マリルリは新しくじゃれつくをおぼえたい……!いい加減、格闘技を忘れて水フェアリーの自覚を持ちませんか?   作:ネイティオ神父

1 / 1
マリルリは新しくじゃれつくをおぼえたい……!いい加減、格闘技を忘れて水フェアリーの自覚を持ちませんか?


vsイシツブテ

彼女は前々から思っていた。マリルリという一介の水棲生物が、ばかぢからなんていう特殊カテゴリーの格闘技を持つのは間違いだと。だって、知ってるか?特殊技って……非接触技なんだぜ。

 

「この体にもだいぶ慣れた。いまだ人間の頃の記憶は戻らない。だが、人間としての心を捨てた事は片時もない。つまり目の前でいじめられてるポケモンを救わないという選択肢は私にはないのだ。言い訳終了、きぜつしても恨むなよ石礫ども。波ァァ!!」

 

金色のマリルリが正拳突きの構えで「りっっ!!」って叫んだ。ちょこんと一度突きだされた掌は等身大の青い弾丸となって飛翔、直線上10m先にいるオスどもを襲撃せんと迫った。

 

「ダメじゃないかぁールリリちゃ~ん。マリルちゃ~ん。洞窟は俺たち《イシツブテ》の縄張りなんだぜ?」

「そーだそーだ、出ていけー!」

「ほらほら、たいあたりするぞ!勝負するかい?きみらのたいあたりはウチらに効かないけどな!ウケケケ!」

 

イシツブテ3匹がルリリとマリルをいじめていた。洞窟は確かにイシツブテやゴローンらの縄張りであるが、少し通ろうとしただけでこれだ。レベルの低い者や接触カテゴリーのノーマル技しか持たない者は彼らに阻まれ、隣町にもいけやしない。そういった事実は、この世界では何処にでもあるのだ。彼女らとて理解はしていたのだ。だがどうしても行かなければならない理由があったのであろう、彼女らは洞窟へ踏み入ってしまった……!

 

「お姉ちゃん!怖いよおー!」

「くっ、ルリリに手は出させないぞ!あたしの"あわ"をくらえ!」

 

ルリリははねるしかできない。なにもおこらない。マリルがあわで対抗するも威力が低い。三匹中二匹のイシツブテにあわを当てたが、レベル差なのか少ししか効かないみたいだ。

 

「やってくれたな。お前ら、たいあたりだ!」

「なめやがって!くらえおらー!」

「岩落としは勘弁しといてやるよ。沈めやこらー!」

 

最悪の群れバトルがはじまってしまった。3対2だから、ぎりぎりローテーションバトルだろうか。味方が1枠足りないが。1ターン分のあわを吐き尽くしたマリルは息を切らす。万事休す。ついにイシツブテ達のたいあたりが迫る。

 

「りっ!!(波ァァ!!)」

 

その時、一匹のイシツブテが吹き飛んだ。目を回し、起き上がらない。戦闘不能だ。

 

「何!?はかいこうせんか……!?誰がおぐはぁぁ!?」

 

唐突の乱入に全員がひるみ、イシツブテがもう一匹吹き飛んだ。目を回し、起き上がらない。戦闘不能だ。

 

「くっ!!俺は生まれつき頑丈な方なんだ!!絶対に耐えて見せぐおおお!?」

 

地面を抉りながら光球が迫り来る。バリバリと雷を纏う青い弾丸をがっしりと受け止めるイシツブテだが、無情にも弾丸は彼の懐で炸裂した。

 

「ぐおあっ……この、誰だか知らんが調子に乗るなよ!死ねい!必殺・岩なだれッッ」

 

両手に三つずつ、計6個の大きな丸岩を持ち上げるイシツブテにぎょっとするマリル。あんなものを食らえばあたし達なら死ぬ。いま助けてくれた誰かが強いポケモンでも、あれを投げつけられたら大怪我をしてしまうだろう。あわを、あわを出してとどめをささなければ!

 

しかしマリルは動けない。圧倒的質量に対するひるみがマリルを襲う。ルリリも青ざめてマリルにすがりついていた。そして光球が飛んできた方向へと返すように、放たれる岩なだれ。

 

どかん!どかん!どががん!がん!がん!

 

「当たったのが見えたぞ!仕留めたッ!」

「残念だったね。それ……影分身なんだ」

 

マリルリがイシツブテの背後にあらわれる。

 

「金色のマリルリだと?まさか、あの光球は格闘技の『ばかぢから』か。貴様は尋常の野生個体ではないな。何者だッ!!」

「きみに名乗るニックネームはない。くらって眠れ、それ!いわくだきっ」

「また格闘技グボァァ!?」

 

吹き飛ぶイシツブテ。壁に叩きつけられ、三匹のイシツブテが重なった。しかしそこへ新たな乱入者が現れる。どうやらそれは、イシツブテ達の味方であるようだ。

 

「うるさいのう、こわっぱどもが。我をゴローニャと知っての狼藉であるか。……ふん、マリルリか。お外の水タイプが岩タイプばかりの洞窟で幅を利かせようって気かよ。だが我には効かんぞ。このきのみを見よ」

 

「変な形のきのみだね。くれるの?マリルリも食べた事あるけど、それ美味しくないから嫌い」

 

「ほざいているがいい。ころがる!!」

 

「影分身」

 

「ちっ厄介な技を……」

 

「グロウパンチ」

 

「ころがる!!」

 

「グロウパンチ」

 

「ころがる!!」

 

「きみ、その技しかないの?グロウパンチ」

 

「ぐ……強い技もあるにはあるのだぞ。我は相当優秀な個体らしいからな。ただ、ここでじしんとかだいばくはつしたら洞窟壊れちゃうし……ええい当たれ!ころがる!!」

 

「分身沢山積んであるから当たらないと思うよ。あとマリルリも相当優秀な個体だから対等、きみのアドバンテージは相殺だね。そろそろ落ちて。グロウパンチ」

 

「ウグ……ぐはっ。貴様は水タイプだろう。なぜ水技を使わないのだ!?イトケの実の意味がないではないか!」

 

「水技覚えてないんだからしょうがないじゃん。持ってる技で戦うまでだよ」

 

ついにゴローニャは膝をつく。

 

「マリル達が通りたいみたいなの。何か急ぎの用でもなけりゃウチらも此処は通らないからさ、今回は通っていいかな」

 

「ああ……我が負けたんだから仕方あるまい。行け。仲間のイシツブテやゴローン達にも手出ししないよう、地ならしの合図で伝えておくよ。ズバットどもは自分らで何とかしな」

 

マリルリの助けにより、マリルとルリリは洞窟を無事通り抜け、モモンの実を持ち帰る事ができた。彼女らの母が毒にかかって倒れてしまったのだそうだ。だから彼女らは洞窟を通ろうとしていたのだ。

 

「一件落着ね」

 

マリルリは更に洞窟を潜ると、幾つかの手頃な岩にいわくだきをした。星の欠片か金のたまはないかな。あれを集めてデパートに行くと、仲のいい人間たちはあたしを捕獲もせずに美味しいポフィンやポロック、現金等と交換してくれるのだ。金色の拳闘士マリルリのひそかな日課である。じゅるり。この場所に限り、顔馴染みのゴローン達には賄賂のポロックで餌付け済みだ。ゴローンさえおさえれば鬱陶しいイシツブテどもを退散させてくれるのだから便利なものである。

 

後日マリルリは、のしてしまったゴローニャにライバル認定され、ついでにビアーの実を貰った。美味しかったのでお返しにフエンせんべいをあげたら、「マリル達の母はこのせんべいでも直せたのでは?」と突っ込まれた。

 

はっと気付いたマリルリの反論は「……しょうがないじゃん。知らない子のお家の事情なんて知らなかったし、アレはアレで貴重なんだから他人にタダであげたくないもん!!」という苦しいものだった。

 

マリルリは短い手でぽこすかとゴローニャをなぐりつけた。危うくじゃれつくの技を覚えそうになるマリルリだったが、彼女の精神的なタイプは格闘単色。マリルリはじゃれつくを覚えずにおわった。その後この二匹の間に平和な時が流れはじめるのは、必然であった。

 




◆金色マリルリの構成
影分身、ぐろぱん、秘伝のいわくだき、ばかぢからを習得。雌個体、まじめ、特性はちからもち、レベルは20くらい。国際孵化により色違い。

近くの敵にはいわくだき、遠くの敵にはばかぢから。幸か不幸かAが抜けておらず、ABSはV。ばかぢから砲を使わせると驚異的。本編のゴローニャのような強い敵には、分身を積んでひたすらグロウパンチを重ねてゆく。避け続けて当て続ければ大体勝てるのだ。お化けだけは大の苦手である。

ちなみにばかぢからは接触物理系らしいですが本当でしょうか。RSEのエフェクト的にどうみても非接触特殊系じゃんと常々思っていましたごめんなさいマリルリ様。この作品のばかぢからは非接触のエネルギー弾みたいなものです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。