ナニカ違う転生GX   作:乾燥海藻類

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第06話 父子の戦い

試験の結果、俺はラーイエローに昇格する事が認められた。

筆記試験はオシリスレッドの中ではトップ。実技試験も勝利を収めたので、これ以上ないとも言える結果だった。

俺は十代のようにレッドに拘りはないので二つ返事で了承した。

「いやー、やっぱ個室は良いな」

二人部屋ってのはやっぱり気を遣うし、十代たちに至っては三人部屋だからな。パーソナルスペースを確保するのも一苦労だろう。

ついでに言うと変なトラブルにも巻き込まれずにすみそうだし。

――と、そこで部屋のドアがノックされた。

「はいはい、なんだ三沢か」

「ふっ、どうだ? イエロー寮には慣れたか?」

「まあな。個室だし、食事もレッド寮とは大違いだ」

「そうか。ご機嫌なのは結構だが、悪い知らせがある」

「十代たちのタッグデュエルの件か? あれならまだ先だろ?」

原作通り、あいつらは廃屋に乗り込んでタイタンとデュエルしたらしい。で、立入禁止の場所に踏み込んだ罰則として、退学を賭けて翔と二人でタッグデュエルをすることになったのだ。

「それとは別件だ。なんでも前田くんが自主退学するらしい」

「前田……ああ、隼人か」

考えてみればあんまり話したことはなかったな。あいつ滅多に部屋から出てこないし。ま、良い機会だ。関わりに行くか。デス・コアラが攻撃表示で出されるのも忍びない。

 

 

 

 

 

「はーい、どちら様……って遊蓮くんか。どうしたの?」

「邪魔しに参った」

「ええぇ……今忙しいんだ。邪魔するなら今度にしてよ」

「冗談だよ。隼人の件は聞いた。俺も協力しようと思ってな」

「ホントに? そういうことなら大歓迎だよ。入って入って」

翔に促されて部屋に入ると、中では十代と隼人が床にカードを広げてウンウンと唸っていた。そこに俺と翔が腰を下ろし、車座になってカードを囲む。

「今僕がこのカードをプレゼントしたところだったんだ」

「俺はこのカードだ。攻撃力4200のちょー強力な融合モンスターだぜ」

「ふむ、じゃあ俺はこのカードを贈ろう。攻撃力がさらにアップする強力なカードだ」

「ゆ、遊蓮……。おまえとはあんまり話したことなかったけど、いいヤツなんだな」

隼人が袖で涙を拭う。涙もろいヤツだな。

「じゃあ戦術を練るか。とりあえず自分の使うカードの効果は把握しておけよ。間違ってもデス・コアラを攻撃表示で出したりするんじゃあないぞ。モンスターは……やっぱり獣族が主体か。じゃあこのカードも入れよう。この魔法も入れた方が良いな。罠は一手遅れるから、このカードは悩みどころだな。ああ、これならブラフとして機能するかも。隼人はどう思う?」

「え? 俺? うーん、ど、どうなの、かな?」

「おいおい、おまえのデッキなんだから、ちゃんと考えてくれよ。とりあえず入れてみて回してみるか。俺が隼人の後ろに付くから十代、相手してやってくれ」

「おお、デュエルか! いいぜ、やろうやろう」

こうして俺たちは明け方まで調整とデュエルを繰り返した。

 

 

 

 

 

「よくきた隼人。だが体調不良は言い訳にはならんぞ」

隼人の目蓋は錘がついたように半分下がり、半眼になっていた。身体の動きもいつも以上に鈍重に見える。

「眠そうッスね隼人くん。僕も眠いけど。ふぁぁ~」

「結局デッキの半分くらいが遊蓮の持ってきたカードになったな。あれは隼人のデッキって言えるのか?」

「最終的には隼人も了承したじゃないか。それに回すのは隼人なんだから隼人のデッキだろうよ。おっと始まるみたいだぞ」

「ではこのデュエル、僭越ながらこの私、大徳寺が立ち会い人を務めさせてもらうニャ。前田熊蔵さん、もしこのデュエルに負けたら、隼人くんがこの学校に残ることを許していただけますかニャ」

「よか! 男に二言はないでごわす」

「うん。隼人くん、もしこのデュエルに負けたら、潔く退学してご実家の造り酒屋を継ぐこと。いいかニャ」

「俺は構わないんだな」

「うん、よろしい。では悔いの無いよう、思う存分戦うニャ」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「俺のターン、ドロー。モンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンドなんだな」

 

前田隼人 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「おいのターン、ドロー。魔法カード《カード・アドバンス》を発動。デッキの上から5枚を確認し、好きな順番でデッキに戻す。さらにこのターン、おいは通常召喚に加えて1度だけモンスター1体をアドバンス召喚できるようになるが、そんなものはどうでもよか。見せてやろう、二の太刀要らずの薩摩示現流! 手札を1枚捨て《一撃必殺!居合いドロー》を発動!」

 

「んなっ!? これが薩摩示現流の一撃必殺の極意!?」

 

「確かに決まれば一撃必殺ッスけど」

 

「まあ決まるだろうな。そのための下準備までしたわけだし」

 

「隼人くんのフィールドには3枚のカード。決まれば6000のダメージなのニャ」

 

一応隼人のデッキには効果ダメージの対策カードも何枚か入れてあるが、それを引けたかどうかだな。

 

「うう、チェーンして《ダメージ・ダイエット》を発動なんだな。これでこのターン、俺が受ける全てのダメージは半分になる!」

 

「よか。では効果処理を続けるぞ。デッキの上からカードを3枚墓地に送り、その後1枚ドローし、お互いに確認する。――チェストォォッ!!」

 

耳をつんざくような気迫とともに引き抜かれたカード、それは――。

 

「おいがドローしたのは……《一撃必殺!居合いドロー》! そしてドローした《一撃必殺!居合いドロー》を墓地に送り、フィールドのカードを全て破壊する。その後、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの数×2000ダメージを相手に与える」

 

前田隼人 LP4000 → 1000

 

「けどただでは倒れないんだな。セット状態で相手に破壊された時、《天威無双の拳》は効果を発動できる。EXデッキから効果モンスター以外のモンスター1体を特殊召喚する。来るんだな、《マスター・オブ・OZ》!」

 

「むぅ、そんなカードを伏せていたとは……。モンスターをセットし、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

前田熊蔵 LP4000 手札1 モンスター1 伏せ1

前田隼人 LP1000 手札3 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺は負けない。俺のターン、ドロー。《デス・カンガルー》を召喚してバトル! デス・カンガルーでセットモンスターを攻撃!」

 

「伏せカードをまるで警戒せんとは、たるんどるッ! 《聖なるバリア-ミラーフォース-》を発動! 相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

眩い閃光に包まれて、カンガルーとコアラが消え去った。

 

「ああ、俺のモンスターが、全滅……」

 

「このターンで決めたかったのかもしれませんが、少し焦りすぎましたニャー」

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンドなんだな」

 

前田隼人 LP1000 手札1 モンスター0 伏せ2

前田熊蔵 LP4000 手札1 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「おいのターン、ドロー。《ジェネティック・ワーウルフ》を召喚。バトルだ! ジェネティック・ワーウルフでダイレクトアタック!」

 

「その攻撃を通すわけにはいかないんだな。《ヒーロー見参》を発動。自分の手札1枚を相手がランダムに選び、それがモンスターだった場合、自分フィールドに特殊召喚し、違った場合は墓地へ送る」

 

「おお、あれ俺が選んだカードなんだぜ!」

 

自分の贈ったカードが使われたことで十代が色めきだつ。隼人の手札は1枚。選ぶまでもなく、手札から《ビッグ・コアラ》が特殊召喚された。

 

「ぬぅぅ、攻撃力2700か。おいはこれでターンエンド」

 

前田熊蔵 LP4000 手札1 モンスター2 伏せ0

前田隼人 LP1000 手札0 モンスター1 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。よしッ! これなら。《ビッグ・コアラ》を対象に、魔法カード《野性解放》を発動。ビッグ・コアラの守備力を攻撃力に加算するんだな」

 

《ビッグ・コアラ》 攻撃力2700 → 4700

 

「野性解放……確かに強力なカードだ。だがそのカードにはデメリットもある。ちゃんと把握しているんだろうな、隼人」

 

「もちろんなんだな。だから、このターンで終わらせる! ビッグ・コアラでジェネティック・ワーウルフに攻撃、ユーカリ・ボム!」

 

「このターンで終わらせるだと? 何を考えている、隼人!」

 

「伏せていた速攻魔法《コンセントレイト》を発動! ビッグ・コアラの攻撃力をさらに守備力分アップするんだな!」

 

《ビッグ・コアラ》 攻撃力4700 → 6700

 

「なんだとッ!? ぬわぁぁー!」

 

 

 

前田熊蔵 LP4000 → 0

 

 

 

「見事だ、隼人。腑抜けたとばかり思っていたが、最後に意地を見せたな」

「ううん、違うんだ父ちゃん。俺ひとりじゃ勝てなかった。みんなのおかげで勝てたんだ」

「そうか。良き友を得たな。大徳寺先生、そして君たちも、不肖の息子だが、よろしく頼む」

巨漢の男が大仰に頭を下げる。さすがは薩摩隼人、潔い。

「へへっ、任せといてくれよ。俺が隼人を立派なデュエリストにしてやっからよ」

「まぁたアニキってば調子に乗って」

「ともあれ、これで一件落着なのニャー」

最後は能天気な声が道場に響き渡った。

 

 

 

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