第三盧生が幻想入り   作:ヘル・レーベンシュタイン

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またまた戦闘開始のターン!
.....言い訳になりますが、剣士同士が出会ったのだからこうなる流れも自然だろうなと考えながら書きました。
それにしても、即死スキル持ちのキャラは本当に戦闘シーンが難しいですね。当たればそこで終わりですから。原作者は本当にそういうキャラを上手く動かして戦闘描写を書いているなと思いました。
というわけで、今回のお話も楽しんでもらえれば幸いです。


第四話 決闘

「はいよ、毎度あり」

 

報酬で得た金を店主に支払い、私は甘味を受け取った。抹茶の串団子、食べるのは始めてである。近くの席に腰を下ろし、私は団子を一つ口に運んだ。

 

「うむ、甘いな。」

 

口に広がる団子の甘さの香りが、少しだけ疲労を感じてた身体にゆっくりと癒しを与える。別段、特に重労働したわけではないが。

ひとまず、もう一度巻物の内容を確認してみることにした。巻物を開いて、日記の内容に目を通していく。

 

 

 

 

 

『○月×日

今日から私は日記をつけることにした。実家を離れてから、知り合った男と結婚した。お腹の中には、新たな命が芽生えている。その事に私は喜びを感じているし、夫の嬉しそうな顔を見ると、私も笑顔になれる。子どもが生まれたら、自慢されるような立派な母になりたい。

頑張って続けていた剣の道は諦めないといけないけど、こればかりは仕方ない。望み続けた夢は必ず叶うわけではない。剣の道を捨て、これからは母としての道を進もう。』

 

 

 

 

日記の内容はこういった感じだ。

内容自体はよくある類の話だ。人が一つの夢を諦め、新たな道を選択するというもの。人は出会いと別れを繰り返して成長していくものだ。その過程で、夢の形が今までとは別の形、或いは夢そのものが変わることがある。それは価値観の違いや、他人との衝撃の影響が原因であったりもする。この日記の主の場合、結婚という人生の大きなターニングポイントが最大の原因だろう。もっとも、それは本人が選んだ道だ。こればかりは、本人が後悔しない事を願うばかりだ。

 

「私も、母親になりたいという夢があるからなぁ.....」

 

私は手元の日記を閉じ、団子を口に運びながらそう呟いた。

とまあ、この日記の内容から分かることは現状これくらいのものだ。この異変に繋がりそうな原因は全く得られなかった。そういえば、他の者達の進捗はどうなのだろうか。良い結果が得られれば良いのだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ助かったよぉ、やっぱ若い人の力を借りたほうが早いのぉ。」

 

霊夢達と別れて、私は村の中を探索していた。その時に畑を持っている老人が作業をしており、なにやら困っている様子だったので手伝う事にした。そして現在に至る。

 

「いえ、力になれたようなら幸いです。では、私はこれで。」

「ちょっと待ちなさい、お礼になれば良いのだが、これを食べてから行っておくれ。」

「これは....わかりました、遠慮なく頂かせてもらいます。」

 

老人が私を呼び止めると、おにぎりを渡してきた。ちょうど私も腹を空かせていたので、断る理由もないため、そのおにぎりを食べた。

 

「ふふ、とても美味しいです。おじいさんの手作りですか?」

「その通りだ。男の手料理だから粗さが目立つと思うがのぉ....そういえば、畑を耕している時にこれを見つけてなぁ。」

「これは、巻物?」

「うむ、畑を耕してた時にクワの先に妙な手応えを感じたのじゃ。それで土を掘り返したら箱を見つけての。そして開けるとそれが入っていたのじゃ。」

「はぁ、なるほど....奇妙な話ですね。」

 

畑に巻物が埋まっていたとは、なんとも変な体験だ。そして巻物紐を解いて、中身を見てみる。内容はパッと見た感じ、誰かの日記のようだ。

 

「良かったらもらってくれ、こんな老人がそんなものを持っていても仕方ないわい。」

「はい、ありがとうございます。では、失礼します。」

 

私は老人に一礼し、その場後にした。この巻物は何処か不可思議な雰囲気を感じるので、念の為に持っていたほうが良いだろうと判断した。

 

「さて、霊夢達と合流でも....あれは。」

 

老人宅を出て村の中を歩いていると、茶屋で団子を食べているクリームヒルトを見かけた。そして彼女の手元にも巻物がある。そうだ、では.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘル、その巻物は....」

「む?ヨウムか。これは依頼の報酬でもらったものだが....なるほど、お前もか。」

「ええ、奇妙な一致ですね。」

 

声のした方向に振り返ると、そこにはヨウムがいた。そして手元には巻物がある。どうやらお互い依頼の報酬で似たものを手に入れたらしい。

 

「これはまた、この巻物に怪しさが増してきたな。」

「ええ、そうですね。おそらくこのイベント関係があるのでしょう。」

「ならばレイム達を探してみるか。もしかしたらこの巻物を持ってるかもしれないしな。」

「その前に待ってください、少し私と付き合って欲しい。」

「....なんだと?」

「....ついて来てください。」

 

ヨウムはそういって森のある方向へと歩いていった。無視するわけにもいかないので、私は彼女の後へとついていく。一体何が目的なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く歩き続けて、森の深い場所まで進んでいった。そして不意にヨウムが止まり、振り返って私と向き合う。

 

「.....それで、ここまで私を連れてきて何がしたいのだ?」

「ええ、端的に言います。お手合わせをお願いしたい。」

 

そう言いながら、ヨウムは2本の刀を抜刀した。つまり私と一戦交えたいらしい.....なんとも唐突な話だ。互いの性能の比べ合いでもしたいのだろうか。

 

「先程は初対面な上、霊夢達と一緒の戦闘でしたからね。しかし、剣士同士であれば、単騎戦こそが真骨頂と考えてますが、如何に?」

「ふむ、確かにな。良いぞ、その案に乗るとしよう。」

 

そう言いながら、私は腰の剣を抜いた。実際、タイマンでの妖夢の戦闘力がどれほどか興味はあった。なればこそ、是非もあるまい。

 

「では....」

「いざ尋常に」

「勝負ッ!」

 

剣士同士の決戦が、今始まった。私と妖夢、どちらも双方に地を蹴って接近する。そして、この一戦は本気でのぶつかり合いこそを、ヨウムは望んでいるとみた。この場において、弾幕の応酬はあまり意味をなさないだろう。元より私の咒法適正は低く、何よりこれは剣士同士の決闘なのだから。剣の応酬こそがふさわしいだろう。だからこそ、初手から私は渾身の夢を剣に纏わせる。戟法、解法、創法の三種融合を顕現させ、その一撃を一閃放つ。

 

「くッ、オォォォォォッ!」

 

ヨウムはその剣戟を、自身の刃で剣の方向を逸らそうとした。しかし直前でそれをやめ、無理矢理前転して回避した。

どうやら接触すら危険だと思ったのだろう。実際、単純なパワー比べなら負ける気はないからな。

 

「よく回避した。だが、避けるだけでは勝機はないぞ。」

「その程度のこと、知ってますよ。」

「では、今度はどのように対処するか....」

 

そう言いながら私は再度ヨウムへと向き直り、最接近をする。先程と同様、全力の速度と力を放出させながら、彼女のこめかみを狙った刺突を放った。さあ、今度はどんな対応をしてくれるのだ?

 

「はぁッ!」

「ッ!」

 

今度は首先だけで刺突を回避し、私の脇腹に大刀の一撃を加える。なるほど、綺麗な太刀筋だ......良いぞその調子だ。かつてミズキと一戦交えた時を彷彿させる。まだ喰らった傷は少し浅いものの、更なる武術を魅せてくれると期待できる。

 

「貴女の攻撃は良くも悪くも単純ですからね。軌道さえ読めれば、返し技の一つや二つ思いつきますよ。」

「悪くないぞヨウム、さあもっと語らおう。お前の力で私を魅せてくれ。」

「....随分とノリノリですね。まあ、私も私で武者震いが止まらないのですが。」

 

実際ヨウムの手を注目すると、手が小刻みに震えていた。高度の緊張感で、体が自然と震えているようだな。同時にそれだけ本気で戦っている証拠だろう。

そしてヨウムがスペルカードを出し、宣誓する。

 

「空を断ち、断りを断ち、時をも断つ!我が剣からは何人たりとも、逃れることあたわず.... 人鬼『未来永劫斬』」

 

スペルカードの発動と同時に、ヨウムは私の周囲を全方位に駆け巡りつつ、無数の斬撃を叩き込む。そして最後に一度鞘に納めた太刀を一気に引き放ち、私に巨大な斬撃を放った。なるほど、あれが居合切り。抜刀の勢いを利用した剣術か....興味深い。

 

「....ッ!」

 

その斬撃を私は楯法で身を硬めて斬撃を防いだ。一つ一つの斬撃は軽いものの、連続で当てられれば回復が追い付かないかもしれない、そう感じさせられる技だった。

 

「....防ぎ切りましたか。ならば、何度でも!」

「二度も同じでは通じんよ.... 葬符「死想冥獄(ヘルヘイム)

「ッ!?」

 

互いにスペルカードを発動させた。しかし、今度は私自身もヨウムと同様に高速で動き回って斬撃を放つ。一閃、二閃と無限に続きそうな斬撃の応酬が空中で交差し続ける。そして.....

 

「ガアッ!」

「....ここまでか?」

「うっ、グゥッ.....なんの、まだまだッ!*

 

私の剣戟がヨウムに直撃し、軽くない一撃を与えた。今の手応えで後一撃でも喰らえば、ヨウムは戦闘続行が不可能になることを実感する。少々もったいない気がするが、ここで一度打ち止めとするか。

だがそう考えた時、ヨウムは立ち上がってかつてないほどの眼光、そして闘気を溢れ出しながら私と向き合う。恐らく気力一つで立ち上がったのだろう、彼女の呼吸はひどく粗かった。

 

「ハァハァ.....仕方ないですね。ならば、最後の切り札を切らせて頂きます。」

「....ほう、切り札とな。良いぞ、それは私も見てみたいものだ。」

「ええ、見せてあげますとも!」

 

ヨウムが放つそれは、過去最高の輝きと剣気を放っていた。かつて無いほどの力の奔流を感じさせる。ならばこそ、私も全霊を出さねばなるまい。故に私も、もう一枚のスペルカードを取り出し、発動させる。

 

「冥界・白玉楼、剣術指南役奥義!我が修行の集大成、半人半霊の全身全霊.... 」

「富は滅び、親しき者は死に絶え、いずれは己も死に至る.... 」

 

ヨウムは両手に自身の刀を携え、刀に強力な力を凝縮させていく。一方で私の背後には死想が集いそれが形を成していく。そして顕現せしは漆黒の鎧を身に纏った鋼の戦神、死の概念そのものだ。顕現と同時に時が止まったかのように静謐に満たされ、まるで冥界に落ちたかのように錯覚させた。だが、ヨウムはその雰囲気に呑まれることなく、自身の奥義を私に向かって放ってきた。

 

「『待宵反射衛星斬』」

「宣神『高き者の箴言(ハーヴァマール)』」

 

私達は同時に互いの奥義をぶつけ合った。

ヨウムの放つそれは、時間差で降り注ぐ無数の剣戟の豪雨だった。月面から放たれたかと錯覚するほど長く、そして滝のように降り注ぐ斬撃の豪雨。もはや逃げる隙間なんて皆無と感じさせるそれは、まさに奥義にふさわしいだろう。

そして私はそれを終段....をスペルカードの型に嵌めたそれで迎え撃つ。本来ならば世界そのもに影響を及ぼしかねない夢だが、今回は最大でも山脈を消し飛ぶであろうレベルに引き下げた。そして、私の意思を己の意思として汲み取った神格は、無数の斬撃を前に臆することなく死の大槍を肩に担ぎ、ヨウムに向かって放った。

 

「なっ、それは....」

 

投擲された槍から放たれる神威は、斬撃の弾幕を破壊ではなく死を齎し、一つ残さず消滅させていく。それはまるで冥界の領土を拡大させていくかのように。そして.....

 

「が、あぁっ.....まだまだ、修行不足でしたか.....」

 

最後に槍はヨウムに被弾した。ヨウムは地面へと倒れ込み、この勝負の決着がついたのであった。

 

 

 

 

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