ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

44 / 50
第40話 救出作戦

青い空、青い海、俺たちは元の世界に戻ってきた。

しかしそこにヨハンの姿はなかった。

「何を落ち込んでいるんだ、十代。おまえのおかげで、みんな戻ってこれたんだぜ」

「みんなじゃない。ヨハンは置き去りになってしまった。俺のせいだ、俺の責任だ」

「ユベルとは話したのか?」

「――ッ!? おまえ、ユベルを知っているのか!?」

十代は鬼気迫る表情で俺の肩を掴んだ。

「ユベル。レベル10の悪魔族。戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも受けない。攻撃してきた相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。維持するためには、モンスター1体をリリースしなければならない」

「……詳しいんだな。確かに、そんな効果だったような気がする」

十代にとっては子供の頃の記憶だからな。効果もうろ覚えなのかもしれない。

「けど、そんなことはどうでもいいんだ。あいつを、あんな風にしてしまったのは、俺なんだ! 俺があいつを宇宙に……」

「だから諦めるのか? ユベルも、ヨハンも」

「そんなこと言っても! どうにもならないじゃないか!」

十代は悲痛の声を上げる。周りの生徒たちが何事かとこちらに視線を向けるが、十代は気にもしていない。

「そうでもない。今、次元は揺らいでいる。おそらく、もうすぐ次元の穴が開く」

「――ッ!? ホントか!?」

たぶん。確かそんな流れだったと思う。

「だから行くなら準備しておけ。行くか行かないか。どちらを選ぶにしても、後悔のないようにな。俺はおまえの決断を尊重する」

 

 

 

 

 

そんなわけで、結局みんなして再び異世界にやってきたのだったが、なんか違うような。

「空間の(ひず)みに別のファクターがあったのかもしれない。再計算しなくては」

三沢は地面に数式を書き始めた。こいつ、周りが見えてないな。

「う~ん、計算自体は合っているはずだが……。そうか、時空間、相対時間だ。タキオン粒子をボゾン弦理論に当てはめて再計算すれば……」

「おい、三沢。タキオンでもフォトンでもサイファーでもいいが、なにか気付かないか?」

「なにか? そういえば、十代たちはどこに行った?」

ようやく三沢は気づいたようだ。ここには俺たち2人しかいないことに。

「時空の中ではぐれたのかもしれない。あいつらを探しながら、この世界の情報を集めよう。移動するぞ」

「む、情報か。一理ある。了解だ。――なにっ!? 方位磁石がまるでデタラメだ!」

曇天だから太陽の位置も不明瞭だ。そもそも太陽があるという保証もない。

「あそこに街らしきものが見えるな。ひとまずそこに向かおう」

小高い丘を下り、街へと向かう。殺風景なむきだしの大地を歩いていくと、これまた殺風景な街に辿り着いた。

いや、これは殺風景というレベルではない。

「街というより廃墟だな」

「ゴーストタウンみたいだな。お~い、誰かいないかぁ~」

三沢が大声で呼びかけながら街を回るが、それはすぐに悲鳴に変わった。

「三沢! あれは……《タルワール・デーモン》だな」

レベル6の悪魔族。通常モンスターで攻撃力は2400となかなかに強力だ。決して《デーモンの召喚》の下位互換とは言ってはいけない。

一応、デーモンの召喚よりも守備力はかなり高い。

「まだ生き残りが2人もいたとはな。念のために確認に来た甲斐があった」

反射的にデュエルディスクを構える。するとタルワール・デーモンは獲物を見つけたように下卑た笑みを浮かべた。

「おまえ、戦士か。いいねぇ、なら決闘(デュエル)だ」

「お、おい。遊蓮?」

「下がってろ三沢。こいつの相手は俺がやる」

「いや、待て。いきなりのことでちょっとビックリしただけだ。俺がやる!」

「ヒャハッ、勇ましいことだ、上等上等!」

「笑っていられるのも今のうちだッ!」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「俺様のターン、ドロー。《トリック・デーモン》を召喚。続けて《デーモンの将星》を特殊召喚。このカードは自分フィールドに「デーモン」カードが存在する場合、手札から特殊召喚できる。ただしこの効果で特殊召喚した場合、自分フィールドの「デーモン」カード1枚を破壊しなければならない」

 

更に言うなら、このターン、このカードは攻撃できないというデメリットもあるが、先攻なので関係ないだろう。破壊されたトリック・デーモンの効果が発動する。

 

「俺様はデッキから《デーモンの騎兵》を手札に加える。さらにフィールド魔法《伏魔殿(デーモンパレス)-悪魔の迷宮-》を発動。悪魔族モンスターの攻撃力は500アップする」

 

《デーモンの将星》 攻撃力2500 → 3000

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

デーモン LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「いきなり攻撃力3000のモンスターとはな。俺のターン、ドロー。まずは永続魔法《魂吸収》を発動。そしてモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

三沢大地 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

デーモン LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「ハッ、勇んで挑んだ割にはおとなしいじゃないか。ドロー。《デーモンの騎兵》を召喚してバトルだ! デーモンの騎兵でセットモンスターを攻撃!」

 

紅い甲冑に身を包んだ悪魔が馬上槍を手に突撃してくる。その突進を喰らった守備モンスターは破壊されたが、ただでは終わらない。

 

「破壊された《D.D.アサイラント》の効果発動。このカードと相手モンスターを除外する。そして《魂吸収》の効果でライフを1000回復する」

 

三沢大地 LP4000 → 5000

 

「モンスター除去と同時にライフも回復か。中々やるじゃないか。デーモンの将星でダイレクトアタック!」

 

「させんッ! 《深淵のスタングレイ》を発動。このカードは発動後、モンスターカード(雷族・光・星5・攻1900/守0)となり、モンスターゾーンに特殊召喚される。そしてこのカードは戦闘では破壊されない」

 

「小賢しいッ! 《トラップ・ジャマー》を発動だ。そいつの発動を無効にして破壊する」

 

「なにッ!? クッ!」

 

三沢大地 LP5000 → 2000

 

デーモンの稲妻を喰らい、三沢のライフが大きく削られる。

 

「まだ終わりじゃねぇぜ。《強化蘇生》を発動。墓地の《トリック・デーモン》を特殊召喚。追撃だぁッ!」

 

三沢大地 LP2000 → 400

 

「もはや風前の灯火だなぁ、ターンエンドだ」

 

デーモン LP4000 手札2 モンスター2 伏せ0

三沢大地 LP 400 手札2 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《強欲で金満な壺》を発動。EXデッキのカードをランダムに6枚、裏側表示で除外し、カードを2枚ドロー。《魂吸収》の効果でライフが回復する」

 

三沢大地 LP 400 → 3400

 

後ひと押しまで削ったライフを大幅に回復され、タルワール・デーモンは忌々しそうに三沢を睨みつけた。

 

「《終末の騎士》を召喚し、効果発動。デッキから闇属性モンスター《ゼータ・レティキュラント》を墓地に送る。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

ゼータ・レティキュラントは墓地にあってこそ真価を発揮するモンスター。随分とデッキをいじってきたな。

 

三沢大地 LP3400 手札1 モンスター1 伏せ3

デーモン LP4000 手札2 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺様のターン、ドロー。《融合呪印生物-闇》を召喚。このカードは融合素材モンスター1体の代わりとなれる。このカードとトリック・デーモンをリリースし、EXデッキから《デーモンの顕現》を特殊召喚」

 

《デーモンの顕現》

星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

 

悪魔の翼を羽ばたかせて顕現したその身体からは、帯電した微粒子が明滅していた。

 

「このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「デーモンの召喚」として扱い、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの「デーモンの召喚」の攻撃力は500アップする。フィールド魔法の効果も受け、さらにパワーアップ!」

 

《デーモンの顕現》 攻撃力2500 → 3500

 

「続けてトリック・デーモンの効果を発動だ。デッキから《デーモンの斧》を手札に加え、デーモンの将星に装備する。バトルだ! デーモンの将星で終末の騎士を攻撃、星光の魔降雷!」

 

「攻撃宣言時に《次元幽閉》を発動。《デーモンの将星》を除外する。そして墓地のゼータ・レティキュラントの効果発動。このカードが墓地に存在し、相手フィールドのモンスターが除外される度に、自分フィールドに「イーバトークン」(悪魔族・闇・星2・攻/守500)1体を特殊召喚する」

 

「チッ、だが俺様のフィールドにはもう1体の――」

 

未だ余裕の笑みを崩さないタルワール・デーモンの言葉を遮り、三沢は反撃の手を緩めない。

 

「永続罠《連撃の帝王》を発動。イーバトークンをリリースして、手札から《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚する!」

 

「なにッ!? 相手ターンにアドバンス召喚だとぉッ!?」

 

「ガイウスはアドバンス召喚に成功した場合に効果が発動できる。《デーモンの顕現》を除外する。そして除外したカードが闇属性モンスターだった場合、相手に1000ダメージを与える」

 

三沢の手札から闇の帝王が出現する。その掌撃によってデーモンの顕現は次元の彼方へ消え去った。さらに魂吸収の効果で、三沢のライフが回復する。

 

デーモン LP4000 → 3000

 

三沢大地 LP3400 → 3900 → 4400

 

「墓地のゼータ・レティキュラントの効果が再度発動する」

 

たった一度の攻防で、三沢のフィールドには3体のモンスターが並び、相手のモンスターは全滅した。

タルワール・デーモンもさすがに焦りを感じているようだ。

 

「クッ、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

デーモン LP3000 手札1 モンスター0 伏せ1

三沢大地 LP4400 手札0 モンスター3 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。バトルだ。終末の騎士でダイレクトアタック!」

 

「まだだぁッ! まだ終わらんッ! 《闇次元の解放》を発動。除外されている《デーモンの将星》を特殊召喚する!」

 

「カウンター罠《神の警告》を発動。ライフを2000払い、そのカードの発動を無効にして破壊する。バトルを続行。終末の騎士、続けてガイウスでダイレクトアタック!」

 

 

 

デーモン LP3000 → 1600 → 0

 

 

 

「バ、バカな!? こんなバカなことがあってたまるかぁ!?」

タルワール・デーモンは断末魔の苦悶にのたうち、やがて光の粒子となって消滅した。

とそこで、三沢の背後から声が聞こえてきた。

「まさか、君たちのような戦士が残っているとはな……」

現れたのは精悍な戦士然とした偉丈夫。敵意は感じない。

「む? 貴方、どこかで……見覚えはあるんだが……」

「グレファーさんですね」

戦士なのか騎士なのか、あるいはライトレイなのかカオスなのか。見た限り、ダークではなさそうだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。