シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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一番長くなってしまった……
因みにストックがない為毎日投稿が途切れる可能性があります


閑話【7-1~】
第百五話「暗躍する者達1」


a.t.s56(皇歴56年)/3/10/10:30 シーランド帝国ブリテン島リヴァプール某所

「諸君、遂にこの日が来た」

 

 薄暗い部屋の中、そこには30人を超える人々が集まっていた。全員が真剣な表情で一言呟いた男の方を見ている。

 

「今は亡き代表がこの組織を立ち上げてから間もなく20年を迎える。我々は各地の同志から援助を受け、遂に最強の兵器を完成させる事が出来た……!」

 

 男の言葉に誰もがおおっ! と声を上げる。男が言っていた兵器の完成はこの場の誰もの悲願であった。そんな悲願が遂に適ったのである。誰もが笑みを浮かべていた。

 

「これを見せれば誰もが認めるだろう。我らの力を。我らの正統性を! 今こそ声を高らかに叫ぶときだ!」

 

 男は興奮気味にそう叫ぶと力強く立ち上がった。

 

「世界最強の兵器はパンジャンドラムだと!」

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」

 

 男たちの組織の名はパンジャンドラム愛好会。イギリスの珍兵器をこよなく愛し、世界最強の兵器だと疑うことなくその力を認めさせようとしているシーランド帝国一頭の可笑しい集団である。

 パンジャンドラムとはかつてイギリスが開発した兵器で、二つの車輪を付け、間にロケットブースターと弾薬を詰め込んだ胴体と言う簡素な造りをしている。これは沿岸上陸時に敵の要塞線を破壊する為に造られたが結果的に失敗した。まっすぐ進まない、ロケットが外れる、迷走したパンジャンドラムが見学に来ていたお偉方に突っ込み大混乱に陥る等散々な結果となり、開発は中止された。

 シーランド帝国ではイギリスへのネガティブキャンペーンの一環としてパンジャンドラムをイギリスの通常兵器として扱い、「かつてこの地に存在したイギリスはまともな兵器すら作る事が出来なかった」と大々的に発表していた。

 しかし、そんなパンジャンドラムは2006年に退役軍人のユースタス・デュ・グッドールがパンジャンドラムをきちんとした兵器として開発する愛好会を設立した。彼はパンジャンドラムの実験を見て以来その虜になっており、一度は似た物としてタクシー運転手となったがこれじゃないと直ぐに辞め、その後は軍人として退役まで勤めていた。そんな彼は7年前に亡くなったが彼の棺には花の代わりにパンジャンドラムの模型が添えられるなど彼らしい最後を迎えている。

 そして、ユースタスの死より7年。遂にパンジャンドラム愛好会は最新鋭兵器として位置付けたパンジャンドラムMk-4の完成へと至ったのである。

 

「これを兵器として認められればパンジャンドラムは珍兵器などと呼ばれる事はなくなる! この世界で最強の兵器となるだろう!」

「おお! 素晴らしい……!」

「ここまで頑張ってきた甲斐があったな!」

 

 愛好会の会員たちは皆笑顔で喜びを表している。駄目だしばかりだったが自分たちの存在を世に知らしめることは出来たMk-2、車輪がついたロケット弾と化したが見事軍に正式採用されたガヴェイン、運転性能がゴミ過ぎる無線誘導型のMk-3、等様々なパンジャンドラムを開発してきたがその全てがいまいちと言わざるを得ない代物だった。

 そんな中で期待を寄せて造られたのがMk-4である。これまでの物とは違い、現代技術がこれでもかと積み込まれた最新鋭の兵器となっており、それが完成したという事で喜ばずにはいられなかったのだ。

 

「明日、早速だが実験を行う。何時ものと同じ、荒れた砂浜を一定以上の速度で進みながら目標に体当たりして爆発できればクリアだ」

 

 元々が沿岸上陸時の敵要塞を破壊するための兵器である。愛好会はその開発理由を忠実に守り、それをクリアできる物を作ろうとしていた。つまり、男が言った条件クリアでパンジャンドラムの開発目的が達成されるのだ。逆に言えばこんな事すらパンジャンドラムはクリアできない欠点兵器と言えるのだが……。

 

「Mk-4の実験をクリアして軍に認めさせるぞ!」

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」

 

 愛好会は今度こその成功を願って雄たけびを上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 翌日、リヴァプールの沿岸はお祭り騒ぎとなっていた。愛好会の会員数十名に加えてこの実験を見に来た地元の人、ずっと彼らの活動を折って来たテレビ局のクルー数名、そしてどこからか情報を聞きつけた軍人十名程と言う大所帯となっている。

 会員たちは黙々と実験の準備を進めている。荒れた砂浜にコンクリートで出来た10メートル四方の壁、スピードメーター等本格的な様相を呈していた。因みに、砂浜は市長が会員と言う事で貸し切りの措置を取っている。

 

「準備完了!」

「パンジャンドラムとの接続成功!」

「何時でも開始できます!」

 

 数回目を迎える実験と言う事もあって会員たちの動きに無駄はない。設営開始から僅か一時間ほどで全ての準備を終え、何時でも実験を始められるようになった。その言葉を聞き、現会長がマイクのスイッチを入れた。

 

『これより実験を開始する。エンジン始動!』

「エンジン始動!」

 

 パンジャンドラムからエンジンのかかる音が響き渡り、準備万端とばかりに上下に震え始める。遂に始まる実験に観客たちも固唾をのんで見守っている。その場が静まり返った中、会長は覚悟を決めた表情の元、叫ぶ。

 

『実験! 開始ィィィィッ!!!!』

「「「「「わあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」

 

 瞬間、割れんばかりの歓声が上がる。パンジャンドラムを操作する会員は真剣な表情で操作するためのリモコンに目を向けている。リモコンの中央には画面がついており、パンジャンドラムに取り付けられた正面のカメラから見える風景を映していた。会員が前進するためのレバーを勢いよく前方に倒す。瞬間、パンジャンドラムは車輪を回転させ、全速力で前方に進む。

 

『第一段階成功!』

 

 会長は前方に進んだ事を受けてそう叫ぶ。先ずはそこからかとばかりにこれを見慣れていない人は突っ込むだろう光景が広がっていた。

 パンジャンドラムはその後も荒れた砂浜を安定した状態で通過していく。その姿は今までの欠陥兵器には見えない程成功するのではないかと観客たちに思わせていた。そして、遂に目標のコンクリートの手前まで到達する事に成功した。

 

『ッ! 第二段階成功! 後は最終段階だ!』

 

 この瞬間、会員たちの心は一つになる。ここまで来たんだ。無事に成功してくれ、と。その願いを聞き届けたとばかりにパンジャンドラムはコンクリートに最大速度で以て突っ込んでいき……。

 

 

 

 

コンクリートの手前にあった軽い砂山を通過。それに見事足を取られてパンジャンドラムは宙へと飛び上がった。最大速度で突っ込んだ事でまるでスキージャンプの様に飛び上がり、コンクリートの塊を越えていった。そして、パンジャンドラムが向かう先にあるのは固唾をのんで見守っていた観客たち。誰もがあ、と声を上げそうになり、

 

「「「「「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」

 

 大絶叫を上げて逃げ惑い始めた。見事目標の上空を飛び越えたパンジャンドラムはそのままの速度を保ち地面に着地、観客たちに突っ込んでいく。

 

『っ! 止めろ! もしくは左右に逸らせ!』

「会長! 大変です! 操作が効きません!」

『なにぃぃぃぃっ!!!???』

 

 着地の衝撃で中の配線がイカレてしまったのか? パンジャンドラムは会員の操作を離れて暴走状態に入った。人ごみの中に突っ込んでいくパンジャンドラムはその後も猛威を振るい続け、燃料が無くなるまで周囲の人間を追いかけ続けた。不幸中の幸いと言うべきか死傷者が出ず、内蔵された爆弾が爆発する事はなかったがパンジャンドラムMk-4は初代並みに阿鼻叫喚の地獄絵図を作り上げるという大失敗で終わった。しかし、いいところまでいっていたという事も事実であり、パンジャンドラム愛好会はMk-5の開発に向けて更なる研究を進めていくことになる。

 




やばい。次の章のネタが思いつかない……

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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