第三盧生が幻想入り   作:ヘル・レーベンシュタイン

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クリームヒルトを幻想入りさせてみました。原作が原作なので少々堅苦しい文章も入れてしまいますが、ご容赦ください。


第零話 誘い

剣.....それは人を殺す武器の代名詞と言えるだろう。剣で獣を殺すことは難しく、当然ながら空を舞う鳥に刃先が届くはずもない。故に剣は、結局は人が人を殺すための道具と言えるだろう。

だが、同時に剣は人を守るための道具とも言える。避けられぬ戦争、理不尽な諍い、そうした衝突の決着をつけるために、古くから数多の戦士達は剣を手に取ったのだ。こうした歴史から、人々は剣に対して神聖な印象を持つようになった。東洋でも西洋でも、権威の象徴とされるようになったのである。

 

 

 

 

 

故に此処で問おう、剣とは何だ?悲劇を生むだけの兵器か?あるいは人の力を象徴する物だろうか?

それとも.....あなたは、どう思うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は大正時代、ナチスの軍服を身に着けた女性が一軒家の扉の鍵を開けて、荷物を下ろした。

 

 

「ただいま。.....数ヶ月ぶりの実家の空気を吸うと、帰ってきたという実感が湧くな。」

 

女性の名前はクリームヒルト・レーベンシュタイン。人々からは稀代の殺人鬼と呼ばれている。もっとも、真実は常人が連想するような殺人鬼とは全く異なるが.....

 

「む、父は帰ってきてないか。ジンロンの一件が終わり、まずは一言声を掛けようと思ったが....」

 

クリームヒルトは靴箱を見ると、父親の靴がないことに気付いた。おそらくまだ仕事から帰ってきていないのだろうと、そう考えてそのまま自宅の中へと入っていった。

 

「まあ、待っていたらそのうち帰ってくるだろう。」

 

そう呟きながら自宅の中を見渡してみた。それほど内装が変わった様子はなく、至って平凡な自宅だ。そう思っていると、ある物に注目する。

 

「なんだこれは.....」

 

クリームヒルトはテーブルの上にある物に目が止まった。それは端的に表現すると、赤色をした四角の形をした何かだった。

 

「赤い箱、か?なんでこんな物が実家にある?父が持ってきたことなんてないぞ....誰かのイタズラだろうか。」

 

当然ながらクリームヒルトにとっては初めて見る物で、クリームヒルト父が過去に持ってきたような事は彼女の記憶の中ではない。クリームヒルトは訝しみながらも、ゆっくりと赤い物体に手を伸ばし、持ち上げてじっくりと観察をする。

 

「感触自体はそこらの石と変わらんな、しかしまるで結晶のように薄らと透けている.....どういった原理で出来ているのだろうか。うむ....本来はこのようなことはやるべきでは無いが、まあ少しだけな。」

 

そう呟きながら、クリームヒルトは自身の中に眠る異能を僅かばかり発動させた。

その異能の名は「邯鄲の夢」簡潔に説明すると『夢を現実化させる能力』である。だが当然ながら、その能力を無尽蔵かつ無制限に出来るわけではない。扱う当人の意志力によって、その影響力は左右される。詳しい詳細の説明は省略するが、クリームヒルトは自身の能力の一部である、解析能力を用いてその物体の正体を見破ろうとした。

 

「ふむ....なんだこれは、意味不明な情報ばかりが頭を通り抜けてくる。これはまるで、異次元の言葉のような....」

 

そう呟きながら解析を進めていたその時だった。

 

「ッ!」

 

唐突に赤い石が眩い光を放ち、クリームヒルトの手元から離れて宙に浮いた。唐突な出来事にクリームヒルトは目を見開いてその光景を目に移す。そして次の瞬間、抵抗する余裕もなくクリームヒルトは宙に浮いた石へと吸い込まれていく。

 

「これは.....次元跳躍だと?」

 

石に吸い込まれたクリームヒルトが見た光景は、形容し難い亜空間へと放り込まれ、何処かへと流されていく。そしてどこへ向かっていくのか全く見当が付かない。

 

「.....だめだ、夢も使えない。何かしら制限されて時間跳躍もできん。全く、これは何かしらのハプニングに巻き込まれたと考えるべきか....」

 

などと、のらりくららとした口調でクリームヒルトは亜空間の中を流れ続けていた。そして暫くすると、ある場所へと到着した。そこは.....

 

 

 

 

 

 

場所は変わってここは幻想郷、神社。

 

「おはよう、霊夢。」

「あら、おはよう朱音。起きるの早いじゃない。」

 

2人の少女が挨拶を交えた。巫女服を着た少女の名前は博麗霊夢、この神社の巫女である。もう1人は朱音、一時的に霊夢と同居している普通の少女だ。

 

「霊夢、何か手伝えることあるかな?」

「貴女は別に何もしなくて良いのに....まあ良いわ、それじゃあ一緒に朝食の米を買いに行きましょう。」

「お金はあるの?」

「流石にそれくらいはあるわよ。」

 

そう軽く冗談交えながら、2人は神社から離れ、人里へと向かった。まだ早朝のためかあまり人は見られないが、所々店は開いていた。霊夢は普段から行き来している店へと入って、商品を物色していた。

 

「お米を買って、それと安そうなおかずを少々と.....うん、こんなところかしら。」

(相変わらず安いもの重視だなぁ、まあ安く済ませたい気持ちはわかるけど。)

 

朱音はそう考えながら霊夢と一緒にお金を払い店を出た。そしてそのまま神社へ戻ろうとすると、ある少女と出会った。

 

「む、博麗の巫女と、朱音ですか。おはようございます。」

「妖夢さん、おはようございます。」

「はいはい、おはよう妖夢。」

 

2人が出会った少女の名前は「魂魄妖夢」である。人間と幽霊のハーフの少女で、西行寺家のお嬢様である「西行寺幽々子」の護衛役兼剣術指南役である。加えて彼女の食事を工面しているため、こうして人の里でよく買い物をしているのである。

 

「妖夢さんも買い物みたいだったらしいね。」

「ええ本当に、よくあの大食らいの亡霊相手に料理なんてできるわね。どうせ幽霊なんだから食わなくても居座り続けるだろうに。」

「.....それでも幽々子様の為に世話を焼くのが私の使命だからだ。」

「あっそ、じゃあ私達帰るから。」

 

などと、妖夢は霊夢の冷やかしをそう切り返した。すると興味を無くしたのか霊夢はそのまま神社へと向かおうとした。

 

「待ちなさい、その貧相な食事で朱音を食わせていくつもり?そんなんじゃすぐにお腹を空かせてしまうわ。」

「え、いや私は別に....」

「良いから、私に任せて頂戴。買ってきた食材をお裾分けするから。」

 

そう言って妖夢は霊夢達と同行しようとする。すると、話を聞いた霊夢が目を輝かせた。

 

「あら、じゃあ私も美味しく頂いても....」

「貴女は自分の買った食材で賄いなさい。」

「むぅ、ケチね.....どうせ同じ食卓を囲うんだから良いじゃない....」

「全く、現金なんだから....ん?」

 

3人が博麗神社の前へと到着すると、妖夢は鳥居の真下にある赤い箱に気がつく。妖夢は赤い箱へと近づいて手を伸ばす。

 

「これは確か....」

「ちょっ、妖夢!それに触れたら....」

「妖夢さん!」

 

妖夢が赤い箱に触れ、持ち上げようとする。朱音と霊夢がそれを静止させようとするが、既に遅かった。3人は赤い箱へと吸い込まれ、異空間へと放り出されたのであった。

 

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