にしても、そろそろ時期的にテストとか被るんで、来週は土曜まで更新できないかも?
まぁ、置いといて。
9話。スタートです。
それでは、どうぞ!
アインクラッドで新しい年を迎え、はや4ヶ月が経った。俺は、最前線の28層の迷宮区の攻略を行っている。5月の第1週で今、攻略を行っているソロプレイヤーは、俺くらいしかいないだろう。
ここまで来るのに、色々なことがあった。第1層のボス戦が終わってからは、俺はキリトとしばしばコンビを組みながら攻略を続けていた。ボスをそれぞれ単独で撃破したりしたし、コンビで撃破したりもした。第11層は俺が、第12層はキリトが、第13層とその次の第14層は2人でそれぞれ
……まぁ、その度にキバオウ達の〔
しかし、世は無情と言うものだ。攻略が進むという良いニュースの反面、攻略組に大きなダメージを与えるバッドニュースも存在した。
起きた順番に言えば、2層で強化詐欺事件が起きたことが1番最初だろう。〔レジェンド・ブレイブス〕というギルドのメンバー、ネズハ(Netha)の行ったトリック(鍛治の最中に
まぁ、彼が居なかったら、第2層ボス攻略は死者多数として伝えられていただろう。彼が鍛治スキルを捨て、体術スキルを手に入れたことで、元々スロットに入れていた投剣スキルと合わせて投擲武器のチャクラムを使用可能になり、それによってボスの麻痺ブレスを弱点攻撃によるスタンで防ぎ、ボスの攻撃のほとんどを無力化して討伐に貢献した。
次の事件は、5層のギルドフラッグ先取りの時だろうか。この時、攻略組は主にふたつのギルドの攻略によって進められていた。キバオウが率いる〔ALS〕、第1層ボス攻略時、C隊のリーダーであったリンドが率いる〔
第1層攻略時に攻略メンバーを率いたディアベルは、前線の、誰にも見つからないような場所で自分を強化していた。そして、第5層が開放された時、名高いプレイヤーの中でギルドに所属していないプレイヤーを集め、少数パーティーによるフロアボス撃破をしようと考えた。初めこそ、それはあまりにも無謀すぎると皆が嫌がっていたが、ディアベルの集めたLABの情報によって、参加を決断する人間が増えていった。結果的に、2パーティーでの攻略になり、1人の犠牲者を出すことで、ボスは撃破された。
ディアベルが手にしたLABの情報は、『ギルドフラッグ』と呼ばれるアイテムの事だった。このアイテムは、第1層の始まりの街にあるような、ごく初期装備扱いの槍と同じくらいの性能だったが、追加効果がとてつもなくすごいものだった。
その効果が、「この武器を地面にたてて持つことで、同じダンジョン内にいる所属ギルドのメンバーに大幅で多彩なバフをかけること」であった。
この情報をどこで手にしたのかは分からないが、ALSとDKBも狙っており、どちらかの手に渡ることで戦力比が偏ることを、ディアベルは危惧したのであった。
今現在、『ギルドフラッグ』はキリトが持っている。メンバーを集めたディアベルは、ボスの取り巻きのように出現した、ミニゴーレムのヘイトを集め、トラップへと誘導して、モンスターごと道連れにする形で死んでしまった。
死者のことを、いつまでも考える訳にはいかないと、全員の考えが一致し、ボス部屋で黙祷を捧げたあと、残ったプレイヤーは次層の開放に向かって終わった。
最後の大きな事件は、新たな年が明けた時からだ。2023年3月31日。今年度の終いは、クウォーターポイントのボス攻略で飾ろうと、皆が張り切っていた。特に張り切っていたのは、〔ALS〕だった。そして、ボス部屋までのマッピングが終了した段階で、1度休憩しようと安全圏に1レイド半で向かったときだった。
参加していた〔ALS〕の3パーティーが、リーダーのキバオウの目が離れた隙に、ボス部屋に入って攻略をしようとしたのだ。
最初に気付いたのは、アスナだった。ドアのゴゴゴと開く音を耳にして、俺とキリトに、キバオウのパーティーや動ける人材を連れて、全速力でボス部屋に走っていった。
着いた時には、3人減っていた。ボスは、[アン・イモータル・デスアクセル]。見た目は、鉄製の三角錐で、その頂点に槍の3倍以上の長さの刃渡りの鎌。HPバーは三本。着いた時でも2本を残し、1本目も1ドット削れているかどうかというくらいであった。
彼らは、攻略組の中でも、結構なダメージディーラーだった。それでも、1ドットも減ってるか分からない程度くらいということは、HPはさほど高くなくても、防御力が高すぎるのである。
1本目を削り切るのには、40分を要した。
そこからは、熾烈な戦いだった。HPバーが残り1本になった途端、錐の斜面が全て外れ、中から一体のモンスターが現れた。人型。黒の長いローブを被った姿は、「死神」と表すのがいいだろう。そのモンスターが、頂点にあった鎌を片手で持ち、振り回し始めた。そこからはこれまでと打って変わって、ダメージは通るようになったが、近づくことが容易ではない。リーチだけでも、自身の三倍以上ある敵に向かっていくのは、死に行くのと同じことであった。
結局、犠牲者は総合18人。内〔ALS〕のプレイヤーは11人。全てフライングで入っていった奴らだった。これは、アインクラッド全土に広まり、攻略再開までにある程度の時間を必要とした。
キバオウは、「こうなったのは、ギルドの統制が甘かった自分の責任」と、部下を連れて始まりの街へと戻っていった。
そして、今現在に至る。恐らく、第25層が攻略されてから、一番最初に攻略再開をしたのは、俺だろう。皆から、「冷めてる」だったり、「強いんだな」と言われたりした。でも、そうして攻略をストップするのは違うだろうと、俺は1人で攻略していくようになった。
キリトとは、ここ3週間会っていない。生存確認はできているから、きっとどこかで世話を焼いてるんだろう。時期的には、月夜の黒猫団に参加している頃合いだ。
「……ここのボスは、1人で倒してしまおうか」
俺は、久しぶりにフロアボスを1人で倒すことにした。5月8日のことである。
5月9日。第28層のフロアボスを単独撃破し、アスナに怒られることを覚悟で、次の層のアクティベートに向かった。
手に入れたLABはアイテムではなく、システム的な権利だった。特に、この先化けるであろう能力で、こういったものだ。
ーシステム画面ー
第28層フロアボスのラストアタッカー「Leiji」に以下のボーナスを与える。
エクストラスキル「武心継承」熟練度1000
「武心継承」熟練度1000/1000
取得条件:鍛治に関するユニーククエストをクリアし、装備武器が販売品でない場合。※武器を販売品に変更した際、このスキルは効果を発動しなくなります。
効果:自身の装備している武器が耐久値0になった際、次に装備した武器に強化値を継承。(熟練度0)
:自身の装備している防具が耐久値0になった際、次に装備した防具に強化値を継承。(熟練度150)
:武器強化の際、強化成功割合が0.1n%上昇。(nは熟練度値)(熟練度300)
:防具強化の際、強化成功割合が0.1n%上昇。(熟練度400)
:武器強化の際、0.05n%の割合で、強化素材の3割をストレージに返却。(熟練度500)
:武器を素材変換する際、その武器の強化に使用した累計素材の内1割をストレージに返却。(熟練度750)
:アイテム『装備の心』を製作可能。(鍛治スキル必須)(熟練度850)
:装備の持つ追加効果(例:STG+15)を『装備の心』に継承可 能にする。(熟練度950)
:『装備の心』を武器制作素材に入れることの出来る限界量 を無限化。このスキルをセットするスキルスロットを、通常スキルスロットから鍛治スキルスロットに変更。(熟練度1000)
熟練度の上昇条件:鍛治スキルで使用可能な素材アイテム1つ入手につき1上昇。
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oh……かなりのぶっ壊れだ。まさか『囚われの鍛冶屋』の時に鍛治スキルスロットを手にしてから、鍛治スキルと片手剣作成、各種防具制作は取っていたが、ここで新たに鍛治スキルスロットに入れられるものができたとは……。アルゴにも伝えないでおこう。
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転移門のアクティベートをし、『装備の心』作成のためのアイテムを集めるために、第20層まできていた。この層のカマキリ型MOBのアルビノ種が落とす、『ホワイト・アイ』がメイン素材となるため、集めに行った。アルビノ種のカマキリは、表皮が薄黄緑になり、目が白色になる。この目が素材になるのだが、このアイテムのドロップ率が、『リトルペネントの胚珠』並に低いのだ。リアルラック値がどれくらい残ってるか分からないが、とりあえず、100個。今装備しているのがLUC補正のある武器なので、三体に1個は出るだろう。よし、乱獲開始。
〜7時間後〜
「ふぅ……こんなもんか」
すっかり深夜になってしまった。倒したアルビノ種のカマキリは全部で572体。そしてドロップした数が97個。剣につけられているLUC値が+20だから、普通にドロップする確率は、600体で20がいいとこだろう。ここまでドロップできたのは、いい出来だ。
ザシュッ ザシュッ パリーン
「……ん? こんな時間にここでレベリングなんて……」
音がする方へと足を運ぶ。ここより、第11層の方が、経験値効率がいい。普通に考えて、2層位下がって迷宮区に潜る方が、レベリング的にもここより美味しい。何を考えているのだろう。
そうして、俺が向かった先にいたのは……キリトだった。
「……お前か、キリト」
「……レイジか」
「何やってるかはある程度把握したよ。HPバー近くのマーク見たらな」
「……レイジ、ちょっと相談がしたいんだ」
「珍しいな。いいよ。そこにちょうどいい河川敷がある。そこで話そう」
キリトの話は、「赤鼻のトナカイ」の話そのまんまだった。話してくれた内容は、第11層で、剣の強化素材を集めていた時に、モンスターに囲まれていたパーティーを見つけ、囲んでいたモンスターを全部倒して、安否確認をしたところ、勢いに押されて宿場まで連れていかれ、自分のレベルを偽ったことでギルドに誘われその場で了承してしまったこと。彼らの中に、戦闘が苦手な女性プレイヤーがいること。そのプレイヤーの前衛転向の手伝いをしていること。全てを洗いざらい話してくれた。改めて、自分が彼に信用してもらっていることに喜びを感じている。
「キリトもお人好しだな。んで、キリトはどうしたい?」
「……分からないんだよ。彼らが最終的な目標としているのは、攻略組だ。そこまで行くのを手伝うべきか、それとも……」
「……ここらで本当のことを言って別れる。か?」
「それも考えた。けど、『ビーター』のことを話すのが、怖い」
「そりゃそうだ。でも、ビーターであることを隠せばいい」
「嘘をつくってことか?」
「どうせ関わってたら、いずれバレることだ。まぁ、どうするかはキリトが決めることさ。なんなら、俺も手伝う」
「いや、それは悪いな。自分でどうにかするさ」
「……そうか。あと、今日の号外、見たか?」
「お前、また無理したのかよ。んで、LABはなんだったんだ?」
「……キリト。ちょっと武器を見せてくれ」
「? ほらよ」
そう言って武器を差し出したキリトは、怪訝そうな顔で俺を見た。俺は、構わず鑑定スキルを発動する。
『トライデント・クエイク』
モンスタードロップ品で、現時点で手に入る中では、おそらく最も攻撃力が高い。また、追加効果もそこそこ優秀で、筋力値+8と攻撃力に厚みを持たせる内容となっている。
「ありがとな。まぁ、俺が今回手にしたのは、とあるスキルなんだが……」
「スキル、? 一体どんなものなんだ?」
「それは、さすがに言えないな。でも、いずれ分かるよ」
「なんだよ。勿体ぶりやがって。まぁ、スキルの詮索はマナー違反か。それじゃ、宿に戻るとするよ」
そう言って、キリトは立ち上がった。
「ギルドのことでなんかあったら言えよ。なんでも聞くさ」
「ありがとな。それじゃ、またな」
キリトは、ボードのポケットから転移結晶を取り出し、どこかに行ってしまった。
「全く。お人好しはこれだから困るんだよなぁ。まっ、それがキリトのいい所なんだけどさ」
そう独り言を呟き、俺は第25層の自分の宿に向かう。転移結晶を持ってなかったから、1度街まで戻るしかない。だから、歩いていくことにした。
……あと、1ヶ月と少し。それまでの間に、即死性のトラップに引っかかったりするプレイヤーが増えないように情報を集めなければならない。間に合う。攻略に合わせて出来ることだ。
「〔月夜の黒猫団〕を死なせる訳にはいかない」
そう決意しながら、街に着いたのだが、転移門の前で、誰かを探しているプレイヤーがいた。……帰るためにも行かなければ。
「あっ、レイジ君。お話があるんだけど」
「……ハイ。アスナさん。すいませんでした」
「あら、私はまだ何も言ってないわよ。もしかして、何が要件か分かっているのかしら?」
「……とりあえず、帰らせてください。近くの宿代は出します」
「分かったわ。それじゃ、明日尋問しますから、待っててくださいね?」
「……ハイ」
運が悪かった。こんな所でアスナに会うとは……。
翌日、レイジはひたすらアスナに怒られたのだった。
…今回すごく駄文です。すいません。
武器の名前が思いつきませんね。全然。
読んでくれて、ありがとうございました。