。デッキから《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》を永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンに置く。サファイア・コーリング!」

 

サファイアに続いて紅玉(ルビー)も来たか。

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「エンドフェイズに永続罠《宝玉の集結》のもう1つの効果を発動するぜ。このカードを墓地に送り、サファイア・ペガサスとアーシーを持ち主の手札に戻す」

 

音羽遊蓮 LP4000 手札6 モンスター0 伏せ1

ヨハン  LP4000 手札4 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。サファイア・ペガサスを召喚し、効果でデッキから《宝玉獣 トパーズ・タイガー》を魔法・罠ゾーンに置く。続けて魔法カード《宝玉の契約》を発動。魔法・罠ゾーンにいるルビー・カーバンクルをモンスターゾーンに守備表示で特殊召喚し、効果発動。魔法・罠ゾーンの宝玉獣を可能な限り特殊召喚する。ルビー・ハピネス!」

 

ルビーの尻尾の先にある宝玉が輝き、仲間たちを呼び寄せる。

 

「さあいくぜ、バトルだ! エメラルド・タートル、トパーズ・タイガー、サファイア・ペガサスでダイレクトアタック!」

 

「罠カード《ダメージ・ダイエット》を発動。このターンに受ける全てのダメージを半分にする」

 

音羽遊蓮 LP4000 → 3600 → 2800 → 1900

 

「へぇ、やるなぁ。バトルフェイズを終了し、エメラルド・タートルを自身の効果で守備表示にする。ターンエンドだ」

 

ヨハン  LP4000 手札3 モンスター4 伏せ1

音羽遊蓮 LP1900 手札6 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《召喚師アレイスター》を召喚して効果発動。デッキから《召喚魔術》を手札に加え、そのまま発動。フィールドの《召喚師アレイスター》と手札の《フォーチュンレディ・ファイリー》を融合。召喚条件はアレイスターと炎属性モンスター。現れろ、《召喚獣プルガトリオ》!」

 

《召喚獣プルガトリオ》

星7/炎属性/悪魔族/攻2300/守2000

 

「プルガトリオは相手フィールドのカードの数×200ポイント攻撃力がアップする。さらに墓地の《召喚魔術》をデッキに戻し、除外されている《召喚師アレイスター》を手札に加える」

 

《召喚獣プルガトリオ》 攻撃力2300 → 3300

 

「攻撃力3300か。すげぇ、すげぇぜ遊蓮!」

 

やっぱ似てるな、十代と。楽しそうにデュエルするやつだ。

 

「バトルだ! プルガトリオでサファイア・ペガサスを攻撃、バーニング・エクスプロージョン!」

 

「《攻撃の無敵化》を発動。俺は戦闘ダメージを0にする効果を選択する。すまない、サファイア・ペガサス。破壊されたサファイア・ペガサスは魔法・罠ゾーンに置くぜ」

 

ヨハンの性格ならモンスターを守りたかったのだろうが、プルガトリオは全てのモンスターに攻撃でき、なおかつ貫通効果も持っている。加えて、俺の手札にアレイスターがあることは確定情報。止む無く、と言ったところか。

 

「だがダメージは与えられなくても破壊はできる。続けてトパーズ・タイガーとエメラルド・タートルに攻撃!」

 

「破壊された2体も魔法・罠ゾーンに置くぜ」

 

ヨハンの魔法・罠ゾーンに3色の煌びやかな宝玉が並ぶ。これ以上溜めるのはマズいか。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「なんだ、ルビーには攻撃しないのか。意外と優しいんだな」

 

音羽遊蓮 LP1900 手札5 モンスター1 伏せ1

ヨハン  LP4000 手札3 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「へへっ、楽しくなってきたぜ。ドロー。魔法カード《宝玉の絆》を発動。デッキから《宝玉獣 アンバー・マンモス》を手札に加え、《宝玉獣 コバルト・イーグル》を魔法・罠ゾーンに置く。これで俺の魔法・罠ゾーンに4体の宝玉獣がそろった。4体の宝玉獣を墓地に送り、魔法カード《宝玉の氾濫》を発動。フィールド上のカードを全て墓地へ送り、この効果によって墓地へ送った相手フィールド上のカードの数まで、自分の墓地の「宝玉獣」と名のついたモンスターを可能な限り特殊召喚する!」

 

「それを通すわけにはいかない! カウンター罠《神の宣告》を発動。ライフを半分払い、その発動を無効にし破壊する!」

 

「くっ、止められたか。だがまだまだッ! 《宝玉獣 アンバー・マンモス》を召喚し、《魔界の足枷》をプルガトリオに装備する。このカードを装備したモンスターは攻撃する事ができず、攻撃力・守備力は100になる」

 

鉄球のような魔力の球がプルガトリオの自由を奪う。煉獄の悪魔は肩を落として項垂れた。

 

「バトルだ! アンバー・マンモスでプルガトリオに攻撃、アンバー・スタンプ!」

 

「手札のアレイスターを墓地に送り、プルガトリオの攻撃力・守備力をターン終了時まで1000アップさせる」

 

音羽遊蓮 LP 950 → 350

 

「踏みとどまったか。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

ヨハン  LP4000 手札0 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP 350 手札4 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。カードを1枚伏せ、魔法カード《手札抹殺》を発動。お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数分のカードをドローする。俺は3枚捨て、3枚ドロー」

 

「俺の手札は0枚だ」

 

ヨハンは嘆息しながら肩をすくめた。

 

「いくぜ、ヨハン。俺の切り札を見せてやる。いま伏せた魔法カード《円融魔術(マジカライズ・フュージョン)》を発動。墓地のアレイスター、ライティー、ファイリー、ウォーテリー、アーシーの計5体の魔法使い族を融合素材として除外する。来いッ! 《クインテット・マジシャン》!」

 

魔力の風が吹き荒れる。炎のような魔力は不規則に揺れながら、それでも一方に向かって伸びている。その漆黒の魔力が熱波となってヨハンのフィールドを包み込んだ。

 

「クインテット・マジシャンの効果発動。この効果は、このカードが5種類の魔法使い族を素材にして融合召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する。ソウル・バースト!」

 

「くッ! ならその効果にチェーンして《巨神封じの矢》を発動! クインテット・マジシャンの攻撃力を0にし、その効果を無効にする!」

 

「さらにチェーンして手札から速攻魔法《トーラの魔導書》を発動。このターン、クインテット・マジシャンは罠カードの効果を受けない」

 

魔力の風を突っ切って飛来する起死回生の一矢は、的を射抜く直前で魔力の壁に阻まれ地に落ちた。

荒れ狂う魔力の暴風が、2体の宝玉獣を砕く。それでも、その獣たちは2色の宝玉となって、主の下へと留まった。

 

「クインテット・マジシャンの攻撃、フィアマ・インフィニータ!」

 

撃ち出された魔力の弾丸がヨハンの胸を貫き、そのままヨハンは大の字に倒れた。

 

 

 

ヨハン LP4000 → 0

 

 

 

「一撃でひっくり返されたか。やっぱ強いなぁ。ジェネックス優勝は伊達じゃなかったってわけだ」

「いや、そうでもないさ。実際、紙一重だったと思うぜ」

「そうか? ああ、それとさ、ルビーに攻撃しなかったのはなんでだ?」

「……いや、宝玉獣が何の意味もなく魔法・罠ゾーンに留まるとは思えなかったからな。何らかの発動条件になるんじゃないかと思っただけだよ。そしてカードってのは、発動条件が厳しいほど強力な効果を持ってるからな」

「へぇー、なるほどね。んじゃさ、あの時の……」

「生徒諸君、勇気ある二人にデュエルに拍手を!」

会話を遮ったのはコブラの声。最後にヨハンと握手を交わし、エキシビションマッチは終了した。

コブラはこのエキシビションマッチが開幕戦であることを告げ、デスクロージャーデュエルの開催を宣言した。

 

 

 

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