ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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第39話 白虹貫日

オブライエンの部隊とともに発電施設に向かうも、そこには何の異常もなかった。だがオブライエンが警戒を解く様子はない。

「警戒を厳に、いつやつらが……むっ、なんだ!?」

ふたつの電波塔に間に電流が走り、その間の空間にひとりの老人の姿が映し出される。

「あれは、ツバインシュタイン博士だな」

「ツバインシュタイン博士だと!? 確か、デュエル統一理論の研究者だな。詳しくは知らないが、量子力学で空間の……空間!? ならば……」

『聞こえ……誰か……』

通信状況は悪かったが、駆けつけた三沢が機械の調整をすることによってなんとか回復する。

ツバインシュタイン博士の説明を要約すると、強力なデュエリスト同士が激突することで発生するデュエルエナジーをジュールに変換することで、わずかだが次元の穴を開く。その穴を通してレインボー・ドラゴンのカードを送り込む。そしてレインボー・ドラゴンの力をこちらの世界で発現させることで二つの次元が繋がる、らしい。

ちょっとよく分からない理論だったし、俺の頭では到底理解できないと判断したので、俺は考えるのをやめた。

「とりあえずテニスコートに向かえばいいんだろう。俺とブルーベレーが先陣を切る。ヨハンの警護体制を取れ。行くぞ!」

「遂に念願のレインボー・ドラゴンが……。よっしゃ! 絶対にレインボー・ドラゴンを手に入れてみせる!」

 

 

 

 

 

ブルーベレーの協力により、無事ヨハンを連れてテニスコートに辿り着いた。

「こ、これは、通信デュエルシステム!? そうか、ツバインシュタイン博士はこれを見越して。さすがです、博士! みんな、その装置をコートのセンターへ」

三沢は手早く指示を出し、コンソールを操作してツバインシュタイン博士と通信を繋ぐ。程なくして、向こうの映像が映し出された。

そこに映っていたのは――。

「カイザー亮。デビュー以降、公式戦無敗の男か。楽しみだぜ、あんたとは入れ違いだったからな。一度戦ってみたいと思ってたんだ!」

『ふっ、やはり似ているな。いいだろう、サイバー流の奥義を尽くして相手をしよう!』

 

 

『デュエルッ!』

 

 

『ではいくぞ。俺のターン、ドロー。《サイバー・ヴァリー》を召喚し、《機械複製術》を発動。デッキから同名カードを2体特殊召喚する。そしてサイバー・ヴァリー2体を除外して、カードを2枚ドロー。《融合》発動。手札の《サイバー・ドラゴン》と《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》、フィールドの《サイバー・ヴァリー》を融合。《サイバー・エタニティ・ドラゴン》を守備表示で融合召喚!』

 

《サイバー・エタニティ・ドラゴン》

星10/光属性/機械族/攻2800/守4000

 

「いきなり守備力4000のモンスターか」

 

だが墓地に機械族の融合モンスターがいないので耐性はない。それだけでもかなりやりやすい。

 

『墓地に送られた《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》の効果発動。デッキから《サイバー・ドラゴン》を手札に加える。カードを1枚伏せてターンエンドだ』

 

丸藤亮 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ1

 

――――――――――――

 

「まずは防御を固めて様子見か。噂通り、冷静沈着な男のようだ。俺のターン、ドロー。《宝玉獣 アメジスト・キャット》を召喚し、《宝玉の解放》をアメジスト・キャットに装備する」

 

《宝玉獣 アメジスト・キャット》 攻撃力1200 → 2000

 

「バトルだ。アメジスト・キャットは与えるダメージを半分にしてダイレクトアタックができる。アメジスト・ネイル!」

 

丸藤亮 LP4000 → 3000

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

ヨハン LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

丸藤亮 LP3000 手札3 モンスター1 伏せ1

 

――――――――――――

 

『俺のターン、ドロー。ふっ、その程度の攻撃では、次元に穴を開けるほどのエネルギーは生み出せんそうだ。魔法カード《融合回収》を発動。墓地の《融合》と《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》を手札に戻す。《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》を召喚し、《融合》発動。手札の《サイバー・ドラゴン》と「サイバー・ドラゴン」扱いの《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》を融合。現れろ、《サイバー・ツイン・ドラゴン》!』

 

《サイバー・ツイン・ドラゴン》

星8/光属性/機械族/攻2800/守2100

 

『《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》の効果で、墓地の《サイバー・ドラゴン》を手札に加える。サイバー・エタニティ・ドラゴンを攻撃表示にして、バトルだ。サイバー・ツイン・ドラゴンでアメジスト・キャットを攻撃、エヴォリューション・ツイン・バースト!』

 

双頭の機械竜、その片方から放たれたブレスを受け、アメジスト・キャットは砕け散った。

 

ヨハン LP4000 → 3200

 

「アメジスト・キャットは破壊されても墓地へは行かず、永続魔法(宝玉)となって魔法・罠ゾーンに留まる。さらに破壊された《宝玉の解放》の効果でデッキから《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》を魔法・罠ゾーンに置く」

 

『ほぅ、それが宝玉獣の動きか。だがサイバー・ツイン・ドラゴンは2回の攻撃を可能にする。エヴォリューション・ツイン・バースト!』

 

「俺は2枚の罠カードを発動する。《カウンター・ゲート》、そして《メタバース》! デッキから《虹の古代都市-レインボー・ルイン》を発動する。そしてカウンター・ゲートの効果で相手の直接攻撃を無効にし、カードを1枚ドローする。そのドローしたカードがモンスターカードだった場合、表側攻撃表示で通常召喚できる。俺がドローしたカードは、《宝玉獣 アンバー・マンモス》。そのまま召喚するぜ」

 

『いいだろう。ならばサイバー・エタニティ・ドラゴンでアンバー・マンモスを攻撃、エタニティ・エヴォリューション・バースト!』

 

「《虹の古代都市-レインボー・ルイン》の効果により、戦闘ダメージを半分にする」

 

ヨハン LP3200 → 2650

 

『俺はこれでターンエンドだ』

 

丸藤亮 LP3000 手札3 モンスター2 伏せ1

ヨハン LP2650 手札2 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「へへっ、やるなぁ。さすがはカイザーと呼ばれた男。だけど俺もいいとこ見せないとな。《レア・ヴァリュー》を発動。自分の魔法・罠ゾーンの「宝玉獣」カード1枚を墓地へ送り、自分はデッキから2枚ドローする。墓地に送るカードはカイザー、あんたが選ぶ」

 

『ならば俺はルビー・カーバンクルを選択する』

 

初見のはずなのに、ルビー・カーバンクルを選ぶあたりはさすがだな。

 

「いいぜ、ルビーを墓地に送り、カードを2枚ドロー。もう一度だカイザー。《レア・ヴァリュー》を発動」

 

『アンバー・マンモスだ』

 

「アンバー・マンモスを墓地に送り、2枚ドロー」

 

瞬く間にヨハンの手札が5枚にまで膨れ上がる。

 

「魔法カード《宝玉の恵み》を発動。墓地の《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》と《宝玉獣 アンバー・マンモス》を魔法・罠ゾーンに置く。続けて《宝玉獣 サファイア・ペガサス》を召喚。効果でデッキから《宝玉獣 トパーズ・タイガー》を魔法・罠ゾーンに置く。レインボー・ルインの効果で1枚ドローし、《宝玉の契約》を発動。魔法・罠ゾーンのルビーをモンスターゾーンに特殊召喚し、効果発動。ルビー・ハピネス!」

 

ルビー・カーバンクルの招集に応え、宝玉状態だった仲間たちが次々とモンスターゾーンに現れる。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

『エンドフェイズに《融合準備》を発動。EXデッキの《サイバー・エンド・ドラゴン》を公開し、デッキから最後の《サイバー・ドラゴン》を、墓地から《融合》を手札に加える』

 

ヨハン LP2650 手札1 モンスター5 伏せ2

丸藤亮 LP3000 手札5 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

『俺のターン、ドロー。アンバー・マンモスに攻撃を誘導できる効果があるとはいえ、攻撃力の低いルビー・カーバンクルまで攻撃表示ということは、誘っているんだろう、攻撃を。その伏せカードは、おそらく攻撃力変動のカード』

 

ヨハンは信条としてカウンター罠以外ではモンスターを破壊するカードは使用しない。カイザーの予測は、たぶん当たっている。

 

『ならば俺は、それを真っ向からねじ伏せる。サイバー流の理念は、相手をリスペクトし、それを乗り越えること。魔法カード《サイバー・レヴシステム》を発動。墓地の《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚。続けて魔法カード《パワー・ボンド》を発動。フィールドのサイバー・ドラゴンと、手札の2体のサイバー・ドラゴンを融合。来いッ! 《サイバー・エンド・ドラゴン》!!』

 

《サイバー・エンド・ドラゴン》

星8/光属性/機械族/攻4000/守2800

 

『パワー・ボンドの効果で攻撃力は倍になる。ヨハン・アンデルセン、おまえの輝きを見せてみろ! サイバー・エンド・ドラゴンでルビー・カーバンクルに攻撃、エターナル・エヴォリューション・バァーストォォー!』

 

3つの(あぎと)が巨大な閃光波を放つ。それは集束し、一筋の破壊の力となって紅の小動物へと向かっていく。

 

「リバースカード《スノーマン・エフェクト》を発動。宝玉獣たちの力を、ルビーに集める。いけぇーーッ! ルビー・ソニック!!」

 

ふたつの巨大な力が激突する。そのエネルギーに耐えきれなかったのか、コンソールから白煙が上がり、映像が乱れた。

そして空の彼方に、一筋の彗星が落ちていくのが見えた。それと同時にデュエルゾンビたちの攻勢で扉が軋み始める。

「くっ、もう扉がもたん。脱出するぞ!」

「脱出ってどこから……あっ、ネオス!」

オブライエンの言葉にレイが狼狽えるが、地面を割って地中から現れた十代のヒーローに喜色を見せた。

「十代、無事だったか。よし、みんな。ここから脱出するぞ!」

テニスコートに押し寄せたデュエルゾンビをなんとか振り切り、十代のマグマ・ネオスが掘り進めた地下道から脱出する。

一息ついたところで校内放送が始まった。

『遊城十代に告ぐ。キミがこの学園のどこかに隠れているのは分かっている。決着をつけよう。学園外の砂上の楼閣で待つ。ただし、キミが30分以内に現れなかった場合、デュエルゾンビとなった生徒たちを、全員始末する』

それだけを告げて、放送は終わった。

「ぐっ、そうはさせない。マルタン!」

無慈悲なマルタンの警告に、十代は感情をあらわにする。

30分という時間制限の中で、話し合いは行われた。その最中(さなか)、一心不乱に計算を続けていた三沢の声が跳ね上がる。

「分かったぞ! ツバインシュタイン博士の狙いが! 十代、おまえは言ったな、マルタンが三幻魔のカードを持っていると。それだよ、三幻魔とレインボー・ドラゴン、その巨大なエネルギーがぶつかり合うことで、レインボー・ドラゴンが覚醒し、次元の穴が開く」

なるほど。バケモンにはバケモンぶつけるんだよってことね。なんでエネルギーがぶつかり合って次元の穴が開くのかは未だに分からんが。

「そうと分かれば、俺はレインボー・ドラゴンを探しに行く。十代、待っててくれ。俺は必ず戻ってくる」

「……ヨハン」

三沢の仮説のお陰で、一応の方針は決まった。

「俺とヨハンはレインボー・ドラゴンの探索に向かう。そっちは任せたぞ!」

学園の周囲を徘徊しているデュエルゾンビたちを振り切って、オブライエンとヨハンが駆けて行く。

「行け、十代。こいつらは俺たちが食い止める」

「でも遊蓮……」

「マルタンの中にいるやつと、しっかり話せよ」

「マルタンの……。おまえ何を知って……」

ただ『答え』だけを教えても意味はない。この問題は十代が自分自身で解決しなければならない。俺ができるのは手助けくらいだ。

「行け、十代! 来い、《エルシャドール・ネフィリム》!」

俺の呼び声に応えて、ネフィリムの巨体が姿を現す。設定上ではかなりの巨体のはずだが、ソリッドビジョンに映し出される姿はそれほどでもない。

目の前にいるアームド・ドラゴンと同じくらいだな。

「ゆう~れん。あの時の借りを~返しに来た~ブホォッ!」

「すまんな万丈目。悪いがデュエルゾンビ(おまえら)と真面目にデュエルするつもりはない。正気になってから出直してこい」

こっちのデュエリストは挑まれたら受けて立つっていう不文律みたいなものがあるから、万丈目も律義に付き合ってやったんだろう。で、人海戦術でやられた、そんなところに違いない。

「俺だってこっちに来てから鍛えてるんだ。オブライエン(本職)には敵わないが、前後不覚に近いゾンビに後れは取らん」

しばらくすると、レインボー・ドラゴンを確保したヨハンが帰還し、十代の支援に向かった。

これで条件はそろった。後は祈るしかない。

しばらくして、祭壇の上から七色の光が降り注いだ。

続いて立ち昇ったのは、禍々しい瘴気。

「あれは……アーミタイルか」

そのふたつの光が弾け、世界は変容した。

 

 

 

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