てことで、なるべく週一で投稿できるようにします。
四連休、何してますか?僕は、ずっと勉強です。
この作品を読んでくださってる方は学生さんが多いかな?
ま、そんなことはどうでもいいですよね。いつも読んでくださってありがとうございます!
それじゃ、10話です。どうぞ!
さて、問題だ。今俺はアルゴに頼まれあるところに来ています。どこでしょう? 正解は……
「全く、危なっかしいんだよ。ここ」
25層の迷宮区。最近多発しているという『宝箱トラップ』の実態と対策法を調査しに来ていた。
「にしても厄介だよな。こいつの存在を知らせとかないと、中層プレイヤーがどうなるかわかったもんじゃない」
そう。いまさっきまで『宝箱トラップ』の相手をしていたのだが、無知でボーナストラップだと思って開けたら確実に死ぬ仕組みになっていた。
少なくとも2層、最大で5層上のモンスターがほぼ無限湧きに加え、トラップを止めるまでは脱出不可能、結晶も無効化の鬼畜仕様で、安全マージンを取ってたとしても、攻略組ですら死にかける位危ない。まぁ、恐らくこれを単独で突破できそうなプレイヤーは3人だな。
今日は5月28日。最前線は1層進んで29層。ちょくちょくキリトに会っては話を聞いているが、6月以降は25層以降にレベリングしに来る可能性があると言っていた。それまでに、このトラップはプレイヤーが触れないようにしなければならない。
〔月夜の黒猫団〕が全滅したのは、27層。そこまでの調査を、今日で終わらせる。睡眠時間はない。そうでもしないと、間に合わない。だから、急ぐ。
「ここで彼らを死なせる訳には行かない。でも、攻略組に参加させるのは論外だ。悪い、キリト。彼らに死ぬ恐怖を与えさせてもらうよ」
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「どうしてこうなった……」
今日は6月
事の発端は昨日、迷宮区でのことだ。前日までに、アルゴに頼んで『weeklyArgo』で迷宮区のトラップのことをアインクラッド内に広めてもらった。しかし、それだけでは心許ないと迷宮区に入ってトラップを片っ端から潰していたのだが、別の場所にあったトラップに入っていく5人組を見つけ、追いかけたら、彼らだった。
どう切り抜けたかというと、全ヘイトを俺が買い、キリトにアタッカーを頼むというもの。他のメンバーに攻撃しようとしたMOBは背後から切り伏せ、1発もダメージの入らないようにした。
結果的には、経験値ウハウハの狩りで終わったようなものだ。
パーティーを組んでいたキリトより、俺の方が経験値が多かったのは言わずもがな。そして、キリトから
「このメンバーを帰すまででいいから、一緒に来てくれないか」
と言われ、それを無言で了承して迷宮区外まで送り、その場で別れようとしたが、その後が問題だった。
帰ってこないメンバーを心配したケイタが、迎えに来たのだ。そして、ササマルが経緯を説明したことで、ケイタの目が光り、
「お礼も兼ねて、一緒に食事でもしないか?」
と言われたのだ。断る理由もなかったので、その場返事で了解したが、少し後悔している。
そして、今に至る。食事が一段落して、ケイタが話し始めた。
「レイジさん、ありがとう。今日はメンバーが助かりました」
「別にいいさ。それで、俺をここに呼んで何をしたいんだ?」
「いや、1つ聞きたいこととお願いがあって……」
「俺のレベルと引き込みが要件か?」
「……っ! えぇ、そうです。ちなみに、どれくらいなんですか?」
「硬っ苦しいぞ。敬語じゃなくていい。詳しい数字は言えないが、40は超えてる。そこの黒い人と一緒でな」
「っ! おい、レイジ!」
「今話さないでどうするんだよ。いい機会だ。話しておいた方がいい」
「だからって!」
「どうしたんだ? 2人とも。知り合いなのか?」
周囲の面々がレベルを聞いて驚く中、少しの言い争いを潜り抜けてケイタが聞いてきた。
「おい、キリト。5月の初めに話すって言ってたのに、なんでまだ話してないんだ?」
「……分かった。今ここで話すよ。俺の事。レイジとの関係のことも含めて全部な」
そこから、キリトは淡々と話し始めた。自身がレベルを隠して関わってきたこと。攻略組の一員であること。そして、俺達2人がビーターと呼ばれていたこと。
それを話した後は、深い沈黙が場を包んだ。全員が動揺を隠せずにいた。その沈黙を、サチが小さい声で破る。
「……私は、知ってたよ。キリトのレベルが本当はもっと高いこと。そして、それを隠して私達に付き合ってくれていたこと。なんでそこまでしてくれるのかは分からなかったけど、とにかく、キリトが強いことが、嬉しかった」
「サチ……」
「だからね、キリト。私は別に、キリトを責めたりしない。だからさ、キリト。こんな所じゃなくて、もっとみんなのために戦ってあげて。そして、私達がここにいる意味を探して」
その言葉は、本来ならここで言われることではなかった。もっと悲しい結末とともに、キリトの心を立ち上がらせるものになるはずだった。だが、俺が変えた。ここにいる5人の命を救うことが出来たから、タイミングが変わった。
「……正直、頭が追いつかないよ。キリトの強さの理由は分かったけど、どうしてここまでやってくれたとかは、分からない。だけどさ、君がここにいるべきじゃないことは分かった。だから、先に進んでくれ。キリト。僕達が足止めして悪かった」
そう、ケイタが言う。その言葉を聞いたキリトは、申し訳なさそうな顔をしながら、「分かった」と一言頷き、俺の方を見た。意志の力がこもった目が見える。それさえ見れれば、もう十分だ。
「……俺は、ここで行かせてもらうよ。サチの前衛転向の件も、キリトから話を聞いていたが、もう一度みんなで話していた方がいいと思うぞ。それじゃあな」
「……レイジさん!」
「なんだ? もう、言うこととかはないだろ?」
「僕達は、攻略組になることは諦めるつもりは無い。だけど、歩みを急がないようにするよ。今回、仲間を失うかもしれない怖さを味わった。だから、誰も死なないで元の世界に戻れるよう、強くなろうと思う。また、どこかで会えた時は、共に戦えるようになっているよう、頑張るよ」
「……そうか。ぜひそうしてくれ。また、どこかで会おう」
そう言って、俺は歩く足を進める。次はもう止まらないだろう。そうして、俺はホームに向かう。一つだけ残念に思いながら。
「……結局、攻略組を諦めさせることは出来なかったか。まぁ、これで良かったのかもしれないな」
そう、これで良かったのだ。彼らを生かすことは出来た。俺の知る犠牲者は、5人は減らせた。
「明日は、攻略会議だっけか。キリトも誘おうかな」
それを思い出し、ふと気になることが出来る。キリトは、たまに前線に来ることはあっても、ボス攻略は2、3度は参加してない。
アスナも、それには相当思うところはあったようで、
「次参加した時は、ずっと攻略に励んでもらいます」
と言っていたっけ。
このまま攻略が続いて、いずれ75層でキリトがヒースクリフを相打ちに取ったら、俺はどうなるのだろうか……。キリトとアスナのその後も、リズベットやシリカといった面々も、見届けることは出来ないのだろうか……。
「どうにかして、この世界に残りたいとも思う。でも、俺のいたあの世界に、やり残したことはまだ沢山ある。俺はどっちがいいんだろうか……」
〜??? 〜
「何をしているのだろう? キリト君が今いるのは……29層か。他のプレイヤーの反応もあるな。これまでのパターンからすると、ここから2日以内に30層が開放されるかな」
都内某所にて、この世界の傍観者は言う。彼は、本当の意味で傍観者だった。彼には、ここまでが限界だった。SAOに囚われたプレイヤーを助けるという使命を受けながらも、何も出来ないことが歯がゆい。
「にしても、茅場晶彦がこのようなものを作ったのは、僕の目的にとっても大きな役目を果たすだろう。その前に、人材と場所を集めないとな……」
そう、彼には目的がある。この世で無駄な血を流さないようにするため。自衛官として、何としても果たしたい目的がある。
「いや、目先の仕事に取り掛かろうか。とりあえず、残っている被害者は首都圏の病院に移すことは確定として、しばらくは様子を見るしかないだろうな」
傍観者の彼が、いずれキリトやレイジの手を借りる日は、流星の流れた日の後となるだろう。
さて、今回は前回に続いて、月夜の黒猫団の話でした!
タグ通り、月夜の黒猫団は生存です。ディアベルは残念でしたが…。次の出番は、ALO編までないかな?
次で、話は一気に進んでシリカ編まで飛びます。
その間のエイジ、ユナの話は、少し変わります。ここで話しておきますね。
まず、ユナは生き残ります。死ぬ直前でレイジが間に合ってMOBを全滅させます。主人公強し!
そして、エイジは血盟騎士団脱退、2人で一緒に中層で過ごすことになります。ユナの歌活動もまだまだ続いていくので、低層〜中層のプレイヤーの心の支えは残ります。ユイのエラーも、少しは軽減されると思われます。
っと、こんな感じでしょうか?
今回も駄文感が否めませんね。
今回はありがとうございました。次回もよろしくお願いします!