第三盧生が幻想入り   作:ヘル・レーベンシュタイン

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今回から本格的な幻想入りとなってきます。また、今回はおまけも設けましたので、そちらも含めて是非お楽しみください。


第一話 邂逅

 

目覚めたら、私は森の中にいた。そして今、修羅場に直面している。

 

「きゃはは!」

 

不思議なことに、目が覚めたこの森の中には妖精がいた。その妖精達は遊び心、あるいは明確な敵意を持って攻撃してくる。その攻撃には花の花粉の様な物を弾丸の様に飛ばしてくるが、すぐさま理解した。それは拳銃の弾丸よりも非常に脅威、常人が真正面から受ければ最悪死に至るだろう。

私は肉体強化の夢を具現化し、花の弾丸を防ぐ。そしてすぐさま無数の光弾を具現化させ、妖精達へと発射させる。

 

「爆ぜろ」

「あ〜れ〜.....」

 

私は『盧生』という資格を持っており、人類の集合無意識、即ち阿頼耶識と意識を接続することで、夢の中に描いた物を現実へと紡ぎ出すことができる資格だ。無論、その出力は私自身の想いの密度に依存しており、無制限になんでも出来るわけではない。とはいえ並の兵器では辿り着けないような異次元な戦闘は可能だ。最も飛び道具の類とは私は相性は悪いが、目の前にいる妖精達に命中し撃墜させることに成功した。気絶の範疇に収まったのは幸いである。

 

「夢を使えるのは幸いだったな....しかし妖精が出るとは、ここは古代の世界か?」

 

私の故郷、ドイツであれば北欧神話が身近な話であろう。そしてその神話であれば妖精郷(アルフヘイム)という妖精がいる世界がある。もしやそこに飛ばされたのだろうか?

 

「であれば、なぜ私が飛ばされた?私が来なければならない理屈が思いつかん。」

 

森の中を歩きつつそう呟くが、答えが全く出てこない。結局どこまで仮説を重ねても真実には辿り着けるわけがなく、加えて私の中に内包するアラヤ....即ち人類の集合無意識に問いかけても、全く答えようとしない。つまり私、もとい人類にとっても未知の領域というわけだ。であれば私1人で解決できる問題ではない、まずはここの世界の住民に問いかけることから始めなければならないだろう。

 

「さて、まずは人を見つけなければならない。」

 

そうして数分ほど歩くと森を抜け、少し遠くの場所に人里があることに気が付いた。早速向かおうと思ったが、今自分が軍服を着ていることを思い出した。軍人が急に一般人に近付いてきたら高確率で警戒されてしまうだろう。

 

「参ったな、これ以外に服は持ち合わせていない。果たして受け入れられてもらえるものか.....」

「気にする事はないわ。幻想郷は全てを受け入れる、それがどんな人間であろうとね。」

 

すると、唐突に背後から声が聞こえた。背後を振り返ると、妖艶な雰囲気を身に纏う金髪の女性が宙に浮いていた。見た感じ、普通の人間と相違ない。

 

「....誰だ貴様は?人の姿をしているが、人間ではないな。」

「あら、解るのね。さっきの妖精達との戦闘を見ていたのだけど、やはり貴女も普通の人間とは違うようね。まるで、思い描いた物を現実に紡ぎ出す様な....」

「....さっきの戦闘、見ていたのだな。」

 

しかし内包するエネルギーの密度は常人とはかけ離れており、そして何よりも人間ではないことを瞬時に理解した。私は戦闘の際には最低限の周囲への警戒は怠っていなかった。本気の出力ではなかったとはいえ、私の警戒網を潜り抜けるとは、只者では無い。

私はその女性へと視線を集中させ、腰に携えた剣へと手を伸ばす。それを見た女性は口に扇子を当てながらクスクスと笑った。

 

「ふふ、そこまで警戒しなくても良いわよ、貴女と戦闘する気はないわ。ただ貴女に幻想郷のことについて説明しておこうと思っただけよ。」

「....そういえばさっきも幻想郷と言ってたな。全く耳にしたことのない言葉だ。」

「それはそうでしょうね。申し遅れたわ、私の名は八雲紫.....見知った者からは『スキマ妖怪』と呼ばれてるわ。貴女も好きに呼んで頂戴。」

「そうか、では私はユカリと呼ばせてもらおう。私はクリームヒルト・レーベンシュタインという。親しい者からはヘルと呼ばれてるよ。」

 

そう私達はお互いの名前を交換しあった。私は警戒を解き、剣から手を離した。まだ油断はできないものの、この幻想郷という世界は全く預かりの知らない場所だ。であれば幻想郷という場所に理解の及んでいるであろうユカリから情報を聞いておいた方が最前であろうと判断した。

 

「ではユカリよ、早速質問に答えてもらうぞ。そもそも幻想郷とはなんだ?」

「まあその疑問は当然でしょうね、良いわ答えてあげる。幻想郷とは、外の世界....即ち地上にある人間達の居る世界では居られなくなった者達が流れ込んできた、この世界そのもののことよ。具体的には私の様な妖怪や妖精、そして精霊などが居るわ。貴女も妖精くらいなら聞いたことはあるでしょう?」

「なるほど....さっきも見たが妖精か。その様な幻想的な生き物が集まる世界なのだな。」

「ええ、その認識で大体あってるわ。」

 

ユカリの言葉を聞いて、ようやく納得できた。先程交戦をした妖精を見て、ある程度予想していたが、ここは幻想種が集う世界。詳しい原理はまだ分からないが、恐らく徒歩や常識的な方法で辿り着けるような場所ではないだろう。だが、どうして私がここに来れたのか.....恐らく、あの赤い物体に触れたからだろうが.....

 

「あ、ちなみに何故貴女が幻想郷に流れ込んだという疑問については答えられない、というよりも分からないわ。」

「それは私が始めての漂流者だからか?」

「いいえ、外来人が流れ込んでくること自体は決して珍しくないことだわ。ただ、貴女が流れ込んで来た原因が分からないの。強いていうなら侵略とかそういった意図は感じられないから、恐らく漂流してきたんだろうなと私は思ったけど....そこ止まりね。」

「.....なるほど、わかった。」

 

ひとまず外敵と見なされていないのは幸いだと思えた。もしそうであった場合は、幻想郷に住う者達と、最悪衝突は免れなかっただろう。私としても人外、幻想種だからとはいえ、無益な殺生行為は避けたい。

 

「とりあえず、貴女が元の世界へと帰るための探索をしましょう。その為のサポートもするわ。」

「ほう、それは助かる。」

「その為にもまず、弾幕ごっこを覚えましょう。」

「.....弾幕ごっこ?なんだそれは。」

 

ごっこと言うからには遊戯の類なのだろうが、何故それが今ここで出てくる?コミュニケーションを円滑に行う為のツールなのだろうか。確かにそれを通して話が円滑に進むのならば、私としても助かるのだが。

 

「恐らく貴女のイメージしてる通り、遊びの一種よ。だけど、遊びだけどみんな本気で戦闘をしてくるわ。」

「.....ほう、本気で戦闘をか。まるで闘技のようだな。」

「それが貴女達人間にとって近しい概念かもしれないわね。弾幕って言葉の通り、お札や氷、炎や弾丸など様々な武器を飛ばして戦闘するわ。だけど、飛び道具に限らず拳や刀剣を用いた近接戦闘もありよ。」

「ふむ、なるほどな....遊びは遊びでも危険な武器を使うのだな。」

 

先程の妖精達との交戦で既に実感済みだが、幻想種同士の遊戯なだけにあってそのリスクは常人のそれとは比較にならんようだ。だが、近接戦闘もありならば私でも対応可能だろう。何せ飛び道具の類とはあまり縁がないからだ。

 

「とりあえず何か問題やいざこざが起きた時、幻想郷の住民達は弾幕ごっこの勝敗で解決するわ。だから....」

「私もそれに倣って行動しろ、と言うわけか。良いだろう、今後は私もその習いに従おう。」

「ええ、是非ともそうしてほしいわ。」

 

その様な遊戯を通して物事が解決するのならば、それに越したことはないだろう。遊びであれば死人も出ることはないだろうしな。

 

「あ、けどいくら弾幕ごっこでも当りどころが悪ければ死ぬから注意してね。」

「.....心得た。」

 

と思ったが、どうやらその限りではない様だ。当たりどころ次第だろうが、最悪死のリスクもあるらしい。それを先に言って欲しかったが、苦情を言ってる場合ではあるまい。そう考えていると、ユカリは私に数枚の紙を渡してきた。

 

「あと、弾幕ごっこでは技の開放に『スペルカード』を使って開放するわ。貴女にも渡しておきましょう。」

「ほう、スペルカードか。これ自体はただの紙の様だが....」

「ええ、実際のところただの紙よ。だけど弾幕ごっこでは予めそのスペルカードに技名とその効果を記し、開放する為にはスペルカード名を宣誓しないと発動しないわ。」

「ほう、なるほど....技の発動にはその様な手間が必要なのだな。」

「ちなみに、スペルカードの効果は持ち主個人の能力によるものだから、他人にスペルカード自体を奪われてもなんの意味もないし、逆もまた然りよ。」

「つまり使えるスペルカードは自分のものだけ、というわけか。まあ何にせよ、まずは作ってみるか。」

 

概ねスペルカードの概要は理解した。ならば邯鄲の夢と組み合わせた物を作った方がやりやすいだろう....と、考えていると渡されたスペルカードに文字が浮かび上がってきた。

 

・葬符「死想冥獄(ヘルヘイム)」

・宣神「高き者の箴言(ハーヴァマール)」

 

「あら、早速出来上がったようね。」

「これで私も、弾幕ごっことやらに参加出来るわけか。」

「その通りよ。後はそうね.....ここの住民達の中には固有の能力を持っているけど、妖精達との戦闘を見る限り貴女なら問題なく対応できそうね。」

「能力か。確かに私は常識外れな能力を有しているが、幻想郷にもその手の概念があるのか?」

 

少々意外だったが、思い返してみれば妖精が的確な敵意を持って攻撃してきたのだ。ならば幻想郷の住民が一定数異能を有していても何らおかしくない。そうでなければ抑止力が発生せず常時戦場となっていたはずだ。

 

「ええ、そうよ。当然私も持っているわ。名称だけでも伝えておきましょう。私は『境界を操る程度の能力』を持っているわ。」

「境界を操る程度、か....」

 

操る程度と聞くと、どこか後ろ向きなニュアンスに聞こえる。まあ、真実はそれこそ実戦でしか体感できんだろう。自分の情報をご丁寧にペラペラと明かす輩はそういない。ユカリもあくまで表層部分しか明かす気は無いだろう。

さて、ひとまず盧生としての能力の名称を作らなければならない。であれば、これが適当であろう。

 

「私の能力に名前をつけるのならば『阿頼耶識を司る程度の能力』と言ったところだろう。」

「ふふ、ふふふ.....阿頼耶識、ね。随分と大きく出たわね。」

「悪いか?正直これ以外に適切な名称が思い付かなかった。」

 

実は『夢を操る程度の能力』と言った感じの名称を最初にイメージしていた。最も、これはこれで安直なすぎて何処かの誰かと被る可能性もありえると考えて却下した。それに盧生は人の集合無意識が生み出したという背景的に考えれば、名称とマッチしてるともいえなくもないだろう。

すると、ユカリは笑いを抑えた口調で首を横に振った。

 

「いいえ悪くないわ、そんな風に大雑把でも良いのよ、要は特徴さえ表現できれば良いのだから。」

「そうか、であれば特に問題はなかろう」

「そうね.....さて、私から話せるのはこれくらいね。後は貴女の行動次第だわ。そのまま真っ直ぐ進んで行きなさい。きっとその内、貴女に協力してくれる者と出会えるはずよ。」

「了解した、ここまでの協力を感謝する、ユカリよ。では、行ってくる。」

「ええ、行ってらっしゃいヘル。」

 

私はユカリに一礼し、踵を返して真っ直ぐ道を進んでいった。そして背中から感じた妖艶な気配は消えていった。恐らく境界を操る能力とやらで離脱したのだろう。

幻想郷にとって外来人たる私にあそこまで世話をする理由はわからない。普通、幾ら無害とは言え謎の余所者が居れば冷遇するのが世の常である。しかしあの様な大雑把なスタンスがこの世界の住民のノリなのか、はたまたユカリの計画的な行動なのか、どちらにせよ期待された以上応えねばならない。状況を理解し、行動しなければ問題は解決しないのだから。

 

「さて、先に進めば誰かと出会えると言ったが....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前は朱音、ある日を境に幻想郷へと紛れ込んだ。しかし博麗神社の巫女である、博麗霊夢と共に様々な異変を立ち会うようになり、いつからか彼女と共に行動することが多くなった。

そして今回、私達は気がつけば知らない土地にいた。幸い近くには霊夢、そして妖夢さんが居たから3人とも離れ離れという最悪な状況にならずに済んだ。だけど、まだ事は済んでいない。これも紛れもない異変だ、早く解決するための行動をしなければ。

 

「見た感じ私達の知ってる幻想郷のようだけど....」

「今いる場所が似ているだけで、本当は違うかもしれないわ。」

「まずは探索あるのみ、ですね。」

 

そして私達は近くの人里へと向かおうとした。幸いにもそう遠くない場所にある、まずは情報を集めない事には始まらない。しかし人里へと向かっている途中の時だった。

 

「....む?」

 

森の方面から軍服を着た金髪の美女が不意に現れた。私達の居た幻想郷でも見たことがない人物だ、なんとなく怪しいと私は感じだ。

しかし目の前の人物は笑みを浮かべながら私へと声を掛けてきた。

 

「ほう、ここで人と出会えたのは幸先がいいな。すまないが....」

「朱音から離れなさい!」

 

すると妖夢さんが私の前へと立って、剣を抜いて女性へと向ける。女性は表情を変えず、しかし数歩ほど後ろへと下がった。

 

「おいおい、急に剣を向けないでくれよ。危ないではないか。」

「それほどの気の密度を有しながら、どの口が言うか。さては貴女が、この異変を引き起こした犯人なのではないですか?」

「え?そ、そうなのかな.....」

 

妖夢さんの発言に、思わず私も反応してしまう。確かにこの女性からは怪しさは感じたが、あのフランクな雰囲気から、あまり脅威は感じられなかったが.....

 

「あら、貴女が異変の犯人なの?なら今回は早めに元の幻想郷に帰れそうね。」

「ちょっ、霊夢まで!?」

 

しかし妖夢さんの意見に霊夢までもが便乗した。元の世界に早く帰れることに越した事はないけど、こんな適当さで大丈夫なのだろうか....と、私は頭を痛めてしまう。

そして、目の前の女性まで不敵な笑みを浮かべ、腰の剣に手を掛けた。ここまできたら、もう後には引けないと確信する。

 

「そうか、なるほど....ユカリが言ってた事はそういう事か。諍いが起きた時は、弾幕とやらで解決すると。お前達が私を脅威と見るならば是非もない。抜けよ、一つ手合わせをしようではないか。」

「良いでしょう....道を切り開くためにも、斬って斬って、斬りまくる!」

「へぇ、紫ね....あのスキマ妖怪と関わりがあるって言うなら尚更きな臭いわね。良いわよ、やってやろうじゃない!朱音、貴女は避難してて!」

「....大丈夫、私もサポートする!」

 

こうして、この世界における初の弾幕ごっこが始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

◆おまけ◆

 

○登場人物の基礎ステータス紹介

 

 

名前:クリームヒルト・ヘルヘイム・レーベンシュタイン

種族:人間、ただし心が無い。

二つ名:第3盧生・死神・稀代の殺人鬼

職業:軍人(ナチスドイツ)

能力:阿頼耶識を司る程度の能力.....らしい。(あくまで自己申告。邯鄲の夢を幻想郷の環境に合わせた改変した名称である。)

 

スペルカード

葬符「死想冥獄(ヘルヘイム)」

宣神「高き者の箴言(ハーヴァマール)」

 

ラストワード

「????」

※ラストワードの技名も効果も本人もまだ理解していない。

 

備考:上記のスペルカードは、あくまでクリームヒルト本人が環境に合わせて自信で作り上げたものである。本来の威力や効果は多少変化があるかもしれないとのこと。

 

 

 

名前:朱音(ロス子)

 

種族:人間

二つ名:現状無し・みんなの妹?

職業:現状無しだが、一応博麗の巫女の手伝いをしている。

能力:無し、あくまでただの人間である。ただし不思議な手帳を持っており、それを媒介に一度出会った幻想郷の住民を投影して戦闘させることが可能である。

 

スペルカード

無し

 

ラストワード

無し

 

備考:俗に言う東方ロストワードの主人公、ロス子のステータス。名前もロス子だと締まらないので上記の名前に変更しました。容姿はどのようにイメージしても構いません。個人的にはFgoのぐだ子に近い容姿をイメージしています。

 

 

 

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