ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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第05話 試験の日

アカデミアの教室内にいる生徒は様々だった。

一心不乱にテキストを確認する者。デッキを広げてウンウンと唸る者。腕を組んで悠然と佇む者。

試験が始まるまで後五分。

「だぁー! 間に合ったぁー!」

沈黙を破って飛び込んできたのは水色の髪。ん? ひとりか?

「ギリギリだな、翔。十代はどうした?」

「全然起きなかったッスよ。もう知らないッス。それに今日は皆がライバルッス。遊蓮くんだってライバルッスよ」

……翔ってこんな、ッスッスッスッス言ってたっけか? まあいいや。

時間になりチャイムが鳴ると、前方の扉から大徳寺先生が(ファラオ)を抱いて入室してきた。

配布されたテスト用紙に目を通す。ふむ、まずは攻撃力計算か。

この世界はドレッド・ルートが実質存在しないので、有名な邪神と黒庭のコンボも存在しない。チューナーが存在しないので、もちろんゲイルも存在しない。平和な世界である。

次はチェーンの組み方だな。これも強制効果と任意効果を把握していれば問題ない。

次はカードの読み方(ルビ)か。全20問、これは結構面倒だな。なになに。

 

《神の写し身との接触》

《竜魂の石像》

《虚無空間》

《雷帝神》

《電磁蚊》

 

………

……

 

結局十代は30分ほど遅刻して、テスト用紙を眺めながら頭を抱えて、あげくの果てにいびきをかいて、そのまま終了時間となった。

そして筆記テスト終了と同時に、生徒たちが飛び出していく。

「おい、起きろ二人とも。試験はとっくに終わったぞ」

三沢が一緒になって爆睡していた翔を揺り起こす。十代は慌てた様子もなく、大きく伸びをしてから立ち上がった。やっぱ大物だよ、こいつは。

「あれぇ? 皆はどこに行ったッスか?」

「昼飯か?」

「購買部さ。なんせ昼休みに新しいカードが大量入荷することになってるからな」

でもどうせクロノス先生が買い占めてるんだろ。俺は詳しいんだ。

「よっしゃ! いくぜ翔、遊蓮もいこうぜ!」

「ん? ああ、そうだな」

果たして駆けつけた購買部には、人っ子ひとりいなかった。カウンターに突撃すると、残っていたのは最後の1パック。そこで誰が買うか話していたら、カウンターの奥から恰幅の良い女性がご機嫌な様子で姿を現した。

「あ、今朝のおばちゃん」

「おばちゃんじゃないわよ。トメって呼んで」

「トメさんって購買部のおばちゃんだったのか」

「知り合いかい? アニキ」

「ああ、ちょっとワケありでな」

「そんなことより、ちょっといらっしゃいよ。ふふっ、いいものあるよ、お客さん」

 

 

 

 

 

「さて、実技試験の相手がおまえだとはな」

「まあ、同じオシリスレッドだから可能性はあったけどね。ホントにライバルになるとは思わなかったなぁ」

「手加減はなしだ。いくぜ、翔」

「望むところッス」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「先攻は僕だ、ドロー。永続魔法《未来融合-フューチャー・フュージョン》を発動。モンスターをセットし、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

丸藤翔 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

んー、手札はいまいちだな。

 

「《レプティレス・ゴルゴーン》を召喚。バトルだ。セットモンスターに攻撃!」

 

「セットモンスターは《トラックロイド》、守備力は2000。反射ダメージを受けてもらうよ」

 

音羽遊蓮 LP4000 → 3400

 

「だがゴルゴーンの効果も受けてもらうぞ。トラックロイドの攻撃力は0になり、表示形式の変更ができなくなる」

 

「うっ、そんな効果が……」

 

「カードを2枚伏せてターンエンド」

 

音羽遊蓮 LP3400 手札3 モンスター1 伏せ2

丸藤翔  LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「僕のターン、ドロー」

 

「ドローフェイズに《毒蛇の供物》を発動。《レプティレス・ゴルゴーン》と《未来融合-フューチャー・フュージョン》とその隣の伏せカードを破壊する」

 

「くっ、ならチェーンして対象の伏せカード《チェーン・マテリアル》を発動」

 

チェーン・マテリアルは融合素材モンスターを手札・デッキ・フィールド・墓地から選んでゲームから除外し、これらを融合素材にできる強力なカード。だが当然デメリットもある。このカードを発動するターンは攻撃する事ができず、この効果で融合召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

「ビークロイド専用の融合カード《ビークロイド・コネクション・ゾーン》を発動。チェーン・マテリアルの効果で、デッキから融合素材の《トラックロイド》、《エクスプレスロイド》、《ドリルロイド》、《ステルスロイド》を除外して、EXデッキから《スーパービークロイド-ステルス・ユニオン》を融合召喚!」

 

《スーパービークロイド-ステルス・ユニオン》

星9/地属性/機械族/攻3600/守3000

 

「僕はこれでターンエンド。エンドフェイズにチェーン・マテリアルの効果で融合召喚したモンスターは破壊されるけど、ビークロイド・コネクション・ゾーンで融合召喚したモンスターは効果では破壊されない」

 

丸藤翔  LP4000 手札2 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP3400 手札3 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。モンスターをセットしてターンエンドだ」

 

音羽遊蓮 LP3400 手札3 モンスター1 伏せ1

丸藤翔  LP4000 手札2 モンスター2 伏せ1

 

――――――――――――

 

「僕のターン、ドロー。防戦一方ッスか。なら攻めるッスよ。《ドリルロイド》を召喚してバトルだ! ドリルロイドでセットモンスターを攻撃!」

 

ドリルロイドは守備モンスターを攻撃した時、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊する効果を持っている。《レプティレス・ナージャ》は戦闘では破壊されないが、効果破壊には無力だ。

 

「続けてステルス・ユニオンで攻撃! ハイパー・ブロウクンマグナム!」

 

「甘いな、翔。《次元幽閉》を発動だ。ステルス・ユニオンを除外する」

 

「じょ、除外!? くぅ、なら僕はこれでターンエンドッス」

 

丸藤翔  LP4000 手札2 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP3400 手札3 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《強欲で金満な壺》を発動。EXデッキのカードをランダムに6枚、裏側表示で除外し、デッキからカードを2枚ドロー。《レプティレス・ガードナー》を召喚」

 

「攻撃力0のモンスターを攻撃表示で?」

 

「壁にするつもりだったんだろうが、トラックロイドを残しておいたのは失敗だったな。攻撃力0の《レプティレス・ガードナー》と《トラックロイド》をリリースして《レプティレス・ヴァースキ》を特殊召喚」

 

「なっ!? 僕のモンスターをリリース!?」

 

「ヴァースキの効果発動。《ドリルロイド》を破壊する。バトルだ、ヴァースキでダイレクトアタック!」

 

丸藤翔 LP4000 → 1400

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

音羽遊蓮 LP3400 手札2 モンスター1 伏せ1

丸藤翔  LP1400 手札2 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「僕のターン、ドロー。《ネジマキシキガミ》を守備表示で特殊召喚。このカードは僕の墓地のモンスターが機械族モンスターのみの場合に特殊召喚できる。そして効果発動。《レプティレス・ヴァースキ》の攻撃力をターン終了時まで0にする。続けて《スチームロイド》を召喚。バトルだ! スチームロイドでヴァースキを攻撃!」

 

スチームロイドが頭上の煙突から白煙を上げながら距離を詰めてくる。振りかぶった車輪の一撃でヴァースキが粉砕された。

 

「スチームロイドが相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。つまり攻撃力は2300!」

 

音羽遊蓮 LP3400 → 1100

 

「僕はこれでターンエンドッス」

 

丸藤翔  LP1400 手札1 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP1100 手札2 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。今、俺の墓地には《レプティレス・ゴルゴーン》、《レプティレス・ナージャ》、《レプティレス・ヴァースキ》の3体の闇属性モンスターがいる」

 

ちなみに《レプティレス・ガードナー》は水属性だ。

 

「闇属性が3体……まさか!?」

 

「滅びの呪文ボチヤミサンタイ、現れろ《ダーク・アームド・ドラゴン》!」

 

《ダーク・アームド・ドラゴン》

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守1000

 

「ダーク・アームド・ドラゴンの恐るべき効果。墓地の《レプティレス・ゴルゴーン》を除外して伏せカードを破壊する」

 

黒竜のブレスで破壊されたのは《スーパーチャージ》。そういえば発動する機会はなかったな。2枚ドローは魅力的だが、発動条件がけっこう厳しいんだよなぁ。最初のターンに伏せた《トラックロイド》を表側で出してたら発動できた可能性はあるが。

 

「続けて《レプティレス・ナージャ》を除外して《ネジマキシキガミ》を破壊、《レプティレス・ヴァースキ》を除外して《スチームロイド》を破壊」

 

「僕のフィールドが……がら空きに……」

 

「バトルだ。ダーク・アームド・ドラゴンでダイレクトアタック! ダーク・アームド・バニッシャー!」

 

 

 

丸藤翔 LP1400 → 0

 

 

 

「うー、やっぱり勝てなかったかぁ」

「やっぱりってなんだよ。良い勝負だったじゃないか。お、あっちも決着したみたいだぞ」

「え? ホントだ。アニキが勝ったんだ、やったぁー!」

翔の斜め後ろでデュエルしていた十代と万丈目も終わったようだ。十代はいつものガッチャのポーズ。万丈目は膝をついて項垂れている。

勝敗は一目瞭然だった。

 

 

 

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