この手を離さない   作:八銀はジャスティス

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銀子ちゃんのご両親って原作登場しないのかな?
八一が、娘さんを下さいって言う場面で初登場するなんて邪推していいですかね?
原作ではそこまで描かれないだろうけど(白眼
合い言葉は、八銀はジャスティス


第22局 入学

時は過ぎゆき、早くも年を跨ぎ4月となっていた。

桜が咲き誇るこの季節。今日、我らが清滝家には超ビッグイベントが待っていた。

 

「おー銀子、よー似おうとるな」

 

「本当、今日は一杯お祝いしなくちゃね!」

 

真っ赤なランドセルを背負っている銀子ちゃん。そう、今日は我が姉弟子、銀子ちゃんの入学式なのだ。嬉しそうに、クルリと一回転して俺たちにランドセル姿を見せびらかしてくれる銀子ちゃん。

 

「八一、どう?」

 

「うん、凄く似合ってて可愛いよ!」

 

「そう?えへへ、ありがとう」

 

俺がそう言うと、銀子ちゃんは頬を赤く染めて、嬉しそうにはにかんだ。天使って、実在したんだな。

 

「ほんなら八一、銀子のことは任せたで」

 

「はい、任せて下さい!」

 

今日、師匠は名人戦に向けての研究に専念するらしい。よっぽど昨年の敗戦が悔しかったのだろう。今年に入ってからずっと、盤に向き合っている。ここまで、研究に専念する師匠は前生も含めて初めて見た。師匠は、昨年の名人戦を経験してからここまで絶好調だ。タイトル挑戦こそ、名人戦以降まだ無いものの、A級順位戦はここまで全勝中。最終日を残して既に名人挑戦権を獲得した。まぁ、最終日の相手が神様だから、全勝継続は厳しいと思うけど。

 

そして桂香さんも、師匠と同じように研究に没頭するらしい。この一年で、桂香さんは俺の妹弟子になった。今は、女流棋士目指して鋭意勉強中だ。高校を卒業したことによって、将棋を指せる時間も増えた。今生における桂香さんが、前生よりもスムーズに、女流棋士になれることを、応援している。

 

と言うわけで、今日は俺と銀子ちゃん二人での通学だ。入学式には、銀子ちゃんのご両親も出席されるそうだけど、学校までの道は俺たち二人だけだ。

 

「それじゃ、いってきます!」

 

「いってきます!」

 

俺は、銀子ちゃんと手を繋いで通い慣れた道を歩き始めた。俺にとっては慣れた道だけど、銀子ちゃんにとっては新鮮な道。運動会の応援とかで、年に数回来てくれてはいるけど、これからは毎日のように通うことになる。まぁ、体の弱い銀子ちゃんは休むことも多いと思うけど。けど、俺にとっても銀子ちゃんと一緒に学校に通うのは久しぶりだから、これからの学校生活はかなり楽しみだ。前生での小学校生活以来だから、人生丁度一週回ってきたようなものだ。俺は、通い慣れたようで新鮮な、銀子ちゃんと一緒に歩く通学路を満喫しながら、学校への長いようで短い距離を歩んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

校門前に着くと、そこには銀子ちゃんのご両親が待っていた。新入生と親御さんでごった返した校門前。中に入るのも一苦労しそうだ。俺は、銀子ちゃんをご両親に預け、挨拶をすると、人混みに揉まれながら校内へと入っていった。そして、新年度になって新しく変わったクラスの教室へと入る。

 

「あ、八一君!おはよう!」

 

「八一様!おはようございます!」

 

「やっちーおはよー!」

 

教室に入ると、俺の女友達数人が挨拶をしてくれる。そして、俺の元に集まってきた。

 

「あ、八一君今度のお休み暇?暇だったら私とデー……遊びに行かない?」

 

「抜け駆けはよくありませんよ?八一様、今度のお休みわたくしの別荘にいらっしゃいませんか?極上のおもてなしを致します!」

 

「あんたもでしょ。それよりやっちー、今日終わったらカラオケでもいかない?あたしの新曲、聞かせてあげるよ!」

 

「結局あなたもでしょうが!」

 

なんだか良くわからないけど、彼女達の間で見えない火花が飛び交ってるように見える。良くわからないけど。それにしても……小学校っていいな。合法的に、こんな可愛い女の子達と共同生活ができて。これは、人生をやり直した上での最大の恩恵かもしれない。和気藹々と、彼女達は無邪気にあぁだこうだと言い合っている。それを見て、なんだか俺は癒されていた。小学校って、最高の癒し空間だな。全く、小学生は最高だぜ!……別にやましい気持ちは一切無いですよ?

 

そして彼女達のやり取りを眺めていると、チャイムが鳴る。鳴ると同時に、担任の先生が入ってきた。この先生は超の前に超が10個ぐらい付くほどに超真面目な人で、時間には厳しいのだ。チャイムが鳴る十分前から扉の前で腕時計をジッと見つめながら待機している。付けられたあだ名がタイムキーパー。その姿を見て、生徒達が慌ただしく自分の席に着く。時間を守れなかったら、この先生は怖いのだ。チャイムが鳴り終わるまでに、自分の席に着いてる必要がある。

 

全員席に着いてることを確認し、先生が今日のスケジュールを説明していく。まずこの後は、なんと言っても入学式だ。これから体育館に移動して、入学式が行われる。今日のメインイベント。と言うよりも、今日はこれだけだ。式が終われば、教室でホームルームをして解散。その後は自由だ。

 

と言うわけで、俺たちのクラスは早速体育館へと移動を始めた。超真面目な先生に先導されて体育館へと向かう。移動中の私語は一切禁止だ。体育館に着くと、用意されている座席に直ぐさま着席する。後は、新入生の入場を待つだけだ。そして、その時が来た。一斉に入場してくる新一年生達。その中には当然、銀子ちゃんの姿もあった。皆と並んで、体育館の中を席まで歩いていく。なんだか、そう、今の俺は銀子ちゃんの姉弟というよりも、保護者の気分だ。元気に入学してくれた銀子ちゃんを見て、胸に込み上げてくるものがある。眼が洪水を起こしそうだ。誰か、俺にバスタオルを渡してくれないか?

 

その後は、校長先生の話や、PTA会長の話等々、変わり映えしない祝辞を聞き、校歌斉唱をして、式は滞り無く終わっていった。新入生退場の時間となり、新入生が一斉に退場していく。銀子ちゃんも、皆と一緒に退場していく。退場していく銀子ちゃんが、キョロキョロと辺りを見渡す。そして、俺と目が合った。俺と目が合うと、ヒラヒラと軽く手を振ってくる。それに合わせて、俺も軽く手を振り返した。それを最後に、新入生達は体育館から姿を消した。在校生も、その後順々に退場をしていった。これで、入学式も終わりだ。後は、ホームルームが終われば今日の日程は全て終了だ。俺たちは、超真面目な担任に先導されて、無言で教室に戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に戻り、しばらくしてから、ホームルームが始まる。ホームルームも超真面目に行われ、私語を挟むと眉間に寸分違わずチョークが飛んでくる。この担任、おっかない。そして、予定終了時刻に一切の狂い無く、ホームルームは終了した。これで解散だ。ホームルームが終わると、先生はそそくさと教室から出て行く。これで、私語も解禁だ。

 

「八一君八一君!それで朝の話なんだけど、今度のお休みどうかな?」

 

「八一様はわたくしと別荘でゆったりとした時間を過ごすのです。あなたとはお出かけになられませんわ」

 

「そんなことよりやっちー、カラオケ行こ?あたし、もう予約入れちゃったんだ。二人で!」

 

そして、終わると直ぐさま駆け寄ってくる女友達連中。これが、騒がしくも楽しい俺の小学校生活だ。小学校って、いいな。

 

「八一」

 

そんな日常を過ごしていた俺に、聞き慣れた、もう一つの日常におけるパートナーが声をかけてくる。銀子ちゃんだ。銀子ちゃんには、俺のクラスのことは説明してあった。それを頼りに、態々ここまでやってきたのだろう。銀子ちゃんが教室に入ってくると、男子連中が騒がしくなる。何あの美少女、八一の知り合い?とか、すげー可愛い。お嫁さんにしたいとか、そんな声が飛び交ってる。とりあえず、銀子ちゃんにちょっかいをかけたら、全員八つ裂きだからな。

 

「銀子ちゃん?おじさんおばさんは?」

 

「八一と一緒に帰るって言ったら、先に帰ってるって。八一と一緒なら安心だって言ってた」

 

おじさん、おばさん。あの、俺に対する信頼度高すぎませんかね?前生でも、一悶着あることを覚悟して娘さんをくださいってお願いしたら、二つ返事で許可されたからな。俺たちの両親よりも、師匠を説得するのに苦労したぐらいだ。

 

「八一君、その子は誰?」

 

「新入生ですよね?もしかして、八一様の妹様ですか?」

 

「それにしては似てないような」

 

「む。妹じゃなくて、姉」

 

「姉?」

 

銀子ちゃんの言葉に、三者三様の疑問が聞こえてくる。まぁ、事情を知らなければ、何言ってるんだこいつ、と思われても仕方ないだろう。俺は、そんな疑問を抱いている彼女達に、俺たちの関係をわかりやすく説明した。

 

「なるほど!そういうことだったんだ!八一君のお姉さんか。私は、どっちかというと妹になってみたいかな。でも、一番なってみたいのは、お、およ、お嫁さ……」

 

「ですから、抜け駆けは許しませんよ?その役目は、私が一番相応しいに決まっております」

 

「はぁ?あんたも冗談言ってるんじゃないの。そんなの、あたしが一番に決まってるでしょ」

 

「ちょっと、私に決まってるじゃない!八一君だって、きっと私に夢中なんだから!」

 

「いいえ、わたくしに夢中に決まっています」

 

「あたしに決まってるでしょ?ねぇやっちー?」

 

「えー……」

 

これ、一体なんの話なの?夢中か夢中じゃないかって、一体なんの話?え?小学生に夢中になってるだろって話?そんな、俺はロリコンじゃないんだから、小学生に夢中になるわけないじゃないか。……なってないからね?

 

「……ほう?」

 

そんな三人を見て、銀子ちゃんは何かを察したように呟く。え?なんだか銀子ちゃんの雰囲気が怖いんだけど。

 

「八一、私は今からやるべきことを思い出したから、先行ってて」

 

「え?でも」

 

「先、行ってて」

 

「あ、うん。校門で待ってるね」

 

俺は、銀子ちゃんの圧に押されて頷くしかなかった。俺はそのまま、銀子ちゃんを教室に残して、校門まで一人で向かった。校門に着いて、十分ほどが経っただろうか?銀子ちゃんが校門までやってくる。

 

「おまたせ」

 

「ううん、そんなに待ってないけど。銀子ちゃん、何してたの?」

 

「お掃除」

 

お掃除?入学初日にボランティア活動でもしてたのかな?それは殊勲な心掛けだ。

 

「へー、銀子ちゃん偉いね」

 

「そう?えへへ、じゃあ、これからも一杯お掃除しないとね」

 

「うん!がんばってね!」

 

でも、銀子ちゃんってこんなにボランティア精神旺盛な子だったかな?前生でも、そんなにボランティア活動をしてた覚えないんだけどな。もしかしたら、今生での変化の一つなのかもしれない。そんな銀子ちゃんも、健気で可愛いけどね。その後俺たちは、いつものように手を繋ぎ、師匠と桂香さんが待つ家へと帰っていったのだった。帰ったら、銀子ちゃんのご両親も交えて入学パーティーだ。桂香さんがご馳走を用意して待ってくれてる。お腹も空いたし、早く帰りたいな。俺は、待っているご馳走を想像しながら、銀子ちゃんと二人帰路に着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日のことだ。

 

「八一君、今までごめんなさい」

 

「……え?」

 

「八一様、たくさんご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」

 

「……え?」

 

「やっちー本当に、ごめん。お姉さんを大切にしてあげてね?」

 

「……え?」

 

……なんで?

その後、今まで俺と仲良くしてくれていた女友達は、日を追うごとに俺の元を離れていき、最終的には銀子ちゃん以外の女の子は俺に近づきもしなくなっていたのだった。

……なんで?




ロリコンを小学校に放ってはいけない(戒め
銀子ちゃんには、しっかりロリコンの首に縄繋いどいてもらいましょうね
次もあさって予定

八銀はジャスティス
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