とはいえ自分なりに頑張って書いてみましたので、是非お楽しみください。
私は3人の少女と出会い、ここで初めて弾幕ごっこを始めた。最初で目覚めた森で妖精達と一線を交えたことがあるが、あれはまだ幻想郷について右も左も分からない状態だった。だが、ユカリからの最低限の知識を得た。故に、今回こそが実質的な幻想郷における初めての戦闘といえるだろう。
さて、ここで改めて私自身の能力の基礎について振り返る。邯鄲の夢、即ち『阿頼耶識を操る程度の能力』とは、簡潔にいえば夢を現実に紡ぎ出す異能。だが当然、思いのままになんでも出来るわけではない。まず、操れる夢は大きく分けて5種類ある。
1つ目、
2つ目、
3つ目、
4つ目、
5つ目、
これらの夢を基礎として、掛け合わせて現実へと顕現させることができる。更に前述した夢を複数組み合わせ、特殊な能力へと昇華させることも可能だ。その特殊能力は、この世界ではスペルカードに変貌させた。
これが私の能力の大まかな概要である。これらを駆使し、いざ弾幕ごっこを実践するとしよう。
「行くわよ、妖夢!」
「ええ、霊夢も気をつけて。」
私は自身の重力を解除して、空中へと浮かぶ。少女たちを見ると、紅白の巫女と刀を携えた少女が宙に浮いた。名前は、レイムとヨウムか。そして一方でもう1人の少女....アカネだったか?彼女は地上にいたままだ。どうやらあの少女は至って普通の人間のようだ。
そう思っていると、少女が手帳を取り出して広げた。
「藍さん、お願いします!」
少女がそう叫ぶと、手帳から眩い光が放たれ、そこから九つの尾がある金髪の少女が現れる。だが、目に光がなく生命力をほとんど感じない。なるほど、どうやら実在する人物の影法師をあの手帳から出したようだ。
これで3対1となった。まず数の面では不利となりこれは戦闘において大きなアドバンテージとなるだろく。だからといって撤退するわけにもいかない。
「はあぁぁぁっ!」
ヨウムが太刀を空に振り上げる。すると半透明な弾幕が広範囲に私へと迫ってくる。なるほど、数も威力も妖精の弾幕とは比較にならない。だが私はその弾幕へを身を投じる。僅かな隙間を掻い潜り、多少の被弾を無視しつつ少女達へと接近する。
「へぇ、やるじゃない。なら、これならどうかしら?」
私が弾幕を掻い潜ると、今度はレイムからお札の弾幕が放たれる。先程の弾幕とは比べると決してその数は多くない。しかしカウンター気味に放たれたそれを体捌きだけで回避するのは非常に困難。であれば私はどうするべきか?
「ならば弾幕ごと迎撃するまで。」
防御と回避だけで勝てるほど、勝負は甘くない。故に私はここで迎撃という形で始めて攻撃に転じる。解法の破壊と、咒法の拡散を刀身に纏わせて振り切る。結果、広範囲の斬撃で弾幕ごと飛ばした。
「なぁっ!?」
「ぐっ!」
私の放った斬撃が放たれた弾幕を吹き飛ばす。レイムとヨウムは予想外だったのか対応に遅れ、咄嗟にシールドを展開するも、亀裂を入れて多少のダメージを負わせることに成功した。
「なるほど、これが弾幕ごっこか....なかなか興味深いな。」
「なんの、まだまだこれからです!」
振り返ると、背後には九尾の少女、ランがいた。彼女から放たれた光弾が私の周りに展開され、そこから鋭い光線が広範囲に放たれた。流石にこれは回避するのは容易くなく、肉体を透過して回避しようとするも、幾つか被弾する。攻撃を避ける隙はあるものの、それを突破するのは非常に困難。なるほど、これが弾幕ごっこの真髄というわけか.....
「合わせるわよ、朱音、妖夢!」
「うん!」
「はい!」
そしてレイムとランが弾幕を放つと共に、ヨウムが私に向かって接近する。なるほど、弾幕を目眩しに白兵戦へ持ち込むわけか。とはいえあれほどの数の弾幕を掻い潜りながらでは手が焼けるな。
だが、接近戦は私の得意分野である。そちらから来てくれるのは好都合だ。弾幕を最小限に回避、そして迎撃しながら私はヨウムへと接近し、お互いの間合いへと入り込む。
「ッ!」
「はぁッ!」
剣と剣がぶつかり合い、激しい火花を放つ。膂力は決して強くないものの、その斬撃の鋭さは私以上のものがあると実感した。それはかつて一戦を交えた友....ミズキを連想させる。その懐かしさに自然と笑みが浮かび上がる。
「ッ!あぁっ!」
しかし、単純な力の比べ合いでは私に軍配が上がった。剣を振り切るとヨウムはまるで木の葉のように吹き飛ばされる。この機を逃すまいと追撃を加えようとした、その時、背後から力の奔流を感じ取った。
「夢想の弾幕から、逃れることは叶わない。あなたはもう既に、私の封印の中にいるわ!」
その宣誓と共に、レイムの周りに光が集う。その光にはどこから清らかさがあった。その姿は魔性を払う巫女らしさを感じさせられる。
「霊符『夢想封印』」
「ぐうッ!」
レイムから放たれた、無数の巨大な光弾は自動追尾して私に命中する。この弾幕の威力は充分脅威で、直ぐに私は楯法を発動して防御に徹する。なるほど、これがスペルカードか。必殺技というだけあるな。
「....残念、仕留められなかったか。」
「いやはや、大した技だったな。私は弾幕ごっことやらは始めてだが、命の危機すらあり得ると納得できたよ。」
「確か、スキマ妖怪から聞いたんだっけ?まあ、あんたが異変の元凶っていうんなら、容赦するつもりはないけど。」
「それについては私からも言いたいことがあるが、まあまずはこの一戦を終えてからだな。」
「へぇ、まだやる気なのね。」
「無論だ。」
そう言いながら私は懐からスペルカードを一枚取り出す。折角作ったのだ、使わずに腐らせるわけにはいくまい。
「もしも汝の死に全ての者が慟哭するのならば、我が汝を冥府から解き放つと誓おう」
それは冥府の王からの宣言、死から解放されたいと願うのならば、この試練を踏破してみるがいい。
「葬符『
スペルカードを解放すると、私の力が今までの倍以上漲っているのを実感する。
これは本来であれば邯鄲の夢における4段階目『急段』に該当する能力である。本来の効果とは異なり、弾幕ごっこにおいては半径数km内において私の思想に賛同した数に応じて身体能力の向上となっている。だが、それでも充分な効果であろうと判断した。
「いくぞ」
そう呟くと同時に、私は空中を全力で疾走する。3人が一斉に弾幕を放つ、まるで通り抜ける隙間なんて無いと思える程に。だが、私はそれを正面から迎え撃つ。
「なっ!?グゥッ....」
剣を一閃、二閃振り上げる。過去最大級の剣戟が弾幕の8割を吹き飛ばす。その光景に彼女達は驚愕する。まあ無理もないだろう、今の私は最低でも3人分の
とにかく、これで難なく正面突破、このまま一気に3人の撃破を狙う。
「させません!」
すると再びヨウムが私へと接近する。確かに他2人はあまり白兵戦向きではないとは思えない以上、その選択は無難だろう。しかしさっきの力勝負では負けた以上、また斬り合いをする訳にはいくまい。さて、どうするのか?
「持てる妖力込めた渾身の一閃....その一太刀は肉を斬らずに命を斬る!」
それはスペルカードの宣誓だ。どうやらこの一撃で決着をつけるつもりのようだ。確かに私もこれ以上スペルカードの技を喰らえば無事では済まないかもしれない。良いだろう、その勝負に応じるとしよう。
「断命剣『冥想斬』」
ヨウムが跳躍すると同時に、奇妙な力を纏った刀身が光を帯びて伸び上がる。それをそのまま私に振り下ろして叩き斬るつもりだ。
私もそれに応えるように、刀身に渾身の夢を込め、迫りくるヨウムに向かって剣を振り上げた。
「.....」
「.....」
剣戟が交差し、静寂が響き渡る。私もヨウムも剣を振り切ったことは実感した。ならばこそ、この一戦の結末は.....
「....」
「ぐッ.....不覚」
私の身体に無数の切り傷が開くと同時に、ヨウムは崩れ落ちた。結果は相打ち、だが体力をどうにか持ち堪え立ち上がった私の勝利だった。
「妖夢!」
「妖夢さん!」
レイムとアカネが声を張り上げる。まあ、ヨウムが死ぬことはないだろう。渾身の夢を剣に注いだが、相打ちで威力は半分まで削ぎ落とされた。であれば今は軽い気絶状態になってるはずだ。
「中々やるじゃない、じゃあ今度は私のスペルカードをアンタにぶつけるわ。」
「ほう、良いだろう。」
ヨウムを撃破したとはいえ、まだ相手にメンバーは残っている以上勝負は続行か。まだダメージは残っているものの、是非もあるまい。私はもう一度夢をこの身に発動させた。
「では、いくぞ」
「ええ。かかってらっしゃい!」
レイムと私は視線と言葉を交え、再び弾幕ごっこを再開した。その時だった。
「はい、それまで」
思わぬ第三者によって、生死させられたのであった。
◆おまけ◆
葬符『
クリームヒルトの持つスペルカードの一つ。効果は一定の範囲内で無意識でもクリームヒルトの思想に賛同した数に応じて攻防速を向上させる。
本来のクリームヒルトの世界においては五条楽の4段階目・急段に該当する能力。その効果はクリームヒルトが『あらゆる存在を殺せる異界を広げる』能力である。即ち、賛同者の数が増えれば増えるだけ、クリームヒルトが殺せる世界が広がっていく。それは世界樹の最下層を支配する女神ヘルの冥界を地上に無理矢理広げるが如く。冥界においてはヘルこそが最上位の存在であり、例え大神オーディンであろうともヘルの許可無しでは死者を蘇らせることはできないのだから。