ソードアート・オンライン〜灰の冷剣〜   作:イナミル

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宣言通り!出しますよ!
スケールダウンの3000字。前回に比べると2分の1くらいです。
今回で、シリカのお話は終わり!レイジ、キリト両名の2つ名も出ますよ!実は、題名の方の2つ名は全体で使われてるけど、もう片方はあんま使われてなかったり…。本題に入りましょうか。
それじゃ、12話です!どうぞ!


12話:冷たい空気と流れない血

「さぁ、オレンジ共。制裁の時間だ」

 

 そう言い放ち、じりじりと近づいていく。オレンジの奴らはまだ来ない。自分たちのリーチに入ったところを叩き込むのだろう。

 

「レイジさん! 何してるんですか!? キリトさん! 助けに行かないんですか!?」

「大丈夫だって。だって、レイジだからな」

 

 そう言ったキリトの声に反応して、ロザリアの近くのひとりが反応する。

 

「キリト? レイジ? 嘘だろっ!? そんなことねぇって……」

「リュウジ、どうしたんだい! アンタがいつも襲撃のリーダーやってんだ! 早く指示出して、奴らを殺しな!」

 

 リュウジと呼ばれたプレイヤーが、ロザリアに言う。

 

「この前圏内で新聞配ってたから見たんすよ! 黒のロングコートに盾なしの片手剣。あいつ、キリトって野郎で、攻略組なんです! いや、もっとヤバいのはもう片方の方で……」

「攻略組がこんなところいるわけないでしょ! さっさとHP削って、身ぐるみはいじゃいな! 最初は灰色の方からよ!」

「待ってくださいロザリアさん! おい、お前ら! やめろっ! そいつは! そのレイジって男は!」

 

 説得虚しく、残りの9人全員が突撃してくる。それぞれが深紅、空色、黄緑と多彩な色を纏い、それぞれの剣先が俺の体をかすめる。さてさて、お手並み拝見というところか。

 

「助けなきゃっ! キリトさん! 助けにっ……」

「いいから、レイジのHPバーを見てみな」

「そんなこと言ったって……あれっ?」

(減ってない! いや、減ってるけど、すぐに元に戻ってるっ!)

「でもどうして……

「それを今から証明してくれるさ」

 

 それから、1分ほど切られたが、つまらないものだ。ヒヤッとさせられる攻撃が1つと言ってない。俺のコートが硬いのもあるが、それ以前に攻撃力が弱すぎる。ロザリアの裕福な生活に全部コルを使っているのか、武器も貧弱だ。全く、こんな武器

 

「装備されるのが可哀想だな」

 

 パリィンパリィンパリィンパリィン……

 

 瞬時の抜き打ちで全員の武器の刃を折る。まぁ、この武器でしか出来ないが。

 

「んなっ!? 何が起きたっ!?」

「何、簡単なことさ。全部の武器を折ったんだよ。こいつでな」

「そんなんありかよ……」

「ありなんだな。これが」

 

 奥で呆気に取られてこちらを見ているロザリアに、その横の男が足をガクガクさせながら、話し出す。

 

「だからやめろって言ったんだ……。忠告しただろ……。あいつにあったオレンジの奴らは全員牢獄送りになってるんだよ……」

「おっ、詳しいな。なら、俺がなんて呼ばれてるかも分かるな」

「当たり前だろ……。オレンジに対して冷たい態度、圧倒的な剣技。それを裏付ける攻略組としての力。25層の時だってそうだ。〔ALS〕のメンバーが多数死んだのに攻略を始めたのはお前が最初だった。だからこそ、見た目も相まって呼ばれてんだ」

 

「そうだろ。灰の冷剣」

 

 

 パチパチパチパチ

 

 まさか全部話してくれるとは思わなかった。オレンジなのにそこまで新聞の情報があるってことは、最近までグリーンだったってことだ。まぁ、オレンジなので牢獄行きだが。

 

「先週くらいから呼ばれたんだけどな。それ。結構気に入ってんだよ。まぁ、死人に口なし。こんなとこで話してもなんの意味はないか」ゴソゴソ

 

 そう言って、俺はサイドポッケを開き、中から転移結晶より一際青い結晶を取り出す。

 

「これは、依頼人が全資産。それも自分の武器合わせてだ。売り払って買った回廊結晶だ。とりあえず、牢獄の方に繋いでるから全員飛んでもらうぞ」

「いっ、嫌よ! 第一、アンタが私を無理に連れ出そうとしたら、ハラスメントコードが発動してアンタが牢獄に……」

 ザッ、ヒュンッ

 

 いちいちうるさいな。それくらいは分かってんだ。そんな思いを抑えながら喉元に近づけた剣をさらに近づけ、威圧感を込めて言い放つ。

 

「俺は基本的にソロだからな。1日2日。なんなら1週間オレンジでも、問題ない。だから、やろうと思えばここでアンタの首を落としてさっきの剣みたいにできるぞ。どうする?」

「あっ、あっ……」

 ポロンとロザリアの手から槍が落ちる。戦意は喪失した。これでもう依頼達成。全員送っておしまいだ。

 

「……コリドーオープン。さぁ、全員入れ」

 

 ぞろぞろと、オレンジ共が門をくぐる。ロザリアまでが入ったところで、門番の〔ALA〕……まぁ、軍だ。そこに任せて門を閉じる。閉じたところで、シリカとキリトが駆け寄ってくる。

 

「レイジさん!!」

「アハハ。悪いな、シリカ。餌にするようなことして」

「それはいいんです! それより、2人が攻略組ってのは本当なんですか?」

「それは、紛れも無い事実だよ。それで、疑問のように感じてたらしいけど、キリト、どうかしたのか?」

「あぁ、いや、HPの自動回復を見て、シリカが不思議そうだったから、解説してやれよ」

「あっ、そうですよ! なんですかアレ? HPが減ったところから一気に全快してた気がするんですけど……」

「それは、スキルと装備のどっちも関係あるな。まず、スキルの話からしようか」

 

 ◇

 

 

 実は、自動回復をしてたのは、戦闘時回復(バトルヒーリング)ってスキルのおかげなんだ。今の俺の熟練度だと、10秒で700くらい回復する。しかも、スキル欄に現れるのが、最初に回復してからってお手軽な出現方法なんだ。だから、初期の方から取ってる人は、もうスキル熟練度が1000に届いてるんじゃないか? 俺が取ったのは6個目くらいだから、まだまだ遅いけど。

 

 

 ◆

 

「へぇ、そのスキルは見た事ありましたけど、そんなものなんですね。でも、あげるのってどんな感じなんですか?」

「ここは、俺より熟練度高いキリトに聞いたらいいよ」

「えぇっ! そこで俺に振るのかよ! ……シリカ、あまりにも危険だから、あんまオススメしないんだけど……」

「はい。でも、一応聞かせてください」

「……このスキル、HPが回復する度に上がるんだよ。しかも、上がるのが地味に遅いんだ。だから、俺達みたいな攻略組じゃない限り、上げるのが難しい。しかも、一気に上げようとしたら、レッドゾーンまでHPを落とさなきゃ行けないから、危険なんだ」

「……わかりました。一応、私にはピナが居るので、回復に困ったことは無いです。それで、防具もって話してましたけど……その前に、ひとついいですか?」

「ん? どうした?」

「……いつも持ってるそのカーペット、鍛冶道具が入ってるんですよね?」

「ん? そうだけど……」

「普通の鍛冶屋さんにお願いしても、こんなに強い武器は貰ったことないんです。もしかしたら、鍛冶に秘密があるんじゃないかって思ったんですけど……」

「シリカ、詳しいことは話せないけど、まぁ、そんな感じだ。そんな能力もあって、この防具の強さもある」

「そうなんですね……」

 

 シリカが、少々残念な顔をしているが、これはしょうがない。これは、ユニークスキルには分類されないが、それでも希少すぎるエクストラスキルなので、詳しいことを話せば、厄介なことになる。もちろん、アルゴにすら話していない。このことを知っているのは、キリトだけだ。

 

「それで、防具には何が施されているんですか?」

「至ってシンプルだよ。回復力増加」

「……え? それって、強すぎませんか?」

「まぁね。でも、そういう防具なんだ」

「うぅ……。なんか釈然としません」

 

 そんなやり取りがありながらも、俺達は35層に戻ることにした。

 

 

 

 〜35層主街区北門前で〜

 

「2人とも、もう攻略に向かうんですか……?」

「まぁな。5日も前線から離れちゃったし」

「あっ、そうそう。キリト、アスナからメッセージ来てるぞ」

「えっ、何々……。うわっ、まじかよ。明日からまた攻略会議かよ。出席しないとダメだよなぁ」

「アスナさんって、血盟騎士団のですか?」

「そうだけど、正直鬼だぜ? 攻略に関してストイックすぎてさ」

「……」

「レイジさん? どうかしたんですか?」

「いや、2人で宿の方に向かっておいてくれないか? 少し寄ってくところができたから」

「? 分かった。それじゃ、シリカ、行こうか」

「はいっ。レイジさんも、あとから来てくださいね?」

「分かった。それじゃ、また後で」

 

 2人が行ったところで、俺は振り向いて辺りを見回す。気配が先程からしてならない。なら、ここで白黒つけておいた方がいい。

 

「さっきからコソコソしててウザイんだよ。早く出てこい」

「冷剣っ! お前が居なければ! ロザリアさんは! うちのギルドはなんてこと無かったのに! お前のせいだ……お前が居なければ!」

 

 そう言って切りかかってきた男の剣を、ガントレットをつけた手で受け止める。その瞬間、男のカーソルはグリーンからオレンジに変わり、犯罪者扱いされるようになる。そんでもって、主街区の方にぶん投げる。こうすれば、警察みたいな格好のNPCがやってきて……

 

「侵入者、侵入者。牢獄送リニシマス」

「このやろっ! 離せっ! 話せって! やつを殺さないと! ロザリアさんの分の仇を!」

「ギルメン諸共、牢獄で騒いでろ。クズどもが」

 

 そして、警察NPCとともに光に包まれてどこかに行った。おそらく、牢獄だろう。まぁ、どんまいだな。変な恨みを買ったもんだ。俺も。

 

「さて、宿のところに行きますか」

 

 そう呟いて、シリカ達の向かった方向に歩みを進める。

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━

 

 俺が着いた頃には、もうピナが復活していた。フェザーリドラって言われるだけあって、龍たる所以を少しは感じる。考えたくないなぁ。これがオーディナルスケールであんなバカでかいドラゴンになるなんて。

 

「ピナ。この人がレイジさんだよ。挨拶して」

「きゅぅい!」

 

 そう言ってバサバサ飛んでいると、いつの間にか俺の頭の上に来てちょこんと座り込んだ。

 

「あれっ、速攻で懐かれた感じ?」

「俺の時もそうだったからな。そうかもしない」

「ピナったら、あたしにだけはしてくれないんですよ」

「きゅるきゅる!」

 

 しばらく、3人と1匹で話をして、日付が変わる前には解散した。そして、3人で、

 

「向こうの世界で、また友達になろう」

 

 と約束をした。……俺にその約束が守れるかは分からないが。

 

「ほれ、フリスク。今からまたレベリング行くんだろ?」

「あぁ、早くSTRあげて50層でのLAB使いたいからな」

「あの剣、魔剣クラスだもんな。多分、今のところいちばん強いんじゃないか?」

「いやいや、お前が持ってるその剣だって強いだろ。あと、お前だってMVP貰ってただろ?」

「あぁ、『エクセリアス』か? まぁ、あの武器使うにも、まだSTR足りないからな」

「お前もか」

「まぁ、いいんだよ。いずれ使えれば、それで」

「確かにな。それじゃ、行くか。それと……」

「それと?」

「……二刀流のスキル上げもやっていいか?」

「もちろんいいぞ」

「ありがとな。いつもいつも」

「んだよ。気持ちわりぃぞいきなり」

「ひでぇや」

「うるせ。行くぞ相棒」「おう」

 

 俺達は、また前を向き始める。この城を、頂まで上るその日まで、止まらないだろう。

 

 ……まぁ、途中でこの錐型の途中で、誰かさんがぶった斬るんだけど。言わないお約束か。




今回4000字です!ついに2つ名出ましたねぇ。そして、50層ボスのボーナス剣が出ました。エクセリアスです!
剣の名前に意味なんてつけない方がいいかなぁ…。
今日も、読んでくださってありがとうございます!
感想&評価、お待ちしてます!ありがとうございました!
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