今回は、「はじまりの日」の話です!
それでは!どうぞ!
キリトと2人で、暗くなる前までにホルンカに着くことが出来た。道中で相対したモンスターは、片っ端から倒すことに決めていたので、町に着く頃にはレベルは6になっていた。しかし、キリトは少々難しい顔をして、言った。
「まずいな」
「何が?」
「モンスターのポップ速度がベータのときより早いんだ。ここにベータテスターたちが来るとき、ポップ速度ギリギリで倒していたら、キリがなくなって死ぬぞ」
「それは困ったな。なぁキリト」
「ん? どうした?」
「俺はキリトについて行ったニュービーだけど、大半のやつらはまだはじまりの街にいるはずだ。おそらく、戦意を無くしたベータテスター達もいると思う」
「それはそうだろうな。ベータテスターは、死に戻りによる情報集めで、8層まで行ったんだ。死に戻りがなくなって、現実世界のゲームオーバーにもなるこの世界で、動けなくなってるやつがいるのは確かだろう」
「そこで、キリトに提案だ」
俺は、ここでキバオウを黙らすキッカケにもなる攻略本の話を持ち出すことにした。
「信用できるベータテスター同士で、情報集めをして、攻略本を作らないか?」
「……レイジ、俺にアテがある。そいつに依頼して、その話を進めてもらおう」
「俺も、一応そいつと知り合っておいた方が良さそうだな、コードネーム的なやつはあるか?」
「ベータテストの中では、相当名前が通った情報屋だからな、レイジも知ってて損は無いだろう。
そいつの名前は、『鼠のアルゴ』だ」
「『鼠のアルゴ』か……」
俺が知ってる限り、そいつは、本編での活躍があまりなかった気もするが、俺が介入したことで、何か変わっているのかもな。
「分かった。キリト、そいつに連絡してくれ。出来れば、ホルンカで落ち合いたいって」
「言われなくてもだ。この先、アルゴとの関わりは欠かさなくなってくるはずだからな」
ホルンカに着いたのは、どうやら俺達が最初のようだった。あたりには、NPCしか見当たらない。
「なぁ、レイジ」
「ん? どうした?」
「今からクエストを受けたいと思うんだが、いいか?」
「もちろんいいけど、どんなクエストだ?」
「森の秘薬ってクエストなんだが……」
森の秘薬、秘薬と付いた名の通り、薬を探してくれってクエストなのだそうだ。確か、8巻に収録されていたはずだ。
「秘薬ってことは、薬探しか?」
「あぁ、その通りだ。俺らが通ってきた森あるだろ? ホルンカの森って言うんだが、そこに出てくるリトルペネントってモンスターのドロップ品が必要なんだ」
「ドロップ品か……。結構経験値が稼げそうだな」
「それも狙いの一つだ。今、コルに余裕あるか?」
「はじまりの街で受けたクエストの報酬分と、道中倒したモンスターの分だから、2000コル位はあるな」
「そうか。なら、なるべくポーションを買っておけよ。長期戦になるのは、目に見えてるからな」
「分かった。って、さっき経験値のこと話したら、狙いの一つって言ってたけど、他にあるのか?」
「あっあぁ、話してなかったな。このクエストの報酬に、アニールブレードって片手直剣があるんだよ。そいつの性能的に、3層くらいまでなら使い続けられるからな」
「なるほど……」
アニールブレードの話はあったが、そこまで使えるものなのか、キリトが取りたいと言うのも、分からなくはない。
「あっそうだ、レイジ」
「ん? そろそろ行くか?」
「いや、お前、片手直剣以外にスキルは何を取った?」
「んー、まだ片手直剣だけだな。あと2つスロットは空いてるけど、どうかしたのか?」
「あぁ。今から受ける森の秘薬は、相手が植物系MOBだからな。隠蔽スキルが全く役に立たないから、今は取らない方がいいぞ」
「なるほどな、了解。ちなみに、オススメとかあるか? キリトも2つはスロットあっただろ?」
「俺は、索敵だけとってあと1つ残してある。索敵を伸ばし続ければ、追跡スキルが手に入ったりするしな。オススメは、索敵、隠蔽、持てるアイテムの量を増やす所持容量拡張とかだな。2層に行けば、アタッカー的にはありがたいスキルが手に入るクエストがあるから、1つは開けておいた方がいいぞ」
「把握したよ。サンキュ」
「いや、この位いいさ。さて、そろそろクエストに行こうか」
「キリト、索敵は任せたぞ」
「分かった」
そうして、俺達はリトルペネントを狩りに行った。
「なぁ、キリト。ドロップするのは、『リトルペネントの胚珠』だったよな?」
「そうだけど、どうかしたのか?」
「胚珠ってことは、ドロップするやつも実がなる1歩前くらいのやつだろ? なんでさっきから葉だけしかないやつを狩ってるんだ? 別のところに移動して見た目が違うそいつを狩るべきじゃないのか?」
「目の付け所がいいな。その通り、胚珠を落とすやつは、ちゃんと花を頭に付けてるよ。でも、ポップ率が低いからな。こうやって多く狩ってポップさせた方が、効率的にはいいんだ」
「なるほどな。胚珠の後は実になるけど、そのところはどうなんだ?」
「そっちの話もしてなかったな。いいか? 実がついてるやつの実は、絶対に攻撃するなよ? そっちに攻撃したら、クリティカルになる代わりに、リトルペネントを寄せ付ける香りを出すからな。俺ら2人だと、捌ききれなくなる」
「分かった。とりあえず、狩りを続けようか。喋ってもなんにもならない」
「話題を出したのはレイジの方だろ……」
〜それから50分後〜
「キリトー、そっちはどうだー?」
「落ちねー。全然落ちねー。レイジはー?」
「俺の方は落ちたぞー」
「マジかー。先戻っててもいいぞー」
「いや、そっち行って手伝うよー」
タッタッタッタッ
「キリトは胚珠付きは何体倒した?」
「15体は倒してるんだけどなぁ。レイジは?」
「3体目で落ちたぞ。これも、リアルラックの差ってとこかな」
「それはねーよ」
そんな話をして、2人で笑っていた時だった
「ねぇねぇ君たち」
ふと、背後から声が聞こえた
「「!?」」
「あー驚かせてごめんよ。君たちも、森の秘薬を受けてるのかい?」
「あぁ、そうだけど……突然声をかけてどういうつもりだ?」
「おい、レイジ、いきなり喧嘩腰はやめろって。それより、アンタは?」
「僕はコペル。クエスト中悪いんだけど、僕も手伝わしてもらっていいかな?」
「キリト、どうする?」
「俺は、別に構わないけど……レイジはいいのか?」
「あぁ、キリトがいいなら。俺も、手伝うだけだしな」
「ありがとう。ドロップしたら、まずは君にあげることにするよ。手伝わしてもらってる身分だからね」
「分かった」
こうして、コペルがクエストを手伝ってくれることになった。しかし、俺は、緊張の糸を張っておく。いつ、コペルが実付きの実を割るか分かったもんじゃない。それは、単純な
「……行こうか。よし、僕が実付きに行く。君たち2人は、花付きの相手をしてくれるか?」
「分かった」
「俺も了解だ。俺の方からドロップしたら、コペルにやるよ」
「いいのかい? 君の分は……」
「俺はもう手に入れてるから大丈夫だ」
「……そうか、ありがとう」
「レイジ、コペル。来るぞ」
キリトの声と共に、俺達3人は、それぞれの敵に向かっていった。ペネントの懐に入り込み、『スラント』でダメージを与えていく。
パァン
「「!?」」
実が割れた音だった。そして、実付きを相手にしていたコペルは、もうそこにはいなかった。どこかから声が聞こえる。
「すまない、キリト、レイジ。これが僕のやり方だ。恨まないでくれよ」
「コペル!? クソッ! キリト! 索敵の反応はどれくらいだ!?」
「ざっと20ってとこくらいだ! それよりコペルは!?」
「あいつの姿は見えない! 恐らくだが、隠蔽を使ってどこかへ行った! もう遅い! 今は目の前に集中するぞ!」
「……分かった! 全部倒したら、コペルを助けに行くぞ!」
「このお人好し! でも分かったよ!」
そうして、俺達は目の前のリトルペネントを切り続ける。
『スラント』と『ホリゾンタル』を使い分けてクリティカルを狙い、硬直ギリギリで鞭の攻撃を避ける。
……何分続いたのだろうか、遂に、見える範囲の敵は倒したようだ。何度も、無機質にガラスが割れるようなエフェクトが鳴る。
「……終わったな、キリト」
「あぁ、終わった」
「……コペルは?」
「あそこを見てみろよ」
キリトが指を指した方向には、スモールソードが落ちていた。
「アイツのか?」
「十中八九そうだろうな。あそこから何体かリトルペネントがこっちに流れてきてたから」
「……そうか、なら、これくらい供えないとな」
そう言って俺は、アイテムストレージの中のリトルペネントの胚珠を1つ、剣のそばにおいて、手を合わせ、一言、「お疲れ様」
と言ってキリトの方を向いた。
「レイジお前、2個目もドロップしてたのかよ」
「まぁな。さて、アルゴからの連絡は?」
「あぁ、10分前くらいに3件。急いで戻ろうか。クエストクリアは、その話の後でいいだろう」
「そうだな、急ぐか」
俺達は、足早にホルンカに向かって走った。
タグには、死亡キャラ生存と書かれていますが、コペルだけは、私怨のためだけに、生き残らすつもりはありませんでした。
コペル、恨むなよ。MPKを仕掛けようとした君が悪いんだ。
次で、攻略会議終わりか、ボス部屋前までは書けたらいいなぁ