いつも通り3000字弱。いいくらいに仕上がりました。
それでは、第6話。どうぞ!
この世界に囚われて、どれほどMOBを倒しただろうか。
今現在、アインクラッド標準時で12月2日。恐らく金曜日。デスゲームの開始から3週間と5日が経った。俺は今、迷宮区の中にいる。1人で。ソロ活動ってところだ。ボッチと指を指されることも、無い訳では無い(特にアルゴに)。1人で攻略してた方が、経験値効率がいいのだから仕方ないだろう。
さて、安全圏に戻ろうとしていたその時だった。見覚えのあるローブを身にまとったプレイヤーが、何やらコボルトの大群に襲われているようだった。攻撃をかわしては、ソードスキルをぶっ放す。硬直時間ギリギリのところで、また攻撃をかわす。さっきからそれの繰り返しのようだ。足もガタガタ震えている。
「危なっかしいなぁ。しゃーない。ヘルプ行くか」
気付けば、体は自然とその方向に向かっていた。
〜sideアスナ〜
攻略本に書かれてたソードスキル『リニアー』を放っては突き伏せ、迫ってくるメイスを間一髪で避ける。どれほどこれを繰り返しても、敵が減る気配がしない。安全エリアまで逃げようか。いや、そんなことしては、この世界に、自分に嘘ついて、負けたことになる。
━━私、ここで死ぬんだろうなぁ。ここで終わりか。せめて、あの人たちの名前くらいは聞いておきたかったなぁ。
ふと、走馬灯みたいなものを見ることになった。こうなると、この世界に来たのは、半ば現実から逃げるためだったことを思い出す。模試の上位者の名前に名前が載ってなかったことに絶望し、兄が悔しそうに手放したナーヴギアを興味本位で被ったことから、もう1つの現実に囚われることになったのだ。
あぁ、最初の1週間くらいは誰かが助けてくれるって思って宿に閉じこもったんだっけ。そして、街中で聞いた「ログアウトできる場所」という、一縷の希望を信じて、あの森まで来たのであった。まぁ、即刻打ち砕かれることになるのだが。
脳裏によぎるのは、あの時死を覚悟した私を助けた彼の目。
全てを引き込む、夜のような瞳。惹かれていた。私も。
さらに、流れるように綺麗な剣技。あれを美しいと言わないでなんと形容したら良かったのだろう。
……もう一度、会ってみたかった。彼に。ないだろうと思いながら、彼の救出を待った。もう一度。
助けられたには助けられた。しかし、今度は別の人に。彼と肩を並べる、もう1人の剣士に。
「大丈夫か?
〜sideout〜
……俺は何を言ったんだ? ものすごくイキった感じになってるんだけど。まぁ、いいよな。たまにこんなことしてみたいや。
「まぁ、まだあそこまで動けるなら心配ないけど、まだ行けるかい? そこで休んでても、君1人くらいなら、全然大丈夫だよ?」
「……いい。私も戦えるわ。ここで負けて死んでも、別に後悔はしない。今の私なら」
「そうか。でも、俺の視界にいる間は、死なせないから安心してもいいよ。それじゃ、行こうか」
「えぇ」
またイキってしまった。まぁ、今はいいだろう。後悔は後から悔やむから後悔なんだ。今はまだ大丈夫。恥ずかしさに押しつぶされはしない。
……意外と早かったな。3分くらいで全部片付いた。戦闘における3分というのは、明らかに長く感じるが、この世界での戦闘では、早い以外のなんでもない。
「やるね。にしても、オーバーキルにも程があるぞ」
「オーバー……キル?」
「ダメージを与えすぎだってこと。君のソードスキル1発で、敵のHPを4割は削れるんだ。あと一発ソードスキルを当てて、残りは普通に弱点に当てるだけでいいんだよ。そしたら、硬直もないから、安全に戦える」
「……なんでそこまで教えたりするの? 私とあなたは他人でしょ? そこまでされる義理はない。何が目的?」
「別に目的も何も無いよ。善意だ善意」
「……そう。なら、私はもう一度行くわ。それじゃ」
アスナは最初の頃はこんなだっけ。ここで不用意に名前で呼んでは怪しまれるだけだ。君で通そう。
「あれ? てっきり君もこの後の攻略会議に参加すると思ったんだけど。違った?」
「……攻略会議?」
「あぁ、なんでも、ボス部屋が発見されたとかなんだとか。君も参加するかい? ボス戦」
「……行く。お願いだけど、案内してもらってもいい?」
「分かった。なら、まず迷宮区を出ようか。はい、そこ乗って」
「? えぇ、わかった」
そうして、ワープポイントに乗った彼女は転送された。迷宮区の入口に。俺も早速向かうことにしようか。
それから、トールバーナに着いた俺達は、解散した。まぁ、どうせ攻略会議の広場で会うことになるのだが。
時刻は13時。広場には、もう人が集まっていた。その中の1人のところに向かい、声をかける。
「キリト」
「おぉ、レイジか。久しぶりだな。お前もここに来たってことは参加するのか?」
「もちろんだ。今のところ、俺の力を上手く使えるのはここくらいしかないからな」
「そうか。まぁ、そうだよな。おっと、始まるようだぜ」
そういったキリトの横に腰掛け、ステージの方に目をやると、そこには、かつて自分が助けたディアベルの姿があった。
「よし! それじゃあ、始めさせてもらいます! その前に、そこの人、もうちょい内側来てくれないか? ……OK、そこでいい」
人を率いることに慣れているというか、そういった人間な気がする。ディアベルは。
「俺の名はディアベル。職業は、気持ち的に、ナイトやってます!」
その自己紹介に、「SAOにジョブシステムなんてねーだろ!」やら、指笛を吹く者やら、多彩な反応があった。キリトも、よくやるなぁみたいな眼差しを向けている。
それをディアベルが両手で制すと、真剣な表情で、言った。
「今日、俺達のパーティーが、あの塔の最上階でボスの部屋を発見した!」
周りか、感嘆の声が上がる。
「俺達は第1層をクリアして、このゲームも、いつか終わらせられるってことを、始まりの街で待ってる皆に伝えなくちゃならない。そうだろ! 皆!」
また、一同は頷き、拍手を送る。
「それじゃあ、それぞれパーティーを組んでくれ。ボス戦では、パーティーを集めた、レイドを作るんだ!」
その言葉に、キリトが目を見開いた。急いで周りを見渡しているようだが、どこもそれぞれでパーティーを組んでいるようで、入れそうにはない。
「なぁキリト、俺と別にコンビで動いてもいいんじゃないか?」
「あぁ、すまん。忘れてた。でも、2人だとさすがにスイッチくらいしか出来ないよなぁ」
「ならキリト、あそこの人も誘ってこい」
そう言って俺は、ローブを被ったプレイヤーを指差した。
「え!? でも、それならお前が言ってくれよ。俺なんかより適任なはずだろ?」
「……これもコミュ障を克服するために必要なんだよ。ほら、行ってこい」
キリトの背中を叩いて、ローブのプレイヤー(アスナである)の所に向かわせた。キリトは気付いていないようだ。1度助けたプレイヤーだってことに。
……どうやら、勧誘に成功したらしい。キリトがこちらに向かってピースサインを送る。すると、自身のHPバーの表示の2個下に、もう1つのバーが追加される。
そうして、パーティーを組み終わったあと、ディアベルが会議を再会しようとした時だった。
「ちょぉまってんか!」
そう言って、広場の最上段からダッシュで駆け下りてきたプレイヤーがいた。
「ワイはキバオウってもんや。ボスと戦う前に、言わせてもらいたいことがある!」
そう言って、キバオウは話し始めた。
曰く、ベータ上がりのプレイヤーは、初日からニュービーのプレイヤーを見捨てて自分達だけ強くなろうとした。
曰く、ベータテスター達は、自分達と死んでしまった約2000人に謝罪し、持ってるアイテム、コルを全部置いていけ。
曰く、この中にも数人は居るはずだ。出てこい。
キバオウが話している間、キリトは震えていた。俺は、そんなキリトの手に自分の手を重ね、こう告げた。
「ちょっと行ってくる」
「おい、レイジ!」
「なぁに、気にするな。ちょっと話してくるだけだ」
そう言って、俺はキリト達のそばを離れ、キバオウの元に向かった。
とりあえず、キバオウがわちゃわちゃ言ってるところまで書けました。さすがにこの先もとなると、5000字届きそうなので、やめました。
すぐに制作に取り掛かります。恐らく、日付が変わってすぐまでには出せるでしょう。
今回もありがとうございました!