あのふたりは、俺の記憶が確かならば【ロックバーン】と【ハーピィ】デッキの使い手だったはずだ。
ただどっちがどっちの使い手かは、はっきりとは覚えていない。
とりあえず勝負を挑んできたのはジュンコだった。
「じゃあジュンコさん。レディファーストということで、先攻は譲るよ」
「へぇ、意外と礼儀正しいのね。だったら、私は後攻を希望するわ」
後攻か、ハーピィの可能性が増したな。だんだん思い出してきたぞ。お嬢様口調なのがももえで、さっぱりとした口調なのがジュンコだ。
「じゃあ俺が先攻ということで」
「ええ、では」
『デュエルッ!』
「俺のターン、ドロー。《フォーチュンレディ・ライティー》を召喚」
「あれ? おまえのデッキって蛇みたいなやつらじゃなかったか?」
「それに攻撃力が?ってのは、珍しいモンスターッスね。かわいいッスけど」
「ああ、このデッキもいい感じに仕上がってきたんでな。試運転ってところだ」
試運転という言葉でジュンコさんの表情がわずかに曇る。おっと誤解させたか。
「このデッキも俺の大切なデッキだ。別に侮ってるわけじゃないから、勘違いしないでくれ」
「そんなことは思ってないわよ。続きをどうぞ」
「そうかい。なら魔法カード《ルドラの魔導書》を発動。ライティーを墓地に送り、2枚ドロー。続けてライティーの効果も発動だ。このカードがカードの効果でフィールドを離れた時、デッキから「フォーチュンレディ」モンスター1体を特殊召喚できる。俺はデッキから《フォーチュンレディ・アーシー》を守備表示で特殊召喚」
《フォーチュンレディ・アーシー》
星6/地属性/魔法使い族/攻 ?/守 ?
「またステータスが?ッスね」
「攻守?はフォーチュンレディの共通効果さ。アーシーはレベル×400が攻撃力・守備力となる」
「つまり攻守2400という事ね。万丈目くんの使うレベルモンスターとは違う、レベルを参照するモンスターか。面白いわね」
「そうですか? なんだか使い難いという感じもしますけど」
この世界にはシンクロがないので、レベルの上下というのがあまり浸透していない。そのせいか、レベル=レベルモンスターというイメージが強い。
「カードを2枚伏せてターンエンド」
音羽遊蓮 LP4000 手札4 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「私のターン、ドロー。《ハーピィの羽根帚》を発動。アンタの伏せカードを全て破壊するわ」
「いきなりか。チェーンして《サンダー・ブレイク》を発動。手札を1枚捨て、《ハーピィの羽根帚》を破壊する」
「さすがオシリスレッドね。見事なプレイだわ」
「慌てるなよ。さらにチェーンして《戦線復帰》を発動。今捨てた《フォーチュンレディ・ウォーテリー》を守備表示で特殊召喚。一連の処理が終了後、ウォーテリーの効果で2枚ドローする」
「ああ、なるほど。そういうことね」
眉を顰めていた天上院さんが得心がいった様子で頷く。
「壁を増やしたところで……私は《ハーピィ・チャネラー》を召喚して効果発動。手札の《ハーピィ・ハーピスト》を捨てて、デッキから《ハーピィ・パフューマー》を守備表示で特殊召喚。その効果でデッキから《万華鏡-華麗なる分身-》を手札に加え、発動よ。デッキから《ハーピィ・レディ1》を特殊召喚」
《ハーピィ・チャネラー》
星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守1300
《ハーピィ・パフューマー》
星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守1300
《ハーピィ・レディ1》
星4/風属性/鳥獣族/攻1300/守1400
「《ハーピィ・レディ1》は風属性モンスターの攻撃力を300アップさせる。さらに手札の《ハーピィ・ダンサー》とフィールドの《ハーピィ・パフューマー》を破壊して、《真竜凰マリアムネ》を特殊召喚するわ!」
2体の風属性モンスターを破壊して飛翔したのは、幻想的な白き羽を持つドラゴン。
《
星9/風属性/幻竜族/攻2700/守2100
「マリアムネの効果発動。アンタのデッキの上から4枚のカードを除外するわ」
俺はデッキから4枚のカードを取り除く。幸いにして致命的なカードは除外されなかった。
《ハーピィ・チャネラー》攻撃力1400 → 1700
《真竜凰マリアムネ》 攻撃力2700 → 3000
《ハーピィ・レディ1》 攻撃力1300 → 1600
「バトルよ。マリアムネでアーシーを、ハーピィ・レディ1でウォーテリーを攻撃、そしてハーピィ・チャネラーでダイレクトアタック!」
ハーピィの爪、ドラゴンの旋風によって魔法少女たちは倒れ、ハーピィ・チャネラーの錫杖が俺の身体を打つ。
音羽遊蓮 LP4000 → 2300
「どんなもんよ。カードを1枚伏せてターンエンド。そしてエンドフェイズにこのターン墓地に送られた《ハーピィ・ハーピスト》の効果で、デッキから《ハーピィ・オラクル》を手札に加えるわ」
枕田ジュンコ LP4000 手札1 モンスター3 伏せ1
音羽遊蓮 LP2300 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。《フォーチュンレディ・ウインディー》を召喚して効果発動。その伏せカードを破壊する」
「うっ、私の《ヒステリック・パーティー》が……」
「良いカードを撃ち抜いたな。続けて《死者蘇生》を発動。墓地の《フォーチュンレディ・ライティー》を特殊召喚し、《異次元隔離マシーン》を発動。ライティーとハーピィ・チャネラーを除外する。そしてライティーの効果でデッキから《フォーチュンレディ・ファイリー》を特殊召喚。ファイリーの効果で《真竜凰マリアムネ》を破壊して、その攻撃力分のダメージを相手に与える」
「……え? 元々の、ではなくて?」
「フィールドにて適用されていた攻撃力を参照する」
「ウッソー!?」
枕田ジュンコ LP4000 → 1000
「くっ、マリアムネが破壊されたことで効果を発動するわ。デッキから《真竜騎将ドライアスⅢ世》を手札に加える」
「魔法使い族のファイリーをリリースして、手札から《沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン》を特殊召喚」
「たかが攻撃力1000じゃない。ウインディーの攻撃力だって900だし」
「それはどうかな? 《沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン》の攻撃力は手札の枚数×500アップする」
《沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン》 攻撃力1000 → 2000
「なっ!? それじゃあ……」
「バトルだ。サイレント・マジシャンでハーピィ・レディ1を攻撃、サイレント・バーニング!」
枕田ジュンコ LP1000 → 600
前ターンの再演。魔法少女と美麗鳥人がぶつかり合う。今度の攻防は小さな魔術師が打ち勝った。
「続けてウインディーでダイレクトアタック、エアロ・ショット!」
枕田ジュンコ LP600 → 0
「くっ、オベリスクブルーがオシリスレッドに2連敗だなんて、ごめんなさい明日香さん」
「気にしないでジュンコ。私だって負けたんだから、おあいこよ」
「この上はわたくしも、そちらの翔さんと雌雄を決するべきでしょうか……」
「これ以上ややこしくするのはやめてちょうだい。ところで、ジュンコは名前呼びなのに、なんで私は"天上院さん"なのかしら?」
何故か不機嫌な様子で天上院さんが愚痴をこぼす。何故かと問われれば、シンプルに苗字を知らないからだが、口に出すのはマズい気がする。
「分かったよ、明日香さん」
「まあ、とりあえずはそれでいいわ。いずれあなたにも勝つつもりだから、覚悟しておきなさい」
明日香さんはビシッと俺を指さすと小さく笑った。
人を指さしてはいけませんよ。
主人公の原作知識ですが、大筋は理解しているものの細かいところまでは覚えていません。
五階堂宝山とか胡蝶蘭とか、名前だけ出されても「誰だっけ?」というレベルです。実際にデュエルを見たら思い出すでしょうが。